四半期報告書-第21期第3四半期(平成28年1月1日-平成28年3月31日)

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2016/05/16 10:32
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善を背景に個人消費も底堅い動きが見られる一方、中国経済の減速や市場の動揺により不透明感が強まり、不安定な状況で推移致しました。一方で、インターネットビジネスを取り巻く環境につきましては、平成26年末時点での国内のインターネット利用者数は1億18万人、人口普及率は82.8%と前年比ほぼ横ばいとなっておりますが、端末別の利用者の割合をみるとスマートフォンは47.1%(前年比4.7ポイント増)と継続的に拡大基調にあります(注1)。また、平成27年のインターネット広告費は前年比21.9%増と高い成長率で拡大している運用型広告が市場を牽引し、前年比10.2%増の1兆1,594億円となり(注2)、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は前年比14.6%増の12兆7,970億円と順調に拡大を続けております(注3)。
このような事業環境の下、当社は「IT/MT/FT×Open Innovation ~ Creating New Contexts For A Better Society ~」をスローガンに掲げ、既存事業の成長を継続させることはもちろんのこと、これらの収益基盤となるビジネスプラットフォームと最先端のテクノロジーを活用して、グローバルにインキュベーションを加速させ、当社グループの次の収益の柱となる事業の育成を進めております。
また、当社株式は平成28年5月9日をもって、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から同取引所市場第一部へ市場変更されました。今後も、広く社会に貢献する事業を拡大し、企業価値の向上に努めて参ります。
なお、当社グループは、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更致しましたので、前年同期比較に当たっては、前第3四半期連結累計期間分を変更後の区分に組み替えております。また、セグメント利益につきましても、営業利益から税金等調整前四半期純利益へと変更しております。これらの変更の内容につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、マーケティングテクノロジー事業、フィナンシャルテクノロジー事業及びインキュベーションテクノロジー事業において売上高及び営業利益が対前年同期と比べて増加した結果、売上高は31,474百万円(対前年同期比5,210百万円増、同19.8%増)、営業利益は3,104百万円(対前年同期比905百万円増、同41.2%増)となりました。また、持分法による投資利益1,687百万円を計上した結果、経常利益は4,582百万円(対前年同期比190百万円増、同4.3%増)となりました。一方で、前年同期に関係会社株式の一部売却に伴い計上した特別利益がなくなったこと等により、税金等調整前四半期純利益は4,735百万円(対前年同期比1,930百万円減、同29.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,307百万円(対前年同期比769百万円減、同18.9%減)となりました。
出所 (注1)総務省「平成26年通信利用動向調査の結果」
(注2)㈱電通「2015年日本の広告費」
(注3)経済産業省「平成26年我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、ウェブとリアルを融合した総合プロモーション及びインターネット広告等のウェブマーケティングやビッグデータを活用したデータマネジメントビジネスを行っております。
インターネット広告・プロモーションを手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーは、引き続きスマートフォン向けの広告販売が増加していることに加え、金融業界を中心に販売を拡大してきたパフォーマンスアドにおいて他業界への展開が進んだこと等により、売上高が順調に拡大致しました。また、データマネジメントビジネスにおいて、当社グループの保有するオーディエンスデータを活用したDMP(Data Management Platform)の開発等に加え、ID-POSによる購買行動データを活用したマーケティングプラットフォームを運営するカスタマー・コミュニケーションズ㈱に出資する等、新規事業領域への先行投資を積極的に行いました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は14,880百万円(対前年同期比3,095百万円増、同26.3%増)、税金等調整前四半期純利益は947百万円(対前年同期比106百万円増、同12.6%増)となりました。
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
日本国内で決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストにおいて、平成27年1月から12月の決済総取扱高が初めて1兆円を超え、当第3四半期連結累計期間においても順調に拡大致しました。また、平成27年6月にecontext Asia Limitedを完全子会社化したことに伴い上場維持コスト等を削減し、販売費及び一般管理費が減少致しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は12,172百万円(対前年同期比1,413百万円増、同13.1%増)、税金等調整前四半期純利益は1,307百万円(対前年同期比150百万円増、同13.0%増)となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のベンチャー企業への投資及びマーケティングや決済といった当社グループ内の事業との連携による投資先の育成などを行っております。また、オープンイノベーションアプローチによる新規事業開発も行っております。
