有価証券報告書-第12期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 9:24
【資料】
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【項目】
105項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、平成18年10月の設立以来、『幼・青・老の共生』をコンセプトに事業子会社である株式会社さわやか倶楽部、株式会社ボナーを通じ、高齢者介護施設の運営、カラオケ・飲食店舗の運営、不動産事業等の事業活動を展開してまいりました。現在は介護事業・カラオケ事業・飲食事業を3本柱として、地域社会に必要とされる企業となること及び顧客に安心・信頼していただけるサービスの継続的な提供を行うことを経営課題として日々事業活動に取り組んでおります。
(2) 経営環境
当社グループが参画する主要3事業を取り巻く環境は、介護事業では、高齢化社会を背景に需要が拡大して行くものと認識しております。また平成22年6月には、特別養護老人ホームなど介護施設の総利用者数を一定の範囲に抑える総量規制を後押ししている参酌標準を撤廃し、第5期介護保険計画(平成24年度~平成26年度)から、各都道府県が地域の実情に応じて策定可能とすることが閣議決定されたことを受け、各地域において、その実情に応じた基盤整備が進んでおります。従いまして、当社グループが中心として取り組んでいる特定施設の開設も、より市町村との繋がりを密にし、公募等の情報を適時に把握していくことが必要となっております。また、定期的に実施される介護保険制度改正や報酬改定といった環境変化に大きく影響を受けることとなるため、明確なビジョンを持ち、変化に応じて柔軟な施策が推進できるような体制整備が必要となると考えられます。
カラオケ事業におきましては、カラオケボックス業界の市場規模が縮小傾向にあり、事業者間での競争が激化していると認識しております。今後におきましても、少子化の影響で主要な客層である10代から20代の利用が徐々に縮小していくと考えられますが、一方で団塊世代の定年後の余暇需要が新たなマーケットとして期待される点や、平成19年度以降のカラオケ参加人口がほぼ横ばいであることなどを踏まえると、今後も参加人口については現状とほぼ変わらずに推移するのではないかと考えられます。
飲食事業のうち、当社グループが主に参画している居酒屋業界におきましては、長引くデフレや「若者のアルコール離れ」等からの影響で、市場規模が縮小傾向にあると認識しております。今後もこの傾向は継続すると考えられるため、アルコール以外の商品の充実や食品の質・品揃えの向上、接客サービスでの差別化、コンセプトを含めた店舗の特徴などのさらなる充実を図る必要があると考えられます。また、海外における日本食需要の高い地域での出店においても継続して検討を行ってまいります。
このような事業環境の下、当社グループは各事業分野において、課題の対処を強化し、顧客の要求にすみやかに対応するとともに、地域社会との繋がりを深め、信頼関係を構築していくことで、競合他社との差別化を行ってまいります。さらに従業員の教育を徹底し、専門知識の習得とサービスの質を高めることにより、一層の企業体質の強化を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループが重視している経営指標は営業利益率であります。各事業セグメントにおいて、入居者や顧客のニーズの把握に努め、それらを迅速かつ的確に事業に反映することで業績の向上を図るとともに、コスト管理に注力し堅実な事業運営を行うことで安定的な運営基盤の構築を行ってまいります。その結果として、連結売上高営業利益率10%を確保し、維持することを目標として定めております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境は、各セグメントにおいて、その状況にも相違があります。介護事業におきましては、今後日本国内の高齢化が加速して行くと考えられている現状において、これまで以上に利用者、入居者との信頼関係を構築していく必要があると考えられます。また一方でカラオケ事業、飲食事業におきましては、環境は一段と厳しいものになると予想されており、企業間、店舗間における競合への対応が必要となると考えられます。
