訂正内部統制報告書-第51期(2020/01/01-2020/12/31)

【提出】
2023/07/28 17:01
【資料】
PDFをみる

脚注、表紙

(注) 上記の東関東メンテナンスステーション、北関東メンテナンスステーション及び横浜メンテナンスステーションは、金融商品取引法に規定する縦覧場所ではありませんが、投資家の便宜を考慮して、縦覧に供する場所としております。

財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項


代表取締役社長望月圭一郎は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用している。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものである。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項


財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2020年12月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠した。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定している。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行った。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、会社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定した。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、会社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定した。なお、連結子会社26社及び持分法適用関連会社1社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めていない。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している1事業拠点を「重要な事業拠点」とした。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象とした。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加している。

評価結果に関する事項


下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当するため、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した。

当社は、当社が施工工事等を委託する協力会社から入手した工事原価に係る見積書(電子ファイル)を当社の一部従業員が変造していた疑義が判明したため、2023年5月12日に外部有識者を委員に含めた特別調査委員会を設置し、調査を開始いたしました。また、調査の過程において、当初疑義に加えて当社の一部従業員による協力会社に対する工事代金の額及び請求時期等に係る不適切な要請が行われていた疑義が新たに判明したため、特別調査委員会の構成を当社から独立した中立・公正な外部専門家のみを委員とする構成に変更したうえで調査を進めて参りました。さらに、当社の連結子会社である大阪エアコン株式会社(以下「大阪エアコン」という。)において架空又は水増しした請求書を発行させ、それを基に、工事進行基準案件の工事収益及び工事原価の過大計上が行われた疑義が追加的に判明したため、調査体制を拡充し、これら追加的に判明した疑義も含めて調査を進めて参りました。
当社は、特別調査委員会から2023年6月14日に調査報告書(中間報告)を、同年7月25日に調査報告書(最終報告)を受領し、当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法。以下「工事進行基準」という。)案件等について、①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン))、という不適切な会計処理が行われていたことの報告を受けました。
当社は、これら不適切な会計処理による当社の過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理することとしております。
当社は、上記工事進行基準案件に関する不適切な会計処理が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識していますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社側から各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点(全社的な内部統制:統制環境)を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点(購買業務プロセス(実在性・網羅性))、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点(全社的な内部統制:リスクの評価と対応)をその原因として認識しております。
また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ(全社的な内部統制:統制環境)をその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと(全社的な内部統制:統制環境(子会社管理面))を認識しております。
これらの全社的な内部統制及び購買業務プロセスにおける不備は財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。
なお、上記事実は当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の改善策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。
1. 今回の事案を受けたトップメッセージの発信
当社代表取締役社長望月圭一郎は、今回の不適切会計処理に関する問題が発生したことを真摯に反省し、その背景や原因及び責任の所在を明らかにし、再発防止に向けた決意とともに今後の当社グループのあるべき姿・指針について全従業員向けにメッセージを発信し、その周知徹底を行い、適切な財務報告も含め上場企業としての使命を果たします。
2. 従業員の意識レベルの引き上げ
コンプライアンス・リスク管理委員会は、適切な財務報告の重要性を徹底し、コンプライアンス意識の向上を図るため、従業員に対し実効的な社内研修を継続的に企画・実施いたします。早急に今回の事案の振り返りを含むコンプライアンスに関する研修、財務報告や工事進行基準、関連業法等に関する研修を実施し、また、今後も財務報告観点を含めたコンプライアンス研修を継続的に実施し、全従業員の意識向上と啓蒙に努めます。
また、コンプライアンス・リスク管理委員会は、定期的に全従業員にコンプライアンス・アンケートも実施し、コンプライアンス意識の定着と問題の早期発見に努めます。
3. 不適切な会計処理や会計不正に関するリスク識別と対応
