有価証券報告書-第22期(令和1年6月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/08/26 9:06
【資料】
PDFをみる
【項目】
139項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、次のとおり企業としての使命(ミッション)・価値観(バリュー)を掲げ、日本市場のみならず、グローバル市場においてマーケティング事業、アセット事業等を展開しております。
<使命>私たちは独創的な考え方で課題を解決し、 笑顔に溢れた社会づくりに貢献します。
<価値観>「汗」 自他のため率先して汗をかいているか
「協」 仲間との協力関係を大切にしているか
「成」 毎日の着実な成長を実感できているか
「誇」 家族・友人・社会は私を誇りに思うか
「楽」 わくわくとした人生を楽しんでいるか
(2)経営戦略等
当社グループは、インターネットや外国人の訪日旅行者数の増加等、世界との物理的・精神的な距離が身近になりつつあるグローバル市場において、主力事業であるマーケティング事業に経営資源を重点的に投入し、事業基盤を強化してまいります。また、激しく事業環境が変化する中でも継続的に成長できる新規事業を創出することで、中長期的な成長を目指してまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度(2019年6月1日~2020年5月31日)におけるわが国経済は、企業収益の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移していたものの、消費税の増税に伴う個人消費の落ち込みなどにより、景気後退感が強まりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、あらゆる経済活動が抑制され、急速に減速いたしました。現在も世界的な感染拡大の終息の見通しが明確にたたないことから、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主たる事業領域である国内インターネット広告市場につきましては、堅調な伸びが続いており、2019年のインターネット広告費は2兆1,048億円(前年対比19.7%増)となり、テレビメディアの1兆8,612億円を上回りました(株式会社電通「2019年日本の広告費」)。
また、インバウンド市場においては、日韓関係の悪化を受け、韓国からの訪日客数が大幅に減少したものの、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催による欧米豪等からの訪日客が増加したことに加え、東南アジアからの訪日客は好調を維持したことで、2019年の訪日外国人旅行者数は、前年対比2.2%増の3,188万人となりました(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人の旅行キャンセルが相次いだことにより、2020年1月から5月までの訪日外国人旅行者数は、前年対比71.3%減の394万4千人となりました(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)。世界的大流行の懸念に起因する経済活動の萎縮ムードにより、インバウンド業界だけではなく、世界的な経済リスクの懸念が生じております。今後、新型コロナウイルスが当社の事業に与える影響を慎重に注視しつつ、戦略等を検討していく必要があるものと認識しております。
(4)優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題
今後の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症との戦いのなかで、当面は先行きが見通しにくい事業環境が継続するものと見込まれます。また、グローバル化の進展により、世界経済の変動の影響をより大きく受けるようになってきたことから、事業環境のリスク等も想定し、ブラック・スワンが起きた場合であっても、継続的に成長できる事業を創出することが重要であると考えております。そのような環境の中、今後、当社グループが対処すべき課題としては、以下の3点が挙げられます。
①多言語・海外向けサービス需要の取り込み強化
国際的な人の往来が大幅に減少する状況においても、多言語・海外向けサービスの需要を着実に取り込んでいくことが重要であると考えております。国内においては、訪日外国人が減少している状況において、越境ECなど多言語ニーズの高い領域に注力し支援の強化を行ってまいります。海外拠点においては、今後の経済発展が見込め、また当社グループの強みが活かせる拠点にリソースの集中を行い、当該地域内でのプロモーション支援を行ってまいります。
②イノベーションによる新たなビジネスモデルの創出
グローバルレベルでの競争激化等、事業環境の変化が激しい中、当社グループが今後も継続して成長するためには、既存事業の成長だけではなく、独創的な考え方で挑戦し続け、イノベーションを起こしていくことが重要であると考えております。
これまで蓄積してきた多言語によるグローバルコンサルティング事業を行う企業としてのノウハウ等、経営資源を活かした新たなビジネスモデルの創出により、収益源の多様化を進めてまいります。
③先進的な働き方の実現による生産性向上
新型コロナウイルス感染症は、私たちの働き方に急激な変化をもたらしました。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大以前からリモートワークを導入していましたが、長期間、全社員がオフィスに出社しない働き方の拡大は最も大きな変化の一つといえます。
今後、オフィスの定義は、「作業の場」から「議論の場」へ進化していくものと考えており、当社グループにおいて、緊急事態宣言の解除後も、引き続き、リモートワークをメインとした新しい働き方を継続して実施していくこととなりました。オフィスを「議論の場」へ進化させ、リアルでの対面の時間を創造的な議論に集中して活用していくことで、これまで以上に成果を挙げていくよう努めてまいります。
また、リモートワークをはじめ、デジタル技術の積極的活用やそれら運用体制の整備を行い、実効性の高い施策を実施することで、生産性向上による収益拡大を目指してまいります。
先進的な働き方の実現により、引き続き、言語・国籍に関わらず、当社グループの企業理念を理解し、主体的に課題解決を行うことのできる優秀な人材の採用及び、教育により組織力を強化することで、当社グループの競争力を一層強化してまいります。