有価証券報告書-第18期(2024/06/01-2025/05/31)
(2)戦略
①気候変動に対する取り組み
<全般的取り組み>2022年5月期より、パリ協定(※1)が示す「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目標」達成に向けた取り組みに着手し、TCFD(※2)の枠組みに沿った環境情報を当社のホームページ(URL https://www.ej-hds.co.jp/sustainability/s_environment/tcfd.html)で継続的に開示しております。
前連結会計年度(2024年5月期)において、SBTイニシアティブ(※3)より、当社のCO₂排出量削減目標が、世界の気温上昇を1.5℃以下に抑えることを目指した科学的根拠に基づくものであるとの認定(SBT認定)を取得するとともに、2022年5月期より開始した環境評価の情報開示に国際的に取り組む非政府組織(NGO)であるCDP(※4)が主催する気候変動情報開示に対する活動を評価する「気候変動プログラム」において、2年連続で「B」スコアを取得いたしました。
※1 パリ協定:
2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で成立した2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みで、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2.0℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目的とする国際協定を指しております。
※2 TCFD:
気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」を指し、気候変動に関する情報開示の項目及び内容について提言しております。
※3 SBTイニシアティブ:
複数の気候関連イニシアティブによる共同イニシアティブであり、企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ、1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進しております。
※4 CDP:
機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトを指します。2000年の発足当初は「Carbon Disclosure Project」が正式名称でありましたが、現在はCarbon以外も対象とすることから、略称のCDPが正式名称となっております。このプロジェクトは発足以降、主要国の時価総額の上位企業に対して、毎年質問表が送付されており、企業側からの回答率も年々高まってきております。日本国内でも2005年より活動を始めており、2021年度までは日本企業のトップ500社を対象としておりましたが、2022年度からその対象を東京証券取引所プライム市場上場会社に拡大し、2024年度にはプライム上場企業の70%以上を含む、2,100社以上が回答しております。
当連結グループは、2022年5月期に、グループ会社全体を対象として、気候変動によるリスク・機会の特定・評価、気候関連問題が事業に与える中長期的な影響を把握するため、TCFDフレームワークに準拠したシナリオ分析を実施しております。
<シナリオ分析>シナリオ分析の概要は以下のとおりであります。
・分析の時間軸は、当社の長期ビジョンの最終年度である2030年からカーボンニュートラルの目標年度である2050年までの中長期を対象といたしました。
・分析においては、以下に示すシナリオを採用し、政策や市場動向の移行リスク・機会と、地球温暖化による水面上昇や自然災害などによる水面上昇や自然災害などによる物理的変化に起因する物理的リスク・機会の特定と財務的影響を定性評価いたしました。採用した主なシナリオは以下のとおりであります。
(移行シナリオ)
国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS及びNZE)
(物理的シナリオ)
国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4.0℃を超えるシナリオ
・各シナリオの前提条件は、各国際機関等が公表している将来的な気候予測や、日本政府による各種データにもとづき設定いたしました。
<事業インパクト評価>・シナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)評価結果は下記の通りです。
・財務的影響につきましては、2030年の営業利益目標に対する影響程度を大、中、小の3段階で評価いたしました。
■1.5℃シナリオに対する移行リスク
■4.0℃シナリオに対する物理リスク
<気候関連のリスクと機会に対する対応策>・事業インパクト評価により特定されたリスクと機会のうち、インパクトが大きいと判断された機会に対して、現時点で考えられる対策例を以下に示しております。
