有価証券報告書-第14期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/26 15:02
【資料】
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【項目】
83項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度における当社の事業活動の状況といたしましては、創薬パイプラインであるLIV-1205のAntibody Drug Conjugate(以下「ADC」)開発用途に関するライセンス契約を締結しました。今後、ADCの開発の進捗に応じてマイルストーンおよびロイヤルティ収入を受け取ることになります。LIV-1205のNaked抗体に関しましては、付加価値を高めるための基礎データの蓄積を実施しながら、導出活動や初期臨床試験(*)実施に向けた準備に着手してまいりました。また、創薬支援事業の売上の拡大を図るため、国内外において新規の抗体作製ビジネスに関する営業活動を実施してまいりました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高259,895千円(前年同期比7,680千円増加)、営業損失887,868千円(前年同期比154,489千円減少)、経常損失883,627千円(前年同期比163,530千円減少)、当期純損失は882,570千円(前年同期比608,591千円減少)となりました。また、当事業年度における研究開発費は592,384千円(前年同期比34,314千円減少)となりました。なお、当社は独自のADLib®システムをはじめとする複数の抗体作製技術をベースとして事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。
各セグメントの業績は次のとおりです。
① 創薬事業
創薬事業においては、2017年9月にスイスのADC Therapeutics社(以下「ADCT社」)とLIV-1205のADC開発用途における全世界での独占的な開発、製造および販売に関する第三者への再実施許諾権付のライセンス契約を締結し、契約一時金を受領しました。ADCT社での開発は順調に進捗し、11月には最初のマイルストーン達成によるマイルストーン料を受領しました。また、LIV-1205のNaked抗体については、ドイツのProBioGen社を臨床開発に向けた原薬製造の委託パートナーとして選定して契約を締結し、同社の保有する技術を活用して、ADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)を高めた抗体産生細胞の開発を開始しました。
一方、LIV-2008bにつきましては、2017年6月、ADCT社のオプション権不行使表明を受け、オプションライセンス契約を終了しました。今後当社は得られている前臨床試験(*)データに基づき、抗体の応用研究を引き続き行い、研究開発および導出活動を推進してまいります。
BMAA(抗セマフォリン3A抗体)に関しましては、新たな展開を目指した導出活動を継続しております。
その他の基礎研究推進中の品目についても積極的に研究開発に取り組むとともに、パイプラインの拡充に向けては、アンメットニーズの高い疾患領域における治療法開発に関するテーマを中心に公募を実施、その他産学連携機関や大学・研究機関等の研究者にコンタクトする等の活動に積極的に取り組んでまいりました。その結果、基礎・探索研究段階のプロジェクト数は共同研究も含め8件に達しており、そのうち5件は国内の大学や研究機関等との共同研究契約のもとでの研究開発を進めております。さらに、2017年12月には、当社が2月に出資を行ったTC社との共同研究契約を締結いたしました。今後は当社の保有する技術に加えて、同社の完全ヒト抗体産生動物(マウス、ラット)を使用することによって、創薬活動をさらに加速してまいります。
以上の結果、当該事業における当事業年度の業績は、売上高59,561千円(前年同期比32,146千円増加)、セグメント利益(売上総利益)57,006千円(前年同期比36,821千円増加)となりました。
② 創薬支援事業
創薬支援事業においては、中外製薬株式会社および同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.(以下、「中外製薬グループ」)との委託研究に関する契約に基づく取引が事業の中心となりました。中外製薬株式会社との共同研究開発契約については2017年12月31日をもって終了しましたが、委託研究契約に基づく取引を継続し、中外製薬グループにおける創薬活動を引き続き支援してまいります。また、田辺三菱製薬株式会社およびTanabe Research Laboratories U.S.A., Inc.(以下、「田辺三菱製薬グループ」)との契約に基づく抗体作製プロジェクトも引き続き進めてまいりました。その他、ADLib®システムをはじめとする当社の抗体作製技術や関連技術を用いた新たな受託案件および共同研究も実施しております。
以上の結果、当該事業における当事業年度の業績は、売上高200,334千円(前年同期比24,466千円減少)と公表していた業績予想(売上高201,000千円)と同程度となり、セグメント利益(売上総利益)117,407千円(前年同期比23,175千円増加)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は4,027,466千円となり、前事業年度末と比較して525,711千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により使用した資金は867,201千円となりました。主な内訳は、税引前当期純損失の計上や未払費用の増加です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により使用した資金は137,113千円となりました。主な内訳は、投資有価証券の取得による支出です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により取得した資金は478,603千円となりました。この内訳は、株式の発行による収入と長期借入金の返済による支出です。