有価証券報告書-第19期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「はたらく意欲を持ったすべての人にスキルアップやキャリア形成の機会が等しく提供され、公正に処遇される社会の実現」を企業目的として、グループミッションである「はたらく力で、イキイキをつくる。」を実現するため、「はたらく人」と「企業」双方を顧客として捉える「ツインカスタマー戦略」を推進し、事業展開しております。
2030年に向けた長期経営ビジョンとして「これからのはたらき方のプラットフォームになる」を掲げております。これを実現するため、2029年3月期を最終年度とする第5次中期経営計画においては、はたらく人との一度限りの関係にとどまらず、生涯を通して関係を構築することを目指しております。人的資本への投資を行い、はたらく人の意欲と帰属意識を高めることによって、はたらく人自らが事業成長を牽引し、長期経営ビジョンが達成される姿を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的に企業価値を向上させることを経営の目標としております。経営指標としては、財務面では「売上高」「売上総利益」「営業利益」「親会社株主に帰属する当期純利益」及び「1株当たり当期純利益(EPS)」を重視しております。第5次中期経営計画の最終年度である2029年3月期においては、売上高1,850億円、売上総利益350億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益91億円、1株当たり当期純利益(EPS)は15.20円を数値目標としております。また、非財務面においては、「入社数」、「離職率」、「在籍数」を重視しております。第5次中期経営計画の最終年度である2029年3月期においては、入社数は19,400人、離職率は3.9%、在籍数は38,000人を数値目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
(第5次中期経営計画の更新について)
1.第5次中期経営計画の更新の背景
計画初年度である2026年3月期については、事業環境の好転や多様な施策の効果発現を見込み、大幅な増収増益を計画しておりました。その一方で、製造派遣業界においては、需給の逼迫により労働市場の人材不足が継続しており、採用単価の上昇や人材獲得競争の激化を受け、人材採用が難化しております。このため、当社においても採用効率が悪化するなど、採用数が伸び悩んだことにより連結全体の技術社員数が計画を下回りました。また、自動車関連業界における人材サービスを展開するモーター・エナジー事業において、派遣需要の回復を見込んでおりましたが、米国の関税政策による影響を受け派遣需要は前年から横ばいで推移いたしました。こうした外部及び内部要因により計画を下回り進捗していたため、実績との乖離を踏まえ、2029年3月期を最終年度とする数値目標へと見直しを行いました。
2.更新後の第5次中期経営計画の概要
① 第5次中期経営計画における成長戦略
当社グループは、2025年11月に上述のとおり、採用環境の厳しさが継続していることや顧客企業の需要変動を踏まえ、第5次中期経営計画の見直しを行い、より実効性の高い戦略へと転換しております。
具体的には、求職者優位の労働市場の長期化を前提とし、派遣事業においては効率性を重視した経営へとシフトするとともに、自由異動の促進や入退社の柔軟化、選択可能な雇用形態の拡充等を通じて、求職者にとっての就業選択肢の最大化を図ってまいります。
その一環として、製造現場における多様な職場、及びキャリア選択を可能とする当社独自のプラットフォーム「貯まるワーク」の構築を中核戦略と位置付け、働く時間に応じた株式付与などの仕組みを通じて求職者の会員化を促進してまいります。加えて、当該プラットフォームを通じて創出した利益を、株式給付及び安定的な配当として会員へ還元する仕組みを整備することで、エンゲージメントの向上を図り、はたらく人との関係を強化することで「生涯にわたる長期的なパートナーシップ」を構築し、「ワークタイムバリュー(※)」の向上と持続的な事業成長を実現したいと考えております。第5次中期経営計画では、こうした取り組みにより、会員の定着率向上を通じた離職率の低減に加え、募集費等の採用コストの抑制を実現し、収益性の向上につなげてまいります。
(※) 求職者が断続的に当社を通じて働くことで得られる一人当たりの生涯売上高
さらに、成長機会の取り込みに向けて、人材紹介事業への本格参入を進め、多様な雇用ニーズに対応したサービス基盤の構築を推進いたします。これにより、契約社員・正社員等の多様な就業機会の提供や外国人材の活用、同業他社への人材紹介の拡大を通じて、新たな収益源の確立を目指してまいります。
