有価証券報告書-第25期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① 金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当事業年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
② 有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当事業年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社では、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
① 平成28年度のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、平成28年度前半にかけて緩やかに減速した後、年末には持ち直し、緩やかに回復してきました。新興国経済の一部には弱さが残りますが、中国経済に持ち直しの動きが見られるほか、米国を中心とした先進国経済が引き続き底堅く推移しています。平成28年11月に行われた米国大統領選挙の結果を受け、次期大統領の掲げる拡張的な財政政策が米国経済の拡大につながり、グローバルにも好影響をもたらすとの見方が広がりました。ただし、平成29年年初にスタートした新政権の政策運営の不透明感から、同年3月末にかけて、世界の金融市場の期待感はやや低下しました。
米国経済は平成28年4-6月期に、雇用環境が着実に改善するなか、個人消費が加速する動きが見られました。さらに、7-9月期には輸出が大幅に拡大し、実質GDP成長率は前期比年率3.5%増と2年ぶりの高い成長率を記録しました。10-12月期の実質GDP成長率は減速したものの、個人消費や住宅投資など内需が下支え役となり、底堅く推移しました。しかし、平成29年1-3月期に入って個人消費が減速し、同1.2%増と低成長に留まりました。ただし 、雇用・所得環境が安定しており、個人消費の拡大を支えるファンダメンタルズは引き続き堅調なことから、1-3月期の落ち込みは一時的である可能性が高まっています。金融面では、米国国内の景気回復を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は平成28年12月に続いて、平成29年3月にも政策金利を引き上げました。新政権への期待感に加えて、底堅い米国経済を材料に米国株式市場では騰勢が続き、NYダウ平均株価は3月初めに過去最高値を更新しました。
欧州経済は、ECB(欧州中央銀行)によるマイナス金利政策や原油価格の低迷などを背景に、緩やかながら安定した成長が続いています。平成28年10-12月期、平成29年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、それぞれ前期比0.5%増と16四半期連続のプラス成長となりました。なかでも、個人消費は低金利や低インフレ、雇用環境の改善の追い風を受けて景気拡大の主役になっています。また、足下では、個人消費に比べて回復が遅れていた固定資本形成の伸びが高まるなど、企業の生産活動が加速する動きが見られます。金融面では、ECBは平成28年12月の金融政策委員会で、平成29年4月から量的緩和の規模を縮小させる一方、資産買取を少なくとも同年12月末まで継続する方針を決定しました。
新興国経済については、中国の実質GDP成長率は、平成28年度4-6月期及び7-9月期は各々前年比6.7%増でしたが、10-12月期は6.8%増、平成29年1-3月期は6.9%増と年度後半にかけて徐々に加速しました。政府が実施する様々な景気対策の効果によって、景気は持ち直しの動きが見られ、安定した成長を続けています。堅調なサービス消費に支えられた個人消費が経済全体を牽引しており、足下ではその傾向が強まっています。また、規制緩和やインフラ計画への参入といった政策効果から、民間部門の固定資産投資も増加しました。ただし、不動産価格の高騰や企業の過剰設備・過剰債務の問題などについては、金融市場のリスク要因として、引き続き留意していく必要があります。一方、中国以外の新興国では、一部に弱さが見られますが、輸出の増加や各国の景気対策によって、景気回復の兆しが見られます。
<日本の状況>日本経済は「踊り場」局面から脱し、緩やかながらも拡大しつつあります。内需低迷の影響はあるものの、旺盛な外需に牽引される形で、鉱工業生産は平成28年の夏場以降、持ち直しています。また、非製造業の活動を示す第三次産業活動指数は、事業所向け関連サービスなどを中心に緩やかな拡大基調を辿ってきましたが、平成28年度後半には横ばいで推移しています。
GDPに占めるウエイトの大きい個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、緩やかながらも拡大しています。失業率が3%を下回る水準まで低下するなど労働需給がタイトな状況にあるなか、サービス産業を中心に労働需要の高まりから雇用者数が継続的に増えており、マクロ経済全体で見た賃金は緩やかに増加ペースが高まっています。しかし、可処分所得の伸び悩みや将来不安などを要因として、家計は依然として支出に対する慎重姿勢を崩していません。また、住宅投資については、住宅ローン金利の低下や、相続税対策のための貸家建設の増加などを背景に、平成28年度前半は前期比年率で2桁成長を達成したものの、同年度後半にかけてやや一服感が見られます。
一方、企業の設備投資は一進一退の動きが続いています。企業収益が最高水準を維持しているなか、タイトな労働需給も相俟って、更新投資や省力化投資に積極的な動きが見られます。しかし、内外の先行き不透明感が払拭されないことから、総じて企業は、製造業を中心に設備投資に対する慎重な態度を変えませんでした。
