有価証券報告書-第18期(令和3年5月1日-令和4年4月30日)

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2022/07/28 15:17
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事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
当社グループとしては、必ずしも事業展開上のリスク要因に値しないと考えられる事項についても、投資判断上、重要と考えられるものについては、投資者への積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、これらのリスクを認識した上で、その回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式への投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。
なお、本文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 医療製品事業に関するリスク
A 医薬品医療機器等法等の法的規制に関する事項
当社グループが開発、販売している医療機器を含む医療製品については、研究、開発、製造、販売といった事業活動に対して各国において薬事に関する法令及び行政指導等並びに諸関連法令等による種々の規制(以下「薬事関連規制」という。)がなされております。
当社グループでは、薬事関連規制の遵守に努め、事業の進捗に合わせて社内の体制の整備に取り組んでおり、今後もこのような体制を維持・継続して参りますが、薬事関連規制に変更があった場合等は、すでに製造販売承認を受けて上市している止血材(以下においては止血以外の創傷治癒、癒着防止及び後出血予防の機能を合わせて有し又はこれらの機能を主なる機能とする医療機器も含め当社グループが製造販売承認を受けている医療機器を「本止血材」ということがある。)を含め、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与える可能性があります。また、本止血材については、上市した各国において製造販売に関する承認を得ておりますが、承認の申請に係る効能、効果又は性能が認められない等の事情が認められて、製造販売承認が取り消され、販売ができなくなることとなる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、当社グループの医療製品の開発、販売に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
B 収益の不確実性に関する事項
本止血材は外科手術や消化器内視鏡領域において幅広く使用されて止血性能について高い評価を得、手術件数や適応症例数も安定的に推移しており、今後も安定した需要が見込まれます。また、生物由来品である既存製品と異なり、人工合成物であり安全性が高い本止血材は、既存製品と十分差別化できるものと考えております。しかしながら、医療製品業界においては、激しい競争状況の下、国際的な巨大企業を含む多くの企業、研究機関等により、開発が行われ、技術は常に進歩しています。従って、外科手術や消化器内視鏡領域をめぐる技術の大幅な変化や、当社グループの医療製品の性能を上回る性能の競合製品が市場に登場する等により、当社グループの医療製品の売り上げが減少する可能性は否定できません。この場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
C 保険制度の変化による収益の不確実性に関する事項
本止血材は、複数の国において保険収載されております。しかし、今後、保険制度の変更がなされたり又は本止血材について保険収載が取り消されたり若しくは保険償還価格の変更がなされる可能性は否定できません。これらの事態が生じた場合、本止血材を含む当社グループの医療製品の販売に影響が与えられ、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなる可能性があります。
D 開発のプロセスに関する事項
医療製品の開発は長期間にわたり相当な費用が必要であるのに対して、その成功の比率は高いものではありません。現在開発を行っている製品を含め、当社グループが開発する医療製品の開発が成功しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
E 特定の契約先からの事業収益への依存に関する事項
欧州での本止血材の販売についてはFUJIFILMへの依存度が高くなっております。今後、FUJIFILMとの契約が解除その他の理由で終了した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼすこととなります。
F 重要な契約に関する事項
当社グループの事業展開上、重要な契約が解除された場合、不利な契約改定が行われた場合や契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
G 製造・販売・在庫に関する事項
当社グループは、主要原材料であるペプチドを十分な品質を担保して調達すべく、複数社に対し製造を委託しています。また、当社は、本止血材について、扶桑薬品との間で製造委受託契約を締結しておりましたが、2020年7月10日付の解除通知により同契約は終了しました。新たな製造受託先への移行までに必要と想定される製造量についての製造を行うことを扶桑薬品との間で合意しておりますが、新たな製造受託先での十分な製造量の製造開始が遅れる場合には、各国への製品供給が滞る可能性があります。
このように、当社グループでは、本止血材の製品供給体制を強化するため、バックアップ体制の構築に取り組んでおりますが、本止血材を含め、当社グループの医療製品について、想定外の事故等も含めペプチドを含む原材料及び各種構成部品の供給、委託製造の遅れが生じる事態になった場合には、当社グループの財政状況や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
