有価証券報告書-第14期(2022/04/01-2023/03/31)
(戦略)
当社の主要事業(売上の8割強)である「乳製品事業」と「市乳事業」を対象に、移行リスクと物理的リスクを抽出し、IPCC※1やIEA※2などの情報を基に2つのシナリオ(1.5℃上昇シナリオ、4℃上昇シナリオ)を設定し、2030年と2050年を時間軸として、事業インパクト評価を実施、対応を開始しました。
気候変動リスクと当社における対応
※1 国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。
人為起源による気候変化、影響、適応および緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地か
ら包括的な評価を行うことを目的として、1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により
設立された組織。
※2 国際エネルギー機関(International Energy Agency)の略。石油を中心とするエネルギーの安全保障を
目的とするOECD(経済協力開発機構)の下部機関。石油消費国側の機構で、OPEC(石油輸出国機構)に
対抗する目的のもの。第一次石油危機後の1974年に当時の米国務長官の提唱で設立。
<2022年度の対応>① 炭素価格
ア.省エネ・再エネ設備投資の拡大
大樹工場でCO₂削減を目的とした燃料転換(ボイラLNG化)を12月に完了し、ホエイや有用成分回収工程で発生する残渣を、エネルギーとして有効利用できるようにメタン発酵設備を導入しました。また、再生可能エネルギーの利用拡大に向け、3工場(海老名工場、阿見工場、京都工場)への太陽光発電設備導入決定と川越工場で再生可能エネルギー導入の検討を行いました。2030年度にCO₂排出量を2013年度比50%に削減するため、年度毎の数値目標(目安)をロードマップとして定め、中間地点である2025年度のCO₂排出目標を明確にしました。
CO₂排出量


イ.サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンボンドによる資金調達
サステナビリティ・リンク・ローン(2022年3月 80億円)※3、グリーンボンド(2022年12月 50億円)※4による資金調達を開始し、環境に関連する設備投資を促す体制を整えました。
・サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)は、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」)を設定し、貸付条件とSPTの達成状況を連動させる借入です。CO₂排出量削減(2030年度目標:2013年度比50%削減)をSPTに設定いたしました。なお、本件契約締結にあたっては、SLL原則、および環境省より公表された「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」の「サステナビリティ・リンク・ローンに期待される事項」に適合していることを、第三者評価機関である株式会社格付投資情報センター(以下「R&I」)よりセカンドオピニオンとして取得しています。
・グリーンボンドは、環境問題の解決に貢献する事業に要する資金を調達するために発行する債券です。グリーンボンド発行代わり金の充当状況、対象事業の概要及び環境効果に関する指標等を、実務上可能な範囲で年次で当社ウェブサイト上に開示していきます。なお、グリーンボンド・フレームワークについて、「グリーンボンド原則2021(ICMA:国際資本市場協会)」並びに「グリーンボンドガイドライン2022年版(環境省)」に適合していることを、R&Iからセカンドオピニオンとして取得しています。
グリーンボンドで開示するプロジェクト
ウ.CO₂排出量第三者検証
CO₂排出量の数値の蓋然性を高める為、2021年度のCO₂排出量から第三者機関による検証を開始しました。
エ.ICP導入の検討
インターナル・カーボン・プライシング制度の導入について検討を開始しました。
② 消費者意識の変化
ア.環境に配慮した原材料使用
環境に配慮した容器包装の推進の取組みとして、家庭用商品に貼付するストローをバイオマスプラスチック配合品(配合率5%)に変更しました。また、2023年4月より、学校給食の牛乳でバイオマスプラスチック配合品ストローの提供、更にストローレス容器の導入を開始しました。