外需に目を向けると、堅調な先進国経済に加えて新興国経済が回復するなど、海外経済が緩やかに拡大していることを背景に、輸出は増加基調にあります。地域別に輸出の動向を見ると、米国やEU向けが堅調に推移したほか、中国経済減速の影響で横ばいだったアジア向けも、平成28年度後半にかけて大きく持ち直しました。品目別に見ると、自動車関連やIC等電子部品といった情報関連、資本財の輸出数量が堅調に増加しました。一方、輸入金額は、内需の伸び悩みや円高の影響を受けて概ね横ばい圏で推移していましたが、平成28年度後半には持ち直しの動きが見られます。
金融面では、平成28年1月に日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を発表しました。マイナス金利政策を受けて、長期金利(10年国債利回り)は2月に史上初のマイナス金利となり、マイナス圏で推移し続けました。さらに、日銀が平成28年9月に、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表し、短期金利に加えて長期金利にも直接コントロールを及ぼすことにより、金融政策の軸足を「量」から「金利」へと移行させる新たな金融政策の導入に踏み切りました。この結果、10年国債利回りはマイナス圏から脱し、概ね0%台で安定的に推移しました。為替レートは平成28年に入ると、海外経済に対する警戒感が強まり、円高が進行しました。さらに、6月、英国でEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票で行われ、英国のEU離脱の方針が決定すると、国際金融市場の先行き警戒感が強まり、円は対ドル、対ユーロで急速に円高方向に進みました。しかし、11月の米国大統領選挙の結果を受け、将来の米国経済への期待感等から日米金利差が拡大するなか、ドルが買われ、為替レートは円安・ドル高基調に転じました。ただし平成29年1月以降、米国の新政権に対する不透明感などが意識されるに伴い、緩やかに円高が進行しました。
平成29年3月末の日経平均株価は18,909円26銭(前年3月末比2,150円59銭高)、10年国債利回りは0.067%(同0.116ポイントの上昇)、為替は1ドル111円80銭(同63銭の円高)となりました。
② 経営成績
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
③ 財政状態
<資産の部>当事業年度末の総資産は10兆2,858億円(前事業年度末比2,383億円減)となりました。内訳は流動資産が10兆1,775億円(同2,420億円減)であり、このうち現金・預金が1兆1,605億円(同308億円増)、トレーディング商品が4兆6,552億円(同7,249億円減)、有価証券担保貸付金が3兆1,729億円(同3,816億円増)となっております。固定資産は1,082億円(同37億円増)となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は9兆4,466億円(同2,963億円減)となりました。内訳は流動負債が8兆2,275億円(同3,338億円減)であり、このうちトレーディング商品が3兆5,294億円(同5,809億円減)、有価証券担保借入金が2兆6,739億円(同4,207億円増)、短期借入金が1兆1,673億円(同1,439億円増)、受入保証金が3,924億円(同1,207億円減)となっております。固定負債は1兆2,151億円(同374億円増)であり、このうち社債が5,943億円(同257億円減)、長期借入金が5,852億円(同622億円増)となっております。
純資産合計は当期純利益584億円を計上したことなどから、8,391億円(同580億円増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準(平成27年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。大和証券グループ本社の平成29年3月期第4四半期日次平均のLCRは145.3%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する体制を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
② 株主資本
当社が株式や債券、デリバディブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。当事業年度末の株主資本は、8,321億円(前事業年度末比584億円増)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は当期純利益584億円を計上した結果、3,822億円(同584億円増)となりました。
(1) 重要な会計方針及び見積もり
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。また、当社は、財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積もりを行っており、これらの見積もりは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積もりと異なることがあり、結果として財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① 金融商品の評価
当社では、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として損益計算書に計上しております。評価に用いる時価は、市場で取引が行われている有価証券やデリバティブ取引については当事業年度末時点の市場価格を、市場価格のない有価証券やデリバティブ取引については理論価格を、それぞれ使用しております。理論価格を算出する際には、対象となる商品や取引について最も適切と考えられるモデルを採用しております。
② 有価証券の減損
