有価証券報告書-第8期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
当行では、以下のとおり中期経営計画を策定し、具体的な対処すべき課題として同計画を推進しています。
<第3期中期経営計画(2018年~2020年度)の推進>少子高齢化や労働人口減少といった構造的な課題に加え、第四次産業革命の勃興、地政学的リスクの高まり、地球環境問題に対する取組等、日本を取り巻く環境は従来にも増して目まぐるしく変化しており、その不確実性は高まっております。こうした中、産業界においては、既存産業の垣根を越えた生産性向上のための取組、先端技術・イノベーションの追求等が喫緊の課題となっているほか、増大する事業リスクへの対処を適切に図りつつも、海外市場の成長を積極的に取り込んでいくための動きも継続・深化しています。
このような不確実性が増す国内外の情勢を的確に捉え、産業界の新たな取組や変化に呼応した支援を実現すべく、当行は、2018年6月、第3期中期経営計画(2018~2020年度)を策定しました。第3期中期経営計画においては、10年程度先のありたい姿を示す「中長期ビジョン」として「海図なき世界情勢の中で、日本企業の海外ビジネスを切り開く『羅針盤』でありたい」を掲げました。この中長期ビジョンの下、第3期中期経営計画では3つの基本方針(課題の取組方法)、8つの重点取組課題(業務関連5課題、組織関連3課題)、21の具体的な取組目標を定めています。また、各取組目標の下に評価指標を設け、各指標の内容に応じ、3年間の通期目標を設定しています。
(参考)<経営諮問・評価委員会の評価>各目標の達成度合いを総合した重点取組課題ごとの評価は、社外の有識者及び社外取締役より構成される経営諮問・評価委員会において決定されます。2019年度事業運営計画(中期経営計画において設けた個々の指標について、各年度に取り組むべき目標を設定したもの)に対する経営諮問・評価委員会の評価は以下のとおりです。
<新型コロナウイルス感染症に係る対応>(1)既往案件・債務者に対する適切なモニタリング
2019年度第4四半期から始まった新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の変化や不確実性の高まりに伴い、債務者等の財務状況悪化やプロジェクトの建設遅延・操業への影響等を通じ、債務者等に影響が生じ得るところ、当行与信ポートフォリオの特性を踏まえ、与信集中管理や予兆管理等の枠組を活用しつつ、業況や債権回収の見通しにつき適切にモニタリングしていきます。
(2)日本政府の経済対策を踏まえた日本企業の海外事業活動の支援
当行は、米中間の通商問題をめぐる緊張の影響など海外発の下方リスクなどに対応した総合経済対策の一環として2020年1月に日本企業の海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援及び質の高いインフラ整備支援を目的として「質高インフラ環境成長ウインドウ」と「海外展開支援ウインドウ」から構成される「成長投資ファシリティ」を創設しており、また、日本政府による「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(2020年4月20日閣議決定)を踏まえ、2020年4月、同ファシリティに「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」を追加しております。当該ウインドウ等を活用しつつ、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている日本企業の海外における事業活動を支援していきます。なお、2020年3月には、新型コロナウイルス感染症の発生により影響を受けた企業を対象に相談窓口を設置しており、当該窓口も通じ、日本企業のニーズに対応していきます。
<第3期中期経営計画(2018年~2020年度)の推進>少子高齢化や労働人口減少といった構造的な課題に加え、第四次産業革命の勃興、地政学的リスクの高まり、地球環境問題に対する取組等、日本を取り巻く環境は従来にも増して目まぐるしく変化しており、その不確実性は高まっております。こうした中、産業界においては、既存産業の垣根を越えた生産性向上のための取組、先端技術・イノベーションの追求等が喫緊の課題となっているほか、増大する事業リスクへの対処を適切に図りつつも、海外市場の成長を積極的に取り込んでいくための動きも継続・深化しています。
このような不確実性が増す国内外の情勢を的確に捉え、産業界の新たな取組や変化に呼応した支援を実現すべく、当行は、2018年6月、第3期中期経営計画(2018~2020年度)を策定しました。第3期中期経営計画においては、10年程度先のありたい姿を示す「中長期ビジョン」として「海図なき世界情勢の中で、日本企業の海外ビジネスを切り開く『羅針盤』でありたい」を掲げました。この中長期ビジョンの下、第3期中期経営計画では3つの基本方針(課題の取組方法)、8つの重点取組課題(業務関連5課題、組織関連3課題)、21の具体的な取組目標を定めています。また、各取組目標の下に評価指標を設け、各指標の内容に応じ、3年間の通期目標を設定しています。
| 中長期ビジョン(ありたい姿) |
| 海図なき世界情勢の中で、日本企業の海外ビジネスを切り開く「羅針盤」でありたい。 |
| 基本方針(課題の取組方法) |
| ① 強み・特性に裏打ちされたリスク・テイク機能の拡充・強化 |
| ② 社会情勢・顧客ニーズの変化に応じた自己変革・柔靭性の追求、民業補完の徹底 |
| ③ 組織力の結集 |
| 重点 取組課題 | 取組目標・評価指標 | ||||||||||||||||||||||||
| 業務①成長分野・新領域 | |||||||||||||||||||||||||