イ.石油由来プラスチック使用量削減のロードマップ策定
ヨーグルト容器の紙化やバイオマスプラスチックを配合した容器導入に向け、削減に向けたロードマップを策定し、検討を行いました。
ウ.エシカル消費への対応について、消費者部会で議論
エシカル消費について、消費者部会(第52回 2022年12月開催)で、消費者団体の代表者や消費者問題に関する有識者と対話を行いました。消費者部会は、当社取締役会の諮問機関である企業倫理委員会の専門部会の一つであり、企業倫理委員長である社外取締役が部会長を務めています。エシカル消費の概要や当社の取組みについて議論し、消費者視点での評価と意見交換を行いました。
エ.プラントベースフードなどの代替食品、機能付加商品の取組み推進
「持続可能な食の提供」として、プラントベースフードなど代替食品の拡大、「食による健康への貢献」として、機能付加商品(ニュートリション事業の商品、保健機能食品)の拡大を新たなKPIとして設定しました。
③ 平均気温の上昇
ア.生産拠点の節水の取組み
生産拠点の用水使用削減を目的として、ろ過器逆洗水回収設備を海老名工場に導入しました。(2023年5月稼働、2.6万㎥/年の削減効果)
イ.牧草・飼料作物種子の作付面積拡大(酪農生産基盤強化)
自給飼料型酪農の推進のため、グループ会社の雪印種苗㈱での牧草・飼料作物種子による作付面積拡大のKPIの対象範囲を見直しました。
ウ.緑肥作物種子による作付面積拡大(循環型社会の形成)
環境負荷低減に向け、グループ会社の雪印種苗㈱での緑肥作物種子による作付面積拡大(2019年度比20%拡大)を新たなKPIとして設定しました。
エ.酪農総合研究所シンポジウム開催(酪農生産基盤強化)
持続的酪農経営を行うための経営管理・技術的支援として、雪印メグミルク酪農総合研究所において、酪農総合研究所シンポジウムを開催しました(2023年2月開催、参加260名超)。2022年度は「今こそ飼料の国産化を!~それぞれの地域で出来ることを考える」をテーマに、研究者や酪農家が講演し、自給飼料の利用拡大に向けた議論を行いました。
オ.牛の腸管由来温室効果ガス削減の取組み
持続的な酪農の取組みとして、雪印メグミルク酪農総合研究所、生産団体(JA北オホーツク)、研究機関(北里大学)と連携し、牛の腸管由来温室効果ガス削減対策となる実証試験を開始しました。
④ 異常気象の頻発化と深刻化(豪雨、洪水、等)
ア.生産拠点の水リスク確認
生産拠点の水リスクについて、リスクの再評価を行いました。アキダクト(世界資源研究所(WRI)が発表した水リスクマップ)による評価では、リスクが高い対象事業所はありませんでした。当社の独自評価として用水、排水、洪水の各リスクについて評価を行い、排水のリスクに対する対応として、グループ会社の八ヶ岳乳業㈱茅野工場の排水処理設備の更新、洪水のリスクとして、別海工場で河川の氾濫による受変電・配電設備の被害を想定し、簡易防液提設備(ボックスフォール)を設置しました。
イ.非常用発電機の運用
インフラの維持および停電後の復旧を目的として、北海道内全7工場に非常用発電機を設置しており、有事に備え、定期訓練を実施しました。2022年12月に北海道電力の送電線の鉄塔が降雪により倒れ、興部工場で長時間の停電が発生しましたが、非常用発電機の運用により被害を最小限に抑えることができました。
当社の主要事業(売上の8割強)である「乳製品事業」と「市乳事業」を対象に、移行リスクと物理的リスクを抽出し、IPCC※1やIEA※2などの情報を基に2つのシナリオ(1.5℃上昇シナリオ、4℃上昇シナリオ)を設定し、2030年と2050年を時間軸として、事業インパクト評価を実施、対応を開始しました。
気候変動リスクと当社における対応
| 当社への影響 | 2050年 影響度 | 2022年度の当社における対応 | |||
| 1.5℃ | 4℃ | ||||
| 移 行 リ ス ク | ①炭素価格 | ・炭素税の導入による製造・輸送コストおよび売上原価の増加。 | 大 | ア.省エネ・再エネ設備投資の拡大 イ.サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンボンドによる資金調達 ウ.CO₂排出量第三者検証 エ.ICP導入の検討 | |
