有価証券報告書-第116期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/26 13:58
【資料】
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【項目】
182項目

有報資料

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人を大切にすることを基本理念とし、お客様にとってなくてはならない存在としての山九を築きます。そして、社業の発展を通じて社員の福祉向上並びに社会の発展に貢献します。」とする経営理念のもと、各事業分野における豊富な実績と、技術・技能に裏付けられた質の高いサービスを提供することにより、お客様・株主・従業員・社会(地域)から信頼を獲得し、世の中から選ばれる企業であり続ける事を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
世界の人口構造変化、地政学的リスクの高まり、気候変動対応やデジタル技術の進展に伴う競争激化など、当社グループを取り巻く環境は、先を見通すことが難しい混沌とした状況が続いています。そのような環境下、我々の最も重要な経営資源である「人」の確保に関わる労働力不足の問題をはじめ、サプライチェーンの変化、カーボンニュートラル、DXなど、様々な事業環境変化による課題への対応が迫られています。
このような状況を踏まえ、2023年度を初年度とする「Vision2030」、「中期経営計画2026」を2023年1月に公表いたしました。当計画に基づき、急速に変化する事業環境においても、世界の産業を支え続けるという使命を果たしていけるよう、取り組んでまいります。
1.パーパス
「心に「Thank you」を、世界の産業に山九を。」
私たち山九は自分たちを取り巻く様々な人たちへ常に感謝の念を忘れません。
その想いを分かち合うパートナーとともに、新たな価値を創造し、世界の産業とその先にある暮らしを支え続けます。
2.あるべき姿
「人・社会・環境への感謝」を事業で実現する人間力企業
3.長期経営戦略2030
あるべき姿を実現するための3つの方針
方針1.事業ポートフォリオのマネジメントと再構築
将来の事業環境変化に備え、人材・投資を適切に管理し、経営資源を最適配分する仕組みの構築
・経営資源の有効活用を目的とした事業ポートフォリオマネジメント
・データ活用による経営意思決定の高度化(経営の見える化)
方針2.既存顧客の領域拡大(ビジネスモデル革新)
最新技術の活用による生産性向上と新たな付加価値サービスの構築
・現場の知恵とテクノロジーを融合した事業モデルの構築(DX)
・サービスの付加価値創造(人にしか出来ない作業の追求)
方針3.成長市場への挑戦
ソリューション力を高め、社会課題解決への対応力強化
・山九グループの強みを活かした新規事業創出
・海外(グローバル)展開の強化
・グリーン成長戦略の強化

<中期経営計画2026>直近の急速な事業環境の変化に伴い、中期経営計画の見直しを行いました。中期経営計画における4つの基本戦略の取り組みは変えずに、物流事業におけるコスト構造を意識した収益力の改善、機工事業への人的投資、資本収益性のバランスの最適化を目指してまいります。また、物流事業のコスト構造の変革によって創出された人材をリスキリングすることで、機工事業やコーポレートスタッフとして活躍させてまいります。
1.4つの基本戦略
(1)既存事業の収益力強化
世の中の変化が加速する中においても、中期4年間においては、既存領域における需要は旺盛であると見込んでいます。安全・品質・技術・技能・生産性を徹底的に高めて差別化を図り、顧客ニーズを捉え、確実な案件獲得に繋げてまいります。
(2)海外事業拡大
日本で培った事業のノウハウ・強みを活かして海外展開を拡大してまいります。日系企業に留まらず、現地の有力企業との取引拡大を見据え、海外ナショナル社員の育成拠点整備、物流施設の整備を進め、サービスレベルの高度化、グローバルな人材の流動化を図ることで、海外売上高比率を高めてまいります。
(3)グリーン機会の獲得・準備
主要顧客においても、既にカーボンニュートラルに向けた取り組みが進んでおり、将来の機会獲得に向けた積極的な顧客へのサポートや、必要な技術・人材等への先行投資を行ってまいります。再生可能エネルギー関連等の事業拡大も図り、既存事業の需要を獲得しながら、将来の事業機会獲得に備えることで、継続的な事業拡大・成長を図ってまいります。
(4)新規事業領域進出
我々がこれまで培ってきた物流・操業・設備工事・メンテナンスなどの既存の強みを活かし、新たな事業領域への拡大に挑戦することで、事業の可能性を広げてまいります。
2.基本戦略を支える機能強化と経営基盤強化
(1)機能強化
①人材強化
事業拡大に必要な人材を確保・育成し、個人の能力と組織のパフォーマンスを最大化
②DX推進
現場力(人)とデジタル/先進技術を融合し、生産性向上とビジネスモデル変革を推進
③パートナー連携強化
パートナーとの協調・協創による機能の補完・拡充
(2)経営基盤強化、リスクマネジメント
安全・品質・コンプライアンス・ガバナンス強化の継続、及び多様化する事業環境変化に対して、中期計画を確実に進めるためのリスクマネジメントの強化を行ってまいります。
3.各事業戦略
基本戦略に基づき、物流・機工各事業の戦略を策定し、持続的成長に向けた取り組みを推進してまいります。