加えて、株主還元については安定性と継続性を重視し、配当性向の向上を図るとともに、一定水準の1株当たり配当額の確保に努めてまいります。これらの取り組みにより、当社グループは、安定した収益基盤の維持・拡充と成長分野への積極的な投資を両立させ、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
② 更新後の中期経営計画の目標数値
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
第5次中期経営計画を実行し、持続的な企業価値の向上を目指す上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
① 景気変動の影響を受けにくい事業基盤の構築
当社グループの事業は、製造工場の生産現場を中心とした職種への人材派遣や製造請負の占める割合が高いため、景気変動、自然災害及び感染症等の事象に影響される派遣先企業の生産調整によって、人材需要低下等の影響を受けやすい構造にあります。従来は半導体・電子部品関連分野の割合が高かったことから、シリコンサイクルの影響を低減するため、異なる製品分野への分散を図ってまいりました。分散化により、個別の製品分野に対する生産変動への耐性は高まったものの、経済全体の減速に伴い全ての製品分野において生産量の減少が生じた際には、依然として解約リスクをゼロにすることは難しいと認識しております。
そのため、大幅な景気後退が生じた際の解約リスクを低減するための顧客工場内シェアの拡大や製造業の中でも景気変動の影響を受けにくい製造技術領域等の職種開拓を進めております。併せて、職業紹介事業に参入し求人数も拡充することで地域ごとの多様な人材需要を満たすエージェント事業の強化を進め、シリコンサイクル等の景気変動の影響を受けにくい事業基盤を構築してまいります。
② 恒常的な欠員確保
当社グループの事業は、派遣先企業で働く派遣労働者を当社グループで正社員として無期雇用することで、はたらく人の雇用の安定化と企業へのフレキシビリティの提供を両立させております。この事業モデルを機能させるためには、ある職場で人員が余剰となった際に、異なる職場への配置転換を迅速に行わなければなりません。そのため、全国各地の職場において、欠員(受注残)を恒常的に確保しておくための活動が必要となります。
当社グループでは、人材管理とともに顧客への提案活動を行う管理者を顧客毎に配置して欠員の確保を行っております。また、事業部毎に設置した営業組織により、事業会社を横断したサービス提案や新規顧客開拓等の活動を通じた欠員の確保を行っております。
③ 多様な人材の活躍促進と安定的な採用体制の構築
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドが継続するものと予測されております。当社グループの技術職社員の多くが若年層であり、中長期的にはこの影響を大きく受けることから、人材採用が困難になる可能性があります。
このような環境の中、女性・シニア・外国人など多様な属性の人材が活躍できる職場を増やしていくことが重要課題であると認識しております。このため当社グループでは、新たな顧客企業の開拓を進めるとともに、従業員から寄せられる職場改善に関する意見や求職者のニーズをもとに、顧客企業側により多様な人材を受け入れることができる職場づくりの提案を積極的に行っております。
当社グループは、求人広告をはじめとする様々な採用媒体の活用や当社グループ独自の求人サイトの構築、応募から入社までにかかるプロセスの短縮化等を実施し、安定的に人材を採用するための改善を進めてまいります。
④ 技術職社員の離職率低下とエンゲージメント向上
当社グループが属する製造派遣業界における派遣社員の離職率は、いわゆる正規雇用と呼ばれる正社員と比較すると高水準と言われており、流動性が高いことが特徴となっております。当社グループでは、社員のキャリアアップを目的とした離職は自由に認める一方で、職場や業務内容のミスマッチに起因する離職についてはエンゲージメントの低下によるリスクと捉え、改善策を講じております。
エンゲージメントの向上に向けて、社員が自身の希望する業務や職場で働けることが重要であると考え、求人案件数を拡大することでマッチング精度を高めております。また、退職した社員に対しては、継続的に案件を紹介することで再入社を促進し、入社フローの簡素化を図ることによって再入社を容易にしております。このような施策を通じて、社員が自分に合った職場を見つけやすくし、離職のリスクを減少させることを目指しております。
さらに、就業サポートスタッフを各職場に配置し、勤務後のサポート体制を強化することで、エンゲージメントの低下を防止しております。特に半導体領域においては、エンジニア向けのステップアップ支援制度を整備し、社員のキャリア形成を積極的にサポートしております。
