訂正有価証券報告書-第41期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2017/07/31 16:25
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111項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、中国景気の減速、原油等資源価格の大幅下落、地政学リスクの高まりなど、国際経済のリスク要因を抱え、今後の景気見通しには慎重さがみられるものの、政府・日銀の経済対策・金融政策や原油安を背景として企業業績は概ね順調に推移しており、緩やかな回復基調にあります。一方、個人消費の面では、消費税増税の影響一巡による消費マインドの改善は見られますが、実質賃金の伸び悩みや輸入物価の上昇などにより、力強さに欠ける状況が続いております。
当業界においては、「教育の再生」が我が国の最重要課題の一つとして位置づけられ、国民の関心も高まるなか、大学入試制度の抜本的な改革や、グローバル化に対応した英語教育の見直し、ICTを活用した教育手法の開発などが本格的に議論されております。必要とされる教育内容や質の変化に伴い、民間教育が担うべき役割や責務は、公教育との連携を含め、ますます大きなものになっております。また一方で、各企業は少子化による市場縮小に加え、生徒、父母が求める教育サービス水準の更なる高まりと厳しい選別にも直面しており、企業間競争は激しさを増しております。
このような環境の下、当社グループは、人財育成企業として、「独立自尊の社会・世界に貢献する人財の育成」という教育理念をグループ全体が共有し、その実現に取り組んでおります。
グループ各社が、「心・知・体」の教育を総合的に行える体制の構築を目指し、高校生部門(東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等)、小・中学生部門(四谷大塚等)、スイミングスクール部門(イトマンスイミングスクール)を中心に、提供するコンテンツの充実や教育指導方法の深化、受講環境整備などを進めてまいりました。また、小学生から高校生までを対象とした「全国統一テスト」の拡充や「米国大学留学支援制度」など、当社の教育理念をさらに具体的な形とする取組みにも注力いたしました。さらに、昨年8月、多くの高等学校の先生方にご参加いただき全国12か所で開催した「大学入試改革先取り対応セミナー」など、教育を取り巻く環境変化への対応を積極的に進めております。
こうしたなか、当連結会計年度の営業収益は、高校生部門を中心に堅調に推移し、対前年同期で4,168百万円(内早稲田塾分2,488百万円)増加し、45,742百万円(前年同期比10.0%増)となり、当社グループの過去最高値を更新いたしました。これは、今春も東京大学をはじめ、早稲田、慶応など難関大学への現役合格者数の伸長など、高い合格実績を背景に生徒募集活動が順調に推移し、高校生部門を中心として生徒数の増勢が続いていることによるものであります。
費用面では、校舎現場の指導力強化や基礎学力養成のためのコンテンツ・システムの開発など、学力向上に焦点を絞った施策を進めました。また、イトマンスイミングスクール、四谷大塚の新規校舎展開や既存校舎設備の整備、受験料無料で実施している「全国統一テスト」の拡充など、将来に向けた取り組みも意欲的に進めました。他方、各部門において引き続き業務改善、効率化にも取り組み、費用全体では対前年同期2,431百万円の増加(内早稲田塾分2,247百万円)となる39,228百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
この結果、営業利益6,514百万円(前年同期比36.3%増)、経常利益5,929百万円(前年同期比33.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,442百万円(前年同期比60.8%増)となり、各利益項目においても当社グループの過去最高値を更新することができました。
セグメント別の状況
当連結会計年度におけるセグメントごとの業績は次のとおりであります。なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益に調整額を加えたものであります。
(高校生部門)
当部門は、東進ハイスクール、東進衛星予備校、早稲田塾等で、主に高校生を対象とした教育事業を行っており、質の高い授業と革新的な学習システムを提供する我が国最大級の予備校として、当社グループの主要事業となっております。
当連結会計年度末の校舎数は、直営校として東進ハイスクール94校、早稲田塾23校、また東進衛星予備校のフランチャイズを構成する加盟校は、当連結会計年度末時点で984校となっております。
当連結会計年度のセグメント売上高は29,103百万円(前年同期比15.7%増)、セグメント利益は7,764百万円(前年同期比18.3%増)となりました。
(小・中学生部門)
当部門は、四谷大塚、東進四国、東進育英舎等で、主に小学生、中学生を対象とした教育事業を行っております。中学受験指導のパイオニアとして全国最大の中学受験模試「合不合判定テスト」を主催する四谷大塚、各地域に根差して展開する東進育英舎、東進四国(東進スクール)など、それぞれ特色を有し、事業を進めております。当連結会計年度末時点の校舎数は、首都圏に四谷大塚25校(当連結会計年度に勝どき校舎、新浦安校舎を開設。他にYTnet・四谷大塚NET加盟教室数874教室)、愛媛県で株式会社東進四国が運営する東進スクール15校、茨城県で株式会社東進育英舎が運営する東進育英舎4校、東進こべつ3校となっております。
