有価証券報告書-第37期(2023/01/01-2023/12/31)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの主な事業は、「人材紹介業」(Recruitment Consultancy)であります。 当社グループ は、世界の各国で企業の発展を担う人材を数多くつなぐ(紹介する)ことで、人と企業と経済と社会をつなぎ、その成長に貢献し続けていきます。
それらの人材の活躍によって、企業が躍進し、それが経済の発展につながる。経済が発展し、それが社会の発展につながる。また、それらが地球環境の保全に貢献する。そのサイクルを継続して推進していくことが当社のミッションであると考えています。
当社グループはこの基本的な考え(Our Mission)に基づき、常に以下の企業目標を持って会社経営に取り組んでいます。
1.ハイクオリティを重視し、意識の高い仕事をすること
2.企業、求職者両者の満足度が最高水準である仕事をすること
3.常に改善、改革をスピーディーに行う会社であること
4.常にプロフェッショナルを志し、利益率と利益成長率において優良会社として
成長し続け、 株主・顧客・従業員が満足できる「魅力的」な企業を目指すこと
(2) 経営環境
当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は次のとおりであります。
(国内人材紹介事業)
わが国における中間管理職やスペシャリストの流動化は、欧米諸国に比較すると低い水準にあるとされてきました。しかし近年では、日系企業の海外進出などのグローバル化、さらには政府による人材流動化の推進等により即戦力となる人材の中途採用が進み、人材紹介業が果たすべき役割も急速に拡大してまいりました。当社グループでは、「専門性が高いポジション」「ミドルマネージメントからエグゼクティブポジション」「グローバル人材のポジション」を中心に、市場シェア拡大に引き続き努めてまいります。
(国内求人広告事業)
当社グループの株式会社キャリアクロスと当社は、人材関連事業においてグローバル領域に注力している点を共通とし、求人広告と人材紹介という異なる事業モデルを展開していることから、相互補完によるビジネスシナジーを発揮できる関係にあります。当社は今後も、同社との事業連携を深めながらグローバル領域における人材集客力の強化を図ってまいります。
(海外事業)
アジア各国の人材紹介市場はコロナ禍からの回復は見られるものの、欧米企業を中心とした採用抑制や中国経済の失速懸念などの影響を受け、厳しい状況が続いております。一方で欧米諸国については、日系企業を中心に旺盛な人材需要が続いております。このため、当社グループでは、当連結会計年度に中国での営業活動を終了したのと並行して、米ロサンゼルス、シャーロット(ノースカロライナ州)、独ミュンヘンに事業拠点を新設し、海外事業の収益性改善に努めております。
(3) 中長期的な経営戦略と目標
当社は、2030年までの長期的な経営ビジョン「JAC as No.1」の下で、人材紹介のプロフェッショナル集団として、サービス品質と収益性の両面で世界一になることを掲げております。その実現に向け、当社はサービス品質の向上に不可欠な人的資本の充実を中心とした成長投資を積極的に実施しております。収益性と成長性を併せ持つ日本国内のホワイトカラー人材紹介市場におけるシェア拡大を軸としつつ、グローバルでも「No.1」を目指し、海外各地においても人材紹介事業を積極的に展開しております。
また、当社は、資本コストを上回る資本収益性を上げることは経営として必須の要件であると認識し、高い資本収益性を維持、向上させることによって市場評価を獲得することを目指しております。
当社は、加重平均資本コスト(WACC)により算定される8.2%を資本コストとして認識しております。これに対し、2023年度末における自己資本利益率(ROE)は36.4%と、資本コストを大きく上回っております。直近10年間のROE実績についても、コロナ禍の2020年を除き28~40%と高水準を維持しております。また、2023年度末の株価純資産倍率(PBR)は6.02倍で、直近10年間においても5~7倍の高い水準を維持しております。
設備投資の資金需要が少ない人材紹介事業を中核ビジネスとし、有利子負債がほぼなく、資本コストがもっぱら株主資本コストで構成されている当社が今後も高水準のROE、さらにはPBRを維持・向上させていくためには、営業利益率と当期純利益の成長率が最も重要な財務指標になると認識しております。当社は、高い配当性向を維持し、次なる成長に向けた事業投資のための内部留保は一定確保しつつ、それによる自己資本の拡大を上回る利益成長を目指しております。また、当社は人材系ビジネス全体を一つの事業ポートフォリオとして捉えており、事業投資にあたっては資本コストを上回る投資利益率(ROI)を実現できることを最低限のハードルレートとし、現状の資本効率を維持できる水準を判断基準の一つにおいて検討しております。
今後についても、非財務資本の充実に向けた取り組みがもたらす社会的インパクトの開示をさらに進め、株主価値の拡大(エクイティスプレッドの拡大)に努めてまいります。
また、各報告セグメントの目標を次のように定めております。