これらの取り組みにより、社員のニーズに応えるとともに、エンゲージメントを高い水準で維持することを目指しております。そして、当社グループで働きたいと思う社員の増加を実現し、望まない離職を減少させ、結果として離職率の低下を図ってまいります。
⑤ 派遣単価と技術職社員の賃金の上昇
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、労働市場の売手市場化が進むことで、採用難易度が高まっていくものと予想されます。
そのような採用市場の見通しの中、当社グループは顧客企業からの人材ニーズに応えていくために、より多くの求職者から選ばれ続け、かつ技術職社員の定着を図る必要があります。そのために求職者や技術職社員一人ひとりの経歴、スキル、パフォーマンス等を適正に評価し、派遣単価に反映するとともに技術職社員が適正な賃金を得られる環境の実現に取り組んでまいります。
⑥ 経営管理・事業運営体制の強化
当社グループは、持続的に高い売上高を達成し、利益成長を続けることを目指しております。それに伴い、経営管理や事業運営を行う人員を育成・確保するとともに、事業規模に応じた組織基盤を確立させることが欠かせません。
このため当社グループでは、これらの経営管理や事業運営を支える人員の確保・育成とともに、柔軟な組織運営やそれを支える業務システムの構築等を重要課題として取り組んでおります。
⑦ コーポレート・ガバナンスと内部統制体制の継続的な強化
当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するためにはコーポレート・ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。
当社グループは、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制とそれを適切に監督・監視する体制の構築を図っております。経営の健全性や透明性を確保する観点から、今後も事業規模に応じたコーポレート・ガバナンス体制の強化を継続的に図ってまいります。また、企業規模の拡大やグループ会社の増加等、内部統制の重要度が増してきていることから、グループ全体での内部統制につきましても継続的な強化を図ってまいります。
⑧ M&Aによる事業拡大
当社グループの主力事業である製造業向け人材派遣事業は、業界に先駆けた無期雇用派遣と高い人材供給力や高品質な人材育成・管理体制によって、特に大企業において大きなシェアを獲得しております。一方、地域における職場数や技術者領域や事務領域等の製造工程以外での職種等、当社グループが未だ競争力を発揮できていない領域があります。これらの今後開拓すべき事業領域では、M&Aが有効な手段であると考えております。
当社グループは、採用・育成プラットフォームや既存事業とのシナジーを考慮した上で、ターゲット企業に対して事業の評価を行い、企業価値の向上に資するM&A戦略を推進してまいります。また、買収後にはガバナンス強化を行い早期にグループシナジーが実現できる体制を構築してまいります。
⑨ 業務プロセスの効率化とITによるグループ共通業務基盤の構築
当社グループの各拠点における採用・営業・事務等の業務には、帳票類やプロセスの標準化等、システム導入による効率化の余地があると認識しております。
当社グループでは、課題の抽出やITによる効率化の可能性の検討を重ね、段階的にシステム導入を進めております。特に昨今の生成AI技術の進展を鑑み、定型業務の自動化や資料作成の迅速化等への活用を積極的に推進し、さらなる業務プロセスの効率化を図ってまいります。また、社内専用のセキュアな利用環境の整備を行い、情報セキュリティのリスク管理を徹底してまいります。
⑩ 外国人材の活用促進
わが国では、生産年齢はもとより総人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドは継続するものと予測されております。2019年4月に施行された改正入国管理法では、新たな在留資格が創設される等、外国人材を受入れるための法整備が進んでおります。
当社グループは、2017年より外国人技能実習生を対象とした労務管理代行事業を開始し、企業が外国人材を活用する際に、外国人材の権利保護等のコンプライアンスを遵守する体制を構築してまいりました。
当社グループは新制度「育成就労制度」においても外国人材が日本国内で継続的に働くための受入れ環境の整備や就労支援に取り組む考えです。
加えて、日系人材を海外から招聘する・国内在住の日系人材を採用するためのネットワークの強化と安心して働くことのできる職場環境づくりを進めてまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「はたらく意欲を持ったすべての人にスキルアップやキャリア形成の機会が等しく提供され、公正に処遇される社会の実現」を企業目的として、グループミッションである「はたらく力で、イキイキをつくる。」を実現するため、「はたらく人」と「企業」双方を顧客として捉える「ツインカスタマー戦略」を推進し、事業展開しております。
