有価証券報告書-第21期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/26 15:01
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有報資料

(1) 業績
当事業年度におきましては、政府の経済政策を背景に、雇用情勢や企業収益等で緩やかな改善が見られましたが、中国などの新興国の景気減速懸念、英国のEU離脱、米国の新政権誕生等の影響により、景気は依然として先行きの不透明な状況が続いております。
このような政治経済環境のもと、当社は主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、提携先の開拓などに積極的に取り組んでまいりました。
(主要パイプラインの進捗状況)
4つの主要パイプラインの進捗状況は下記のとおりです。
シスプラチンミセル(NC-6004)につきましては、自社開発製品第一号として自社及びライセンス先との共同開発によりグローバル開発を推進しております。ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.と共に、アジア地域(台湾、香港、シンガポール、韓国、フィリピン、マレーシア及び日本)で、転移性及び進行性膵がんを対象に薬剤併用療法による第Ⅲ相臨床試験を実施しております。日本における頭頸部がんを対象とした放射線との併用療法による第Ⅰ相臨床試験は、平成28年12月、中止を決定いたしました。その影響を受けて、上述の第Ⅲ相臨床試験においては、患者の安全性に配慮するため新規患者登録を控えておりましたが、第三者機関であるデータ安全性モニタリング委員会より、平成29年2月に当該試験の「継続」勧告を受け、平成29年4月に治験計画の変更内容が適切である旨の通知を受け、新規患者登録の再開を決定いたしました。引き続き安全性に留意しながら本試験を推進し、承認取得を目指してまいります。一方、欧米においては自社開発を推進しており、第Ⅰb/Ⅱ相臨床試験が進捗しております。第Ⅰb相パート終了後、第Ⅱ相パートに移行時に、バスケットデザイン試験として対象疾患を非小細胞肺がん、膀胱がん、胆道がんの3適応症に拡大して欧米で試験を進めております。また、薬剤併用療法による再発・転移頭頸部がんを対象とした開発も欧米における第I/Ⅱ相臨床試験として実施中です。当該適応に関しては、台湾においてもライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.と共に、第Ⅰ相臨床試験を実施しております。複数の適応症を対象にした試験を複数の地域で併行実施することにより、有効性・安全性の幅広い成績を取得し、本剤の有用性が高いがん種を見出し、早期の承認申請を可能にすることを目指しております。
ダハプラチンミセル(NC-4016)につきましては、プラチナ製剤第二弾として、自社開発により米国で固形がんを対象にした第Ⅰ相臨床試験を実施しており、患者登録を完了し主要目標である推奨用量を決定いたしました。今後、観察期間を経てデータ解析を実施し、次段階の試験デザインの検討を進めてまいります。
エピルビシンミセル(NC-6300)につきましては、平成28年10月、ビジネス上の事由による興和株式会社からのライセンス及び共同開発契約の解約申出に伴い、本品の開発を承継することを決定いたしました。国内で実施された第Ⅰ相臨床試験では、エピルビシン特有の副作用である嘔吐や骨髄毒性などの抑制傾向が見られ、エピルビシンの臨床投与量である60mg/㎡または100mg/㎡(乳がん治療の例)を超える用量まで投与可能となり、推奨投与量は170mg/㎡に決定されました。この試験においては、心機能の低下傾向は認められず、12か月間を超える投与例が存在し、継続的な治療の可能性が見出されております。当社は、この第Ⅰ相臨床試験の結果を活用し、希少がんである軟部肉腫を適応とした米国での開発を推進し早期承認を目指すため、平成28年12月、第I/Ⅱ相臨床試験に関する治験計画届出書(IND)を米国食品医薬品局(FDA)に提出し受理されました。現在、患者登録開始に向けた準備を進めております。
パクリタキセルミセル(NK105)につきましては、日本を含むアジア地域を対象としたライセンス先である日本化薬株式会社により、転移・再発乳がんを適用対象にした第Ⅲ相臨床試験(国際共同試験)が進められておりましたが、平成28年7月、同試験において主要評価項目が達成されなかったと発表されました。同社によると、現在、追加臨床試験を計画中とのことであります。
<開発パイプラインの状況>
品目対象疾患ステージ地域開発形態/企業
NC-6004膵がんPhase Ⅲアジア台湾ライセンス及び共同開発/
Orient Europharma
シンガポール
香港
韓国
フィリピン
マレーシア
日本
頭頸部がんPhase Ⅰ台湾
肺がんPhase Ⅱ米国・欧州自社開発
胆道がん
膀胱がん
頭頸部がんPhase Ⅰ/Ⅱ
NC-4016固形がんPhase Ⅰ米国自社開発
NC-6300軟部肉腫Phase Ⅰ/Ⅱ米国自社開発
NK105乳がんPhase Ⅲ日本・アジアライセンスアウト/
日本化薬

