有価証券報告書-第30期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:24
【資料】
PDFをみる
【項目】
99項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社の経営の基本方針は、社会基盤として重要な役割を担う先進的で高品質なインターネット接続サービスを適切な価格で安定的に提供することにあります。「接続料金」、「回線の安定性」、「回線の速度」、「サポート」といった基本的な価値の向上を図ることが重要であると考えております。また当社は、教育支援サービス「 manaba (マナバ)」を自社開発し大学などの教育機関へ提供しております。IT技術の活用によって教育の質を高めるインフラとしての価値の向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
インターネット接続サービスは生活インフラ及び事業インフラとしての役割が益々増大しております。当社は、顧客が求める通信品質を維持しながらオペレーションの更なる向上により顧客の利便性を高めていくことが重要課題であると考えております。また、Wi-Fi、VPN、監視カメラソリューションなど、インターネット接続の周辺領域の事業も進めております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
先進的で高品質なインターネット接続サービスを適切な価格で継続的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、ROE及び1株当たり純利益を収益性の指標としております。当社が運営するISP「ASAHIネット」につきましては、会員制ビジネスであることから会員数の増加を図ることが将来の収益源を確保することにつながっております。こうした観点から「ASAHIネット」会員数、平均退会率、第三者による顧客満足度調査などを重要な指標としております。他電気通信事業者へIPv6接続サービスをローミング提供する「v6 コネクト」につきましては、提携する電気通信事業者数を重要な指標としております。教育支援サービス「 manaba 」につきましては、契約ID数に応じた課金体系となっていることから、全学導入校数と契約ID数を重要な指標としております。
(4)経営環境
① 業界動向
通信業界においては、インターネットの果たす役割が日常生活や企業活動において重要な位置づけになっていると考えております。新型コロナウイルス感染症に伴う行動の変化により、通信を伴う非接触機会の拡大や、在宅勤務等のテレワークへの動きなどインターネットを軸とした変化が起こっていると認識しております。インターネット上で閲覧される動画等のコンテンツ配信サービスの増加や画像技術の向上による4K/8Kコンテンツの拡大、更には企業活動におけるクラウド化の動き等により我が国のブロードバンド契約者の1契約あたりのダウンロードトラフィックは前年対比43.5kbps増(12.5%増)の309.5kbps、1日あたり約3.3GBとなり増加し続けております。また、IoT、ビックデータ、AI(人工知能)などICT(情報通信技術)の官民を挙げた推進が促されており、今後もISP業界が重要な役割を担っていくものと想定しております。
② ISP業界
ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)業界においてはFTTH(光ファイバー)は緩やかではありますが引き続き成長が続くことを見込んでおります。次世代移動通信5Gの基地局整備に伴う光ファイバー敷設の推進や商業施設への導入等により、今後も利用者数の伸びは増加すると考えております。2020年3月期は消費税増税に伴い実施された「キャッシュレス・消費者還元事業」に連動してインターネット接続環境の設備投資を行う店舗の増加、訪日外国人へのインバウンド施策としてWi‐Fi環境を設置する宿泊施設や飲食店、働き方改革の一環として在宅勤務やリモートワーク環境を整備される顧客の増加が目立ちました。2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症に伴う在宅勤務の更なる後押しや、人との非接触を推し進める手段としてインターネットを利活用する事例が増加することを見込んでおります。
当社ISP事業の事業構造は事業系統図に記載のとおり、売上は会員に対するインターネット接続機能を月額課金で計上するのに対し、売上原価は通信費仕入と通信を処理する通信機器等の設備投資が主たる原価であります。ISP業界の共通課題は、ここ数年間増加し続けるインターネット動画などの通信量に比例して売上原価が増加し、結果として営業利益を押し下げる傾向となっておりました。当社はこの原価構造の課題を解決するため、NTT東西のフレッツ網(NGN)と直接接続し、シンプルにインターネット接続が出来るネイティブ方式でのIPv6接続サービスを提供することで通信トラフィックが増加する中でも高い品質と収益性の確保に努めております。IPv6接続サービスを提供する電気通信事業者は、2020年5月末時点で当社を含め7社、NTT東西の仕様により最大16社に制限されております。従来から利用されているトンネル方式でのIPv4接続サービスを提供する電気通信事業者は2019年度末時点、国内で百社を超える企業が提供している状況であり、当社はIPv6接続サービスを用いた「接続料金」、「通信の安定性」、「通信の速度」を他社との差別化要因とし事業の拡大に取り組んでまいります。