2030年に向けた長期経営ビジョンとして「これからのはたらき方のプラットフォームになる」を掲げております。これを実現するため、2029年3月期を最終年度とする第5次中期経営計画においては、はたらく人との一度限りの関係にとどまらず、生涯を通して関係を構築することを目指しております。人的資本への投資を行い、はたらく人の意欲と帰属意識を高めることによって、はたらく人自らが事業成長を牽引し、長期経営ビジョンが達成される姿を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的に企業価値を向上させることを経営の目標としております。経営指標としては、財務面では「売上高」「売上総利益」「営業利益」「親会社株主に帰属する当期純利益」及び「1株当たり当期純利益(EPS)」を重視しております。第5次中期経営計画の最終年度である2029年3月期においては、売上高1,850億円、売上総利益350億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益91億円、1株当たり当期純利益(EPS)は15.20円を数値目標としております。また、非財務面においては、「入社数」、「離職率」、「在籍数」を重視しております。第5次中期経営計画の最終年度である2029年3月期においては、入社数は19,400人、離職率は3.9%、在籍数は38,000人を数値目標としております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
(第5次中期経営計画の更新について)
1.第5次中期経営計画の更新の背景
計画初年度である2026年3月期については、事業環境の好転や多様な施策の効果発現を見込み、大幅な増収増益を計画しておりました。その一方で、製造派遣業界においては、需給の逼迫により労働市場の人材不足が継続しており、採用単価の上昇や人材獲得競争の激化を受け、人材採用が難化しております。このため、当社においても採用効率が悪化するなど、採用数が伸び悩んだことにより連結全体の技術社員数が計画を下回りました。また、自動車関連業界における人材サービスを展開するモーター・エナジー事業において、派遣需要の回復を見込んでおりましたが、米国の関税政策による影響を受け派遣需要は前年から横ばいで推移いたしました。こうした外部及び内部要因により計画を下回り進捗していたため、実績との乖離を踏まえ、2029年3月期を最終年度とする数値目標へと見直しを行いました。
2.更新後の第5次中期経営計画の概要
① 第5次中期経営計画における成長戦略
当社グループは、2025年11月に上述のとおり、採用環境の厳しさが継続していることや顧客企業の需要変動を踏まえ、第5次中期経営計画の見直しを行い、より実効性の高い戦略へと転換しております。
具体的には、求職者優位の労働市場の長期化を前提とし、派遣事業においては効率性を重視した経営へとシフトするとともに、自由異動の促進や入退社の柔軟化、選択可能な雇用形態の拡充等を通じて、求職者にとっての就業選択肢の最大化を図ってまいります。
その一環として、製造現場における多様な職場、及びキャリア選択を可能とする当社独自のプラットフォーム「貯まるワーク」の構築を中核戦略と位置付け、働く時間に応じた株式付与などの仕組みを通じて求職者の会員化を促進してまいります。加えて、当該プラットフォームを通じて創出した利益を、株式給付及び安定的な配当として会員へ還元する仕組みを整備することで、エンゲージメントの向上を図り、はたらく人との関係を強化することで「生涯にわたる長期的なパートナーシップ」を構築し、「ワークタイムバリュー(※)」の向上と持続的な事業成長を実現したいと考えております。第5次中期経営計画では、こうした取り組みにより、会員の定着率向上を通じた離職率の低減に加え、募集費等の採用コストの抑制を実現し、収益性の向上につなげてまいります。
(※) 求職者が断続的に当社を通じて働くことで得られる一人当たりの生涯売上高
さらに、成長機会の取り込みに向けて、人材紹介事業への本格参入を進め、多様な雇用ニーズに対応したサービス基盤の構築を推進いたします。これにより、契約社員・正社員等の多様な就業機会の提供や外国人材の活用、同業他社への人材紹介の拡大を通じて、新たな収益源の確立を目指してまいります。
加えて、株主還元については安定性と継続性を重視し、配当性向の向上を図るとともに、一定水準の1株当たり配当額の確保に努めてまいります。これらの取り組みにより、当社グループは、安定した収益基盤の維持・拡充と成長分野への積極的な投資を両立させ、中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
② 更新後の中期経営計画の目標数値
