有価証券報告書-第32期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営の基本方針・中長期的な経営戦略
当社グループは、以下のミッションを掲げております。
当社グループでは、急激に変化する昨今のビジネス環境下において、持続的成長と企業価値向上の実現を目指し、2024年11月13日に中期経営計画「Ignite 2027」(2025年度から2027年度を対象とする3ヶ年計画)を策定・公表しております。また、事業環境及び足元の事業進捗等を踏まえ、2026年5月14日に同計画の定量計画を改定しております。以下の基本方針のもと、各施策を推進しております。
AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化によって、エンタテインメント業界では、ビジネスのあり方が今後加速度的に変化していくことが予想され、これまで以上に、テクノロジーとの真摯な向き合いが必要不可欠なものとなってきています。
当社グループは、このような激変する業界環境において、SKIYAKIとの経営統合により実現された、「コンテンツ」と「テクノロジー」を有する数少ない企業体を形成することで、新しいビジネスの地平を切り拓き、エンタテインメント業界の変化を先取りする企業体を目指し、アーティスト・クリエイターへのソリューション提供、ユーザー・ファンへのコンテンツ・感動提供の実現を通じて、当社グループミッションの実現を図るとともに、中期経営計画の達成に努めてまいります。
(2)優先的に対処すべき課題
当社グループの属する音楽エンタテインメント業界においては、世界的に音楽ストリーミング市場の成長が続いており、2025年のグローバル音楽市場は前年比6.4%の成長と、前年の4.8%増から成長率が加速いたしました(出所:国際レコード産業連盟、International Federation of the Phonographic Industry)。一方、日本国内においては、ストリーミングを中心とする音楽配信売上の伸びが踊り場を迎えつつあり、音楽ソフトパッケージの減少とあわせ、国内音楽流通市場の成長ペースに鈍化の傾向が見られます(出所:一般社団法人日本レコード協会)。ライブ・イベント市場においては、コロナ禍からの回復フェーズを超え、次なる持続的成長局面への本格移行が確認されており(出所:ぴあ総研『2024ライブ・エンタテインメント白書』)、ファン参加型・体験型エンタテインメントへの需要は引き続き高水準で推移しております。さらに、生成AIをはじめとする先端技術の急速な実用化、インディペンデント(DIY)アーティストによる自律的な活動の拡大、SNS・UGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じた音楽消費行動の変容など、業界構造に大きな転換が生じております。
このような環境下、当社グループは、2024年4月の株式会社SKIYAKIとの経営統合から約2年が経過し、「コンテンツ」と「テクノロジー」の融合による独自のバリューチェーン構築を着実に進めております。また、2026年3月期においては中期経営計画最終年度の目標修正(上方修正)を行い、グループ経営の方向性と重点施策を明確化いたしました。当社グループが中長期的に企業価値を高めるために、以下の課題に取り組むことが必要であると認識しております。
① 市場環境の変化への対応
音楽ストリーミング市場はグローバルでは成長が持続する一方、日本国内では成長鈍化が顕著となっており、収益構造の多角化が急務となっております。また、生成AIの進展やSNS・UGCの普及により、音楽・映像コンテンツの消費スタイルは急速に変化しており、ユーザーの発見・選好行動は従来型メディアから離れ、アルゴリズムや個人間の情報拡散へと移行しつつあります。
これらの変化に対応するため、当社グループは、グローバル配信領域における戦略的パートナーとの連携強化、株式会社SPACE SHOWER FUGAの株主であり、デジタルディストリビューションを世界展開するオランダ企業のFUGA(以下、「FUGA社」という。)を活用した海外アーティスト・レーベルとの取引深化、デジタルマーケティング体制の高度化、SKIYAKIが有するテクノロジー基盤の一層の活用を通じて、収益構造の変革と新たな付加価値創出を推進してまいります。
② 多様化する消費者ニーズへの対応
Z世代以降の消費者を中心に、音楽の嗜好・消費行動の多様化が一層進んでおり、HIPHOP・ゲーム音楽・VTuberなどの新興ジャンルや、リアルとデジタルを融合した体験型エンタテインメントへの需要が高まっております。また、視聴者の高齢化が進む放送プラットフォームにおいては、デジタルネイティブ層を含む幅広いユーザー獲得に向けたコンテンツ最適化が課題となっております。
当社グループでは、J-ポップ・J-ロックを中心とした既存コンテンツ資産を活用しつつ、多様なジャンルに対応するコンテンツ制作・イベント企画を積極的に推進してまいります。