(新規開発パイプラインの進捗状況)
新規開発パイプラインにつきましては、当社独自の先進基盤技術である抗体/薬物結合型ミセル「ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)」を用いた次世代型医薬品パイプラインの開発を推進しています。当社は、エーザイ株式会社より導入したがん抑制作用の強いE7974とセンサーである抗体を結合したActive型ミセル化ナノ粒子を開発することにより、がん細胞へのターゲティング性能を高め、抗腫瘍作用をさらに高めることで治療域を拡大する新規医薬品の開発を進めております。また、国内の大手企業数社との共同研究等により、さらなる提携を探索・推進しつつ、開発パイプラインの拡充に精力的に取り組んでおります。
低分子医薬品に加え、より副作用が少ないとされているsiRNAなどの核酸や、タンパク質医薬品などの高分子医薬品に対するミセル化ナノ粒子技術の応用にも取り組んでおります。当社は、独自の核酸デリバリー技術「NanoFect®」を確立し、さらに抗体結合技術を付加したActive型NanoFect®とすることでターゲティング機能を向上させた次世代型DDS医薬品の開発を進めております。中外製薬株式会社との間では、Active型NanoFect®を基に、これまでにないファースト・イン・クラスのsiRNA医薬品開発を目指した共同研究開発を推進しております。
国内外の製薬・バイオ企業や大学・研究機関等との共同研究開発プロジェクトについても積極的に取り組んでおります。
(化粧品事業の状況)
化粧品事業につきましては、平成28年3月、当社は株式会社アルビオンとの共同開発製品である男性用スカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」のインターネット販売を開始しました。「Depth」は、当社のミセル化ナノ粒子技術を利用した製品であり、頭皮のスキンケアを通じ育毛の土台を整えることにより、健康的な頭皮・頭毛に導くための4パートシステムを採用し、これまでの育毛製品とは異なる発想から開発された新製品であります。同製品は美容室でのカウンセリング販売も行われており、取扱い店舗は増加しております。同製品のマーケティングに関しては、共同開発先である同社と協働し、顧客から長期的な支持を獲得できるような強いブランドとして育成することを目指した戦略的なマーケティング活動を展開しております。その成果として、大手百貨店や化粧品専門店による取扱いが開始されました。製品価値の高い、注目のブランド製品を取り扱う中心的な百貨店である伊勢丹新宿本館やメンズ館に、期間限定ショップを出店し、さらには、化粧品専門店として業界が注目する粧苑SUKIYA S-PAL店のメンズ売り場において、「Depth」の取扱いが開始されました。
女性用化粧品に関しましては、平成28年4月、同社が新たに販売を開始した薬用美白美容液エクシアAL ホワイトニングイマキュレートエッセンスIDD用の原材料を供給しております。同社に対しては、以前から美容液エクラフチュールの原材料も供給しておりますが、次世代型エクラフチュールの開発に向けた同社との共同研究開発も進めております。このように当社は、医薬品分野のみならず、化粧品分野においても主力成分を封入した高性能ミセル化ナノ粒子技術の研究開発に積極的に取り組んでおります。
(事業開発の状況)
事業開発活動におきましては、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のため、有力な企業との資本・事業提携、M&A等についての活動を行っております。
当事業年度におきましては、平成29年3月、TPG Biologics, Inc.(台湾)への出資及び共同研究契約を締結することを決定し、平成29年4月に出資を完了いたしました。共同研究においては、同社が所有する抗体などバイオ医薬品の製造に関連した技術と当社のADCMを融合した新しい技術基盤の確立を目指します。
また、平成29年4月、Tocagen Inc.(米国)に出資することを決定し、出資を完了いたしました。同社は、ユニークなプラットフォーム技術を有して脳腫瘍などを対象としたがん治療薬の開発を推進しており、現在、第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を実施しております。同社技術の将来における可能性に注目し、出資を決定いたしました。
以上の結果、当事業年度は、契約収入、化粧品材料供給収入、化粧品売上等により売上高は218,694千円(前事業年度比10.1%減)、営業損失は2,712,219千円(前事業年度営業損失2,082,678千円)、外国為替相場の変動による為替差損45,566千円、主に定期預金にかかる受取利息42,540千円、主に外貨建て債券にかかる有価証券利息19,154千円等により経常損失は2,619,075千円(前事業年度経常損失2,381,182千円)となり、新株予約権戻入益8,525千円、固定資産の減損処理等による減損損失61,821千円等を計上した結果、当期純損失は2,676,049千円(前事業年度当期純損失2,537,148千円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前事業年度末に比べ3,064百万円減少し7,385百万円となりました。当事業年度のキャッシュ・フローの概況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税引前当期純損失2,672百万円に、減損損失61百万円、たな卸資産の増加額126百万円、未払金の増加額100百万円等の調整がされた結果、2,525百万円の支出(前事業年度は1,971百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、597百万円の支出(前事業年度は7,384百万円の収入)となりました。定期預金の預入による支出2,010百万円、定期預金の払戻による収入1,736百万円、有形固定資産の取得による支出176百万円、有価証券の取得による支出5,200百万円、有価証券の償還による収入5,166百万円、投資有価証券の取得による支出112百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、88百万円の収入(前事業年度は3,101百万円の収入)となりました。新株予約権の行使による株式の発行による収入88百万円等によるものです。

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