有価証券報告書-第16期(2024/04/01-2025/03/31)
(2) 戦略
組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会
当社グループの財務に影響を及ぼす可能性のある重要な気候関連のリスクと機会を特定するべく、TCFD提言で推奨されているシナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析で具体的に採用した2つのシナリオの概要については以下のとおりです。
■採用シナリオの概要
気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、及び財務影響、対応策・戦略は以下のとおりです。
■シナリオ分析の前提条件
(注)連結売上高に占める株式会社ジューテックの売上高は当事業年度において78.5%となります。
■シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、財務影響、対応策・戦略
① 移行リスク
② 物理的リスク
③ 機会
複数シナリオを考慮した、組織戦略のレジリエンス(強靭性)
シナリオ分析結果を要約しますと、1.5℃シナリオにおいては、炭素税導入や木材需要の高まりによる仕入価格の上昇による財務影響が大きいと想定され、当社グループは価格上昇の影響を抑制するため、安定的な仕入ネットワークの維持・強化に努めてまいります。機会については、市場のニーズが変化していく可能性を踏まえ、プライベートブランド商品「住実」をはじめとした環境配慮型商材の拡販に取り組んでまいります。
4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断による財務影響が大きいと想定されます。当社グループは、既にBCPマニュアルを整備済みでありますが、異常気象の激甚化を想定の上、適宜見直しを検討し、財務影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。機会については、災害激甚化の可能性を踏まえ、防災関連商材の拡販に取り組んでまいります。
当社はいずれのシナリオにおいてもレジリエンス(強靭性)を高めるべく、今後も適宜シナリオ分析を実施し、対応策・戦略の実践を進めてまいります。
組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会
当社グループの財務に影響を及ぼす可能性のある重要な気候関連のリスクと機会を特定するべく、TCFD提言で推奨されているシナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析で具体的に採用した2つのシナリオの概要については以下のとおりです。
■採用シナリオの概要
| 採用シナリオ | 想定事象・主なパラメータ | 主な参考文献 |
| 1.5℃ シナリオ | ・気候変動政策を導入し、持続可能な発展が進むシナリオ。パリ協定と整合し、2050年頃にカーボンニュートラルを実現。2100年時点の気温上昇は1.5℃以下に抑えられると想定。 ・世界各国でカーボンプライシングの導入が進み、世界的に炭素税が上昇。2030年時点で140USD/t-CO2を想定。 ・消費者の行動様式や嗜好が環境配慮型へ移行し、木材需要の高まりや環境配慮型住宅(ZEHやLCCM)が大きく普及する可能性がある。 | IEA World Energy Outlook 2023 (NZE2050) IPCC 第6次評価報告書(SSP1-1.9) |
| 4℃ シナリオ | ・気候変動政策を導入せず、自然災害が激甚化するシナリオ。2100年時点の気温上昇は4℃程度を想定。 ・温暖化が進行し、異常気象(サイクロン・洪水等)が増加。異常気象の激甚化により、調達に係るサプライチェーンの寸断が頻発する可能性がある。 ・自然災害への備えのための防災関連商材の拡大や復興需要が想定。 | IEA World Energy Outlook 2023 (Pre-Paris/STEPS) IPCC 第6次評価報告書(SSP5-8.5) |
気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、及び財務影響、対応策・戦略は以下のとおりです。
■シナリオ分析の前提条件
| 対象企業 | 時間軸 | 財務影響(営業利益への影響/単年度) |
| 当社グループの主要子会社である株式会社ジューテック(注) | 短期:単年度 中期:~2030年度 長期:~2050年度 | 大:5億円以上 中:1億円以上5億円未満 小:1億円未満 |
(注)連結売上高に占める株式会社ジューテックの売上高は当事業年度において78.5%となります。
■シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、財務影響、対応策・戦略
① 移行リスク
| 細区分 | 要因・ドライバー | 番号 | 財務への影響概要 | 時間軸 | 財務影響 | 対応策 | |
| 1.5℃ | 4.0℃ | ||||||
| 政 策 ・ 法 規 制 | 炭素税導入 | 1 | 炭素税導入または排出権取引に伴う自社租税コストの増加 | 中-長期 | 中 | ― | ・営業車両の次世代自動車(EVやFCV等)への切替検討 ・排出係数の低い電力プランや再生可能エネルギー導入(自社設備への太陽光発電設置等)の検討 ・各施設の改装時におけるLED照明への切替 |
| 2 | 炭素税導入によるサプライヤーの価格転嫁による調達(仕入)コストの増加 | 中-長期 | 大 | ― | ・Scope3の算定を実施し、サプライチェーン排出量の可視化を検討 ・主要サプライヤーの排出量削減の対策状況を分析 | ||
| 既存製品やサービスに対する義務化・規制化 | 3 | 環境規制の厳格化による販売商材への対応のためのコスト増加 | 中-長期 | 小 | ― | ・今後の環境規制の情報を収集しつつ、当社に影響を及ぼす可能性の高い規制については対応計画を策定 ・合法木材(FSC・PEFC認証)の普及促進 | |