当連結会計年度のセグメント売上高は7,533百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は360百万円(前年同期比169.5%増)となりました。
(スイミングスクール部門)
当部門は、スイミングスクールの草分けであり、乳幼児から小中学生、成人に至る幅広い年齢層に支持されるイトマンスイミングスクールとして、国内最大級のスイミング事業を展開し、主に水泳教室、フィットネスクラブの運営を行っております。世界に通じる選手育成にも力を入れており、これまで30名以上のオリンピック選手を輩出し、スイミング界の名門として、高い評価をいただいております。当連結会計年度末時点の校舎数は32校(他に提携校19校)となっております。また、日本初のオリンピック公認仕様の水泳競技用施設「AQIT」を2016年5月に開校いたしました。
当連結会計年度のセグメント売上高は7,024百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は1,063百万円(前年同期比20.8%増)となりました。
(ビジネススクール部門)
当部門は、東進ビジネススクール等で、主に大学生、社会人を対象とした教育事業を行っております。大学入学前の未履修科目補習、入学後の教養・基礎分野教材提供など、大学生の基礎学力向上に貢献する大学事業部、企業向けに映像・インターネットを駆使した各種語学研修プログラムを提供する企業営業部、大学生を対象とした東進ビジネススクールを運営する学生部でそれぞれ事業を展開しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は1,370百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は376百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
(その他部門)
その他部門には、出版事業部門、こども英語塾部門、国際事業部門を含んでおります。
出版事業部門では、“東進ブックス”として数多くの学習参考書・語学書を出版、高校生向けの「名人の授業」「レベル別問題集」「高速マスター」等のシリーズものが堅調です。また、特色ある「大学受験案内」の発行などを通し、東進のブランド力を高め、東進ハイスクール、東進衛星予備校等とのシナジー効果をあげております。
こども英語塾部門は、セサミ・ストリートを教材とした「セサミ・ストリート・イングリッシュ」を使用して「自ら進んで楽しみながら学習する」新しい英語学習を提案しております。
国際事業部門では、こども向け英語教育の需要が高まりつつあるアジア主要国で、「セサミ・ストリート・イングリッシュ」のライセンス販売を行っており、すでに、台湾、中国、マレーシアで教室を展開しております。
当連結会計年度のセグメント売上高は1,874百万円(前年同期比12.0%増)、セグメント利益は171百万円(前年同期は13百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより20,255百万円となり、前連結会計年度に比べて1,178百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは8,023百万円の資金増加(前年同期比77.1%増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が5,755百万円となったこと、減価償却費2,179百万円の加算、前受金の増加1,172百万円および法人税等の支払1,868百万円によるものです。
また、前連結会計年度比では、3,492百万円の資金増加となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加1,749百万円、前受金の増加1,134百万円、売上債権の減少605百万円、法人税等の支払額減少123百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは4,672百万円の資金減少(前年同期比24.8%減)となりました。これは、有形固定資産の取得3,500百万円(イトマン事業用施設他)、無形固定資産の取得332百万円(ソフトウエア他)及び、投資有価証券の取得605百万円などの要因によるものです。
また、前連結会計年度比では、1,541百万円の資金増加となりました。これは、前年度に株式会社早稲田塾株式の取得に伴う支出2,089百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,002百万円の資金減少(前年同期は4,176百万円の資金増加)となりました。これは長期借入による収入1,900百万円、社債の発行による収入800百万円に対し、長期借入金の返済による支出2,037百万円及び社債の償還による支出1,561百万円のほか、配当金の支払947百万円などの資金減少があったことによるものです。
また、前連結会計年度比では、6,179百万円の資金減少となりました。この主な要因は、長期借入金、社債発行による収入の減少8,100百万円に対し、借入金返済額、社債償還額の減少1,913百万円による支出減などがあったことによるものです。