有価証券報告書-第6期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 12:07
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【項目】
109項目

業績等の概要

(1) 業績
当期の経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和政策の継続を背景に企業収益や雇用情勢の改善が続き、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられる等、緩やかな回復基調が続いております。一方、海外では米国政権の不安定さや東アジア地域の情勢不安等による世界経済の不確実性の影響もあり、依然として景気の先行きは不透明な状況であります。
当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。
当連結会計年度におきましては、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、開発リソースの戦略的配置等、経営効率向上に注力しております。
その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は3,636,018千円(前年同期比5.2%減)、営業利益は423,803千円(前年同期比15.3%減)となりました。
また、経常利益につきましては、支払利息3,732千円、為替差損4,507千円を計上したこと等により、410,425千円の経常利益(前年同期比14.0%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、ソフトウェアの減損損失12,772千円を特別損失に計上したこと、税金費用18,763千円を控除したこと等により、374,791千円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比11.2%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「コンテンツソリューション事業」を「クリエイターサポート事業」に含めることとし、「クリエイターサポート事業」と「UI/UX事業」の2報告セグメントへ区分を変更しております。以下の前連結会計年度につきましては、変更後のセグメント区分に組替えた数値で記載しております。
事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。
<クリエイターサポート事業>当連結会計年度では、アニメ制作機能を搭載したマンガ・イラスト・アニメ制作ソフトウェア「CLIP STUDIO PAINT」において、9月に全世界同時バージョンアップを行い、要望が多かったドイツ語版の提供を開始いたしました。これによりすでに提供中の日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字)、フランス語、スペイン語とあわせて7言語への対応となりました。
また、11月にはiPad用マンガ・イラスト制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT EX for iPad」を全世界同時リリースいたしました。「CLIP STUDIO PAINT EX for iPad」は、7言語に対応し、Windows/macOS版と同等の機能を備えており、「CLIP STUDIO PAINT」の最上位モデル「CLIP STUDIO PAINT EX」のiPad版として、iPadだけで本格的なマンガ・イラスト制作や商用レベルのアニメ作画が行えるようになっております。
さらに、1つのシリアルナンバーで複数台のPCにインストールが可能であり、企業や学校への導入に最適な「CLIP STUDIO PAINT EX ボリュームライセンス サブスクリプション版」の提供も開始いたしました。
この他、「CLIP STUDIO PAINT」が、Windows 10を搭載したペン入力対応デバイスとホイール型デバイスのSurface Dialに対応いたしました。
また、「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」をバンドルした、サードウェーブデジノス製の筆圧感知ペンつき8インチWindowsタブレット「raytrektab DG-D08IWP」が、全国の量販店及びECサイトにて発売されました。
なお、「CLIP STUDIO PAINT」の全世界における累計出荷本数は11月に300万本を超えており、国外向けの出荷は全体の50%に達しております。
電子書籍ビューア「BS Reader for Browser」においては、コマ作品の縦スクロール閲覧に対応し、国内電子書籍市場においてトップクラスの利用者数を誇る株式会社アムタスの電子書籍配信サービス「めちゃコミック」で提供が開始されました。
また、株式会社講談社が神奈川県足柄上郡松田町の教育現場に向けて提供する電子書籍サービスに、電子書籍ビューア「BS Reader for Browser」が採用されました。
さらに、電子書籍ビューア「BS Reader for Browser」と株式会社メディアドゥのコンテンツ配信システム「md-dc」を組み合わせたブラウザビューアソリューションを共同で提供し、株式会社講談社の「じぶん書店」に採用されました。
この他、株式会社メディアドゥと共同で提供するブラウザビューアソリューションが、「pixiv コミックストア」及び「comico PLUS」に採用されました。