加えて、インフィニアが運営するエンタテインメントカフェ「あっとほぉーむカフェ」を軸としたサブカルチャー・ポップカルチャー領域においては、ファン参加型エンタテインメントとしての独自ポジションを確立・強化し、グループとしての多様なファン接点を最大限に活用してまいります。
③ ヒット作品創出に向けた取り組み
当社グループの音楽ソフト関連事業は、原盤制作からマーケティング・プロモーション、流通、デジタル配信、著作権管理に至るまで一貫した機能を有しております。有望なアーティストの発掘・育成に加え、ソーシャルメディアや各種配信プラットフォームを活用したデータドリブンなマーケティング施策の強化により、デジタル時代に即したヒット創出体制の構築を推進してまいります。
また、各種法制度やアーティスト・クリエイターの意向を十分に汲み取りつつ、生成AIツールの制作工程への導入・活用によるコンテンツ制作の効率化と品質向上について検討を進め、リソースをアーティストの創造的活動の支援に重点投下できる体制整備を図ってまいります。
④ 独立系・DIYアーティストサポートの拡充
ストリーミング配信やSNSを活用して自己完結的に活動するDIYアーティストが増加しており、これらのアーティストを支援するエコシステムの整備が業界全体の課題となっております。
当社グループでは、SKIYAKIが有するプラットフォーム機能の継続的な強化を通じて、アーティストとファンの直接的な関係構築を支援するとともに、コンテンツ制作支援・ライブ連携・EC機能の統合など、独立系アーティストの成長に資する包括的なサービス提供に取り組んでまいります。新しい音楽エコシステムにおける中核的なインフラ事業者としての地位確立を目指してまいります。
⑤ 新規事業領域への展開拡大
生成AI・XR・空間コンピューティングなど新技術の実用化が進む中、コンテンツ制作・流通・体験の形が多様化しており、当社グループとしては、これら新技術と当社独自のコンテンツ・アーティスト資産を融合した新たな収益源の開拓が喫緊の課題であります。
当社グループでは、M&Aおよび業務提携を積極的に活用した新規領域への投資を推進してまいります。
⑥ ファンエンゲージメントの強化
アーティストとファンの関係性のあり方が変化するとともに、ライブ・イベント市場が持続的成長局面に入りつつある中、ファンエンゲージメントの質的・量的向上が重要な経営課題となっております。
当社グループでは、SKIYAKIが有するファンクラブ・EC機能と、スペースシャワーネットワークが主催するイベントや、インフィニアの「あっとほぉーむカフェ」等が積み重ねてきたリアル接点のノウハウを有機的に連携させ、オンライン・オフラインを問わない継続的なファン接点の創出により、ファンロイヤルティの向上およびLTV(顧客生涯価値)の最大化を図ってまいります。また、デジタルを活用した個別最適化された体験設計や、アーティストとのインタラクティブな交流機会の創出にも注力し、持続可能な関係性の構築を推進してまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの推進
急速に変化する業界環境に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を実現するためには、的確な意思決定と実効性ある監督体制の構築が不可欠であります。
当社グループでは、内部統制・リスク管理・コンプライアンスの徹底を継続するとともに、独立社外取締役の実効的な活用、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへの継続的な対応を通じて、ガバナンス体制の一層の充実を図ってまいります。また、グループ各社におけるコンプライアンス推進体制の整備・強化を進め、グループ全体としての法令遵守・リスク低減を徹底してまいります。
⑧ 人材育成の強化
DX推進・グローバル対応・IP開発など多様な領域で競争力を高めるためには、専門性と変化対応力を兼ね備えた人材の確保・育成が不可欠であります。
当社グループでは、教育研修・組織開発・ジョブローテーション等を通じて人材基盤の強化を図るとともに、エンタテインメント業界の特性を踏まえた多様な就労環境・評価制度の整備を推進し、次代を担う人材の育成に注力してまいります。
当社グループは、以下のミッションを掲げております。
| <当社グループのミッション>EMPOWER ARTISTS & CREATORS, ENRICH FAN EXPERIENCE 我々が住むこの社会を持続可能なものにするために、文化や価値観の多様性を育むことが求められています。 音楽をはじめとしたエンタテインメント業界で活動する当社グループは、さまざまなバックグラウンドを持つアーティストやクリエイターたちと共に、豊穣な文脈をもった良質なコンテンツを提供し、ユーザーの心に感動を生み出すことで、人々の内面世界に彩りを与え、文化・芸術、そして社会の多様性の実現に貢献してまいります。 また、個人へのパワーシフトが進む社会の変化に対応して、幅広いジャンルで活躍するアーティストやクリエイターたちが、豊かにそして長くその活動を続けられるように、利便性の高いソリューションを360°で提供し、表現活動をする人たちの裾野を広げ、その価値を高めていくことが我々の社会的使命だと考えています。 |