(1)物流事業
物流事業においては、2026年のあるべき姿を「顧客ロジスティクスの最適化・高度化を担うソリューション企業」と定めておりますが、今般の中期経営計画見直しにおいて、当社の強みが活かせる鉄鋼・化学・電気電子業界にターゲット業界の絞り込みを行いました。2030年の長期に向けては、個別の顧客から業界全体の最適化を提供することを目指してまいります。あるべき姿の実現に向け、以下の戦略を推進してまいります。
①既存事業の収益力改善
当社の強みである、鉄鋼・化学・電気電子業界をターゲット業界として、オペレーション部門における多重構造の見直しや、中国の市場環境に順応させた事業運営体制のスリム化等のコスト構造改革を行い、強固な収益構造の再構築に取り組んでまいります。
②デジタル化・自動化とデータ連携強化
事業拡大の最も重要な要素として、デジタル化・自動化等による顧客とのデータ連携強化を図ってまいります。基幹システムの再構築によるビッグデータの蓄積、自動化・省力化設備の積極的な導入により、顧客の最適なサプライチェーンの構築、CO2削減、生産性向上などに寄与する、ソリューション物流企業を目指してまいります。
③パートナーとの協調・協創、不足機能の補完・拡充
国内外において効率的に事業を推進するために補完・拡充が必要な機能については、外部パートナーとの協調・協創を推進することで、目標達成を目指してまいります。
(2)機工事業
機工事業においては、2026年のあるべき姿を「基盤事業の盤石化と成長事業への挑戦」と定義し、2030年の長期に向けては、保全・工事ノウハウを進化させ、世界の成長領域で戦えるポジションの確立を目指してまいります。あるべき姿の実現に向け、以下の戦略を推進してまいります。
①収益基盤となる事業の深化と強化
既存の主要業界である、石油・化学・鉄鋼の分野においては、国内外において引き続き旺盛な需要があると見込んでおり、強みである動員力や技術・技能を活かし、既存領域における事業強化を図ってまいります。今後、人手不足が深刻化する中でサービスの高度化を実現するために、人材リソースや技術・技能のデータベース化、プロジェクト管理のシステム化、最新技術を用いた予防保全サービスの提供など、効率化・生産性向上に向けたDX推進を実施してまいります。
②成長事業と新規事業への挑戦
既存事業で培ってきたノウハウと強みを活かし、国内外の中規模EPCや、再生可能エネルギーなどのグリーン関連事業、老朽化する社会インフラのメンテナンスなど、成長領域・新規領域における事業の拡大を図ってまいります。電気・計装などの補強が必要な機能は、外部のパートナーを選定し、資本提携等の手段も含めて連携することで機能強化を図ってまいります。
③プロジェクトマネージャー・エンジニアの育成と流動化
機工事業の拡大に最も重要な要素となる、プロジェクトマネージャー・エンジニアの育成に関しては、日本・東南アジア・中東の3つの人材育成拠点、エンジニアリング拠点を整備し、グローバルに人材育成と流動化を図ってまいります。また、物流事業から創出した人材への積極的なリスキリングを行い、品質を保ちながら事業機会の拡大に努めてまいります。

(3) 投資計画
2026年度までの中期4年間、2030年度までの長期8年間における累計の成長投資額および人材投資額は、次のとおりであります。
中期4年間累計
(見直し前)
中期4年間累計
(見直し後)
長期8年間累計
成長投資額1,000億円規模900億円規模1,600億円規模
人材投資額150億円規模150億円規模300億円規模

(4) 目標とする経営指標
①財務指標
財務指標中期目標2026年度
(見直し前)
中期目標2026年度
(見直し後)
長期目標2030年度
売上高6,300億円 以上6,600億円7,000億円 以上
営業利益率6.7% 以上7.1%8.0% 以上
海外売上高成長率(2021年度比)25% UP25% UP65% UP
ROIC8.0% 水準9.0%10.0% 水準

②非財務指標
非財務指標中期目標2026年度長期目標2030年度
CO2排出量削減(2020年度比)
(Scope1,2、単体及び国内連結子会社)
18% 削減42% 削減
女性管理職比率9.5%11.0%

(5) 資本政策
中期経営計画2026においては、事業活動における安定した営業キャッシュ・フローの創出を見込んでいる一方、中期4年間において将来の持続的成長に向けた多くの戦略投資を計画しています。財務の健全性・安定性を確保しながら、負債も積極的に活用し成長投資に充てることで資本コストの抑制を図る方針に変更はありませんが、今般の中期経営計画見直しにより「配当性向40%水準」に加え、この期間において下限配当として「前年度1株当たり年間配当額」を設定し、自己株式の取得については4年間で700億円を実施することといたします。
上記の資本政策を実施することで、より充実した株主還元を図り、資本効率性を重視しながら企業価値の最大化を目指してまいります。
指標中期目標2026年度
(見直し前)
中期目標2026年度
(見直し後)
ROE10% 水準10%
ROIC8.0% 水準9.0%
配当性向40% 水準40% 水準
4年間の総還元性向70% 水準100% 水準
4年間の自己株取得額400億円700億円

また併せて、最適自己資本額につきましては、2030年度に2,700億円水準に設定し、過去最高のROE水準を目指してまいります。

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