有価証券報告書-第16期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略及びリスク管理
ア.気候変動関連シナリオに基づく定性的なリスクと機会
気温上昇が1.5℃に抑えられた世界、気温上昇が4℃に進む世界などを想定し、各シナリオにおいて、気候変動が当社グループの財務に与えるリスクと機会を分析しました。シナリオ分析の検討に際し、国際的な信用性が高く「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言においても引用されるIEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)及びIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、国連気候変動政府間パネル)の設定するシナリオを参照しました。なお、気候変動のリスクと機会の検討にあたっては、検討期間を「短期」「中期」「長期」の3期に分類し次のように定義しています。
<気候変動のリスクと機会の検討における「短期」「中期」「長期」の定義>
<気候変動のリスクと機会の検討における影響度についての評価>影響度は財務に負の影響を与える蓋然性の程度を低、中、高とし評価しています。
a.移行リスク(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)
移行リスクでは、現行の規制や新たな規制において調達での影響があると予測されます。当社グループの主要調達先である情報通信業は、電力使用にともなうCO2排出量が大きく、GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)が令和8年から開始されることから経営状況に負の影響を与える蓋然性があり、短期、中期、長期のいずれも新たな規制によるリスクが高くなりました。また、ゲームソフトの購入やモバイルゲームでの課金による収入が売上の大半を占めるなど、対個人サービスの売上比率が高いため、当社グループの製品・サービスに対する規制強化による影響は中長期的に高くなりました。
その他、技術リスクでは、一般的に低炭素製品や技術へのシフトが進み、当社グループの主要調達先である情報通信業では、サーバー設置の整備等が求められることにより中期的にリスクが高くなりますが、長期的にはある程度の新技術対応が進むと考えられることから、影響度が中程度に減少しております。
評判リスクは、当社グループの気候変動の取組に対し、中期的に個人の顧客や株主からの信用度におけるリスクや消費者の嗜好面でのリスクがあることを予想し売上への影響としては高くなりますが、長期的には技術発展が進み、リスクが下がることが考えられます。当社グループはこのように高まるリスクに向けて準備すべく、中期期間中の令和12年度を目標年として、③指標及び目標の記載のように、温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、削減の取組を進めてまいります。
<移行リスク>
b.機会(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)
市場の機会における調達面では、中期的に主要調達先の情報通信業に対するインセンティブ制度が充実することから、調達コストが低減する可能性が高いと考えられます。また、レジリエンスにおいても、一般的に省エネ対策や再エネプログラムへの参加が進むことが予想され、主要調達先の一つであるゲームプラットフォーム企業では使用エネルギー量が高い点から、中期的にメリットを受ける蓋然性が高くなります。資源の効率性では、ゲームのパッケージ販売からオンライン販売へのシフト等を含む生産手段のデジタル化や運送手段の効率化による影響が高く、輸送費や生産コストの低減が見込まれることから、メリットが大きくなると考えられます。エネルギー源においては、低排出なエネルギー源の使用により、中期的には顧客や株主からの信用度を獲得する蓋然性が高くなりますが、長期的には、これらの新エネルギーが一般的になっていくことが考えられ、長期的な機会は中程度になります。製品・サービスにおいては、消費者の嗜好も変化する点から、当社グループが低排出に配慮した製品・サービスを提供するなどした場合、中長期的に機会が高くなると考えられます。
<機会>
c.物理的リスク(4℃シナリオ:参照シナリオ「IPCC RCP8.5」)
