有価証券報告書-第36期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 15:20
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有報資料

(1)経営方針・経営戦略等
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 経営方針
当社グループのビジネスは、(a)クラウドコンピューティング時代に技術革新をもたらす、情報基盤技術をインテグレーションする「情報基盤事業」、(b)最先端のアプリケーション・ソフトウェア技術と、蓄積されたベストプラクティスにより、顧客の抱える問題にソリューションを提供する「アプリケーション・サービス事業」の二つの事業モデルにより構成されています。
情報基盤(ネットワーク、サイバーセキュリティ、サーバ、ストレージ等)事業では、個別企業(エンタープライズ)向けのビジネスに加え、クラウドサービスを提供する事業者(通信キャリア、データセンター、大手システム・インテグレーター等)へのビジネス展開を加速させます。グループ企業と一体となって、保守、運用・監視を含むシステムのライフサイクル全てに跨るソリューションの提供を行います。
アプリケーション・サービス事業では、特定市場、特定業務向けのアプリケーション・パッケージの開発を加速し、パッケージ販売のみならず、クラウドサービス(SaaS)事業を積極的に推し進めます。ビジネスソリューション(インターネットサービス、金融等)、医療、CRMの各分野で特徴ある製品とサービスの創出に努めます。また、組込み分野を中心にソフトウェアの品質(機能安全)を高めるための様々な技術とサービスも積極的に展開して行きます。
ITの社会への更なる浸透と、外部環境の凄まじい変化により、社会全体の産業構造がこれから劇的に変化していくことが予想されます。当社は、2018年5月22日に中期経営計画「GO BEYOND 3.0」を発表しました。「GO BEYOND 3.0」は、2014年8月に創業30年の節目を迎えたことを機に、「次の30年に向けた土台固めと方向付け(成長遺伝子の確立)」を目的とした旧中期経営計画「TMX 3.0」を「超える」ということを意味し、この大きな社会的変化の中で、当社グループらしさを全面に出し、未来に向けて持続可能な成長基盤を構築するため、より一層の覚悟を持って自らの事業構造改革を断行することを目的としています。
「GO BEYOND 3.0」における中核的事業戦略
■クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進(継続)
■セキュリティ&セイフティ(安全と安心)の追求(継続)
これらの継続的戦略の実行に加え、以下の追加的な戦略を実行します。
■事業運営体制の多様化(資本提携、業務提携、大学・研究機関との連携、オープンイノベーション)
■サービス化の加速(全事業領域)
■データの利活用(ビッグデータ解析、AIの利用を含む)
■BtoC(消費者向けビジネス)への参入
■海外市場での事業を加速(市場探査モードから次のステップへ)
■事業運営基盤の強化(グループ横断・事業部門内での人財や技術の有効活用、各分野の融合による新しい価値
の創出、人財への投資と次世代の育成、企業理念に基づく採用・育成・評価・リテンション)
■M&A(金庫株の活用を視野)
目標とする経営指標としては、当社グループが経営の最重要課題の一つに掲げる「株主価値の向上」のための事業規模拡大が挙げられますが、収益力の強化及び収益の安定性向上も必要と考えております。収益力の指標として売上高営業利益率を、安定性向上の指標としてはストック比率を重視しており、当該指標の向上を目指しております(情報基盤事業におけるストック比率は適正範囲内で維持)。
■売上高営業利益率(%)
セグメント2018年3月期2019年3月期2020年3月期
情報基盤事業9.810.512.0
アプリケーション・サービス事業4.57.67.8

※中期経営企画「GO BEYOND 3.0」策定時において、2021年3月期の予想を情報基盤事業が9.5%、アプリケーション・サービス事業を10.0%として開示しております。
■ストック比率(%)
セグメント2018年3月期2019年3月期2020年3月期
情報基盤事業38.639.138.6
アプリケーション・サービス事業52.855.353.7