ベンチャー企業への投資を行う㈱DGインキュベーションにおいて、暗号通貨やビットコインの基盤技術として注目を集めるブロックチェーン関連技術の開発を手がけるBlockstream Corporation(本社:カナダ ケベック州モントリオール市)へ出資致しました。一方、保有株式の売却が対前年同期比で増加した結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は4,421百万円(対前年同期比700百万円増、同18.8%増)、税金等調整前四半期純利益は1,728百万円(対前年同期比616百万円増、同55.4%増)となりました。
[メディアインキュベーション事業]
メディアインキュベーション事業では、当社がこれまで培ってきたメディア開発・運営ノウハウを活かし、新規メディアの創出に取り組んでおります。
持分法適用関連会社である㈱カカクコムの業績が好調に推移したものの、前年同期に計上した㈱カカクコム株式の一部売却に伴う持分変動利益がなかったため、当第3四半期連結累計期間における税金等調整前四半期純利益は1,878百万円(対前年同期比1,934百万円減、同50.7%減)となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針について
① 会社の支配に関する基本方針
当社は、上場会社として当社の株主は市場における自由な取引を通じて決定されるものと考えており、大量買付者により当社株式の大量買付行為が行われる場合であっても、これを受け入れて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断によるものと考えております。また、大量買付者による経営への関与は、必ずしも企業価値を毀損するものではなく、それが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながるものであれば、何ら否定するものではありません。しかしながら、対象会社との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、一方的に行われる大量買付行為の中には、株主の皆様に対してその目的や買収後の経営方針等についての十分な情報開示がなされていないもの、対象会社の取締役会が大量買付行為の内容を検討した上で代替案を提供するための十分な時間を提供しないものなど、不適切と考えられる事例も少なくありません。
当社は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上に資する者が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配すべきと考えております。そのため、当社株式の大量買付行為が行われる場合においては、大量買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益に及ぼす影響を、株主の皆様及び当社取締役会が適切に判断するために必要かつ十分な情報と時間の提供を大量買付者に対して求めること、また、現に経営を担っている当社取締役会から株主の皆様へ、大量買付行為の内容についての評価・意見、さらに、当社取締役会としての代替案が提供される機会を保証することは極めて重要なことと認識しております。大量買付行為の中には、当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損すると判断されるものもあり得ることから、不適切な大量買付行為により当社の企業価値が毀損され、株主の皆様に予想外の不利益が生じることを未然に防止するために、大量買付行為に関する一定のルールを定めておくことが必要であると考えております。
② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み
当社では、当社グループ全体としての事業の拡大と収益性の向上を目指し、また、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を目指し、多数の投資家の皆様に当社株式を長期継続して保有していただくため、以下の施策を実施しております。
イ.当社の経営の基本方針
当社グループでは、「コンテクスト(文脈)」の提供で社会貢献することをミッション(使命)としております。企業と人、そして情報を有機的に結びつける「コンテクストカンパニー」であることが、業務を行う上での基本コンセプトであります。インターネット業界の黎明期からの実績に基づくソリューションノウハウと、最新のネットワーク技術を有効に活用することにより、種々複雑な情報を有機的に結びつけ、企業と人と情報、これら三者の存在価値を相互に、より高め得る機能を開発することを、業務の目的として参りました。常に時代の数歩先に視点を合わせ、コンテクストの対象を冷静かつ的確に選別し、人と環境とデジタル情報化社会が共存できる、快適な社会に貢献し得るサービスを構築することが、当社の経営における基本方針であります。
ロ.中長期的な企業価値向上のための取組み
当社は、「異なるフィールドにある複数の事象をインターネットを使って結びつけ、コンテクスト(文脈)を作ることにより、新しい価値を創造し社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、最先端のインターネット技術と、世の中の動きの一歩先を読んだマーケティング技術、信頼性の高いファイナンス技術を核とし、リアルスペース(現実空間)とサイバースペース(仮想空間)の接点で新たなコンテクストを編み出すことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることにつながると考えております。