急性リスクでは、干ばつ、熱波、竜巻、地滑り、地盤沈下、山火事など多様なリスク要因が業績に影響を与えると予測しています。調達に関しては、ゲームプラットフォーム企業を中心とした情報通信業や現時点での調達先実績の比率の高い不動産業を対象として、数年から15年までの期間において、洪水、台風、大雨、地盤沈下などの影響を受けると考えられます。当社グループの取引先である情報通信業では通信障害などのリスクが考えられ、不動産業界でも不動産価値の低下や修復費用の増大などの影響があることから、中程度のリスクとなります。売上に関しては、ゲームを購入する対個人向けサービスが10年以内に自然災害の影響を大きく受けることは想定されにくいものの、10年以上の長期では、自然災害の蓋然性が増大することから、その影響を受けられると考えられます。
慢性リスクでは、温度変化、降水パターンの変化、海面上昇、熱ストレス、海洋の酸性化などが各産業の業績に影響を与えると予測しています。調達先の情報通信業に関しては、3年以内に慢性的な変化が起きる蓋然性は低いですが、それ以上の中長期になると徐々にこれらの影響が大きくなると考え、当社グループのリスクは中程度となりました。売上は、売上実績の比率が高い対個人向けサービスや不動産業界の影響が、10年以上の長期にはリスクが増大することから、影響度は中程度になると考えられます。
<物理的リスク>
イ.気候変動関連シナリオに基づく定量的なリスク
当社グループは、気候変動に関する定量的分析として、ゲームソフト開発が当社グループ事業の大半を占めている点を考慮し、電力の価格変化による影響について検討しました。また、当社グループや従業員が利用しているビルや社宅、寮という自社所有の不動産を考慮し、資産の物理的被害の影響も分析しました。下記の定量的なリスクの分析の結果は、サステナビリティ委員会及び取締役会に報告され、影響は限定的であると評価しております。
シナリオ分析の検討に際しては、地球環境産業技術研究機構(RITE)の温暖化対策評価モデルDNE21による電力価格予測を参照し、資産の物理的被害は、国土技術研究センター(JICE)の洪水による浸水リスク試算ツール及び国土交通省の浸水ナビを用いています。影響期間は、定性的分析と同様に短期(1~3年)、中期(3~10年)、長期(10~15年)とし、リスクや機会の程度(影響度)は、売上額に対する影響額が10%以上の場合は高、1%以上10%未満は中、1%未満は低という3段階で評価しています。
a.電力の価格変化による財務的影響
地球環境産業技術研究機構(RITE)の「排出上振れシナリオ」では、1.5℃未満シナリオにおいて、主要先進国の炭素価格が高まらず、また「成長実現シナリオ」の想定ほど技術が進展しない状況での電力料金の推移を予測しています。当社のベースラインである令和5年度の使用電力量(国内のみ)に基づき、電力量が増加しない前提で、電力料金の上昇影響を分析した結果、短期・中期・長期的に増加するコストの影響は、低と評価され、当社グループの中長期的な計画には大きな影響が及ばない見込みです。
b.資産の物理的被害による財務的影響
4℃シナリオにおける当社グループ所有の事務所の浸水深から、気候変動後の資産被害額を概算しました。売上高に対する割合から財務的影響を分析した結果、いずれの資産も被害額は生じず、財務的影響もないと評価されます。当社グループの中長期的な計画に負の影響はない見込みです。
ア.気候変動関連シナリオに基づく定性的なリスクと機会
気温上昇が1.5℃に抑えられた世界、気温上昇が4℃に進む世界などを想定し、各シナリオにおいて、気候変動が当社グループの財務に与えるリスクと機会を分析しました。シナリオ分析の検討に際し、国際的な信用性が高く「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言においても引用されるIEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)及びIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、国連気候変動政府間パネル)の設定するシナリオを参照しました。なお、気候変動のリスクと機会の検討にあたっては、検討期間を「短期」「中期」「長期」の3期に分類し次のように定義しています。
<気候変動のリスクと機会の検討における「短期」「中期」「長期」の定義>
| 期間 | 想定年数 |
| 短期 | 1~3年 |
| 中期 | 3~10年 |
| 長期 | 10~15年 |
<気候変動のリスクと機会の検討における影響度についての評価>影響度は財務に負の影響を与える蓋然性の程度を低、中、高とし評価しています。
a.移行リスク(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)