当社グループでは、急激に変化する昨今のビジネス環境下において、持続的成長と企業価値向上の実現を目指し、2024年11月13日に中期経営計画「Ignite 2027」(2025年度から2027年度を対象とする3ヶ年計画)を策定・公表しております。また、事業環境及び足元の事業進捗等を踏まえ、2026年5月14日に同計画の定量計画を改定しております。以下の基本方針のもと、各施策を推進しております。
| <定量目標>2027年度までに以下の定量目標を実現する ・連結売上高 260億円 ・連結営業利益 24億円(営業利益率 9%) ・連結EBITDA 30億円 ・ROE 15%超 <定性目標>・「コンテンツ」セグメントの成長により「ソリューション」セグメントの収益が増加し、「ソリューション」セグメントの成長により「コンテンツ」の獲得機会が増加するという相乗効果を生み出していくとともに、両セグメントのシナジーにより生まれる新たなIPやサービス開発を推進します。また、両セグメントを拡充するための積極的な成長投資を実行していくことで、営業キャッシュフローの獲得拡大を目指すとともに、株主還元の強化に努めてまいります。 |
AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化によって、エンタテインメント業界では、ビジネスのあり方が今後加速度的に変化していくことが予想され、これまで以上に、テクノロジーとの真摯な向き合いが必要不可欠なものとなってきています。
当社グループは、このような激変する業界環境において、SKIYAKIとの経営統合により実現された、「コンテンツ」と「テクノロジー」を有する数少ない企業体を形成することで、新しいビジネスの地平を切り拓き、エンタテインメント業界の変化を先取りする企業体を目指し、アーティスト・クリエイターへのソリューション提供、ユーザー・ファンへのコンテンツ・感動提供の実現を通じて、当社グループミッションの実現を図るとともに、中期経営計画の達成に努めてまいります。
(2)優先的に対処すべき課題
当社グループの属する音楽エンタテインメント業界においては、世界的に音楽ストリーミング市場の成長が続いており、2025年のグローバル音楽市場は前年比6.4%の成長と、前年の4.8%増から成長率が加速いたしました(出所:国際レコード産業連盟、International Federation of the Phonographic Industry)。一方、日本国内においては、ストリーミングを中心とする音楽配信売上の伸びが踊り場を迎えつつあり、音楽ソフトパッケージの減少とあわせ、国内音楽流通市場の成長ペースに鈍化の傾向が見られます(出所:一般社団法人日本レコード協会)。ライブ・イベント市場においては、コロナ禍からの回復フェーズを超え、次なる持続的成長局面への本格移行が確認されており(出所:ぴあ総研『2024ライブ・エンタテインメント白書』)、ファン参加型・体験型エンタテインメントへの需要は引き続き高水準で推移しております。さらに、生成AIをはじめとする先端技術の急速な実用化、インディペンデント(DIY)アーティストによる自律的な活動の拡大、SNS・UGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じた音楽消費行動の変容など、業界構造に大きな転換が生じております。
このような環境下、当社グループは、2024年4月の株式会社SKIYAKIとの経営統合から約2年が経過し、「コンテンツ」と「テクノロジー」の融合による独自のバリューチェーン構築を着実に進めております。また、2026年3月期においては中期経営計画最終年度の目標修正(上方修正)を行い、グループ経営の方向性と重点施策を明確化いたしました。当社グループが中長期的に企業価値を高めるために、以下の課題に取り組むことが必要であると認識しております。
① 市場環境の変化への対応
音楽ストリーミング市場はグローバルでは成長が持続する一方、日本国内では成長鈍化が顕著となっており、収益構造の多角化が急務となっております。また、生成AIの進展やSNS・UGCの普及により、音楽・映像コンテンツの消費スタイルは急速に変化しており、ユーザーの発見・選好行動は従来型メディアから離れ、アルゴリズムや個人間の情報拡散へと移行しつつあります。
これらの変化に対応するため、当社グループは、グローバル配信領域における戦略的パートナーとの連携強化、株式会社SPACE SHOWER FUGAの株主であり、デジタルディストリビューションを世界展開するオランダ企業のFUGA(以下、「FUGA社」という。)を活用した海外アーティスト・レーベルとの取引深化、デジタルマーケティング体制の高度化、SKIYAKIが有するテクノロジー基盤の一層の活用を通じて、収益構造の変革と新たな付加価値創出を推進してまいります。