こうした考えのもと、当社の企業価値を中長期的に向上させる取組みとして、平成28年6月期を初年度とする中期3ヵ年計画を策定し、中長期的な企業価値向上に努めております。
ハ.不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、不適切な支配の防止のため、平成26年9月25日開催の第19回定時株主総会で当社株券等の大量買付行為への対応方針(買収防衛策)(以下、「本対応方針」といいます。)の継続を決議しております。
本対応方針では、当社株券等の大量買付者は、(ⅰ)事前に大量買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、(ⅱ)当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大量買付行為を開始する、という大量買付行為に関するルール(以下、「大量買付ルール」といいます。)を提示しております。
従って、大量買付ルールが遵守されている場合、対抗措置の発動は原則として行いません。ただし、大量買付ルールが遵守されている場合であっても、大量買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであると認められる場合であり、かつ、対抗措置を発動することが相当であると判断される場合には、特別委員会の勧告の内容を最大限尊重した上で、対抗措置の発動の是非を決議致します。なお、対抗措置発動の決議に際して、特別委員会に対する諮問に加え、当社取締役会は株主総会を招集し、対抗措置の発動に関する株主の意思を確認することができるものとします。また、具体的な対抗措置については、新株予約権の無償割当その他法令及び当社定款が取締役会の権限として認める対抗措置のうち、その時点で相当と認められるものを選択することとなりますが、当該対抗措置の仕組み上、株主(大量買付ルールに違反した大量買付者を除きます。)が、法的権利又は経済的側面において格別の損失を被るような事態が生じることは想定しておりません。なお、本対応方針の詳細に関しましては、当社ウェブサイト(http://www.garage.co.jp/ja/ir/)に掲載しております。
③ 不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
本対応方針の継続に関しては、株主総会における株主の皆様のご承認を条件としており、また、その有効期限に関しても、平成29年に開催予定の当社第22回定時株主総会までとすることにより、本対応方針を再度検討する機会を設けております。このように、本対応方針の継続、更新及び継続期間に関して、株主の皆様のご意向を十分に反映するものと致しております。
対抗措置の発動に関しても、あらかじめ合理的かつ客観的な発動要件が設定されており、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を防止する仕組みを確保しております。また、当社取締役会は、大量買付者に対する対抗措置の発動の是非を決議するに当たり、当社取締役会から独立した組織である特別委員会の勧告等を最大限尊重することとしており、さらに、当社取締役会が株主総会の開催を決定した場合には、対抗措置の発動の是非の決定は当社株主総会の決議に委ねられ、この点においても、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を可及的に排除する仕組みが確保されているものといえます。
さらに本対応方針の有効期限満了前であっても、当社取締役会が廃止を決定した場合には、本対応方針は廃止されるものとされており、大量買付者が当社の株主総会で自己の指名する取締役を選任し、当該取締役により構成される当社取締役会の決議をもって、本対応方針を廃止することが可能であります。従って、本対応方針はいわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会を構成する取締役の過半数を交替させても、なお発動を阻止することができない買収防衛策)ではありません。また、当社の取締役の選任時期は一致しておりませんが、当社の取締役の過半数は同一任期であり、また、取締役の解任決議要件につきましても特別決議を要件とするような決議要件の加重をしていないため、取締役の選任のみならず、その解任も普通決議で行うことができます。よって、当社の株主の皆様は、当社定時株主総会又は当社臨時株主総会において、普通決議により、当社取締役会の構成員の過半数を交替させることができ、その後速やかに、交替後の当社取締役会の決議によって本対応方針を廃止することができます。従って、本対応方針はいわゆるスローハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行なうことができず、その発動を阻止するのに時間がかかる買収防衛策)でもありません。
従って、本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」に定める三原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性の原則)を充足しており、また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容も踏まえたものとなっておりますので、当社グループの企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、又は向上させる取組みの一環として、十分にその合理性を高める仕組みを採用しているものであり、当社の基本方針に沿うものであって、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、また当社株主の共同の利益を損なうものではないものと、当社取締役会は判断致しております。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、40百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。