当社内部監査室が主体となり、今回の原価付替えや工事原価の過少計上(簿外債務)、工事収益の過大計上に加え、当社グループの事業や業態における不適切な会計処理や会計不正に関するリスクについて分析・検討を行います。また、リスクや影響が大きい部分については、取締役会に報告の上、十分な対応を行う体制の構築を行います。なお、十分な対応を行う体制の構築に当たり、必要と判断した場合は、外部専門家の協力を得ることとします。
4. 工事原価に関する業務プロセスの再整理(発注・支払いプロセスの適正化の観点から)
今回の工事原価付替えや工事原価の過少計上(簿外債務)の背景となった、回収しきれない想定外の原価の発生や、検収承認時の利益率検証に起因する支払遅延の発生を未然に防止するため、発注プロセス及び支払プロセスの再整理を行います。一例として、発注内容の一部が未確定で着工前に発注金額が確定しない工事については、条件付きの仮注文書の発行と請書の受領を行うことで、発注内容の変更による原価の変動を抑制することや、協力会社への支払いにおいても検収承認時における利益率検討と、実際の支払プロセスの混同を改め、協力会社に対しては遅滞なく支払いを行う業務プロセスの確立を図ります。
5. 工事原価の計上及び工事進行基準の適用に関する社内ルールの再整理
当社管理本部が主体となり、工事原価の計上プロセスや必要となる証憑書類、特にそれらが暫定的なものとなる場合(仮注文書等)等の取り扱いについても社内ルールとして明文化いたします。また、工事進行基準に関しても、着工時に協力会社からの見積書が適時に受領できない場合や、請求書受領が間に合わない状態で原価を計上するような場合等の取り扱いも含め、実務上の様々なケースに対応した社内ルールを制定いたします。
これら一連の対応については、必要に応じて外部専門家の協力も仰ぎ、実態に即した実効性あるルールの整備を早期に進めます。
これらの社内ルールについては、社内研修等で定期的に指導を行うとともに、当社管理本部に窓口担当者を設置し、工事担当者が社内ルールの運用に際して直面する疑問や問題を相談し、適切な助言を受けることができる体制を構築いたします。
6. 第1.5線の構築(工事部門内外からの牽制機能の強化)
工事原価に関する現業部門における統制を強化するため、各工事担当者に対し、工事原価に関する各種証憑の回収(暫定的なものについての取扱いも別途規定)を徹底したうえで、今後、第1.5線による統制として、工事管理部とは別の客観的な観点から当社積算部が着工(予算)承認時及び検収承認時に予算額の合理性、実績額の妥当性(特に予算と大きく相違する部分)についてチェックを行う体制を構築いたします。
また、上記に加えて、工事担当者と協力会社とのやり取りについては、課単位の共通メールアドレスを導入し、個人でのやり取りからチームとしてのやり取りへと変更するとともに、取引に関する各種証憑についても改めて収集・保管のルールを設定の上、工事担当者とは別の工事アシスタントその確認を行うことで、担当者個人レベルの不適切な行為の牽制を図ります。
7. 第3線(内部監査)の強化(リスクフォーカスと質的・量的な体制拡充)
第3線としての当社内部監査室に専門人員を拡充し、上記3.の分析によりリスク識別された領域への監査を特に強化します。内部監査室は、各現業部門に配置した工事アシスタントとも連携しながら、第1線へのモニタリングを強化して参ります。
また、これら一連の対応については、外部専門家の協力も仰ぎ、内部監査の実施に際しても必要に応じて外部リソースも活用することで、質・量ともに内部監査体制の増強を行い、実効性ある内部監査体制の整備を早期に進めます。
8. 第2線(管理本部)の強化(第1線のサポートとモニタリング)
第1.5線における事前統制と第3線における事後統制の強化に加え、第1線における適切な業務遂行と各種規程・法令の遵守をサポートするための第2線の機能と体制の強化を行います。特に法務面については、法務専門家の採用もしくは外部弁護士を活用することで、コンプライアンスに関する支援体制の増強を図るとともに、管理本部が中心となってコンプライアンス研修や各種社内規程やルールについての研修・勉強会を実施することで第1線での適切な業務遂行をサポートし、また、経理財務面については、特に子会社のモニタリング観点から月次・四半期等で子会社から吸い上げる情報について、外部専門家の協力とリソースも活用しながら深度ある精査や分析を行う体制の構築を進めます。
また、第2線で検出されたリスクや不正・不適切処理の兆候については、速やかに当社内部監査室や監査等委員会、当社経営陣に連携し、対応いたします。
9. 工事本部に関するガバナンス体制の見直し
当社工事本部に関して、当社代表取締役社長望月圭一郎が工事本部長を長く兼務しておりましたが、今回、工事本部長を辞任し、新たに専任の工事本部長を任命致します。同時に、役割が不明瞭なものとなっていた工事本部長代行の役職は廃止するとともに、社長から工事本部長への権限移譲、工事本部長から部門長への権限移譲を進め、工事部門長が工事部門の中間管理職の育成も含め、より現場に近いところから工事管理に関する内部統制上の要として機能する体制の構築を進めます。
また、加えて、当社代表取締役社長望月圭一郎の営業本部長との兼務についても見直しを予定しており、今後、営業部門における執行役員層を増強の上、順次権限移譲と体制の見直しを進めてまいります。
10. 子会社管理体制の強化
当社グループにおいて特に設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社への管理を強化するため、当社側に子会社管掌役員(工事子会社担当役員)を新たに配置し、子会社における各種業務プロセスの内部統制の状況の網羅的な再検証と、子会社からの情報収集体制の見直し及びモニタリングの仕組みの再構築を改めて実施いたします。特に工事原価や工事進行基準に関する業務フローや社内ルールについては当社側でも今回の事案を踏まえ全面的な見直しを行いますが、各子会社においても当社と同水準の統制レベルの構築を目指します。
これら一連の対応については、工事子会社担当役員主導で進めますが、当社内部監査室との連携、また、外部専門家の協力も仰ぎ外部リソースも活用することで、当社の子会社管理体制の強化を早期に進めます。
また、コンプライアンス・リスク管理委員会は、各子会社に対しても前述のコンプライアンス研修と同等の研修を実施するとともに、子会社の従業員についても定期的にコンプライアンス・アンケートを実施し、子会社の実情把握と問題の早期発見に努めます。
11. 協力会社に対して取引の適正化に向けた当社の取り組み方針の発信
外注工事等の委託先となる協力会社に対して、当社における誠実・公正かつ適切な取引に向けたコンプライアンス重視の姿勢を改めて書面で伝達(当社WEBでも開示)するとともに、仮に当社側から不適切な行為の要請等を受けたような場合は、これに応じず通報窓口(当社従業員向けと同じもので、外部弁護士も窓口となるもの)に通報する旨の誓約書の提出を求め、健全な取引の徹底を図ります。
既存の取引先については誓約書の回収を行うこととし、今後に取引開始する新規の取引先については取引開始の際に誓約書の回収を行います。また、定期的に継続取引先に対して当社の取り組み方針の発信を行ってまいります。
12. 協力会社に対する定期的な取引確認の実施
当社管理本部が、協力会社(取引内容や取引回数、取引額等を勘案して抽出致します。)に対して定期的に取引確認書の発送・回収を行い、取引残高の確認を行うとともに、原価の付替えや架空請求書の要請等の不適切な行為の要請等がなかったかについて定期的に確認を実施したします。
また、確認結果については、当社内部監査室にも共有の上、取引の状況や取引確認の結果、必要と認めた協力会社については、当社内部監査室を中心に適宜ヒアリングや面談等を行い、取引実態の把握や問題の早期発見に努めます。
以 上