② 多様化する消費者ニーズへの対応
Z世代以降の消費者を中心に、音楽の嗜好・消費行動の多様化が一層進んでおり、HIPHOP・ゲーム音楽・VTuberなどの新興ジャンルや、リアルとデジタルを融合した体験型エンタテインメントへの需要が高まっております。また、視聴者の高齢化が進む放送プラットフォームにおいては、デジタルネイティブ層を含む幅広いユーザー獲得に向けたコンテンツ最適化が課題となっております。
当社グループでは、J-ポップ・J-ロックを中心とした既存コンテンツ資産を活用しつつ、多様なジャンルに対応するコンテンツ制作・イベント企画を積極的に推進してまいります。
加えて、インフィニアが運営するエンタテインメントカフェ「あっとほぉーむカフェ」を軸としたサブカルチャー・ポップカルチャー領域においては、ファン参加型エンタテインメントとしての独自ポジションを確立・強化し、グループとしての多様なファン接点を最大限に活用してまいります。
③ ヒット作品創出に向けた取り組み
当社グループの音楽ソフト関連事業は、原盤制作からマーケティング・プロモーション、流通、デジタル配信、著作権管理に至るまで一貫した機能を有しております。有望なアーティストの発掘・育成に加え、ソーシャルメディアや各種配信プラットフォームを活用したデータドリブンなマーケティング施策の強化により、デジタル時代に即したヒット創出体制の構築を推進してまいります。
また、各種法制度やアーティスト・クリエイターの意向を十分に汲み取りつつ、生成AIツールの制作工程への導入・活用によるコンテンツ制作の効率化と品質向上について検討を進め、リソースをアーティストの創造的活動の支援に重点投下できる体制整備を図ってまいります。
④ 独立系・DIYアーティストサポートの拡充
ストリーミング配信やSNSを活用して自己完結的に活動するDIYアーティストが増加しており、これらのアーティストを支援するエコシステムの整備が業界全体の課題となっております。
当社グループでは、SKIYAKIが有するプラットフォーム機能の継続的な強化を通じて、アーティストとファンの直接的な関係構築を支援するとともに、コンテンツ制作支援・ライブ連携・EC機能の統合など、独立系アーティストの成長に資する包括的なサービス提供に取り組んでまいります。新しい音楽エコシステムにおける中核的なインフラ事業者としての地位確立を目指してまいります。
⑤ 新規事業領域への展開拡大
生成AI・XR・空間コンピューティングなど新技術の実用化が進む中、コンテンツ制作・流通・体験の形が多様化しており、当社グループとしては、これら新技術と当社独自のコンテンツ・アーティスト資産を融合した新たな収益源の開拓が喫緊の課題であります。
当社グループでは、M&Aおよび業務提携を積極的に活用した新規領域への投資を推進してまいります。
⑥ ファンエンゲージメントの強化
アーティストとファンの関係性のあり方が変化するとともに、ライブ・イベント市場が持続的成長局面に入りつつある中、ファンエンゲージメントの質的・量的向上が重要な経営課題となっております。
当社グループでは、SKIYAKIが有するファンクラブ・EC機能と、スペースシャワーネットワークが主催するイベントや、インフィニアの「あっとほぉーむカフェ」等が積み重ねてきたリアル接点のノウハウを有機的に連携させ、オンライン・オフラインを問わない継続的なファン接点の創出により、ファンロイヤルティの向上およびLTV(顧客生涯価値)の最大化を図ってまいります。また、デジタルを活用した個別最適化された体験設計や、アーティストとのインタラクティブな交流機会の創出にも注力し、持続可能な関係性の構築を推進してまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの推進
急速に変化する業界環境に対応し、持続的な成長と企業価値の向上を実現するためには、的確な意思決定と実効性ある監督体制の構築が不可欠であります。
当社グループでは、内部統制・リスク管理・コンプライアンスの徹底を継続するとともに、独立社外取締役の実効的な活用、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへの継続的な対応を通じて、ガバナンス体制の一層の充実を図ってまいります。また、グループ各社におけるコンプライアンス推進体制の整備・強化を進め、グループ全体としての法令遵守・リスク低減を徹底してまいります。
⑧ 人材育成の強化
DX推進・グローバル対応・IP開発など多様な領域で競争力を高めるためには、専門性と変化対応力を兼ね備えた人材の確保・育成が不可欠であります。
当社グループでは、教育研修・組織開発・ジョブローテーション等を通じて人材基盤の強化を図るとともに、エンタテインメント業界の特性を踏まえた多様な就労環境・評価制度の整備を推進し、次代を担う人材の育成に注力してまいります。