このような状況の下、当社グループでは、主要となる事業セグメントにおいて、個々の持つ特徴を強く打ち出し差別化を図っていきたいと考えております。
セグメント別には次の目標を掲げております。
①介護事業
年間5~10施設の介護施設の新規開設を予定しております。全国展開を確実に推進するため、新たに進出する地域において地域社会との交流を活発に行い、認知度と信頼関係を強化するとともに、高齢者サービスへの需要に対して適時に対応することでビジネスの拡大を図ってまいりたいと考えております。
また、安定した施設開設を行うためにも、物件の情報収集と、行政機関との関係の構築を行ってまいります。
②カラオケ事業
既存店舖におきましては、来店客数の増加を見込むため、アプリ会員や65歳以上のゴールドメンバーを積極的に募集し、リピート率の向上に努めてまいりたいと考えております。
新規出店に関しましては、経済環境及び消費動向等を慎重に見極めて、出店地域や方針などを柔軟に検討していきます。全国展開を進捗させることで企業の認知度、関心、注目度を高めていくことが可能となると考えております。
③飲食事業
新規出店は業態変更等を含めて年間2店舗程度と考えており、既存店の店舗力の強化に注力をして行きたいと考えております。国内ではサービスや商品の強化を随時行うことで、顧客の信頼や安心感を高め客数の向上を図るとともに、店舗の個性を磨き、足を運んで頂ける店舗づくりを行うことで、消費環境の変化などの影響を受けない体質へと改善して行きたいと考えております。海外においては、日本食の需要の高い地域での出店も検討してまいります。また、継続して、カラオケ店舗と居酒屋店舗の顧客の回流を促進することで、効率的に収益の向上を図ってまいります。
④不動産事業
主に、賃貸マンションの賃貸・管理業務と不動産物件の売買・仲介業務を行う予定です。また、不動産市況等の情勢を見極め、販売用不動産などの調査も適宜行い、迅速に対応してまいります。
(5)対処すべき課題
当社グループは「幼・青・老の共生」をコンセプトとして、「幼年~青年~老年、共に楽しく過ごせる社会作り」を目指し、介護施設やカラオケ店舗の運営を中心とした事業展開を図っております。
今後は、更なる広域展開を志向し、当社グループのコンセプトやブランドイメージを全国的に定着させるべく、各事業子会社、各事業セグメントにおける対処すべき課題を適宜精査し、その都度適切な対応策を講じてまいります。
当社グループとして、現在事業の拡大・推進にあたり重要な課題として認識している事項は、以下のとおりであります。
(全社)
① 人材育成の方針
当社グループの属する介護業界、カラオケ業界及び飲食業界では慢性的に労働力不足の問題を抱えております。当社グループにおきましては、対応策として採用に力を入れるのはもちろんですが、OJTを中心とした技術指導だけではなく、従業員研修制度に基づく各種取り組みにおいて個々の成長をフォローし、職責や当社グループに対するロイヤリティーを高めることで定着率の安定化を図ってまいります。
② 管理体制の強化
当社グループとして、今後事業規模を拡大していくにあたり、人材の育成とともに管理体制を強化し、企業統治をより機能的に行っていくことが重要であると考えております。当社グループにおいては、管理・統制機能を担う各管理部門及び経営企画室を持株会社である当社に集約し、企業グループとして一体的な管理ラインを構築・運用することで、正確かつ効率的な企業統治に努めております。
(介護事業)
① 事業展開地域の拡大
当社グループは、九州を中心に介護施設及び事業所を展開してまいりましたが、事業の中心たる介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)については、介護保険施設等にかかる総量規制の対象となっていることから、従来以上にスピード感をもって新規開設を図るべく、全国の自治体による公募に参加し、開設の認可を得られるように努めると同時に、業界再編に伴う既存施設のM&A案件の情報等も積極的に収集するなどして、事業規模拡大の方策を検討してまいります。なお、全国各地域を対象として考えておりますが、当該地域における事業展開の将来性を判断するにあたり、高齢者の居住状況や同業他社の有無、運営状況については、十分に調査を行っております。
