有価証券報告書-第55期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 15:02
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、先端テクノロジーを活用したIoT、AI、DXプロダクト・プラットフォームを通じて情報化社会の基盤構築を行い、経済の発展と活力ある豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針とし、高コスト効率・高品質・高付加価値のトータルソリューションを提案しております。当社グループは今後も、継続的な成長を達成するため、先端技術と高度人材への先行投資を継続するとともに、更なる高収益体質化へ向けた効率的な経営を目指します。
(2)経営戦略等
当社グループは2024年5月13日に、2024年4月から2027年3月の3か年を対象とした中期経営計画を策定、「“人”で稼ぐから“アセット”で稼ぐ企業への構造変換」を基本方針に据え、日本の製造業DXを次のステージへ進めるデータハンドラー・アセンブラーへと成長遷移していくプランとして実行してまいりました。当社グループがSI領域で半世紀以上培ってきた豊富なソフトウェアエンジニア育成ノウハウを活かし、独自のマルチプラットフォームでのデータハンドリング・データOpsエンジンにより市場を創造するべく、第一フェーズとして、当社グループが創業以来常に志してきた未知への挑戦で社会に還元することを取り組んでまいります。
その重点戦略として、当社グループの強みである「人材育成力」「SW/HWを繋ぐコア技術」「ERP/CPM/IoTでの幅広い経験」をプロダクトアセット主導収益体制に改革していくこと、これは一部SIでの売上を開発コストに転換する必要がありますが、その成果として市場に前倒しでローンチ出来たDerevaプラットフォームをコアサービスと位置づけ、既存SI・IoT事業それぞれにおいて売上利益ともに痛みを伴う構造転換の土台構築、戦略領域の明確化と人的投資、プロダクトアセットの拡充を更に行ってまいります。具体的には3つの柱として、
1.選択と集中による収益力強化 ~高付加価値領域への人員配置~
エンタープライズソリューション領域において、特に大口案件での優先的な人員確保による人材の固着化・長期化が個別のキャリアパスに与える影響や、スキルマッチのバラツキによる低収益性低成長案件からの脱却を目指し、売上成長を一部抑制してでも人材ローテーションと付加価値創出の「溜め」を作っていく必要があります。
2.ノウハウのアセットへの昇華 ~人数で稼ぐから、プロダクトで稼ぐへの構造転換~
IoT/DX領域において、事業立ち上げ当初より緻密で細部にまで行き届いた提案を行う事によってノウハウの獲得・業界内でのポジションを確立してまいりましたが、社内リソースを重点的にプロダクト開発に投入しマルチクラウドでのデータハンドリング・データOpsエンジンとして「広く営業展開が可能になる」属人性のノウハウ化を引き続き行い、今回市場にお目見えさせたDerevaを将来的に様々な社外エコシステムパートナーに加え、当社グループの各事業も周辺エコシステムに方向性を合わせたものへ構築してまいります。
3.将来成長に向けた戦略的投資 ~事業創出に向けた技術獲得~
当社グループでの不採算事業ユニットを整理し事業領域の拡大を戦略的に行っていくフェーズとして、改めて地域性の高いサービスや企業、コアテクノロジーや人材を抱える企業を対象とした積極的なM&A施策を行い、連結化でのグループ拡大を図り、両セグメントに於いて必要な「人材」と「技術」双方を様々な手法にて獲得してまいります。
を設定、これらを基にセグメントごとの具体的な現状及び戦略については以下となります。
(エンタープライズソリューション事業)
当事業における事業環境は、「AIエージェント元年」とも称される急速な技術革新の進展により、開発スタイルや顧客ニーズが大きく変化する局面にあります。特に生成AIや自律型エージェントの普及により、従来の人手中心の開発からAIを活用した高生産性・高付加価値型の開発への転換が求められております。このような環境下において、当社グループは既存顧客との関係深化を通じた顧客満足度の向上およびグループ内連携の強化を進めた結果、売上高は中期計画を上回る成長を達成しました。
一方で、慢性的なIT人材不足を背景とした人件費の高騰は継続しており、利益面においては圧迫要因となっております。特に高度AI人材の確保競争は激化しており、採用コストや育成投資の増加が収益構造に影響を与えております。