(国内人材紹介事業)
国内人材紹介事業につきましては、コンサルタントとマネージメントの増員と教育に取り組み、戦略子会社である株式会社JAC International、株式会社バンテージポイントとのシナジーを活かしつつ、継続的な拡大成長を目指してまいります。
(国内求人広告事業)
株式会社キャリアクロスが取り組む国内求人広告事業につきましては、前課金型から成功報酬型のビジネスモデルへの転換をはじめとする事業構造の見直しを進めることで、売上の再拡大を目指してまいります。
(海外事業)
JAC Recruitment International Ltdを軸とする海外事業につきましては、注力マーケットの再構築と経営体制の強化を進めることで、売上再拡大の継続と収益性の改善を目指してまいります。
中期経営計画の数値目標
(注) 人材紹介コンサルタント数は国内人材紹介事業及び海外事業の期中平均値であります
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年度の国内人材紹介事業は、生産性の維持・向上に重点を置きつつ、引き続き中長期的な事業拡大を目指して優秀なコンサルタントの増員及びその教育と、マネージメントの強化にさらに取り組んでまいります。各業界で需要の高いDX領域や求人需要の旺盛な製造業領域、また、エグゼクティブ領域や金融などの高年収求人にも注力することで収益性を高めると同時に、地方マーケットの深耕にも取り組みます。一方で、グループ全体での連携、協業を強化し、グループシナジーの最大化に努めてまいります。
海外事業は、年収が高い先進国や欧米圏の事業強化を進めることで売上総利益を増加させると同時に、給与体系も含めたコスト構造の見直しを継続し、事業全体の高収益化を図ってまいります。
国内求人広告事業は、顧客企業によるダイレクトリクルーティング向けの営業活動に注力することで、売上の回復を図ってまいります。
(5) 次期の見通し
世界経済の先行きに対する不透明感が継続する一方、国内企業の求人需要は歴史的な水準に高まりつつあります。このため、当社グループの2024年の方針としては、国内の人材紹介事業を中心に好調なマーケットに重点を置いて、さらなる集中と深耕に向けた取り組みを継続してまいります。今後もコンサルタントの増員とリテンション、及びキャリアプログラムの強化、マネージメントの階層別教育の充実を軸として、効率的かつ生産性の高い事業成長を目指してまいります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループの主な事業は、「人材紹介業」(Recruitment Consultancy)であります。 当社グループ は、世界の各国で企業の発展を担う人材を数多くつなぐ(紹介する)ことで、人と企業と経済と社会をつなぎ、その成長に貢献し続けていきます。
それらの人材の活躍によって、企業が躍進し、それが経済の発展につながる。経済が発展し、それが社会の発展につながる。また、それらが地球環境の保全に貢献する。そのサイクルを継続して推進していくことが当社のミッションであると考えています。
当社グループはこの基本的な考え(Our Mission)に基づき、常に以下の企業目標を持って会社経営に取り組んでいます。
1.ハイクオリティを重視し、意識の高い仕事をすること
2.企業、求職者両者の満足度が最高水準である仕事をすること
3.常に改善、改革をスピーディーに行う会社であること
4.常にプロフェッショナルを志し、利益率と利益成長率において優良会社として
成長し続け、 株主・顧客・従業員が満足できる「魅力的」な企業を目指すこと
(2) 経営環境
当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は次のとおりであります。
(国内人材紹介事業)
わが国における中間管理職やスペシャリストの流動化は、欧米諸国に比較すると低い水準にあるとされてきました。しかし近年では、日系企業の海外進出などのグローバル化、さらには政府による人材流動化の推進等により即戦力となる人材の中途採用が進み、人材紹介業が果たすべき役割も急速に拡大してまいりました。当社グループでは、「専門性が高いポジション」「ミドルマネージメントからエグゼクティブポジション」「グローバル人材のポジション」を中心に、市場シェア拡大に引き続き努めてまいります。
(国内求人広告事業)
当社グループの株式会社キャリアクロスと当社は、人材関連事業においてグローバル領域に注力している点を共通とし、求人広告と人材紹介という異なる事業モデルを展開していることから、相互補完によるビジネスシナジーを発揮できる関係にあります。当社は今後も、同社との事業連携を深めながらグローバル領域における人材集客力の強化を図ってまいります。
(海外事業)
アジア各国の人材紹介市場はコロナ禍からの回復は見られるものの、欧米企業を中心とした採用抑制や中国経済の失速懸念などの影響を受け、厳しい状況が続いております。一方で欧米諸国については、日系企業を中心に旺盛な人材需要が続いております。このため、当社グループでは、当連結会計年度に中国での営業活動を終了したのと並行して、米ロサンゼルス、シャーロット(ノースカロライナ州)、独ミュンヘンに事業拠点を新設し、海外事業の収益性改善に努めております。
