訂正有価証券報告書-第11期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/11/27 13:06
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159項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループは、以下のような経営および事業リスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
(1)酪農乳業界について
① 当社グループの主要原料である加工原料乳の取引は、「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」および「畜産経営の安定に関する法律」の影響を受けます。従って、同法に基づく交付対象数量、補給金単価等の変更が当社グループの原料調達等に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループが生産する乳製品には、国内農業保護を目的とした関税制度が敷かれております。しかし、WTO(世界貿易機関)農業交渉やFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)等の交渉および発効において乳製品の関税水準が引き下げられた場合には、当社グループの販売および原材料調達に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこれまで同様、国内酪農に軸足を置きつつ、乳の国際化を視野に入れ、関税水準の引き下げに伴う乳製品輸入で得られるメリットの最大限の活用を検討してまいります。
(2)需給変動について
① 当社グループは国内で生産される生乳を主要原料としておりますが、国内の生乳需給はこれまでも過剰と逼迫を繰り返しており、過剰の場合には製品在庫過多により販売競争が激化し、逼迫の場合には製造量減少により生産効率が低下することとなります。
② 乳製品や飼料原料の国際市況は、世界経済の変動による需要の増減、旱魃等の異常気象による飼料作物の不作を原因とする製品供給の減少等の影響を受け、大きく変動することとなります。国際的に需給が逼迫した場合には原材料確保の困難化や原材料価格の高騰として、また需給が緩和した場合には安価な輸入乳製品の流入や飼料価格の下落として、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、配合飼料価格上昇時には畜産経営者に配合飼料価格安定制度により価格補てん措置が採られることになっておりますが、メーカー拠出金が増加した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、牛乳・乳製品の需要拡大を通じて国内酪農生産の基盤強化と持続的発展に貢献していきます。
また、需給変動による収益への影響の軽減に向けて、事業ポートフォリオを再編し、収益基盤の複数化とその確立に取り組むとともに、継続的なプロダクトミックスの改善による収益力の強化に取り組んでおります。
(3)販売先の寡占化とメーカー同士の競合の激化について
① 当社グループの製品は量販店中心に販売されておりますが、量販店を含む流通業界においては再編・淘汰が進み、流通業者の寡占化および大規模化が進展しております。この結果、特定の販売先の仕入れ・販売施策の変更および販売先の業績の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 乳業・食品業界においては大手メーカー同士の経営統合や中小メーカーの再編・淘汰が進展し、規模拡大と事業領域の拡大が進んでおります。この結果、当社グループの事業領域への他業界からの新規参入や、メーカー間の商品開発・価格競争の一層の激化等が想定され、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社はメーカーとして、「ものづくり」の強化と新たな価値の創造に取り組むことで、商品開発力の強化とともに、商品を通じた価値の提供を目指しております。あわせて、当社グループは新たな収益機会の創出に向けて、ニュートリション事業分野における通販チャネルを通じた機能性食品事業の規模の拡大、および利益の創出に取り組んでおります。
(4)市場規模の縮小等について
現在、当社グループの商品の大部分は日本国内向けに販売しておりますが、日本においては少子高齢化の進展により人口減少傾向にあり、当社グループが対象とする市場が縮小してきております。また、畜産市場においても飼養頭数が変動しており、こうした市場の縮小等が今後も続いた場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは機能を訴求する商品や高付加価値商品の開発強化、販売拡大により、国内事業の収益基盤の強化・確立を目指しております。また、海外の生産拠点の活用によりチーズの販売物量を拡大し、ボーダレス展開を加速することで、海外事業の強化を図っております。
(5)食品の安全性について
① 食品業界においては、食品の安全性や品質管理が強く求められております。当社は品質管理に関して、世界標準の品質管理手法であるISO9001およびHACCP(Hazard Analysisand Critical Control Point)の考え方を取り入れ、独自の品質保証システム「MSQS(MEGMILK SNOWBRAND Quality Assurance System)」を構築しております。しかしながら、仮に品質問題が生じた場合には自主的あるいは食品衛生法等の法令に基づく商品の回収や工場の操業停止、製造物責任法に基づく責務の負担等により当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。さらにこれらの事態の発生は、当社グループの社会的信用にも悪影響を与える可能性があります。