このような状況に対し、当事業は戦略の中核として「AI駆動型開発」へのシフトを掲げております。まず、特定顧客との協業により実践的なAI開発プロジェクトを開始し、業務への適用を通じてノウハウの蓄積と競争優位性の確立を図り。同時に、人材育成の高度化と既存人材のスキル転換を進め、AIを活用し現場で価値を創出できる「現場力」のある人材の育成を推進しております。また、開発基盤のプラットフォーム化にも取り組み、AIツールや共通資産を活用した効率的な開発体制の構築を進めております。さらに、事業ポートフォリオの最適化も重要な取り組みと捉え。成長余地の大きい製造業向けDX分野へリソースを重点配分し、顧客の業務改革・データ活用を支援することで中長期的な収益基盤の強化を図っております。加えて、BI(ビジネスインテリジェンス)事業については高付加価値サービスの提供により収益性の向上を目指し、CS(カスタマーサポート)事業においてもAI活用を進めることで効率化とサービス品質の高度化を両立させて、急速な技術革新とコスト環境の変化に対応しつつ、AIを軸とした開発力の強化と事業構造の転換を進めることで、持続的成長と収益性向上の両立を目指しております。
(IoTインテグレーション事業)
当事業における事業環境は、製造業向けDX事業は、既存顧客および新規顧客の双方において受注が順調に拡大し、成長の中核領域として着実に存在感を高めております。その背景には、自社IPである「Dereva」プラットフォームおよびエッジプロダクト群の競争力があります。これらは導入の容易さと高い拡張性を兼ね備え、現場レベルで迅速に活用できる点が評価され、顧客の設備運用やデータ活用の高度化に貢献しております。結果として、単発案件に留まらず、継続的な利用や追加導入につながる好循環が形成されております。
一方で、エンタープライズ事業からリソースをシフトさせたビジネスソリューション事業においては、需要の拡大に対し開発供給体制が十分に整備されておらず、需給バランスが一時的に崩れました。この影響により外注依存が高まり、コスト増加が利益を押し下げる結果となりました。こうした課題に対して、運営体制の立て直しを重要戦略と位置付けております。具体的には、主軸プロダクト「Kinterp」の開発効率向上を目的とした「Rebornプロジェクト」を推進しております。本プロジェクトでは、開発プロセスの標準化や内製化の強化に加え、AI活用による開発生産性の向上を図り、外注依存の低減と収益構造の改善を目指しております。また、技術資産の共通化により、開発スピードと品質の両立を実現し、競争力の底上げを図る方針であります。
さらに、メディカル事業および映像事業については、前期に集中した大口案件の反動により当期は減収となったものの、事業基盤自体は堅調であり、中長期的な需要の回復を見据えた維持強化を継続しております。一方、エンベデッド事業は安定的な収益源として機能しており、車載セキュリティシステムのロイヤリティ収入や船舶搭載用ソリューションが継続的に業績へ貢献しております。
このように同事業は、成長分野である製造業DXを軸に収益拡大を図りつつ、ビジネスソリューション事業の収益性改善と開発体制の高度化を進めることで、事業全体のバランス強化と持続的成長の実現を目指しており、創業以来強みにしてきたハードウェアのコア技術を基に、IoTインテグレーション事業を通してさらに積み上げてきたコンサル・SIノウハウをプロダクトアセットに昇華させ、ソリューションスイート化することで提案者・販売リソースの高度スキルに依存しない基盤構築を目指してまいります。そのために、現場から経営までが利活用できるデータハンドリングノウハウをプロダクト化し、世界トップクラスの産業・工場向けハードウェア製造しているAdvantech社のサービスの活用や、独自に開発したマルチクラウド/マルチプラットフォームであるDerevaを中核とした顧客視点で実現できるデータハンドラー・データOpsとしての複合的機能拡充展開を図り、プロダクトアセット開発のコアエンジンとしての事業中核化を行ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社の目標とする経営指標については、2024年5月13日で定めた中期経営計画では、2024年4月から2027年3月までに目指す経営指標は以下のとおりであります。
2025年3月期2026年3月期2027年3月期
売上高3,863百万円3,950百万円4,210百万円
営業利益150百万円200百万円295百万円
経常利益200百万円250百万円345百万円
当期純損益317百万円232百万円315百万円

(4)経営環境
情報サービス産業界の経営環境は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展を背景に大きく変化しております。企業や行政における業務効率化、データ活用、クラウド移行の需要は引き続き拡大しており、ITサービスへの投資意欲は総じて堅調であり、特に生成AIやIoT、ビッグデータ解析など先端技術の活用は新たな付加価値創出の源泉となり、従来の労働集約型のシステム開発からコンサルティングやサービス提供型ビジネスへの転換が求められております。