| 単位 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 業績予想 | 2028年3月期 目標 | 2029年3月期 目標 | |
| 売上高 | 億円 | 1,668 | 1,700 | 1,800 | 1,850 |
| 営業利益 | 億円 | 106 | 100 | 120 | 150 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 億円 | 71 | 61 | 74 | 91 |
| EPS | 円 | 12.37 | 10.70 | 12.36 | 15.20 |
| 1株当たり配当金 | 円 | 12.25 | 10.23 | 10.00 | 10.00 |
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
第5次中期経営計画を実行し、持続的な企業価値の向上を目指す上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。
① 景気変動の影響を受けにくい事業基盤の構築
当社グループの事業は、製造工場の生産現場を中心とした職種への人材派遣や製造請負の占める割合が高いため、景気変動、自然災害及び感染症等の事象に影響される派遣先企業の生産調整によって、人材需要低下等の影響を受けやすい構造にあります。従来は半導体・電子部品関連分野の割合が高かったことから、シリコンサイクルの影響を低減するため、異なる製品分野への分散を図ってまいりました。分散化により、個別の製品分野に対する生産変動への耐性は高まったものの、経済全体の減速に伴い全ての製品分野において生産量の減少が生じた際には、依然として解約リスクをゼロにすることは難しいと認識しております。
そのため、大幅な景気後退が生じた際の解約リスクを低減するための顧客工場内シェアの拡大や製造業の中でも景気変動の影響を受けにくい製造技術領域等の職種開拓を進めております。併せて、職業紹介事業に参入し求人数も拡充することで地域ごとの多様な人材需要を満たすエージェント事業の強化を進め、シリコンサイクル等の景気変動の影響を受けにくい事業基盤を構築してまいります。
② 恒常的な欠員確保
当社グループの事業は、派遣先企業で働く派遣労働者を当社グループで正社員として無期雇用することで、はたらく人の雇用の安定化と企業へのフレキシビリティの提供を両立させております。この事業モデルを機能させるためには、ある職場で人員が余剰となった際に、異なる職場への配置転換を迅速に行わなければなりません。そのため、全国各地の職場において、欠員(受注残)を恒常的に確保しておくための活動が必要となります。
当社グループでは、人材管理とともに顧客への提案活動を行う管理者を顧客毎に配置して欠員の確保を行っております。また、事業部毎に設置した営業組織により、事業会社を横断したサービス提案や新規顧客開拓等の活動を通じた欠員の確保を行っております。
③ 多様な人材の活躍促進と安定的な採用体制の構築
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドが継続するものと予測されております。当社グループの技術職社員の多くが若年層であり、中長期的にはこの影響を大きく受けることから、人材採用が困難になる可能性があります。
このような環境の中、女性・シニア・外国人など多様な属性の人材が活躍できる職場を増やしていくことが重要課題であると認識しております。このため当社グループでは、新たな顧客企業の開拓を進めるとともに、従業員から寄せられる職場改善に関する意見や求職者のニーズをもとに、顧客企業側により多様な人材を受け入れることができる職場づくりの提案を積極的に行っております。
当社グループは、求人広告をはじめとする様々な採用媒体の活用や当社グループ独自の求人サイトの構築、応募から入社までにかかるプロセスの短縮化等を実施し、安定的に人材を採用するための改善を進めてまいります。
④ 技術職社員の離職率低下とエンゲージメント向上
当社グループが属する製造派遣業界における派遣社員の離職率は、いわゆる正規雇用と呼ばれる正社員と比較すると高水準と言われており、流動性が高いことが特徴となっております。当社グループでは、社員のキャリアアップを目的とした離職は自由に認める一方で、職場や業務内容のミスマッチに起因する離職についてはエンゲージメントの低下によるリスクと捉え、改善策を講じております。
エンゲージメントの向上に向けて、社員が自身の希望する業務や職場で働けることが重要であると考え、求人案件数を拡大することでマッチング精度を高めております。また、退職した社員に対しては、継続的に案件を紹介することで再入社を促進し、入社フローの簡素化を図ることによって再入社を容易にしております。このような施策を通じて、社員が自分に合った職場を見つけやすくし、離職のリスクを減少させることを目指しております。