・当連結グループでは、長期ビジョンのもと、このような対応を推し進めるとともに、これらの機会を確実にとらえて、SDGs目標の達成につながるサステナブルな世界の進展に貢献してまいります。
②人的資本・多様性(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)に関する取り組み
当連結グループは、グループ事業の発展が社会に貢献していくものとして、長期に亘る業容拡大を目指しています。この成長を作り出すのは、人材と適切な職場環境であり、「人材は会社にとって最大の資本であり、その確保・育成に努める」ことを人材基本方針として掲げ、社員の満足度を高め、やりがいのある職場づくりを目的に、働き方改革を推進しております。この取り組みのベースとしているのが生産性の向上です。他の産業に漏れず、建設コンサルタント業界も人手不足の状況にあり、国土交通省が進める「i-Construction」や「CIM」など、AI、ICTを活用した生産性向上を推進しております。また、満足度向上に重要なワーク・ライフ・バランス(WLB)についても取り組みを進め、当社グループの主要子会社である株式会社エイト日本技術開発では、働き方改革のキャッチコピーを定め、社内への浸透を図っております。
一方、建設コンサルタント業界は、大きな変革の時代を迎える中で、従来にも増して活躍の場が広がっております。そして、社会に提供するインフラには、お客さまやご利用者・地域住民のご要望、環境負荷低減、修景、将来への拡張性など、多様な視点・価値観が必要となり、E・Jグループは社員の教育・研修と共に人的資本経営にも力を入れております。
<人的資本経営に関する取り組み方針>E・Jグループがマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)として掲げる「ダイバーシティ経営の実践」では、多様な人材がその能力を最大限に発揮できる環境を提供することによって、個人と組織がともに持続的成長を成し遂げるものです。多様性を確保していくうえで、特に力を入れているのが女性活躍です。元来、建設コンサルタント業界では、女性の就業比率が低く、男性中心の人員構成となっておりました。このような中、グループ子会社である株式会社エイト日本技術開発では2021年より「くるみん」を取得し、同社を含めグループ会社である株式会社共立エンジニヤ、株式会社ダイミックの3社は女性活躍を推進する行動計画を策定し、「えるぼし」の認定を受けています。今後も、他のグループ子会社を含めて、女性管理職比率の向上や男性社員の育休取得率の向上等、女性活躍のための様々な取り組みを積極的に行ってまいります。また、当連結グループにおける「女性活躍推進法」に基づく「全労働者の男女の賃金の差異」は58.1%(EJEC(Thailand) Co.,Ltd.除く)であり、当該差異の縮小を図るべく取り組みを進めてまいります。
<働き方改革の推進>当連結グループでは、全役職員が活き活きと働き、やりがいのある職場づくりを目指して働き方改革を進めております。この働き方改革を進めていくに当たりましては、業務のデジタルシフトによる、“しくみを変え”、“しごとを変える”ことに取り組んでおります。デジタルシフトにより効率化を図り、長時間労働の更なる是正や多様な働き方が可能な環境の整備とともに、多様な人材が能力を最大限に発揮できる新しい働き方を創り出すことに努めております。具体的な取り組みといたしましては、複数のE・Jグループ各社において、ウィークリースタンスの徹底やノー残業デーなどを実施しております。また、E・Jグループ各社のうち株式会社エイト日本技術開発では、「次世代育成 行動計画」を見直し、アニバーサリー休暇を正式に制度化するとともに、育児・介護に係る「勤務地限定正社員制度」も導入しております。
<人材育成>企業経営にとって最大の資産となる人材の育成について、E・Jグループは、3つの領域を考えています。1つ目は、倫理・あり方などの人間としての育成です。2つ目は、働く上でのリーダーシップやマネジメントなどのキャリア形成です。そして、3つ目は、業界の第一線で働き続けるための技術・ノウハウの修得です。この3つの領域を相互に連携させながら、OJTや研修などを通じて社会に開かれた人材の育成を進めてまいります。
特に、建設コンサルタント業界においては、事業領域が拡張することにより習得すべき知識・技術が広がり、日進月歩のテクノロジーの進化を取り込む教育が重要となっているため、株式会社エイト日本技術開発の中に企業内学校として「EJアカデミー」を開設し、E・Jグループ社員が参加することで、グループの技術力の向上・人的資源の拡充を目指しております。
<健康・安全を意識した経営>グループ会社6社では、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、「健康経営優良法人」の認定を取得しており、今後も未取得のグループ会社においても取得を推進してまいります。
また、各グループ子会社では法令に基づき、定期健康診断の受診を徹底するとともに毎年1回、従業員を対象にストレスチェックを実施し、主要子会社である株式会社エイト日本技術開発では、2024年度実施率が97.6%となっております。今後も健康リスク値の状況を判定することで明らかになった課題に対して適切な社内体制の構築及び改善策実施を進めてまいります。
