有価証券報告書-第43期(平成29年5月1日-平成30年4月30日)

【提出】
2018/07/26 11:35
【資料】
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【項目】
114項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 競争力の強化
当社グループの主たる顧客である精密機器、電気機器の完成品メーカーの多くは、中国をはじめとしたアジア諸国へ生産拠点を移転しました。また、アジア諸国における金型製造技術の向上は、日本国内金型市場へのアジア製品進出の契機となり、競争状態を激化させることとなっております。さらに、完成品メーカーの研究開発投資動向は安定的ではなく、開発投資の循環が存在しており、試作企業、金型製造企業はこの循環において、円滑な事業機会獲得に向けて、持続的に経営の最適化を図っております。
このような経営環境に適合して事業を推進するために、当社グループとして、中国や韓国の顧客拠点に近接した製造体制を充実し、また、高難易度仕様や短納期への対応を可能とする技術水準向上や操業度の確保を図ることによって、競合他社との差別化を図り、競争力を強化することが重要であると考えております。
(2) 技術の研鑽
精密機器、電子機器の技術革新は、その部品構造の微細化を要求することとなり、このことは、当社グループの顧客要求仕様の高難易度化をもたらしております。特に加工寸法精度については、従来の100分の5mm程度から100分の2~3mmへと大幅に水準が上昇しております。一方、加工対象の形状についても、曲面加工が要求される機会が多くなるなど、複雑化する傾向にあります。
このような技術環境に対して、当社は製造設備の絶えざる革新と、創業以来培ってきた「匠」の技の更なる向上を図ることによって、より競争優位をもたらす技術力を育むことが重要であると考えております。
(3) 新規事業の創出
現在、当社「ものづくりメカトロ研究所」ではこれまでに蓄積してきた高精度製作技術に加え、電機、制御技術等を含めた装置製造の技術の蓄積、受託開発、製品試作、量産品製造を推進しておりますとともに、製品としての品質保証体制の構築、医療機器製造の認可の取得にも注力しております。従来の顧客システム設計をベースとした部品製作事業から、高精度製作技術を前提とする自社グループの設計による装置・ロボット等の事業創出をもって、成長戦略を構築することが重要であると考えております。自社グループ設計・製造する装置・ロボットにおいて国内外で定められている多様な安全規格に基づき、各分野・製品に適した品質を保証する必要があります。
また、発展途上であるロボット産業分野においては、ユーザーニーズの取得、新規製品の啓蒙のため、マーケティング・販売活動を推進することも重要であると考えております。
(4) 人材の確保、育成
変化する事業環境に最適な企業構造を保ちつつ、長期的な成長を担保するために、優秀な人材の確保、育成が急務であると考えております。社内研修プログラムによる教育を強化することにより、これまで培ってきた当社の「匠」の技の伝承を進めてまいります。さらに、次世代を担う幹部候補生と新卒者採用を積極的に行い、当社グループ全体の流れを一貫して把握しうる人材(管理職候補者)を育てることも重要な課題であると考えております。