当社では、投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。このうち時価のある有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当事業年度末における時価の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。時価の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、時価の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがないと判断したものについては、減損処理を行っております。また、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、実質価額が著しく低下し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合には、減損処理を行っております。
③ 固定資産の減損
当社では、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社では、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
① 平成28年度のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、平成28年度前半にかけて緩やかに減速した後、年末には持ち直し、緩やかに回復してきました。新興国経済の一部には弱さが残りますが、中国経済に持ち直しの動きが見られるほか、米国を中心とした先進国経済が引き続き底堅く推移しています。平成28年11月に行われた米国大統領選挙の結果を受け、次期大統領の掲げる拡張的な財政政策が米国経済の拡大につながり、グローバルにも好影響をもたらすとの見方が広がりました。ただし、平成29年年初にスタートした新政権の政策運営の不透明感から、同年3月末にかけて、世界の金融市場の期待感はやや低下しました。
米国経済は平成28年4-6月期に、雇用環境が着実に改善するなか、個人消費が加速する動きが見られました。さらに、7-9月期には輸出が大幅に拡大し、実質GDP成長率は前期比年率3.5%増と2年ぶりの高い成長率を記録しました。10-12月期の実質GDP成長率は減速したものの、個人消費や住宅投資など内需が下支え役となり、底堅く推移しました。しかし、平成29年1-3月期に入って個人消費が減速し、同1.2%増と低成長に留まりました。ただし 、雇用・所得環境が安定しており、個人消費の拡大を支えるファンダメンタルズは引き続き堅調なことから、1-3月期の落ち込みは一時的である可能性が高まっています。金融面では、米国国内の景気回復を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は平成28年12月に続いて、平成29年3月にも政策金利を引き上げました。新政権への期待感に加えて、底堅い米国経済を材料に米国株式市場では騰勢が続き、NYダウ平均株価は3月初めに過去最高値を更新しました。
欧州経済は、ECB(欧州中央銀行)によるマイナス金利政策や原油価格の低迷などを背景に、緩やかながら安定した成長が続いています。平成28年10-12月期、平成29年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、それぞれ前期比0.5%増と16四半期連続のプラス成長となりました。なかでも、個人消費は低金利や低インフレ、雇用環境の改善の追い風を受けて景気拡大の主役になっています。また、足下では、個人消費に比べて回復が遅れていた固定資本形成の伸びが高まるなど、企業の生産活動が加速する動きが見られます。金融面では、ECBは平成28年12月の金融政策委員会で、平成29年4月から量的緩和の規模を縮小させる一方、資産買取を少なくとも同年12月末まで継続する方針を決定しました。
新興国経済については、中国の実質GDP成長率は、平成28年度4-6月期及び7-9月期は各々前年比6.7%増でしたが、10-12月期は6.8%増、平成29年1-3月期は6.9%増と年度後半にかけて徐々に加速しました。政府が実施する様々な景気対策の効果によって、景気は持ち直しの動きが見られ、安定した成長を続けています。堅調なサービス消費に支えられた個人消費が経済全体を牽引しており、足下ではその傾向が強まっています。また、規制緩和やインフラ計画への参入といった政策効果から、民間部門の固定資産投資も増加しました。ただし、不動産価格の高騰や企業の過剰設備・過剰債務の問題などについては、金融市場のリスク要因として、引き続き留意していく必要があります。一方、中国以外の新興国では、一部に弱さが見られますが、輸出の増加や各国の景気対策によって、景気回復の兆しが見られます。
<日本の状況>日本経済は「踊り場」局面から脱し、緩やかながらも拡大しつつあります。内需低迷の影響はあるものの、旺盛な外需に牽引される形で、鉱工業生産は平成28年の夏場以降、持ち直しています。また、非製造業の活動を示す第三次産業活動指数は、事業所向け関連サービスなどを中心に緩やかな拡大基調を辿ってきましたが、平成28年度後半には横ばいで推移しています。
GDPに占めるウエイトの大きい個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、緩やかながらも拡大しています。失業率が3%を下回る水準まで低下するなど労働需給がタイトな状況にあるなか、サービス産業を中心に労働需要の高まりから雇用者数が継続的に増えており、マクロ経済全体で見た賃金は緩やかに増加ペースが高まっています。しかし、可処分所得の伸び悩みや将来不安などを要因として、家計は依然として支出に対する慎重姿勢を崩していません。また、住宅投資については、住宅ローン金利の低下や、相続税対策のための貸家建設の増加などを背景に、平成28年度前半は前期比年率で2桁成長を達成したものの、同年度後半にかけてやや一服感が見られます。
一方、企業の設備投資は一進一退の動きが続いています。企業収益が最高水準を維持しているなか、タイトな労働需給も相俟って、更新投資や省力化投資に積極的な動きが見られます。しかし、内外の先行き不透明感が払拭されないことから、総じて企業は、製造業を中心に設備投資に対する慎重な態度を変えませんでした。