| ②消費者意識の変化 | ・消費者の自然素材の利用や包装資材リサイクル、CO₂排出等への関心。 ・気候変動対策に積極的な企業の製品購入による、売上高の増加/減少。 | 中 | 小 | ア.環境に配慮した原材料使用 イ.石油由来プラスチック使用量削減のロードマップ策定 ウ.エシカル消費への対応について、消費者部会で議論 エ.プラントベースフードなどの代替食品、機能付加商品の取組み推進 | |
| 物 理 的 リ ス ク | ③平均気温の上昇 | ・暑熱対策による原材料調達コストの増加。 ・平均気温の上昇による水資源不足。 | 小 | 大 | ア.生産拠点の節水の取組み イ.牧草・飼料作物種子の作付面積拡大 (酪農生産基盤強化) ウ.緑肥作物種子による作付面積拡大 (循環型社会の形成) エ.酪農総合研究所シンポジウム開催 (酪農生産基盤強化) オ.牛の腸管由来温室効果ガス削減の取組み(げっぷに含まれているメタンガス) |
| ④異常気象の頻発化と深刻化(豪雨、洪水、等) | ・自然災害(豪雨、洪水等)による製造・物流設備への影響(操業中止、配送停止など)。 | 小 | ア.生産拠点の水リスク確認 イ.非常用発電機の運用 | ||
※1 国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。
人為起源による気候変化、影響、適応および緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地か
ら包括的な評価を行うことを目的として、1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により
設立された組織。
※2 国際エネルギー機関(International Energy Agency)の略。石油を中心とするエネルギーの安全保障を
目的とするOECD(経済協力開発機構)の下部機関。石油消費国側の機構で、OPEC(石油輸出国機構)に
対抗する目的のもの。第一次石油危機後の1974年に当時の米国務長官の提唱で設立。
<2022年度の対応>① 炭素価格
ア.省エネ・再エネ設備投資の拡大
大樹工場でCO₂削減を目的とした燃料転換(ボイラLNG化)を12月に完了し、ホエイや有用成分回収工程で発生する残渣を、エネルギーとして有効利用できるようにメタン発酵設備を導入しました。また、再生可能エネルギーの利用拡大に向け、3工場(海老名工場、阿見工場、京都工場)への太陽光発電設備導入決定と川越工場で再生可能エネルギー導入の検討を行いました。2030年度にCO₂排出量を2013年度比50%に削減するため、年度毎の数値目標(目安)をロードマップとして定め、中間地点である2025年度のCO₂排出目標を明確にしました。
CO₂排出量


イ.サステナビリティ・リンク・ローン、グリーンボンドによる資金調達
サステナビリティ・リンク・ローン(2022年3月 80億円)※3、グリーンボンド(2022年12月 50億円)※4による資金調達を開始し、環境に関連する設備投資を促す体制を整えました。
・サステナビリティ・リンク・ローン(以下「SLL」)は、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(以下「SPT」)を設定し、貸付条件とSPTの達成状況を連動させる借入です。CO₂排出量削減(2030年度目標:2013年度比50%削減)をSPTに設定いたしました。なお、本件契約締結にあたっては、SLL原則、および環境省より公表された「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」の「サステナビリティ・リンク・ローンに期待される事項」に適合していることを、第三者評価機関である株式会社格付投資情報センター(以下「R&I」)よりセカンドオピニオンとして取得しています。
・グリーンボンドは、環境問題の解決に貢献する事業に要する資金を調達するために発行する債券です。グリーンボンド発行代わり金の充当状況、対象事業の概要及び環境効果に関する指標等を、実務上可能な範囲で年次で当社ウェブサイト上に開示していきます。なお、グリーンボンド・フレームワークについて、「グリーンボンド原則2021(ICMA:国際資本市場協会)」並びに「グリーンボンドガイドライン2022年版(環境省)」に適合していることを、R&Iからセカンドオピニオンとして取得しています。
グリーンボンドで開示するプロジェクト
| 適格プロジェクト | 対応する当社重要課題 (マテリアリティ)および KPI(重点管理指標) | 環境改善効果 |