<エンゲージメント向上にむけた取り組み>厳選したプロフェッショナル集団による生産性・効率性の高い経営が当連結グループの収益性の源泉であることから、近年、当連結グループでは、採用活動や研修についてもグループ企業合同で展開し、人的資本の充実に大きく注力しております。特に若年層に対する業務上のノウハウ、専門技術の伝承は一定の期間及び必要な人材を要するため、若年層はもちろんのこと、グループ全体での離職率を増加させない事が課題のひとつであると認識しております。建設コンサルタント業界においても人材の流動化が高まっている事から、当連結グループとしては、上記の取り組みを着実に実施する事で従業員の定着率を高めていくことを目指しており、当期におけるグループ全体の離職率は3.9%(EJEC(Thailand) Co.,Ltd.除く)で、昨年度対比0.6ポイント低減しています。
また、当連結グループでは、当期からグループ全体で独自のエンゲージメント調査を実施し、課題の早期認識、対策の立案、取り組みを実施する事で組織における心理的安全性を確保し、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを高めることに努めています。
①気候変動に対する取り組み
<全般的取り組み>2022年5月期より、パリ協定(※1)が示す「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目標」達成に向けた取り組みに着手し、TCFD(※2)の枠組みに沿った環境情報を当社のホームページ(URL https://www.ej-hds.co.jp/sustainability/s_environment/tcfd.html)で継続的に開示しております。
前連結会計年度(2024年5月期)において、SBTイニシアティブ(※3)より、当社のCO₂排出量削減目標が、世界の気温上昇を1.5℃以下に抑えることを目指した科学的根拠に基づくものであるとの認定(SBT認定)を取得するとともに、2022年5月期より開始した環境評価の情報開示に国際的に取り組む非政府組織(NGO)であるCDP(※4)が主催する気候変動情報開示に対する活動を評価する「気候変動プログラム」において、2年連続で「B」スコアを取得いたしました。
※1 パリ協定:
2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で成立した2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みで、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2.0℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目的とする国際協定を指しております。
※2 TCFD:
気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」を指し、気候変動に関する情報開示の項目及び内容について提言しております。
※3 SBTイニシアティブ:
複数の気候関連イニシアティブによる共同イニシアティブであり、企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ、1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進しております。
※4 CDP:
機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトを指します。2000年の発足当初は「Carbon Disclosure Project」が正式名称でありましたが、現在はCarbon以外も対象とすることから、略称のCDPが正式名称となっております。このプロジェクトは発足以降、主要国の時価総額の上位企業に対して、毎年質問表が送付されており、企業側からの回答率も年々高まってきております。日本国内でも2005年より活動を始めており、2021年度までは日本企業のトップ500社を対象としておりましたが、2022年度からその対象を東京証券取引所プライム市場上場会社に拡大し、2024年度にはプライム上場企業の70%以上を含む、2,100社以上が回答しております。
<シナリオ分析>シナリオ分析の概要は以下のとおりであります。
・分析の時間軸は、当社の長期ビジョンの最終年度である2030年からカーボンニュートラルの目標年度である2050年までの中長期を対象といたしました。
・分析においては、以下に示すシナリオを採用し、政策や市場動向の移行リスク・機会と、地球温暖化による水面上昇や自然災害などによる水面上昇や自然災害などによる物理的変化に起因する物理的リスク・機会の特定と財務的影響を定性評価いたしました。採用した主なシナリオは以下のとおりであります。
(移行シナリオ)
国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS及びNZE)
(物理的シナリオ)