② 接遇レベルの向上
当社グループの介護施設の入居者のほとんどの方が要介護認定者であり、そのような方々に快適な生活を提供するためには、自立支援の観点を持ち、過剰なサービスとならないために配慮することが不可欠であり、その見極めには知識や経験、正しい情報が必要となります。それらを適切に行っていくためにも、自社の研修制度を充実させ、それらを通じて、従業員の能力向上を図るとともに、本質的なサービスの質の向上を果たし、少しでも多くの入居者の満足感や信頼が得られるように努めております。
③ 施設レベルの向上
介護施設において、利用者に安心、安全にお過ごし頂くためには、介護職員による接遇レベルの向上のみならず、施設の安全性や信頼性を確保する必要があります。当社グループでは、災害時を想定した防災訓練の実施や、日々のクリンリネスの徹底、厨房の衛生検査の実施などにより、安全、衛生管理に取り組んでおります。また、介護事業においては、介護保険法や老人福祉法をはじめとする関係法令の周知は不可欠であることから、研修委員会等を通じて知識や技術指導を行うとともに、コンプライアンス委員会主導の下、コンプライアンス推進会による法令全般に係る指導の徹底に努めております。
④ 有資格者の確保
介護サービスの提供にあたり、看護師やケアマネジャー、介護福祉士等の有資格者の確保は不可欠であり、法令遵守の観点からも、有資格者の安定した雇用は重要な課題であると考えております。当社グループでは、有資格者の採用にあたって、知識・経験等を十分に考慮するとともに、入社後においても、能力や実績に応じて適宜待遇面の見直しを行うなどして、安定的な採用と定着率の向上を図っております。
(カラオケ事業)
① 遠隔店舗の店舗力強化
当社グループのカラオケ事業は、福岡県を中心とした九州・山口地区から三重県、滋賀県、広島県、東京都、兵庫県、茨城県、静岡県、神奈川県への進出を果たし、広範囲に渡る地域展開を行ってまいりました。今後も全国展開を継続していくためには、各店舗が安定的に収益を生み出すことが必要であり、そのためには、管理体制、教育体制の強化を図り、迅速な問題の把握とその解決に努めなければならないと考えております。web会議等を活用し遠隔店舗の情報を迅速に掴むとともに、店舗のサービス力、商品力の客観評価を行い、適切に改善策、対応策を打ち出すことができる体制の構築に努めてまいります。
② 競争激化と他社との差別化
カラオケ事業者各社の出店は、当社グループと同じく都心、駅前及び繁華街立地が中心となる傾向にあり、各地域での競合が激しさを増しております。当社グループとしては、繁華街立地で見込みやすい宴会需要に対して、コースメニューを充実、飲み放題・歌い放題プランの種類を増やすなどして他社との差別化を図っております。
(飲食事業)
① 競争激化と他社との差別化
国内飲食業界においては、顧客の消費意欲の減退に伴い競争が激化しており、今後もその状態が継続すると考えられます。当社グループにおいては、競争力のある商品力、サービス力、価格設定等を随時検討するとともに、既存店舗の業態変更やリニューアルを行うなどして、対応策を講じてまいります。また、日本食の需要の高い海外での店舗展開についても引き続き検討してまいります。
② 商品力、接客の強化
当社グループでは、顧客のニーズを汲んだ商品提供を適時に行うために、料理長会議を月一回実施しており、既存商品のブラッシュアップや新商品の開発に取り組むとともに、品質や安全性について研鑽を積んでおります。また、接客についても、積極的な採用活動による優秀な人材の確保と教育・研修を通じたサービススキルの向上を図っております。
③ 衛生管理の強化
衛生上の事故を予防し、顧客の信頼を保つことは、飲食事業を継続的に運営する上での前提となります。当社グループでは、専任の環境パトロール担当者を設置し、クリンリネスのチェックを行っている他、カラオケ事業を含めた全店舗において外部業者による定期的な衛生検査を導入しており、客観的な検証を通して衛生管理の精度の向上に努めております。