| ホエイや有用成分改修工程で発生する副産物のバイオマスをメタンガス化する設備の導入 | 環境負荷の低減:2030年度までに、CO₂排出量を2013年度比50%削減する。 | CO₂削減量 (t-CO₂) |
| 排水処理設備増能更新(大樹工場) 排水処理設備増能更新(磯分内工場) 汚泥減容化設備導入(野田工場) 汚泥乾燥設備導入(大樹工場) | 環境負荷の低減:2030年度までに、廃棄物排出量を2013年度比30%削減する。 | 汚泥の削減量(t) |
ウ.CO₂排出量第三者検証
CO₂排出量の数値の蓋然性を高める為、2021年度のCO₂排出量から第三者機関による検証を開始しました。
エ.ICP導入の検討
インターナル・カーボン・プライシング制度の導入について検討を開始しました。
② 消費者意識の変化
ア.環境に配慮した原材料使用
環境に配慮した容器包装の推進の取組みとして、家庭用商品に貼付するストローをバイオマスプラスチック配合品(配合率5%)に変更しました。また、2023年4月より、学校給食の牛乳でバイオマスプラスチック配合品ストローの提供、更にストローレス容器の導入を開始しました。
イ.石油由来プラスチック使用量削減のロードマップ策定
ヨーグルト容器の紙化やバイオマスプラスチックを配合した容器導入に向け、削減に向けたロードマップを策定し、検討を行いました。
ウ.エシカル消費への対応について、消費者部会で議論
エシカル消費について、消費者部会(第52回 2022年12月開催)で、消費者団体の代表者や消費者問題に関する有識者と対話を行いました。消費者部会は、当社取締役会の諮問機関である企業倫理委員会の専門部会の一つであり、企業倫理委員長である社外取締役が部会長を務めています。エシカル消費の概要や当社の取組みについて議論し、消費者視点での評価と意見交換を行いました。
エ.プラントベースフードなどの代替食品、機能付加商品の取組み推進
「持続可能な食の提供」として、プラントベースフードなど代替食品の拡大、「食による健康への貢献」として、機能付加商品(ニュートリション事業の商品、保健機能食品)の拡大を新たなKPIとして設定しました。
③ 平均気温の上昇
ア.生産拠点の節水の取組み
生産拠点の用水使用削減を目的として、ろ過器逆洗水回収設備を海老名工場に導入しました。(2023年5月稼働、2.6万㎥/年の削減効果)
イ.牧草・飼料作物種子の作付面積拡大(酪農生産基盤強化)
自給飼料型酪農の推進のため、グループ会社の雪印種苗㈱での牧草・飼料作物種子による作付面積拡大のKPIの対象範囲を見直しました。
ウ.緑肥作物種子による作付面積拡大(循環型社会の形成)
環境負荷低減に向け、グループ会社の雪印種苗㈱での緑肥作物種子による作付面積拡大(2019年度比20%拡大)を新たなKPIとして設定しました。
エ.酪農総合研究所シンポジウム開催(酪農生産基盤強化)
持続的酪農経営を行うための経営管理・技術的支援として、雪印メグミルク酪農総合研究所において、酪農総合研究所シンポジウムを開催しました(2023年2月開催、参加260名超)。2022年度は「今こそ飼料の国産化を!~それぞれの地域で出来ることを考える」をテーマに、研究者や酪農家が講演し、自給飼料の利用拡大に向けた議論を行いました。
オ.牛の腸管由来温室効果ガス削減の取組み
持続的な酪農の取組みとして、雪印メグミルク酪農総合研究所、生産団体(JA北オホーツク)、研究機関(北里大学)と連携し、牛の腸管由来温室効果ガス削減対策となる実証試験を開始しました。
④ 異常気象の頻発化と深刻化(豪雨、洪水、等)
ア.生産拠点の水リスク確認
生産拠点の水リスクについて、リスクの再評価を行いました。アキダクト(世界資源研究所(WRI)が発表した水リスクマップ)による評価では、リスクが高い対象事業所はありませんでした。当社の独自評価として用水、排水、洪水の各リスクについて評価を行い、排水のリスクに対する対応として、グループ会社の八ヶ岳乳業㈱茅野工場の排水処理設備の更新、洪水のリスクとして、別海工場で河川の氾濫による受変電・配電設備の被害を想定し、簡易防液提設備(ボックスフォール)を設置しました。
イ.非常用発電機の運用
インフラの維持および停電後の復旧を目的として、北海道内全7工場に非常用発電機を設置しており、有事に備え、定期訓練を実施しました。2022年12月に北海道電力の送電線の鉄塔が降雪により倒れ、興部工場で長時間の停電が発生しましたが、非常用発電機の運用により被害を最小限に抑えることができました。