外需に目を向けると、堅調な先進国経済に加えて新興国経済が回復するなど、海外経済が緩やかに拡大していることを背景に、輸出は増加基調にあります。地域別に輸出の動向を見ると、米国やEU向けが堅調に推移したほか、中国経済減速の影響で横ばいだったアジア向けも、平成28年度後半にかけて大きく持ち直しました。品目別に見ると、自動車関連やIC等電子部品といった情報関連、資本財の輸出数量が堅調に増加しました。一方、輸入金額は、内需の伸び悩みや円高の影響を受けて概ね横ばい圏で推移していましたが、平成28年度後半には持ち直しの動きが見られます。
金融面では、平成28年1月に日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を発表しました。マイナス金利政策を受けて、長期金利(10年国債利回り)は2月に史上初のマイナス金利となり、マイナス圏で推移し続けました。さらに、日銀が平成28年9月に、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表し、短期金利に加えて長期金利にも直接コントロールを及ぼすことにより、金融政策の軸足を「量」から「金利」へと移行させる新たな金融政策の導入に踏み切りました。この結果、10年国債利回りはマイナス圏から脱し、概ね0%台で安定的に推移しました。為替レートは平成28年に入ると、海外経済に対する警戒感が強まり、円高が進行しました。さらに、6月、英国でEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票で行われ、英国のEU離脱の方針が決定すると、国際金融市場の先行き警戒感が強まり、円は対ドル、対ユーロで急速に円高方向に進みました。しかし、11月の米国大統領選挙の結果を受け、将来の米国経済への期待感等から日米金利差が拡大するなか、ドルが買われ、為替レートは円安・ドル高基調に転じました。ただし平成29年1月以降、米国の新政権に対する不透明感などが意識されるに伴い、緩やかに円高が進行しました。
平成29年3月末の日経平均株価は18,909円26銭(前年3月末比2,150円59銭高)、10年国債利回りは0.067%(同0.116ポイントの上昇)、為替は1ドル111円80銭(同63銭の円高)となりました。
② 経営成績
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
③ 財政状態
<資産の部>当事業年度末の総資産は10兆2,858億円(前事業年度末比2,383億円減)となりました。内訳は流動資産が10兆1,775億円(同2,420億円減)であり、このうち現金・預金が1兆1,605億円(同308億円増)、トレーディング商品が4兆6,552億円(同7,249億円減)、有価証券担保貸付金が3兆1,729億円(同3,816億円増)となっております。固定資産は1,082億円(同37億円増)となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は9兆4,466億円(同2,963億円減)となりました。内訳は流動負債が8兆2,275億円(同3,338億円減)であり、このうちトレーディング商品が3兆5,294億円(同5,809億円減)、有価証券担保借入金が2兆6,739億円(同4,207億円増)、短期借入金が1兆1,673億円(同1,439億円増)、受入保証金が3,924億円(同1,207億円減)となっております。固定負債は1兆2,151億円(同374億円増)であり、このうち社債が5,943億円(同257億円減)、長期借入金が5,852億円(同622億円増)となっております。
純資産合計は当期純利益584億円を計上したことなどから、8,391億円(同580億円増)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社は、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社の資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
また、当社の親会社である大和証券グループ本社を中心とする大和証券グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、大和証券グループ本社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。その中で当社は、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。
なお、当社の親会社である大和証券グループ本社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準(平成27年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。大和証券グループ本社の平成29年3月期第4四半期日次平均のLCRは145.3%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社は、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社は機動的な対応により流動性を確保する体制を整備しております。
当社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
② 株主資本
当社が株式や債券、デリバディブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、証券担保ローン等の有価証券関連業務を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。当事業年度末の株主資本は、8,321億円(前事業年度末比584億円増)となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,499億円であり、利益剰余金は当期純利益584億円を計上した結果、3,822億円(同584億円増)となりました。