一方で課題も多く、最大の制約要因はIT人材の不足であり、高度人材の獲得競争は激化しており、これに伴う人件費の上昇や育成コストの増大は収益性を圧迫する要因となっております。また、顧客企業からの価格抑制要求や、海外企業・新興企業との競争激化により、従来の労働集約型モデルでは持続的な成長が難しくなってきております。
さらに、サイバーセキュリティリスクの増大や個人情報保護規制の強化への対応も不可欠であり、サービス提供における信頼性確保が経営上の重要課題となっております。加えて、クラウド化の進展に伴うビジネスモデルの変革や、サブスクリプション型収益への移行への対応も求められてきております。
このような環境下で企業は、付加価値の高いサービスの開発、生産性向上のための自動化、パートナー連携の強化などを通じて競争力を確保する必要があり、同時に、人的資本経営の推進やガバナンス強化、持続可能性への対応も重要となっており、経営の高度化が一層求められております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、冒頭の通り情報化社会の基盤構築を通じて、サステナブルな経済の発展と活力ある豊かな社会の実現に貢献することを経営の基本方針とし、高品質・高付加価値のトータルソリューションを提案しております。今後も当社グループは、サステナブルな成長を達成するため、社名の由来であるResearch And Development(研究開発のRAD)・先端技術への投資を継続するとともに、より高収益な体質を目指す効率的な経営を目指します。具体的には中期経営計画部分に記載の通りですが、この目標に沿って優先的に対処すべき財務上の課題としては、数年来進めてきた事業構造・財務内容改革に於いて得られた手元資金を、現状においては比較的安定した状態であると考えております自己資本比率を適正なレベルで維持しつつ、当社グループの将来的発展に於いて最も重要な要素である人的要素とユニークな技術リソースの確保・高度化を図るベースとして適切に投資・活用しグループ経営の基盤を構築することが重要であると考えております。
また対処すべき具体的な経営課題は、以下のとおりと考えております。
①課題:従来の労働集約型システム開発モデルの構造的限界
エンジニアを中心とした人件費の高騰、外注費の上昇、IT人材の採用競争激化は、当社グループの収益構造に継続的な圧力を与えております。従来の常駐派遣・個別受託開発を中心とした労働集約型モデルは、どうしても売上・利益が人員規模に連動しやすく、コスト上昇を価格転嫁のみで吸収することには限界があります。さらに生成AIの進展により、単純なコーディングや標準的な開発作業の価値は相対的に低下し、従前と同じ開発手法・収益モデルのままでは、中長期的な競争力と収益性の維持が難しくなるものと認識しております。
対応施策:蓄積したノウハウのプロダクト化とアセット型収益への転換
当社グループは、エンタープライズSIを単なる受託開発領域ではなく、顧客業務知識・現場対応力を磨きあげることで蓄積したスキルやノウハウを、当社にしか作り得ないレベルのDXプロダクト群へ転換するための極めて重要な基盤と位置付けております。その過程においてAIなど様々な先端技術の活用にチャレンジすることが既存SIとしての収益限界の突破に繋がると考えており、労働集約型からアセット型収益への転換を一層加速してまいります。このアプローチは当社グループにとって既存事業を守るための生存戦略であると同時に、現場力を高付加価値サービスへ転換する成長戦略であります。
②課題:生成AIによる脅威と、現場力を有する企業への機会集中
生成AIの急速な進化は、ソフトウェア開発のあり方、顧客のシステム投資判断、ITサービスの提供価値を大きく変化させつつあります。AIを使いこなせない企業は、開発生産性、提案スピード、品質、価格競争力の各面で劣後する可能性がある一方、AIを単なるツールとして導入するだけでは、顧客の業務変革を実装する真の競争力にはつながりません。今後は、AI技術そのものに加え、顧客業務を深く理解し、現場の制約や運用まで踏まえて実装できる企業が競争優位を確立するものと考えております。
対応施策:現場力×AIによる差別化と横展開
