四半期報告書-第23期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)

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2017/08/14 15:30
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、企業収益の回復や雇用環境の改善などを背景として緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、海外におきましては、米国新政権の動向、中国等の新興国経済の減速、欧州や中東情勢の不安定化等もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。一方で、インターネットビジネスを取り巻く環境につきましては、平成28年9月末時点での国内のインターネット利用者数は1億84万人、人口普及率は83.5%と前年比ほぼ横ばいとなっておりますが、端末別の利用者の割合をみるとスマートフォンは57.9%(前年比3.6ポイント増)と継続的に拡大基調にあります(注1)。また、平成28年のインターネット広告費は前年比18.6%増と高い成長率で拡大している運用型広告が市場を牽引し、前年比13.0%増の1兆3,100億円となり(注2)、消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は前年比9.9%増の15兆1,358億円と堅調に拡大を続けております(注3)。
出所 (注1)総務省「平成28年通信利用動向調査の結果」
(注2)㈱電通「2016年日本の広告費」
(注3)経済産業省「平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
このような事業環境の下、当社は当連結会計年度より「Open Incubation toward 2020」をスローガンに掲げた新中期経営計画をスタート致しました。「IT/MT/FT×Open Innovation」をスローガンとして掲げた前中期経営計画の基本方針は変えず、様々な企業と協力しながら技術革新を進める「Open Innovation」をさらに一歩進め、将来性のある事業の萌芽をグループ会社や他社との連携によるオープンなエコシステムのなかで育成するという意味を「Open Incubation」という言葉に込めております。スタートアップから大企業まで先進的取り組みを行う様々な企業と連携しながら、技術革新がもたらす新しいビジネスをコンテクストで結び、新しい日本をインキュベートしていきます。
新中期経営計画の策定に伴い、当第1四半期連結会計期間より、従来の報告セグメントのうち、「メディアインキュベーション事業」を「ロングタームインキュベーション事業」へ変更致しました。この変更は、中長期かつ継続的な事業利益の創出に取り組むことを意図としたものであり、これに伴い従来「インキュベーションテクノロジー事業」に含まれていた一部の事業会社等を「ロングタームインキュベーション事業」に移管しております。
当第1四半期連結累計期間の業績につきましては、マーケティングテクノロジー事業及びフィナンシャルテクノロジー事業が順調に推移した結果、売上高は13,103百万円となりましたが、インキュベーションテクノロジー事業において、保有株式の売却がなかったため、営業利益は464百万円となりました。また、ロングタームインキュベーション事業が堅調に推移したこと等により、持分法による投資利益615百万円を計上し、経常利益は1,111百万円となりました。さらに、投資有価証券売却益717百万円を特別利益に計上したこと等から、税金等調整前四半期純利益は1,830百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,267百万円となりました。
なお、当社は、前連結会計年度より決算期の末日を6月30日から3月31日に変更致しました。従いまして、当第1四半期連結累計期間(平成29年4月1日~平成29年6月30日)と、比較対象となる前第1四半期連結累計期間(平成28年7月1日~平成28年9月30日)の期間が異なっております。また、当該変更に伴い、前第1四半期連結累計期間においては、連結決算日変更前から3月決算であった連結対象会社は6ヶ月間(平成28年4月1日~平成28年9月30日)の数値を連結しております。これらにより、対前年同四半期との比較分析は行っておりません。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
[マーケティングテクノロジー事業]
マーケティングテクノロジー事業では、ウェブとリアルを融合した総合プロモーション及びインターネット広告等のウェブマーケティングやビッグデータを活用したデータマネジメントビジネスを行っております。
インターネット広告を手掛ける当社マーケティングテクノロジーカンパニーは、前期に続きパフォーマンスアドが様々な分野に浸透し、売上が順調に拡大致しました。また、SNSとのデータ連携を進めてゲームアプリ業界へ当社ソリューションの提供を開始致しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は7,800百万円、税金等調整前四半期純利益は466百万円となりました。
[フィナンシャルテクノロジー事業]
フィナンシャルテクノロジー事業では、Eコマース(EC)をはじめとするBtoCの商取引に必要不可欠なクレジットカード決済やコンビニ決済等の電子決済ソリューションの提供を行っております。
日本国内で決済事業を展開するベリトランス㈱及び㈱イーコンテクストにおいて、前期に引き続きCtoC領域(個人間取引)を中心に事業が順調に拡大していることに加え、飲食や不動産、葬儀など各業界に特化した非EC決済や海外決済代理店の取扱いが増加した結果、決済の取扱高が市場成長率を上回って伸長致しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は4,951百万円、税金等調整前四半期純利益は578百万円となりました。
[インキュベーションテクノロジー事業]
インキュベーションテクノロジー事業では、国内外のスタートアップ企業への投資・育成及び当社グループ内の事業との連携による投資先の育成などを行っております。