さらに、就業サポートスタッフを各職場に配置し、勤務後のサポート体制を強化することで、エンゲージメントの低下を防止しております。特に半導体領域においては、エンジニア向けのステップアップ支援制度を整備し、社員のキャリア形成を積極的にサポートしております。
これらの取り組みにより、社員のニーズに応えるとともに、エンゲージメントを高い水準で維持することを目指しております。そして、当社グループで働きたいと思う社員の増加を実現し、望まない離職を減少させ、結果として離職率の低下を図ってまいります。
⑤ 派遣単価と技術職社員の賃金の上昇
わが国では、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が続いており、労働市場の売手市場化が進むことで、採用難易度が高まっていくものと予想されます。
そのような採用市場の見通しの中、当社グループは顧客企業からの人材ニーズに応えていくために、より多くの求職者から選ばれ続け、かつ技術職社員の定着を図る必要があります。そのために求職者や技術職社員一人ひとりの経歴、スキル、パフォーマンス等を適正に評価し、派遣単価に反映するとともに技術職社員が適正な賃金を得られる環境の実現に取り組んでまいります。
⑥ 経営管理・事業運営体制の強化
当社グループは、持続的に高い売上高を達成し、利益成長を続けることを目指しております。それに伴い、経営管理や事業運営を行う人員を育成・確保するとともに、事業規模に応じた組織基盤を確立させることが欠かせません。
このため当社グループでは、これらの経営管理や事業運営を支える人員の確保・育成とともに、柔軟な組織運営やそれを支える業務システムの構築等を重要課題として取り組んでおります。
⑦ コーポレート・ガバナンスと内部統制体制の継続的な強化
当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現するためにはコーポレート・ガバナンス体制の強化が重要であると認識しております。
当社グループは、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制とそれを適切に監督・監視する体制の構築を図っております。経営の健全性や透明性を確保する観点から、今後も事業規模に応じたコーポレート・ガバナンス体制の強化を継続的に図ってまいります。また、企業規模の拡大やグループ会社の増加等、内部統制の重要度が増してきていることから、グループ全体での内部統制につきましても継続的な強化を図ってまいります。
⑧ M&Aによる事業拡大
当社グループの主力事業である製造業向け人材派遣事業は、業界に先駆けた無期雇用派遣と高い人材供給力や高品質な人材育成・管理体制によって、特に大企業において大きなシェアを獲得しております。一方、地域における職場数や技術者領域や事務領域等の製造工程以外での職種等、当社グループが未だ競争力を発揮できていない領域があります。これらの今後開拓すべき事業領域では、M&Aが有効な手段であると考えております。
当社グループは、採用・育成プラットフォームや既存事業とのシナジーを考慮した上で、ターゲット企業に対して事業の評価を行い、企業価値の向上に資するM&A戦略を推進してまいります。また、買収後にはガバナンス強化を行い早期にグループシナジーが実現できる体制を構築してまいります。
⑨ 業務プロセスの効率化とITによるグループ共通業務基盤の構築
当社グループの各拠点における採用・営業・事務等の業務には、帳票類やプロセスの標準化等、システム導入による効率化の余地があると認識しております。
当社グループでは、課題の抽出やITによる効率化の可能性の検討を重ね、段階的にシステム導入を進めております。特に昨今の生成AI技術の進展を鑑み、定型業務の自動化や資料作成の迅速化等への活用を積極的に推進し、さらなる業務プロセスの効率化を図ってまいります。また、社内専用のセキュアな利用環境の整備を行い、情報セキュリティのリスク管理を徹底してまいります。
⑩ 外国人材の活用促進
わが国では、生産年齢はもとより総人口の減少が続いており、将来的にもこのトレンドは継続するものと予測されております。2019年4月に施行された改正入国管理法では、新たな在留資格が創設される等、外国人材を受入れるための法整備が進んでおります。
当社グループは、2017年より外国人技能実習生を対象とした労務管理代行事業を開始し、企業が外国人材を活用する際に、外国人材の権利保護等のコンプライアンスを遵守する体制を構築してまいりました。
当社グループは新制度「育成就労制度」においても外国人材が日本国内で継続的に働くための受入れ環境の整備や就労支援に取り組む考えです。
加えて、日系人材を海外から招聘する・国内在住の日系人材を採用するためのネットワークの強化と安心して働くことのできる職場環境づくりを進めてまいります。