※情報基盤事業のストック比率は当社単体の数字を表示しており、アプリケーション・サービス事業においては、当社単体の数字加え、連結子会社である株式会社NOBORI(2018年4月に医療システム事業を会社分割により承継)を含んだ数字を表示しております。また、現時点で適用していない会計基準等を将来的に適用することにより、ストック比率算定にあたっての収益認識基準等が変更になる可能性があります。
※情報基盤事業は、適正範囲内(40%前後)で数値を維持しており、アプリケーション・サービス事業においては、数値の向上を目的としており、現時点で具体的な目標数値は設定しておりません。なお、2020年3月期において、アプリケーション・サービス事業のストック比率が減少した要因としては、一時的な開発作業が増加したことによって、非ストックの売上高が増加したためであると分析しております。そのため、ストック比率は前年度と比較して減少しておりますが、ストックの売上高については増加しております。
② 経営戦略
当社グループの基本戦略については以下のとおりです。
a. 連結経営(グループ経営)の強化・拡大
グループ経営を通して、(a)インフラからアプリケーションまでの全てのソリューション・レイヤーをカバーしつつ、(b)要件定義から設計・開発・テスト、そして、保守、運用・監視までの全てのライフサイクルを網羅する「総合ベンダー」へと進化を図ります。ワンストップでこれらの機能を提供することにより、顧客とのグリップ力を強化することを目指します。レバレッジ成長戦略の一環として、M&Aも積極的に検討してまいります。
b. ストック型ビジネスの推進
保守、運用・監視、クラウドサービス(SaaS、HaaS等)、継続取引(キーアカウント創造)、キーアカウントへのクロスセル等、ストック型ビジネスの推進により、安定収益の拡大と持続的な成長を実現します。
c. 増収・増益基調の維持・拡大
技術革新が速く、ビジネスモデルの進化も速いIT業界において、変化への対応力を磨くと共に、時代を先取りする事業を推進し、継続してビジネス規模の拡大と収益力の向上を目指します。また、持続可能性を重視し、安定成長を実現するために、積極的に事業構造の変更にもチャレンジします。ITサービスは、ますます社会インフラ化し、IT設備を「保有」せず、「利用」する「クラウド」という大きな流れは加速度的に進展して行きます。従量課金方式や月額請求方式の利用料の徴収が基本となる「クラウド」サービスにおいては、売上と利益の認識が期間帰属する形で長期に亘り繰り延べ(経過処理)されることとなり、短期的には収益へのマイナス影響が発生しますが、短期的な痛みを伴っても、当社グループでは、中長期的な収益基盤の強化、安定成長の実現を推進します。
d. 専門性の追求
求められる技術的な専門性と対象業務領域の専門性をより深く追求して行きます。受動的に顧客要望に応えるのではなく、差別化できるソリューションを基にした業務改善提案を能動的に行います。対面市場(成長セクター)の見極めを行いつつ、業務ノウハウの蓄積と技術力の強化に努めます。
e. パートナー戦略
アプリケーション・サービス事業のビジネスは、直接取引を中心に、補完事業者とのパートナーシップによる水平分業による顧客獲得を図ります。情報基盤事業のビジネスは、チャネル活用(垂直統合)による間接取引を中心に顧客ベースの拡大を図ります。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
① 収益の平準化
当社グループの収益構造は、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから、第2四半期末(9月末)及び通期決算期末(3月末)に役務の提供の完了及び売上計上が集中する傾向があります。現在、ストック型ビジネスの推進により、売上高が特定時期に偏重する季節性は薄れてきておりますが、顧客の決算が集中する3月の売上が他月と比較して依然多い状況が見られます。キャッシュ・フローを平準化し、また、技術者の業務集中及び不測の事態等により売上が翌期にずれる、いわゆる期ズレを防ぐためには、受注を平準化することが課題となります。対策として以下の4点が挙げられます。
a. 前決算期に受注を確定し、翌決算期に売上が計上されるような案件の受注を増加させる。
b. 特定顧客との安定的、長期的なビジネスを軸に年間を通してコンスタントに受注していく。
c. 継続的な保守サービス及びクラウドサービスの受注によりストック型ビジネスの比率を上げ、安定的な収益の計上を行う。
d. 積極的に新しいサービス(従量課金型クラウドサービス等)を立ち上げ、持続性、安定性のあるビジネスモデルを構築する。