(3) 中長期的な経営戦略と目標
当社は、2030年までの長期的な経営ビジョン「JAC as No.1」の下で、人材紹介のプロフェッショナル集団として、サービス品質と収益性の両面で世界一になることを掲げております。その実現に向け、当社はサービス品質の向上に不可欠な人的資本の充実を中心とした成長投資を積極的に実施しております。収益性と成長性を併せ持つ日本国内のホワイトカラー人材紹介市場におけるシェア拡大を軸としつつ、グローバルでも「No.1」を目指し、海外各地においても人材紹介事業を積極的に展開しております。
また、当社は、資本コストを上回る資本収益性を上げることは経営として必須の要件であると認識し、高い資本収益性を維持、向上させることによって市場評価を獲得することを目指しております。
当社は、加重平均資本コスト(WACC)により算定される8.2%を資本コストとして認識しております。これに対し、2023年度末における自己資本利益率(ROE)は36.4%と、資本コストを大きく上回っております。直近10年間のROE実績についても、コロナ禍の2020年を除き28~40%と高水準を維持しております。また、2023年度末の株価純資産倍率(PBR)は6.02倍で、直近10年間においても5~7倍の高い水準を維持しております。
設備投資の資金需要が少ない人材紹介事業を中核ビジネスとし、有利子負債がほぼなく、資本コストがもっぱら株主資本コストで構成されている当社が今後も高水準のROE、さらにはPBRを維持・向上させていくためには、営業利益率と当期純利益の成長率が最も重要な財務指標になると認識しております。当社は、高い配当性向を維持し、次なる成長に向けた事業投資のための内部留保は一定確保しつつ、それによる自己資本の拡大を上回る利益成長を目指しております。また、当社は人材系ビジネス全体を一つの事業ポートフォリオとして捉えており、事業投資にあたっては資本コストを上回る投資利益率(ROI)を実現できることを最低限のハードルレートとし、現状の資本効率を維持できる水準を判断基準の一つにおいて検討しております。
今後についても、非財務資本の充実に向けた取り組みがもたらす社会的インパクトの開示をさらに進め、株主価値の拡大(エクイティスプレッドの拡大)に努めてまいります。
また、各報告セグメントの目標を次のように定めております。
(国内人材紹介事業)
国内人材紹介事業につきましては、コンサルタントとマネージメントの増員と教育に取り組み、戦略子会社である株式会社JAC International、株式会社バンテージポイントとのシナジーを活かしつつ、継続的な拡大成長を目指してまいります。
(国内求人広告事業)
株式会社キャリアクロスが取り組む国内求人広告事業につきましては、前課金型から成功報酬型のビジネスモデルへの転換をはじめとする事業構造の見直しを進めることで、売上の再拡大を目指してまいります。
(海外事業)
JAC Recruitment International Ltdを軸とする海外事業につきましては、注力マーケットの再構築と経営体制の強化を進めることで、売上再拡大の継続と収益性の改善を目指してまいります。
中期経営計画の数値目標
2023年実績 | 2024年見通し | 2025年目指す姿 | 2026年目指す姿 | |
連結売上高 | 344億円 | 400億円 | 460億円 | 530億円 |
連結当期純利益 | 59億円 | 68億円 | 78億円 | 93億円 |
人材紹介コンサルタント数 | 1,388名 | 1,572名 | 1,800名 | 2,100名 |
(注) 人材紹介コンサルタント数は国内人材紹介事業及び海外事業の期中平均値であります
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年度の国内人材紹介事業は、生産性の維持・向上に重点を置きつつ、引き続き中長期的な事業拡大を目指して優秀なコンサルタントの増員及びその教育と、マネージメントの強化にさらに取り組んでまいります。各業界で需要の高いDX領域や求人需要の旺盛な製造業領域、また、エグゼクティブ領域や金融などの高年収求人にも注力することで収益性を高めると同時に、地方マーケットの深耕にも取り組みます。一方で、グループ全体での連携、協業を強化し、グループシナジーの最大化に努めてまいります。
海外事業は、年収が高い先進国や欧米圏の事業強化を進めることで売上総利益を増加させると同時に、給与体系も含めたコスト構造の見直しを継続し、事業全体の高収益化を図ってまいります。
国内求人広告事業は、顧客企業によるダイレクトリクルーティング向けの営業活動に注力することで、売上の回復を図ってまいります。
(5) 次期の見通し
世界経済の先行きに対する不透明感が継続する一方、国内企業の求人需要は歴史的な水準に高まりつつあります。このため、当社グループの2024年の方針としては、国内の人材紹介事業を中心に好調なマーケットに重点を置いて、さらなる集中と深耕に向けた取り組みを継続してまいります。今後もコンサルタントの増員とリテンション、及びキャリアプログラムの強化、マネージメントの階層別教育の充実を軸として、効率的かつ生産性の高い事業成長を目指してまいります。