| 4 | 住宅の省エネ基準強化が実施された場合における販売商材の調達コスト増加 | 中期 | 小 | ― | ・省エネ標準プランの企画提案といった企画機能を担いながら、業界全体と共に省エネ商材の拡販に取り組む | ||
| 技術 | 低炭素技術への移行のための先行コスト | 5 | 次世代自動車への更新や自社施設・倉庫設備の省エネ設備等への切替に伴う費用の増加 | 中期 | 小 | ― | ・導入にあたっては、費用対効果も十分に検証し費用が平準化するよう前広に計画を策定し、単年度収益に影響を及ぼさないよう対応 |
| 市場 | 消費者の嗜好の変化 | 6 | 新商材への切替遅れによる既存商材の販売不振による売上減少 | 中-長期 | 大 | ― | ・プライベートブランド商品「住実」でも積極的に取扱っている環境配慮型商材の拡販に継続して取り組む ・省エネ標準プランの企画提案といった企画機能を担いながら、業界全体と共に省エネ商材の拡販に取り組む |
| 原材料コストの高騰 | 7 | 木材需要の高まりによる需要増加や森林保護政策強化による供給減少が発生した場合における木質系建材の仕入コスト増加 | 中-長期 | 大 | ― | ・国内外で調達先を探索し、需給ひっ迫による価格上昇を抑制できるよう調達ネットワークを強化する | |
② 物理的リスク
| 細区分 | 要因・ドライバー | 番号 | 財務への影響概要 | 時間軸 | 財務影響 | 対応策 | |
| 1.5℃ | 4.0℃ | ||||||
| 急性リスク | 台風、洪水などの異常気象の激甚化 | 8 | 自然災害の激甚化による自社設備や在庫への被害増加に伴う修繕・再調達コストの増加や設備停止に伴う売上減少 | 中-長期 | ― | 小 | ・既存施設の水害リスクの調査やBCP(事業継続計画)の定期的な見直し ・適切な保険手配による被害の軽減 |
| 9 | サプライチェーン寸断の影響により調達が遅延し、販売機会を逸失することによる売上減少 | 中-長期 | ― | 大 | ・調達先や物流拠点の分散を検討し、リスクを分散させ災害発生時の影響を軽減 | ||
| 慢性リスク | 降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動性 | 10 | 気候変動の影響により森林資源が減少、木材供給量が低下することによる木質系建材の仕入コスト増加 | 長期 | ― | 小 | ・合法木材(FSC・PEFC認証)の拡販を通じて、森林資源の保護に寄与する |
③ 機会
| 細区分 | 要因・ドライバー | 番号 | 財務への影響概要 | 時間軸 | 財務影響 | 対応策 | |
| 1.5℃ | 4.0℃ | ||||||
| 製品及びサ|ビス | 低排出商品及びサービスの開発及び/または拡張 | 11 | 低炭素対応のため木材販売製品の需要が増加することによる木質系建材の売上増加 | 中-長期 | 中 | ― | ・FSC・PEFC認証を受けた「環境にやさしい木材・木質素材製品」の普及を推進する |
| 12 | ZEH・LCCM住宅の普及や既存住宅の省エネ対応リフォーム需要の増加に伴う環境配慮・低炭素に対応した商材の売上増加 | 中期 | 大 | ― | ・省エネ・創エネ・蓄エネ商品のトータル提案を実施し、環境配慮型商材の拡販に取り組む ・多様なニーズに対応できるよう販売ラインナップの拡充を検討 ・中古住宅再生市場への取り組みを強化する | ||
| 市場 | 新しい市場へのアクセス | 13 | 中大規模・高層建物への木材利用が新たに創出され木質系建材の売上増加 | 長期 | 中 | ― | ・建築業界のソリューション企業として培った強みを活かし、企画から施工までの各段階でお客様をトータルにサポートし、中大規模建物の需要を喚起していく |
| レジリエンス | レジリエンス関連の製品・サービスの開発・拡張 | 14 | 災害の激甚化に対応した防災・災害性能に優れた関連商材の売上増加 | 中-長期 | ― | 中 | ・今後の災害激甚化を見据え、プライベートブランド商品「住実」でも取扱いのある防災関連商材の拡販に取り組む |
| 細区分 | 要因・ドライバー | 番号 | 財務への影響概要 | 時間軸 | 財務影響 | 対応策 | |
| 1.5℃ | 4.0℃ | ||||||
| その他 | 復興需要 | 15 | 自然災害の頻発による建築物の災害復興需要による売上増加 | 中-長期 | ― | 中 | ・迅速な復興実現のため、調達網・物流網を整備するとともに、仮設・復興住宅需要への対応力の強化に努め、住宅産業に属する企業の責務として被災者の生活復興を支援する |
複数シナリオを考慮した、組織戦略のレジリエンス(強靭性)
シナリオ分析結果を要約しますと、1.5℃シナリオにおいては、炭素税導入や木材需要の高まりによる仕入価格の上昇による財務影響が大きいと想定され、当社グループは価格上昇の影響を抑制するため、安定的な仕入ネットワークの維持・強化に努めてまいります。機会については、市場のニーズが変化していく可能性を踏まえ、プライベートブランド商品「住実」をはじめとした環境配慮型商材の拡販に取り組んでまいります。
4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断による財務影響が大きいと想定されます。当社グループは、既にBCPマニュアルを整備済みでありますが、異常気象の激甚化を想定の上、適宜見直しを検討し、財務影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。機会については、災害激甚化の可能性を踏まえ、防災関連商材の拡販に取り組んでまいります。
当社はいずれのシナリオにおいてもレジリエンス(強靭性)を高めるべく、今後も適宜シナリオ分析を実施し、対応策・戦略の実践を進めてまいります。