また、製品販売が計画通りに進まず、過剰な原材料を保有することになった場合には、原材料等の評価損計上等当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
H 製造物責任等に関する事項
医療製品の設計、開発、製造及び販売には、予期せぬ副作用による健康被害のリスク及び製造物責任のリスクが内在しております。
当社グループにおいては、製品の基礎となる自己組織化ペプチド技術を利用した本止血材について、ヒトでの臨床試験を各国において実施済であり、因果関係を否定できない重篤な不具合及び副作用等の有害事象は検出されておりません。また、当社グループが各国において販売を行っている本止血材について、有害事象の報告はありません。しかしながら、今後、本止血材を含め、当社グループが開発した医療製品の予期せぬ副作用により患者に健康被害を引き起こす可能性は否定できません。また、副作用による健康被害以外に設計、開発、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、当社グループが製造物責任を負う可能性があることは否定できません。当社は、全世界を対象地域とする製造物責任賠償保険に加入しておりますが、これらの事態が生じた場合には、販売中止、製品回収、損害賠償責任の負担等により当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、このような事例において製造物責任等に基づく損害賠償請求がなされた場合、結果として当社グループの責任が否定されたとしても、損害賠償請求への対応について相当の費用、労力及び時間がかかる可能性があり、さらに、損害賠償請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品に対する信頼、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
I 大規模災害等に関する事項
当社グループは、グローバルで事業展開をしておりますが、地震、火山噴火、津波等の大規模災害、COVID-19やその他感染病によるパンデミック、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、大規模災害を想定した訓練及び必要な対策を継続実施するとともに、当社の事業活動の継続や従業員の衛生・健康・安全の確保のために必要な対応を適時適切に行うこととしております。
特に、COVID-19の大規模感染により、医療機関への訪問の制限、移動制限等による営業活動の抑制、本止血材を使用する手術の延期等により本止血材の販売に対して相当の影響を受けました。現時点の感染状況下ではかかる影響は相当緩和されておりますが、新たな株の発生等により再度感染状況が悪化した場合には、本止血材の販売が影響を受ける可能性があります。今後も当社グループが事業を展開する各国の医療業界の影響を注視し、万が一当社グループが事業を営む地域において甚大な影響がある場合は、必要な対応を図ってまいりますが、これらの事態の状況によっては当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権・訴訟等に関するリスク
A 特許の取得状況等に関する事項
当社グループは、下表に記載の自己組織化ペプチド技術にかかる物質特許及び当該物質特許を利用した基本的な用途特許(以下これらを併せて「基本特許群」という。)につき、当社子会社がMITより独占的実施権(再許諾権付)の許諾を受け、当社が当社子会社より実施権の再許諾を受けており、また、当社グループにて特許出願しております。
当社は、下記のMITを権利者とする自己組織化ペプチド特許(出願国:米国)について、自己組織化ペプチド応用技術に係るMIT出身の研究者により設立されたバイオベンチャー企業であるARCH Therapeutics, Inc.社(以下「Arch社」という。)との間で非独占的なサブライセンス契約を締結しておりました。しかしながら、ARCH社の現在の事業展開の進展状況より、現時点において当社グループと競合するおそれは低いものと考えておりますが、将来的な競合の可能性は否定できません。
さらに、ARCH社は、止血材を用途とする一部の自己組織化ペプチド(主に当社も用いているRADA配列)に関する特許について、MITから独占的実施権の許諾を受けております。当社の独占的実施権との間で調整が必要となる可能性がありますが、従前、ARCH社からかかる権利に関して当社に対して働きかけ等があったことはありません。MITのライセンス方針は技術の広がりを目的としており、MITはライセンシー同士の争いは好まないため、当社は、かかる調整の必要が生じた場合には、MITから何等かの支援が得られるものと従前理解しており、現在もそのとおり理解しております。しかし、かかる調整をMIT自ら行うことについて書面で確約することについては消極的な姿勢が示されたことから、今後、当社自らかかる調整を行う必要が生じる可能性は否定できません。
基本特許群は、自己組織化を起こしハイドロゲルを形成する主なペプチド群をカバーしており、国、地域によりばらつきはあるものの、日本においては既に登録済となっております。しかしながら、基本特許群のうち、現在登録に至っていないものについては、最終的に登録に至らない可能性があり、その場合には当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。また、当社グループの事業を包含するバイオマテリアル関連産業においては、日々研究開発活動が繰り広げられており、当社グループの技術を超える優れた技術が開発されることにより、基本特許群の技術が淘汰される可能性は否定できません。
また、当社グループは基本特許群を用いて多数の研究機関と応用技術にかかる共同研究を行っており、主要なパイプラインに関するもの以外についても既に複数の用途特許について共同出願しておりますが、全ての特許について登録に至るとは限りません。これらの特許が成立しなかった場合、当社グループの将来の事業を完全に保護することができない可能性があります。