移行リスクでは、現行の規制や新たな規制において調達での影響があると予測されます。当社グループの主要調達先である情報通信業は、電力使用にともなうCO2排出量が大きく、GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)が令和8年から開始されることから経営状況に負の影響を与える蓋然性があり、短期、中期、長期のいずれも新たな規制によるリスクが高くなりました。また、ゲームソフトの購入やモバイルゲームでの課金による収入が売上の大半を占めるなど、対個人サービスの売上比率が高いため、当社グループの製品・サービスに対する規制強化による影響は中長期的に高くなりました。
その他、技術リスクでは、一般的に低炭素製品や技術へのシフトが進み、当社グループの主要調達先である情報通信業では、サーバー設置の整備等が求められることにより中期的にリスクが高くなりますが、長期的にはある程度の新技術対応が進むと考えられることから、影響度が中程度に減少しております。
評判リスクは、当社グループの気候変動の取組に対し、中期的に個人の顧客や株主からの信用度におけるリスクや消費者の嗜好面でのリスクがあることを予想し売上への影響としては高くなりますが、長期的には技術発展が進み、リスクが下がることが考えられます。当社グループはこのように高まるリスクに向けて準備すべく、中期期間中の令和12年度を目標年として、③指標及び目標の記載のように、温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、削減の取組を進めてまいります。
<移行リスク>
| 分類 | 影響先 | 短期 | 中期 | 長期 | |
| 現行の規制 | ・カーボンプライシングの仕組み・排出量報告義務の強化・既存製品・サービスの義務付けと規制 | 調達 | 中 | 高 | 高 |
| 売上 | 低 | 中 | 高 | ||
| 新たな規制 | ・カーボンプライシングの仕組み・排出量報告義務の強化・既存製品・サービスの義務付けと規制 | 調達 | 高 | 高 | 高 |
| 売上 | 低 | 高 | 高 | ||
| 法規制 | ・訴訟へのエクスポージャー | 調達 | 中 | 高 | 高 |
| 売上 | 低 | 低 | 高 | ||
| 技術リスク | ・既存製品・サービスを低排出オプションに置換・低排出技術への移行 | 調達 | 中 | 高 | 中 |
| 売上 | 低 | 高 | 中 | ||
| 市場リスク | ・顧客行動の変化 | 調達 | 中 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 中 | 中 | ||
| 評判リスク | ・消費者の嗜好の変化 | 調達 | 低 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 高 | 中 | ||
b.機会(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)
市場の機会における調達面では、中期的に主要調達先の情報通信業に対するインセンティブ制度が充実することから、調達コストが低減する可能性が高いと考えられます。また、レジリエンスにおいても、一般的に省エネ対策や再エネプログラムへの参加が進むことが予想され、主要調達先の一つであるゲームプラットフォーム企業では使用エネルギー量が高い点から、中期的にメリットを受ける蓋然性が高くなります。資源の効率性では、ゲームのパッケージ販売からオンライン販売へのシフト等を含む生産手段のデジタル化や運送手段の効率化による影響が高く、輸送費や生産コストの低減が見込まれることから、メリットが大きくなると考えられます。エネルギー源においては、低排出なエネルギー源の使用により、中期的には顧客や株主からの信用度を獲得する蓋然性が高くなりますが、長期的には、これらの新エネルギーが一般的になっていくことが考えられ、長期的な機会は中程度になります。製品・サービスにおいては、消費者の嗜好も変化する点から、当社グループが低排出に配慮した製品・サービスを提供するなどした場合、中長期的に機会が高くなると考えられます。
<機会>
| 分類 | 影響先 | 短期 | 中期 | 長期 | |
| 市場 | ・新市場への参入・インセンティブ導入 | 調達 | 低 | 高 | 中 |
| 売上 | 低 | 低 | 低 | ||
| レジリエンス | ・再エネプログラムへの参加及び省エネ対策実施・リソースの代替・多様化 | 調達 | 中 | 高 | 中 |
| 売上 | 中 | 中 | 低 | ||
| 資源の効率性 | ・効率的な輸送手段の利用・生産・流通プロセスの効率化・リサイクルの利用・効率的な建物への移転・水の使用量・消費量の削減 | 調達 | 低 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 高 | 中 | ||