② 当社グループ固有の品質問題のみならず、国内外において、健康に影響を及ぼす物質の混入、家畜伝染病等の乳食品に関する品質問題や健康問題などが発生した場合、さらには問題発生の有無にかかわらずこれらに関する風評が拡大した場合には、当社グループの売上に影響を及ぼし、この結果として業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)法規制について
① 乳製品、飲料・デザート類は、食品衛生法の他、乳および乳製品の成分規格等に関する省令により成分規格や製造方法、表示方法等について規制を受けております。飼料・種苗は飼料安全法、種苗法、農薬取締法、家畜伝染病予防法等の法規制を受けております。これらの法令は食品等の安全性確保のために設けられており、当社グループでは法令を遵守し、製造工程管理や品質管理、適正表示等に努めております。しかしながら、製造工程等においてトラブル等が発生し、結果として規制に抵触することとなった場合には、製品の廃棄・回収コストの発生や社会的な信用力の低下により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 法令の改正がなされた場合には、これまでの成分規格や製造方法等が認められなくなったり、新しい成分規格や製造方法等に対応するためのコストが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)大規模な地震・火災等の発生および伝染病について
① 当社グループの生産事業拠点が大規模な地震や火災の発生等により長期間操業停止した場合、または生産事業拠点の従業員が伝染病に感染するなどして製品供給が長期間停止した場合に、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧に向けた対策を事業継続計画(BCP)を策定して進めておりますが、当社グループの生産・供給体制に影響を与え、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 乳製品、飲料・デザート類の原料となる生乳は酪農生産者から工場に受け入れる段階で検査および殺菌等の処理を実施しておりますが、工場で生乳を受け入れた後に生乳を搾った牛が法令に定められた家畜伝染病に感染していたことが判明した場合には、法令等の定めに従い当該生乳または当該生乳を原材料とする製品の廃棄を行ないます。廃棄される原材料または製品の量が多くなる場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 家畜伝染病が発生した場合、国内の乳製品、飲料・デザート類の消費の減少や、飼育頭数の減少に伴う飼料需要の減退等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)為替レートの変動について
当社グループは、一部の原材料および商品を海外から調達していることから、為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円安は当社グループに悪影響を及ぼし、円高は当社グループに好影響をもたらします。
2021年度3月期計画前提為替レート1米ドル=108円
為替感応度(営業利益ベース)1円高 → +1.6億円

(9)個人情報保護について
当社グループでは、グループ各社が保有する個人情報の保護・管理について、「個人情報保護方針」および関連諸規定を定めるとともに、従業員教育などを通じ、厳正な管理に努めております。しかしながら、予期せぬ事態により情報の流出などが発生した場合には、社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報システムについて
当社グループでは、原材料の発注、製品の製造、商品の受注、経理処理等、事業全般にわたり情報システムを活用しております。当社グループにおいては、情報システムを適切に運営するため、規定類の整備や社員教育、セキュリティ対策等を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予想の範囲を超えた出来事により、情報システムの停止または一時的な混乱、内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合には、事業の停滞や社会的信用の失墜等により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産について
当社グループは、研究開発を始めその事業活動において、当社グループが所有している、または第三者により適法に使用許諾を受けている種々の知的財産を活用しております。当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、事業活動を行なっておりますが、知的財産権に関する訴訟等が提訴された場合、その結果によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)天候について
飲料・デザート類は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、天候不順や、夏場の気温が低く推移した場合には、売上高が減少し、飲料・デザート類の業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)資金調達について
当社グループは、金融機関からの借り入れ、社債発行による資金調達を金利環境等を勘案のうえ行っておりますが、金融市場環境に変化があった場合に、資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)その他のリスク
上記以外にも事業活動を行ううえで、経済情勢の変化に伴うリスクやコンプライアンスに関するリスクなど、様々なリスクが当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。
なお、直近では、新型コロナウイルス感染症の拡大による消費低迷など経済への影響が長期化することが懸念されております。当該リスクが顕在化した場合には、経済活動が停滞し景気が悪化することで、販売低迷の長期化や原材料価格を含む様々なコストの上昇などが生じ、当社グループの業績と財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。