インターネットを通じて、イラスト、マンガ、アニメ、小説を制作するクリエイターの創作活動をトータルに支援するwebサイト「CLIP STUDIO」においては、平成29年12月末時点の登録者数は103万人となっております。
以上の結果、売上高は2,413,036千円(前年同期比11.7%増)、営業利益は300,075千円(前年同期比53.2%増)となりました。
UI/UX事業では、前期に引き続き、自動車(四輪・二輪)関連分野、並びに業務用・コンシューマー用プリンター等向けに、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「exbeans UI Conductor」(エックスビーンズユーアイコンダクター)を始めとする自社IP製品の開発と販売に注力してまいりました。
当連結会計年度においては「exbeans UI Conductor」のバージョンアップを行い、従来の機能を改良し、アニメーション機能の強化と画面遷移サポートツールユーザビリティの改善等の新機能を盛り込みリリースいたしました。
「exbeans UI Conductor」は、車載機器、プリンターを中心に搭載製品を増やしており、プリンター分野では、セイコーエプソン株式会社において、2016年度に引き続き2017年度発売の主要モデル及びビジネス向けプリンターに採用されました。また、海外向け製品においても、今後の搭載が予定されております。
車載機器については、主要Tier-1(一次サプライヤー)企業において採用が進み、今後「exbeans UI Conductor」が搭載された製品が、各メーカーより順次リリースされていく予定です。
また、次世代の「車のIoT」時代に向けて、移動体向け車両情報伝達ソフトウェア「exbeans VI Transfer」をリリースいたしました。「exbeans VI Transfer」は、二輪、四輪をはじめとする移動体向けの車載情報伝達ソフトウェアで、その原型となるソフトウェアは、2015年8月より大手OEMの車載機器向けサービスソフトウェアに採用されており、北米市場を中心に170万台を出荷しております。
組込機器向けスケーラブルフォント描画エンジン「Higlyph」においては、57言語に対応している多国籍対応の機能をさらに充実させた最新バージョンをリリースいたしました。「Higlyph」はデジタルカメラ、プリンター、電子辞書、車載機器等の様々な製品で採用されており、国内外での累計販売実績が7,000万台を超えております。
イベント・フェアにおきましては、平成29年1月に東京ビッグサイトで開催された、企業向けの自動車次世代技術展「オートモーティブ ワールド2017」の「第5回コネクティッド・カー EXPO」に出展し、自動車業界におけるTier-1メーカーとして、自社IP製品を核とするビジネス創出を推進いたしました。
また、各種プラットフォームベンダーとの協業活動にも引き続き注力しており、車載機器向けSoCプラットフォームとして世界的なシェアを誇るルネサスエレクトロニクス株式会社のアライアンスパートナープログラムにおいて、協業活動実績を認められ「ゴールドパートナー」に認定されました。
この他、「exbeans VI Transfer」と、組込機器向け汎用webアプリケーションプラットフォーム「exbeans Affinity」を組み合わせて提供することで、様々な車両情報を活用した新たなサービス事業、及び車載機器の開発に貢献すべく、引き続き積極的な営業・提案活動を行っております。
なお、本セグメントにおける前連結会計年度の売上高1,705,480千円につきましては、前連結会計年度中に株式を売却した孫会社株式会社エイチアイ関西の売上高275,903千円が含まれております。
以上の結果、売上高は1,290,506千円(前年同期比24.3%減)、営業利益は55,573千円(前年同期比80.2%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ335,169千円増加し、
2,407,138千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,021,462千円(前連結会計年度は1,435,075千円の獲得)となりました。これは主として、売上債権の増加額61,010千円や法人税等の支払額30,427千円等があったものの、税金等調整前当期純利益393,554千円の計上や減価償却費の計上687,552千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、577,430千円(前連結会計年度は551,610千円の使用)となりました。これは主として、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出506,005千円、有形固定資産の取得による支出44,387千円等の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、108,862千円(前連結会計年度は58,486千円の使用)となりました。これは主として、短期借入れによる収入100,000千円や長期借入れによる収入100,000千円等があったものの、短期借入金の返済による支出216,690千円や長期借入金の返済による支出83,967千円等があったことによるものであります。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、2,407,138千円となりました。