| エネルギー源 | ・低排出エネルギー源の利用 ・支援的な政策インセンティブの利用 ・新技術の活用 | 調達 | 中 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 高 | 中 | ||
| 製品・サービス | ・低排出製品・サービスの開発及び拡大・R&D・技術革新を通じた新製品やサービスの開発・事業活動の多様化・消費者の嗜好の変化 | 調達 | 低 | 高 | 高 |
| 売上 | 低 | 高 | 高 | ||
c.物理的リスク(4℃シナリオ:参照シナリオ「IPCC RCP8.5」)
急性リスクでは、干ばつ、熱波、竜巻、地滑り、地盤沈下、山火事など多様なリスク要因が業績に影響を与えると予測しています。調達に関しては、ゲームプラットフォーム企業を中心とした情報通信業や現時点での調達先実績の比率の高い不動産業を対象として、数年から15年までの期間において、洪水、台風、大雨、地盤沈下などの影響を受けると考えられます。当社グループの取引先である情報通信業では通信障害などのリスクが考えられ、不動産業界でも不動産価値の低下や修復費用の増大などの影響があることから、中程度のリスクとなります。売上に関しては、ゲームを購入する対個人向けサービスが10年以内に自然災害の影響を大きく受けることは想定されにくいものの、10年以上の長期では、自然災害の蓋然性が増大することから、その影響を受けられると考えられます。
慢性リスクでは、温度変化、降水パターンの変化、海面上昇、熱ストレス、海洋の酸性化などが各産業の業績に影響を与えると予測しています。調達先の情報通信業に関しては、3年以内に慢性的な変化が起きる蓋然性は低いですが、それ以上の中長期になると徐々にこれらの影響が大きくなると考え、当社グループのリスクは中程度となりました。売上は、売上実績の比率が高い対個人向けサービスや不動産業界の影響が、10年以上の長期にはリスクが増大することから、影響度は中程度になると考えられます。
<物理的リスク>
| 分類 | 影響先 | 短期 | 中期 | 長期 | |
| 急性リスク | ・台風、豪雨 ・洪水 ・熱波 ・山火事 | 調達 | 中 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 低 | 中 | ||
| 慢性リスク | ・温度変化(空気・淡水・海水) ・降水パターンと降水の種類の変化(雨、雹、雪/氷) ・海岸浸食 | 調達 | 低 | 中 | 中 |
| 売上 | 低 | 低 | 中 | ||
イ.気候変動関連シナリオに基づく定量的なリスク
当社グループは、気候変動に関する定量的分析として、ゲームソフト開発が当社グループ事業の大半を占めている点を考慮し、電力の価格変化による影響について検討しました。また、当社グループや従業員が利用しているビルや社宅、寮という自社所有の不動産を考慮し、資産の物理的被害の影響も分析しました。下記の定量的なリスクの分析の結果は、サステナビリティ委員会及び取締役会に報告され、影響は限定的であると評価しております。
シナリオ分析の検討に際しては、地球環境産業技術研究機構(RITE)の温暖化対策評価モデルDNE21による電力価格予測を参照し、資産の物理的被害は、国土技術研究センター(JICE)の洪水による浸水リスク試算ツール及び国土交通省の浸水ナビを用いています。影響期間は、定性的分析と同様に短期(1~3年)、中期(3~10年)、長期(10~15年)とし、リスクや機会の程度(影響度)は、売上額に対する影響額が10%以上の場合は高、1%以上10%未満は中、1%未満は低という3段階で評価しています。
a.電力の価格変化による財務的影響
地球環境産業技術研究機構(RITE)の「排出上振れシナリオ」では、1.5℃未満シナリオにおいて、主要先進国の炭素価格が高まらず、また「成長実現シナリオ」の想定ほど技術が進展しない状況での電力料金の推移を予測しています。当社のベースラインである令和5年度の使用電力量(国内のみ)に基づき、電力量が増加しない前提で、電力料金の上昇影響を分析した結果、短期・中期・長期的に増加するコストの影響は、低と評価され、当社グループの中長期的な計画には大きな影響が及ばない見込みです。
b.資産の物理的被害による財務的影響
4℃シナリオにおける当社グループ所有の事務所の浸水深から、気候変動後の資産被害額を概算しました。売上高に対する割合から財務的影響を分析した結果、いずれの資産も被害額は生じず、財務的影響もないと評価されます。当社グループの中長期的な計画に負の影響はない見込みです。