スタートアップ企業への投資において保有株式の売却を行わなかったものの、一方で米国で企業向けにデータセキュリティ領域のソリューションを開発・提供しているNew Context Services, Inc.において、売上が順調に拡大致しました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は337百万円、税金等調整前四半期純損失は114百万円となりました。
[ロングタームインキュベーション事業]
ロングタームインキュベーション事業では、当社がこれまで培ってきた投資育成や事業開発のノウハウを活かし、コンテンツ事業及びライフスタイル支援事業等の拡大を通じて、中長期的かつ継続的な事業利益の創出に取り組んでおります。
コンテンツ事業では、当社と㈱講談社との合弁会社である㈱DK Mediaが、雑誌のコンテンツとAI(人工知能)技術を組み合わせたコンピレーションメディア「HOLICS」を開設し、運営を開始致しました。
持分法適用関連会社である㈱カカクコムの業績が堅調に推移した結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は14百万円、税金等調整前四半期純利益は554百万円となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
なお、平成26年9月25日開催の第19回定時株主総会において継続することの承認を得ました「当社株券等の大量買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関する件」については、平成29年6月17日開催の第22回定時株主総会の終了の時をもって有効期間満了により非継続としております。
会社の支配に関する基本方針について
① 会社の支配に関する基本方針
当社は、上場会社として当社の株主は市場における自由な取引を通じて決定されるものと考えており、大量買付者により当社株式の大量買付行為が行われる場合であっても、これを受け入れて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断によるものと考えております。また、大量買付者による経営への関与は、必ずしも企業価値を毀損するものではなく、それが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながるものであれば、何ら否定するものではありません。しかしながら、対象会社との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、一方的に行われる大量買付行為の中には、株主の皆様に対してその目的や買収後の経営方針等についての十分な情報開示がなされていないもの、対象会社の取締役会が大量買付行為の内容を検討した上で代替案を提供するための十分な時間を提供しないものなど、不適切と考えられる事例も少なくありません。
当社の財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の掲げる企業理念を理解し、様々なステークホルダーとの間で、円滑な関係を構築することにより、社会に貢献し、当社の企業価値の最大化を図るとともに、株主の共同の利益を確保するものでなければならないと考えております。したがって、当社の企業価値が不用意に棄損され、株主にとって不利益を生じさせる大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
② 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み
当社では、当社グループ全体としての事業の拡大と収益性の向上を目指し、また、将来のグループの収益の柱となる事業の創造を積極的に行うことにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を目指し、多数の投資家の皆様に当社株式を長期継続して保有していただくため、以下の施策を実施しております。
イ.当社の経営の基本方針
当社グループでは、「コンテクスト(文脈)」の提供で社会貢献することをミッション(使命)としております。企業と人、そして情報を有機的に結びつける「コンテクストカンパニー」であることが、業務を行う上での基本コンセプトであります。インターネット業界の黎明期からの実績に基づくソリューションノウハウと、最新のネットワーク技術を有効に活用することにより、種々複雑な情報を有機的に結びつけ、企業と人と情報、これら三者の存在価値を相互に、より高め得る機能を開発することを、業務の目的として参りました。常に時代の数歩先に視点を合わせ、コンテクストの対象を冷静かつ的確に選別し、人と環境とデジタル情報化社会が共存できる、快適な社会に貢献し得るサービスを構築することが、当社の経営における基本方針であります。
ロ.中長期的な企業価値向上のための取組み
当社は、「異なるフィールドにある複数の事象をインターネットを使って結びつけ、コンテクスト(文脈)を作ることにより、新しい価値を創造し社会に貢献する」ことを企業理念として掲げ、最先端のインターネット技術と、世の中の動きの一歩先を読んだマーケティング技術、信頼性の高いファイナンス技術を核とし、リアルスペース(現実空間)とサイバースペース(仮想空間)の接点で新たなコンテクストを編み出すことが、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることにつながると考えております。
こうした考えのもと、当社の企業価値を中長期的に向上させる取り組みとして、平成30年3月期を初年度とする中期経営計画を策定し、実施しております。
ハ.不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等に対して大量買付行為が行われた際には、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するために、積極的な情報収集と適時適切な情報開示に努めるとともに、金融商品取引法、会社法、その他関係法令及び当社定款の許す範囲内において適切な処置を講じてまいります。
③ 上記取組みについての取締役会の判断
上記の各取組みは、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも①の基本方針に沿うものであります。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、43百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。