国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4.0℃を超えるシナリオ
・各シナリオの前提条件は、各国際機関等が公表している将来的な気候予測や、日本政府による各種データにもとづき設定いたしました。
<事業インパクト評価>・シナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)評価結果は下記の通りです。
・財務的影響につきましては、2030年の営業利益目標に対する影響程度を大、中、小の3段階で評価いたしました。
■1.5℃シナリオに対する移行リスク
| 分類 | 要因 | 2030年度における 事業インパクト | リスク | 機会 | 影響の時間軸 | 2030年度における財務的影響 | 対応策 |
| 政策・規制 | 脱炭素社会に向けた規制強化(炭素税の導入等) | ・炭素税(140ドル/ton×3700tco2)の負担額増加(2030年度のスコープ1,2のCO₂排出総量に対する課税を想定) ・CO₂削減のための対策費用の増 | ● | ~ 2030 | 中 | CO₂排出量の削減(省エネ施設への更新、再エネへの転換、ハイブリッド車及び電気自動車への更新 等 | |
| 市場 | 脱炭素社会向け商品・事業のニーズ増加・拡大 | ・CO₂削減・環境負荷軽減事業への参画の可能性 ・再エネ管理事業への参入の可能性 ・新技術、新素材の開発の可能性 | ● | ~ 2030 | 中 | 脱炭素関連の新規事業への参入、研究開発の強化 | |
| 市場 | ESG投資の拡大 | ・脱炭素への取り組み姿勢の評価による投資の拡大 | ● | ~ 2030 | 小~中 | 環境関連施策の確実な実践 |
■4.0℃シナリオに対する物理リスク
| 分類 | 要因 | 2030年度における 事業インパクト | リスク | 機会 | 影響の時間軸 | 2030年度における財務的影響 | 対応策 |
| 慢性 | 平均気温上昇 | ・野外での労働条件の悪化に対するコスト増 | ● | ~2050 | 小 | 野外労働環境の改善、現場作業の省人化の推進、劣悪環境に対する手当の考慮 | |
| 急性 | 集中豪雨に起因する気象災害の激甚化 | ・災害対応業務のニーズ拡大 ・国土強靭化への対応に関するニーズ拡大 | ● | ~ 2050 | 大 | 災害対応、国土強靭化対応の強化、人員のシフト、関連技術の研究開発・アライアンスの強化 | |
| 急性 | 降水量の減少 | ・水環境関連業務のニーズ拡大 | ● | ~ 2050 | 大 | 水環境関連対応の強化、人員のシフト、関連技術の研究開発・アライアンスの強化 | |
| 急性 | 海面上昇、気象災害の激甚化 | ・事業所の土砂・洪水災害リスクへの対応 | ● | ~ 2050 | 小 | 事業所の洪水リスクは限定的 |
<気候関連のリスクと機会に対する対応策>・事業インパクト評価により特定されたリスクと機会のうち、インパクトが大きいと判断された機会に対して、現時点で考えられる対策例を以下に示しております。
・当連結グループでは、長期ビジョンのもと、このような対応を推し進めるとともに、これらの機会を確実にとらえて、SDGs目標の達成につながるサステナブルな世界の進展に貢献してまいります。
| 分類 | 要因 | 対応例 |
| 移行/市場 | 脱炭素社会向け商品・事業のニーズ増加・拡大 | ・再エネ(バイオマス)関連計画の拡大 ・脱炭素を目指した廃棄物処理システムの再構築 |
| 急性 | 異常気象の激甚化による災害発生への対応 | ・グリーンインフラ形成 ・再エネ利用スマートシティ ・流域治水計画、立地適正化 ・河川、砂防施設の更新 ・避難計画、被害想定、BCP、防災訓練・防災計画の更新 ・減災計画の見直し ・土砂災害対策施設の更新・新設 ・各種監視、避難誘導、情報伝達システムの新設更新 ・雨水管理計画の見直し、処理場・ポンプ場施設の更新 |
| 物理的/急性 | 降水量の減少 | ・灌漑事業の拡大 ・地下水利用計画 |
②人的資本・多様性(人材の育成及び社内環境整備に関する方針)に関する取り組み
当連結グループは、グループ事業の発展が社会に貢献していくものとして、長期に亘る業容拡大を目指しています。この成長を作り出すのは、人材と適切な職場環境であり、「人材は会社にとって最大の資本であり、その確保・育成に努める」ことを人材基本方針として掲げ、社員の満足度を高め、やりがいのある職場づくりを目的に、働き方改革を推進しております。この取り組みのベースとしているのが生産性の向上です。他の産業に漏れず、建設コンサルタント業界も人手不足の状況にあり、国土交通省が進める「i-Construction」や「CIM」など、AI、ICTを活用した生産性向上を推進しております。また、満足度向上に重要なワーク・ライフ・バランス(WLB)についても取り組みを進め、当社グループの主要子会社である株式会社エイト日本技術開発では、働き方改革のキャッチコピーを定め、社内への浸透を図っております。