② 人材の確保
当社グループでは、ITサービス産業において一般的な労働集約型ビジネスではない、より高付加価値なストック型ビジネスの拡大を目指しておりますが、更なる成長に向けては、優秀な人材の確保・育成は不可欠であります。ITが全産業分野に浸透して行く中、IT人材の獲得競争は、同業者間のみならず、異業種やベンチャー企業の間でも熾烈さを増しています。今後、事業を拡大していくためには、人材の確保が生命線となり、優秀な従業員を継続的に採用していく必要があります。新卒の定期採用においては、潜在能力の高い人材を、また中途採用においては、即戦力として活用できる経験者を幅広く採用します。
③ 生産性の向上(コスト削減・品質向上・納期遵守)
人的リソースの量的拡充だけに頼らず、新規事業の拡大と同時に採算性を向上するためにはPMO(Project Management Office)室を中心に、開発効率の向上(コスト削減)、サービス品質の向上、納期の順守のための努力を継続します。システムの開発にあたってはオフショア開発(開発業務を海外に委託)、ニアショア開発(開発業務を国内の遠隔地に委託)への取り組みも推進します。
④ 市場環境(ニーズ)の変化への迅速な対応
世の中が不可逆的に変化していくことを認識し、絶えず変化する市場環境(ニーズ)に対し、当社のビジネスも迅速に対応する必要があります。当社の事業領域においては、オープンソースの普及、クラウド化の流れとともに、ソフトウェア開発の内製化が加速しており、ITは技術的専門性の高い企業だけが扱えるという時代は終焉を迎えようとしています。当社グループの対応としては以下の6点が挙げられます。
a.これまで展開してきた特定顧客向け受託開発のための技術リソースを「自社独自サービスの開発」、「自社付加価値を高める」方向へと戦略的にシフトします。
b.特定市場、特定業務をターゲットにしたベストプラクティスである自社独自クラウドサービスのビジネス展開を加速します。
c.ビッグデータ解析、BI(Business Intelligence)、AI(人工知能)等を利用し、クラウドサービスを通じて得られたデータの利活用を検討します。
d.製品販売とサービス展開における即効性のあるシェア拡大策、事業拡大策として、オープンイノベーションを意識し、ベンチャー企業を含む外部企業や大学、異業種、同業他社や当社グループの事業を補完しうる事業者に対する事業提携やM&Aについて積極的に検討を進めて行きます。
e.サイバーセキュリティ対策技術の提供形態がクラウドサービス化されていく流れの中で、当社独自の付加価値を増大させるため、統合セキュリティ監視サービスなどのサービス化を加速度的かつ高度に進めてまいります。
f.データが価値を生み、ビジネスがB2CとC2Cに収斂されていく世の中との認識のもとに、当社の専門領域において消費者向けビジネスの展開を検討します。
⑤ 海外市場の開拓
国内情報サービス産業においては、クラウドサービスが普及し、IT投資に分野毎の濃淡が出始めている中、よりグローバルな視点で事業を拡大する必要があります。成長を続けるアジア新興国を中心とした海外市場に対して自社開発の製品やサービスの輸出事業を展開して行きます。
⑥ 社会構造の変化への対応
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、テレワークの利用が急速に進んだことによって人々の働き方が大きく変化し、IT技術の利用による医療機関におけるオンライン診断、教育現場におけるオンライン授業、クラウドサービスの利用等、デジタル技術を活用した新しい社会の在り方に向け、様々な取り組みが急速に広がりました。そのため、今後世の中の生活やビジネスの基盤は、より一層オンラインにシフトすることが予想され、この流れは不可逆的なものであると認識しております。このような社会構造の変化においては、サイバー攻撃に対する防御を強化する等セキュリティリスクへの対応が重要となり、また、クラウドサービスの利用が加速するなど、当社が得意とする事業領域におけるポジティブな経営環境の変化とビジネス拡大のチャンスをもたらすものと認識しております。新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化した後の世の中の構造は、現在と大きく異なるものとの認識に立ち、当社の事業戦略を推し進めます。

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