B 訴訟等に関する事項
当社グループは、第三者の知的財産権に関する調査を随時行っており、自己組織化ペプチド技術を用いた製品開発を行う限りにおいて、当社グループに対して上記のARCH社のMITの特許由来の権利に関連する事例以外は、第三者の特許権等の知的財産権侵害を理由とする訴訟が提起される可能性は極めて低いと考えております。また、提出日現在において、当社グループと第三者との間で訴訟が発生し又は第三者から知的財産権侵害の主張を受けたという事実もありません。しかし、当社グループは、今後多岐に渡る事業展開を考えていることから、かかる知的財産権侵害の問題を完全に回避できない可能性があります。将来、当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求等の訴訟を提起された場合には、損害賠償責任を負う可能性があることに加え、解決に多大な時間及び費用を要するおそれがあり、当社グループの事業戦略、財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、知的財産権以外にも事業活動に付随するその他の訴訟を提起される可能性があり、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、このような事例において結果として当社グループの責任が否定されたとしても、知的財産権侵害等に基づく損害賠償請求がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、製品又は当社グループに対する信頼に影響が生じ、ひいては事業活動に影響を与え、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
<基本特許群に係る特許権の状況>
製品・パイプライン対象発明の名称登録番号出願国権利者
物質特許
吸収性局所止血材
粘膜隆起材
血管塞栓材
歯槽骨再建材
創傷治癒材
PuraMatrix
高純度ペプチド組成物第5730828号
第5255274号
日本当社
WO 06/014570
(出願中)
米国
EP 3031466欧州
CA 2572964カナダ
組織閉塞剤第5922749号
第6200997号
第6492137号
日本当社
US 10576123
US 10596225
米国
EP 2345433
EP 3238749
EP 3470093
欧州

用途特許
PuraMatrix自己組織化ペプチド
修飾ペプチド物質特許
US 7713923
US 8901084
米国MIT
第5057781号日本
EP 1636250欧州
PuraMatrix自己組織化ペプチド
神経再生法
US 7846891米国MIT
PuraMatrix自己組織化ペプチド
心筋組織再生法
EP 2089047欧州3-D Matrix, Inc.
第5558104号
第5903068号
日本
US 9012404米国
PuraMatrix自己組織化ペプチド
細胞培養法及び細胞培養物
第5263756号日本岡山大学、
当社
US 8647867米国
US 8697438米国
創傷治癒材
PuraMatrix
自己組織化ペプチド
創傷治癒・皮膚再建材
第5497451号日本当社
EP 2229960欧州
PuraMatrix自己組織化ペプチド
トランスフェクション剤
EP 2322608欧州日本医科大学、当社
第5606318号日本
US 9133484米国
PuraMatrix
DDS
自己組織化ペプチド
界面活性剤様ペプチド ナノ構造
US 7179784
US 7671258
米国MIT
PuraMatrix
DDS
がん幹細胞の治療、予防及び
診断のための方法及び組成物
第5891173号
第6262707号
日本国立がん研究センター、当社
US 10337012米国
EP 2606909欧州
PuraMatrix
DDS
マイクロRNAによる骨肉腫の診断
方法
US 9322016米国国立がん研究センター、
当社
第6153932号日本
EP 2753692欧州

③経営成績、財務状況等に関するリスク
A 業績の推移に関する事項
当社グループの現在までの事業収益は、主に販売提携契約に基づくマイルストーン収益及び本止血材の製品売上に基づく収益ですが、当社グループは、研究開発型企業であり、現時点では研究開発費用が先行して計上されるステージにあるため、2012年4月期を除き研究開発活動に伴う費用計上が事業収益を上回り、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しております。このため、過年度の財務経営指標は、当社の期間業績比較及び将来の業績を予測する材料としては不十分な面があります。
B マイナスの利益剰余金を計上していることに関する事項
当社グループは研究開発型企業であり、医療製品が販売されるまでには研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため、2022年4月期連結会計年度末においてマイナスの利益剰余金を計上しております。現時点における当社グループの開発製品は医療製品の中でも医療機器として製造承認の取得を目指しており、医薬品と比べて開発に要する費用と期間は格段に少なくなることを想定しております。計画どおりに研究開発を推進することにより、早期の利益確保を目指しております。しかしながら将来において、事業計画どおりに事業が進展せず、当期純利益を獲得できない可能性及び利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。
C 重要事象等に関する事項
当社グループは研究開発費用が先行して計上されることから、継続して営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。当該状況を解消又は改善するための対応策を講じておりますが、継続企業の前提に重要な不確実性は存在するものと判断しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)対処すべき課題」に記載しております。