一方、建設コンサルタント業界は、大きな変革の時代を迎える中で、従来にも増して活躍の場が広がっております。そして、社会に提供するインフラには、お客さまやご利用者・地域住民のご要望、環境負荷低減、修景、将来への拡張性など、多様な視点・価値観が必要となり、E・Jグループは社員の教育・研修と共に人的資本経営にも力を入れております。
<人的資本経営に関する取り組み方針>E・Jグループがマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)として掲げる「ダイバーシティ経営の実践」では、多様な人材がその能力を最大限に発揮できる環境を提供することによって、個人と組織がともに持続的成長を成し遂げるものです。多様性を確保していくうえで、特に力を入れているのが女性活躍です。元来、建設コンサルタント業界では、女性の就業比率が低く、男性中心の人員構成となっておりました。このような中、グループ子会社である株式会社エイト日本技術開発では2021年より「くるみん」を取得し、同社を含めグループ会社である株式会社共立エンジニヤ、株式会社ダイミックの3社は女性活躍を推進する行動計画を策定し、「えるぼし」の認定を受けています。今後も、他のグループ子会社を含めて、女性管理職比率の向上や男性社員の育休取得率の向上等、女性活躍のための様々な取り組みを積極的に行ってまいります。また、当連結グループにおける「女性活躍推進法」に基づく「全労働者の男女の賃金の差異」は58.1%(EJEC(Thailand) Co.,Ltd.除く)であり、当該差異の縮小を図るべく取り組みを進めてまいります。
<働き方改革の推進>当連結グループでは、全役職員が活き活きと働き、やりがいのある職場づくりを目指して働き方改革を進めております。この働き方改革を進めていくに当たりましては、業務のデジタルシフトによる、“しくみを変え”、“しごとを変える”ことに取り組んでおります。デジタルシフトにより効率化を図り、長時間労働の更なる是正や多様な働き方が可能な環境の整備とともに、多様な人材が能力を最大限に発揮できる新しい働き方を創り出すことに努めております。具体的な取り組みといたしましては、複数のE・Jグループ各社において、ウィークリースタンスの徹底やノー残業デーなどを実施しております。また、E・Jグループ各社のうち株式会社エイト日本技術開発では、「次世代育成 行動計画」を見直し、アニバーサリー休暇を正式に制度化するとともに、育児・介護に係る「勤務地限定正社員制度」も導入しております。
<人材育成>企業経営にとって最大の資産となる人材の育成について、E・Jグループは、3つの領域を考えています。1つ目は、倫理・あり方などの人間としての育成です。2つ目は、働く上でのリーダーシップやマネジメントなどのキャリア形成です。そして、3つ目は、業界の第一線で働き続けるための技術・ノウハウの修得です。この3つの領域を相互に連携させながら、OJTや研修などを通じて社会に開かれた人材の育成を進めてまいります。
特に、建設コンサルタント業界においては、事業領域が拡張することにより習得すべき知識・技術が広がり、日進月歩のテクノロジーの進化を取り込む教育が重要となっているため、株式会社エイト日本技術開発の中に企業内学校として「EJアカデミー」を開設し、E・Jグループ社員が参加することで、グループの技術力の向上・人的資源の拡充を目指しております。
<健康・安全を意識した経営>グループ会社6社では、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められ、「健康経営優良法人」の認定を取得しており、今後も未取得のグループ会社においても取得を推進してまいります。
また、各グループ子会社では法令に基づき、定期健康診断の受診を徹底するとともに毎年1回、従業員を対象にストレスチェックを実施し、主要子会社である株式会社エイト日本技術開発では、2024年度実施率が97.6%となっております。今後も健康リスク値の状況を判定することで明らかになった課題に対して適切な社内体制の構築及び改善策実施を進めてまいります。
<エンゲージメント向上にむけた取り組み>厳選したプロフェッショナル集団による生産性・効率性の高い経営が当連結グループの収益性の源泉であることから、近年、当連結グループでは、採用活動や研修についてもグループ企業合同で展開し、人的資本の充実に大きく注力しております。特に若年層に対する業務上のノウハウ、専門技術の伝承は一定の期間及び必要な人材を要するため、若年層はもちろんのこと、グループ全体での離職率を増加させない事が課題のひとつであると認識しております。建設コンサルタント業界においても人材の流動化が高まっている事から、当連結グループとしては、上記の取り組みを着実に実施する事で従業員の定着率を高めていくことを目指しており、当期におけるグループ全体の離職率は3.9%(EJEC(Thailand) Co.,Ltd.除く)で、昨年度対比0.6ポイント低減しています。
また、当連結グループでは、当期からグループ全体で独自のエンゲージメント調査を実施し、課題の早期認識、対策の立案、取り組みを実施する事で組織における心理的安全性を確保し、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを高めることに努めています。