ISP事業における会員獲得の方針として、当社はB2B2Xとなる法人顧客を主たるターゲットとして事業活動を行っております。背景として、当社が販売するNTT東西の光コラボレーションモデルについては、NTTドコモやソフトバンク等の携帯キャリアが移動通信と固定通信をセット販売することに注力している状況が続いており、個人向け会員獲得については獲得効率が悪化する傾向にあると考えております。そこで、当社は法人顧客向けに「接続料金」、「通信の安定性」、「通信の速度」に加え、固定IPアドレス等の付加価値サービスや業務オペレーションの効率化を提供する事で会員が得られる価値を高める戦略に取り組んでおります。また、当社は経営規模が比較的小さな事業者様との契約数を積み上げることを意識しており、競合他社とのサービス比較や料金比較などの競争を避けながら高い利益率を確保することを目指しております。
③ 教育業界
教育業界においては、文部科学省が推し進める教育のICT化や教育の質保証への取り組みが重要視されております。当社教育支援サービス「 manaba 」を利活用する大学の声を丁寧に拾い上げ、教育業界をささえる社会的インフラとしてサービス品質の維持をしてまいります。
文部科学省が実施した令和元年度学校基本調査の結果によると、日本の大学数786大学、学生・大学院生数は292万人に対して2020年3月末時点での「 manaba 」を利用する全学導入大学数は97校、契約ID数は698千IDという状況にあります。大学が「 manaba 」を始めとするICTサービスや業務システム等の検討を行う機会は約7年単位と言われており、当社は各大学の検討時期に照準をあてた提案活動を継続して実施しております。その結果、過去5年間は年間平均で11件の全学導入実績を継続しております。
2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症により大学キャンパス内での講義が困難になったことを踏まえ、遠隔授業に取り組む大学が増えております。当社調べでは、約200大学程度が遠隔授業に必要なLMS(ラーニング・マネジメント・システム)の導入を行っていないことから「 manaba 」への引き合いが増加することを見込んでおります。また、既にLMSを導入している大学においても遠隔授業の開始によりサーバー設備等のリソースが不足し遠隔授業が実施できないという状況も発生しております。このような大学に対して、「 manaba 」は当社が管理するデータセンターで運営を行っているため大学の要望にあわせた早期の利用環境提供を行うことが可能であることを競合他社との差別化要因とし、導入校数の増加を進めて参ります。また、ライブ型の双方側授業増加及び大学生の大量アクセスによる利用が増加することを踏まえ、サービスを維持するための設備投資を積極的に行っております。
④ 業績の見通し
2021年3月期の業績については以下のとおり見込んでおります。
売上高については、FTTH接続サービスや高速モバイル接続サービスによる「ASAHIネット」会員数の増加と、「v6 コネクト」における提携事業者増加、「 manaba 」の導入校増加により増収を見込んでおります。売上原価については、FTTH接続サービスや「v6 コネクト」における回線仕入の増加と設備投資を見込んでおります。販売費及び一般管理費については、会員獲得費用に伴う販売手数料、業務委託費等を見込んでおります。
以上により、売上高10,800百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、当期純利益1,260百万円を予想しております。
新型コロナウイルス感染症に伴う2021年3月期への業績については軽微であると認識しており、その理由は下記のとおりとなります。
当社ISP事業は、月額課金で会員に対しインターネット接続環境を提供する構造となっております。新型コロナウイルス感染症に伴い影響を受ける主な範囲は新規に入会いただく会員数と考えておりますが、当社会員数に対する新規会員数の割合は毎月1%未満であるため売上高への影響は軽微であると見ております。また教育事業においても顧客である教育機関と年間契約を締結していることから当期への影響は軽微であると考えております。
新型コロナウイルス感染症による直接的な売上高の影響につきましては、在宅勤務等によるモバイル接続サービスの契約増加を見込んでおります。一方、第1四半期に発生している外出自粛等による営業機会の損失及び今後の営業機会の減少が今後の会員獲得に影響を与える可能性があります。この二つの側面を鑑みた結果、売上高につきましては業績予想を変更する必要はないと考えております。
新型コロナウイルス感染症による直接的な費用の影響につきましては、通信料の増加に伴う通信仕入の増加を見込んでおります。当社通信仕入はピーク時間帯における通信量に影響を受ける契約であり、NTT東日本及びNTT西日本が開示している資料によると新型コロナウイルス感染症の影響で通信量は約10%程度の増加となっており、当社通信仕入が増加する可能性があります。一方、営業機会の損失と減少に伴い、新規会員獲得に連動する販売促進費、支払手数料が減少となる見込みでおります。この二つの側面を鑑みた結果、費用については業績予想を変更する必要はないと考えております。
なお、上記の業績予想は、本有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって予想値と異なる可能性があります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 新型コロナウイルス感染症拡大の抑止に向けた当社の対策と事業継続への取り組み
当社は2020年2月から時差出勤を開始、2020年3月から出社する人数を可能な限り減らし業務内容に応じて在宅勤務を行っております。2020年4月には政府の要請に応じ出勤率を30%まで減らせるよう業務内容に応じて勤務体制を構築しています。
当社は通信事業者として今社会インフラとして欠かせないインターネット通信サービスを安定して提供し続けることが社会的な責務だと考えております。通信ネットワークの保守やコールセンター機能など重点業務を選定し、チーム交代制など感染抑止の対策と事業継続を両立するための体制を構築しております。