D 税務上の繰越欠損金に関する事項
当社グループには、決算短信発表日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
E 資金繰りに関する事項
当社グループは研究開発型企業であり、今後もパイプラインの開発費用が先行して発生します。事業提携やライセンスアウト等の契約の獲得、多様な資金調達等による資金確保に努めますが、事業計画どおりに事業が進展しない場合には資金不足となり、事業継続に重大な影響を与える可能性があります。
F 配当政策に関する事項
当社グループは、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。また、2022年4月期連結会計年度末においても、1,894,757千円の当期純損失を計上しており、累積損失が処理された段階において財政状態及び経営成績を勘案しつつ利益配当についての方針を検討する所存であります。
④組織に関するリスク
A 業歴が浅いことに関する事項
当社は2004年5月に設立された社歴が浅い会社であり、期間業績比較を行うには十分な財務数値が得られません。また研究開発型企業であり、本止血材の海外での販売を2015年4月期に、日本での販売を2022年4月期に開始しましたが、事業ステージはいまだ先行投資の段階にあります。このため、事業の特性を踏まえると、過年度の経営成績だけでは、今後の業績を予想する材料としては不十分な面があります。
B 小規模組織に関する事項
当社グループは2022年4月末日現在、親会社で取締役7名、監査役3名、従業員18名、子会社で取締役11名(内5名は親会社役員が兼務)、従業員67名の小規模組織であります。当社グループでは、業務遂行体制の充実に努めておりますが、小規模組織であり、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大に向け組織体制の一層の充実を図ってまいりますが、適切な組織体制の構築ができない場合には、経営効率に影響を及ぼす可能性があります。一方、急激な規模拡大は固定費の増加につながり、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
C 特定の人物への依存に関する事項
当社グループの事業推進者は、当社代表取締役である岡田淳であります。前代表取締役より経営戦略、開発戦略の決定、事業計画の策定、管理業務における責任を承継しており、グループの経営推進者として大きな影響力を有しております。このため、当社グループでは過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、当面は依存度が高い状態で推移すると見込まれます。そのため、代表取締役が何らかの理由で業務を継続することが困難になった場合には、事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
D 人材の確保及び育成に関する事項
当社グループの競争力の核は研究開発力、事業企画力、医療関係者に対する提案力にあるため、専門性の高い研究者等の人材の確保が不可欠であり、また、事業拡大を支えるために営業、製造、内部管理等の専門人材も必要となってきております。当社グループでは、優秀な人材の確保及び社内人材の育成に努めておりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態と経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤その他
A 調達資金の使途に関する事項
当社は、増資等による調達資金の使途については、当初の方針通り研究開発資金に充当しておりますが、環境変化による予測不可能な技術革新や研究開発活動の長期化等投資効果をあげられる保証はありません。このような場合、投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。
B 新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関する事項
当社は役職員向けにストック・オプション制度を採用しております。また、主に止血材とその他パイプラインの原材料調達、製品原価改善とその開発に関する費用、並びに事業運営費用等として投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インク(以下「ハイツ」という。)に対して第3回、第4回及び第5回無担保転換社債型新株予約権付社債並びに第25回新株予約権、第28回新株予約権及び第31回新株予約権を発行しております。これらの発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は、合計15,542,676株(2022年6月末日現在)となり、この潜在株式数と当社の発行済株式数57,123,406株(2022年6月末日現在)とを合計した数72,666,082株に対し21.3%を占めております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
また、当社は今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブを継続して実施していくことを検討しております。従って、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値はさらに希薄化する可能性があります。
C 為替に関する事項
当社グループの取引のうち、自己組織化ペプチド技術製品の原材料の製造委託及び海外での製品販売については、主に外貨建での決済が行われておりますが、当社グループにおいては特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、予想以上に為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの業績はその影響を受ける可能性があります。今後は、為替リスクを回避する方策については、その得失に鑑みて、その要否を含め検討して参ります。