当社グループは、長年にわたり顧客システムを支え、同一顧客において5年、10年、あるいはそれ以上にわたり蓄積してきた業務知識を有しております。また、製造業DX、工場IoT、組込み、カメラ・映像領域など、AIだけでは置き換え困難なハードウェア技術と現場対応力を有しております。これらを生成AI・AIエージェントと掛け合わせることで、顧客の開発効率化、業務改善、予測・分析、自動化に資する当社グループならではのサービスを展開してまいります。AIの進化は当社グループにとって脅威であると同時に、現場力を有する企業が一段と評価される大きな機会であり、この機会を成長に直結させてまいります。
③課題:事業部別最適から全社コア技術化への転換
当社グループは、各事業部が特定市場に深く入り込み、それぞれの現場で競争力を磨いてきたことにより、現在の事業基盤を築いてまいりました。一方で、事業部ごとの独立性が強いことにより、全社としての技術・知見の共有、顧客への横断的な提案、プロダクト・プラットフォームの共通化にはなお改善余地があります。AI時代においては、個別最適の開発・提案にとどまらず、全社の技術資産を統合し、再利用可能な形で顧客価値へ転換することが重要であります。
対応施策:Derevaを中核とするプロダクト・プラットフォーム戦略
当社グループは、Derevaを中核とするプロダクト・技術連携を推進し、製造業向けIoT、ERP・業務システム、映像分析、防災、画像AI、設備保全管理等の既存技術・サービスを、いわば社内エコシステム的に横断的に統合してまいります。事業部ごとに蓄積されたノウハウを全社共通の技術コアに昇華し、顧客ごとの個別開発にとどまらない、再利用性・拡張性の高いソリューションとして展開することで、収益性の向上と競争力の強化を図ります。
④課題:企業規模の限界と市場到達力の拡大
当社グループは、創業以来約55年にわたり、多様な顧客ニーズに応える中で技術力と信頼を積み重ねてまいりました。しかしながら、単独の企業規模で対応できる営業範囲、顧客接点、技術ポートフォリオには限界があります。特にAI、DX、製造業向けソリューションの市場変化が加速する中、自前主義のみに依存していては、成長機会を十分に取り込めない可能性があります。
対応施策:M&A・アライアンスによる現場力と技術ポートフォリオの拡張
当社グループは、子会社であるOne's House社との連携を起点として、東海・名古屋地域を含む重要エリアでの開発力、顧客接点、現場対応力を強化してまいります。加えて、M&Aや戦略的アライアンスを通じて、当社グループに不足する機能、顧客基盤、継続収益基盤、現場力を有するパートナーを取り込み、グループ・エコシステムとしての成長を加速してまいります。単なる規模拡大ではなく、AI駆動開発、プロダクト化、製造業DXとのシナジーを生む成長投資としてM&Aを位置付けております。
⑤課題:事業変革を担う人材育成・組織基盤の再構築
AI駆動開発、プロダクト型事業、M&Aを含むグループ経営を推進するためには、従来以上に自律的に判断し、顧客価値を起点に行動できるリーダー人材が必要となります。一方で、これまでの人材育成や評価には、個々人の裁量や属人的判断に依存する部分があり、組織として再現性のある育成・登用・評価の仕組みにはなお改善余地があります。事業構造の転換を一過性の取り組みに終わらせず、継続的な成長につなげるためには、人材育成・組織基盤の再構築が不可欠であります。
対応施策:人事制度再構築とリスキリングの推進
当社グループは、透明性と納得感のある人事制度への再構築を進めるとともに、AI駆動開発、プロダクト開発、プロジェクトマネジメント、営業・提案力を担う人材の育成を強化してまいります。現場で培った知見を組織的知識として共有し、次世代のリーダーを継続的に輩出する仕組みを整備することで、変化に強く、顧客価値を起点に自ら進化できる企業体質を構築してまいります。
以上の取り組みにより、当社グループは、従来型SIの制約を乗り越え、現場力を起点としたAI駆動開発とプロダクト・プラットフォーム型事業への転換を進めてまいります。短期的には先行投資による負担が生じるものの、これは次の成長段階に向けた不可欠な投資であり、収益性、成長性および資本効率の向上を実現するための基盤づくりであると考えております。
今後も当社グループは、財務安全性を維持しつつ、先端技術への先行投資、人材・組織基盤の再構築、資本効率を意識した成長投資を継続し、収益性と成長性を両立する高付加価値企業体への進化を目指してまいります。
(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業拡大による収益力強化及び安定的財務基盤の維持の観点から「売上高」及び「経常利益」を重要な経営指標として位置づけております。また、積極的な人材育成への投資や適切な研究開発投資を進める一方、収益力及び資本効率の向上を図るため、ROE(自己資本利益率)も重視しております。

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