教育機関においては、文部科学省からの新型コロナウイルス感染症の感染抑止のための休校措置を受けて、遠隔授業を活用する大学が増加しております。そのため「 manaba 」の同時利用者の増加に備えた対策や、総務省の要請に伴う25歳以下の契約者様に対するモバイル通信料の超過分に対する課金免除の施策を行っております。
新型コロナウイルスにおける事態は刻一刻と変化し、依然として予断を許さない状況ですが、当社従業員の安全の確保を始めとした感染拡大抑止の対策を最大限実行しつつ、当社の社会的責務としてインターネット通信サービスを安定して提供し続ける役目をしっかりと果たしてまいります。
② お客様に満足いただける品質のサービス維持と通信コストの抑制
総務省が公開した2019年11月の集計結果によると契約者あたりのダウンロードトラフィックは前年同期比34.4kbps増(12.5%増)の309.5kbps、1日あたり約3.3GBとなり増加し続けている状況です。
当社はNTT東西のフレッツ網(NGN)と直接接続し、シンプルにインターネット接続が出来るネイティブ方式でのIPv6接続サービスを「ASAHIネット」会員向けに提供することにより、通信トラフィックが増加する中でも高い品質を維持し続けております。第三者機関による顧客満足度評価においては6年連続第1位の評価をいただいております。
売上に対する通信原価についても当初の計画通り売上原価率の上昇を抑えることができております。今後もお客様に対して満足いただけるサービスの提供と利益の増大を図ってまいります。
③ ISP「ASAHIネット」会員の獲得
「ASAHIネット」会員数を増加させるためには、当社を利用する新規会員の増加を図る事が課題であります。
FTTH接続サービスにおいては、新規回線敷設または他ISPから当社への乗り換えを希望する会員に対して効率的な販促施策を行ってまいります。当社への入会チャネルの強化や法人向け施策など顧客満足度の高い「ASAHIネット」の認知度を向上させることで引き続き会員数増加を目指します。特に、NTT東西の光コラボレーションモデルを活用したサービスとしてアクセス回線とISPサービスをセットにした「AsahiNet 光」や「ASAHIネット ドコモ光」、NTT東西と協力して提供している「ASAHIネット マンション全戸加入プラン」においては、より一層の品質向上が実現できるサービスとして注力をして施策を行います。
モバイル接続サービスにおいては、コンピュータなどの情報・通信機器だけではなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能をもたせるIoTやM2Mの市場規模が引き続き増加しており、当社ではこれらの需要に対して先進的なサービスを提供し、お客様の利便性をさらに高めていくことが重要だと考えております。また、在宅勤務等のテレワーク拡大など今後も需要が継続すると考えております。
当社の収益構造は会員からのインターネット接続料収入を基礎としているため会員獲得の増加が収益基盤の向上につながります。
④ 「v6 コネクト」の拡販
当社はNTT東西のフレッツ網(NGN)と直接接続しシンプルにインターネット接続が出来るネイティブ方式でのIPv6接続サービスを「v6 コネクト」として他電気通信事業者へローミング提供をしております。
2020年3月末の累計提携事業者数は7社となりました。「v6 コネクト」を利用する顧客は集合住宅向け事業者やISP事業者など電気通信事業者を想定しており、今後は新たな事業領域を開拓する取り組みを進めております。
また、電気通信事業者の通信トラフィックが継続的に増加する状況の中で健全に事業を継続するためにサービス品質とその維持のために投下する費用との均衡を保ちたいという需要や、IPv6接続サービスを活用して自社のサービスや顧客サポートを作り上げ、ビジネス領域や規模の拡大を目指したいという需要に対して「v6 コネクト」の付加価値を高めたサービス開発を行ってまいります。
⑤ 教育支援サービス「 manaba 」の拡販
大学などの教育機関でご利用いただいている「 manaba 」につきましては、今後も教育現場のニーズを取り込み、教育の質を高めるイノベーションに貢献するためのサービス開発を進めてまいります。また、遠隔授業を活用する大学が増加し「 manaba 」への同時利用者数の増加など、新しい需要に応えられるようサービスの拡充とサーバー等の設備増強などの対策を検討してまいります。このような需要に応えることで「 manaba 」の付加価値を更に高めていきます。
⑥ ブランドの構築と顧客満足度の維持、向上
2020年3月期のISP事業の平均退会率は0.74%と前年比0.09%減少となりました。今後も退会を抑止し、更に競合他社からの乗り換えを促進していくことが重要であると認識しております。そのためには質の高い会員サービスと安定した接続環境を提供していくことによって、信頼できるブランドを構築し、顧客満足度の維持・向上に努めることを重要な課題としております。
⑦ 情報セキュリティへの取り組み
当社は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001:2013を取得しております。ISMS関連規則等を遵守し、当社が保有する個人情報及び情報資産を適切に管理・運用すると共に、社内での継続的な取り組みを推進してまいります。
また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会より、個人情報の適切な取扱いを行う事業者に付与されるプライバシーマークを取得しているほか、インターネット接続サービス安全・安心マーク推進協議会が発行する「安全・安心マーク」使用許諾を得ております。今後も継続的に情報セキュリティや個人情報保護の認識を徹底させる教育を行い、適切な情報管理を行う管理体制を維持・強化していきます。

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。