| 1. イノベーション促進に向けた戦略的取組の推進 (1) イノベーションの取り込み及び新規事業の創出・海外展開の推進 ● 第四次産業革命を通じ、産業社会が人と機械・データ等がつながるConnected Industriesへと変化していく中、我が国企業の海外からのイノベーションの取り込み、イノベーションを活用した新規事業の創出・海外展開等の我が国企業によるボーダレスな取組を支援
(2) キープレーヤーとの関係構築 ● イノベーションの進展を踏まえ我が国企業との関係を再構築しつつ、イノベーションの創出・事業展開を担うスタートアップ企業・大学発ベンチャー等の新たなプレーヤー、我が国企業のパートナーとなり得る海外有力企業・ファンド等との関係構築を推進
| |||||||||||||||||||||||||
| 2. 経済フロンティアにおける我が国企業のビジネス展開支援 (1) 案件発掘・形成の促進を通じた我が国企業のビジネス機会創出 ● 我が国との更なる関係強化が期待されるアフリカ・メコン・南アジア地域において、積極的なリスクテイク、国際機関等や各国政府系金融機関との連携等を通じて、我が国企業の事業戦略に即したビジネス活動を支援
(2) TICAD VIIプログラムを見据えたアフリカ向け取組の強化 ● 我が国企業のアフリカにおけるビジネス開拓に貢献するべく、アフリカ向け取組方針を策定し、案件形成を主体的に推進
| |||||||||||||||||||||||||
| 3. 新たな市場環境に対応する資源プロジェクトの推進 (1) 市場の変化に則したファイナンスの組成 ● 需給構造の転換期にあるLNG市場における、価格体系の多様化・契約形態の多様化等の動きに対応したファイナンスを実施
(2) エネルギーバリューチェーンの構築に資するプロジェクトの支援 ● エネルギー安全保障に貢献するべく、Gas to Power、LNG受入基地建設等関連インフラ整備等を支援
(3) 新たな資源・エネルギー源の確保 ● イノベーションを支える新たな戦略資源物資の確保、及び低炭素社会を見据えた新たなエネルギー源の確保・サプライチェーン構築に向けた取組を支援
|
| 業務②インフラ海外展開 | |||||||||||||
| 1. 政策的重要性の高いインフラ案件の支援 ● 高速鉄道、港湾等の社会インフラ案件等、政策的重要性の高いインフラ案件における我が国企業の海外展開を支援する観点から、我が国政府・政府機関とも連携しつつ、積極的に案件形成を牽引
| |||||||||||||
| 2. 地経学的重要性の高い国におけるインフラ開発推進のための制度構築への貢献 ● 地経学的重要性が高く、将来のインフラ輸出のポテンシャルが高い国において、ホスト国政府等との政策対話やワークショップの開催等を通じて、民間企業によるインフラ開発推進の鍵となる官民パートナーシップ(PPP)の知見を共有すること等により、PPP制度構築を支援
| |||||||||||||
| 業務③環境保全 | |||||||||
| 1. 世界の低炭素化への貢献 ● ホスト国政府の政策やニーズも踏まえつつ、電力セクターにおける化石燃料案件の低炭素化を推進するとともに、再生可能エネルギー等の低炭素インフラ案件形成に向けた我が国企業の取組を積極的に支援
| |||||||||
| 2. 地球環境保全の更なる推進 ● きれいな空気・水、廃棄物処理等への社会的要請に対し、脱硫・脱硝装置、水処理装置、廃棄物発電等我が国企業が有する優れた環境技術やノウハウの動員を図り、持続可能な経済成長の実現に貢献
| |||||||||
| 業務④M&A | |||||||||
| 1. 政策的重要性等を踏まえた海外M&A支援 ● 政策的重要性や我が国企業の経営・事業戦略上の意義を踏まえつつ、買収後の事業展開への支援も含め、海外M&Aを支援
| |||||||||
| 2. 民間金融機関との連携による海外M&A支援 ● 広範な顧客基盤を有する我が国民間金融機関と協調し、ツー・ステップ・ローンを通じて海外M&A資金を供給
| |||||||||
| 業務⑤政策金融の着実な遂行と業務の見直し | |||||||||||||||||||
| 1. 政策金融の着実な遂行 (1) 積極的なリスクテイク等を通じたJBICミッションの実現 ● 新たなプレーヤーの台頭等地経学的な観点で我が国を取り巻く環境が変化する中、ホスト国政府のニーズを把握しつつ、積極的なリスクテイクや多様なファイナンスツールの活用を通じて、我が国企業のビジネス活動を支援し、重要資源の海外における開発及び取得の促進、我が国産業の国際競争力の維持及び向上に貢献
(注1)株式会社JBIC IG Partners (注2)プロジェクト開発促進会社(Project Promotion Vehicle) (2) 国際金融環境の変化への機動的な対応 ● 国際金融環境や企業の資金調達状況をモニタリングし、国際金融秩序の混乱の防止又は混乱への対応を目的とした取組を機動的に実施
| |||||||||||||||||||
| 2. 外部環境の変化に即した業務の見直し ● 国際情勢、金融環境の動向、我が国政府の方針及び政策金融への期待の変化に機動的・重点的に対応するべく、既存業務を見直し、メリハリの効いた業務内容を実現
| |||||||||||||
| 3. 中堅・中小企業の海外展開支援 ● 中堅・中小企業の海外案件を推進するべく、地域金融機関・信用金庫をはじめとする民間金融機関との積極的な連携を通じ、JBICの特徴を活かした支援を実施
|
| 組織①業務機能の高度化 | |||||||||||||||
| 1. 地経学的重要性の高い案件組成の推進 (1) インテリジェンス機能を活用しつつ、地経学的重要性の高い案件の推進 ● インテリジェンス機能を活用した我が国政府・ステークホルダーに対する情報の発信及び地経学的に重要な案件のファイナンス組成に向けた貢献 (2) 他国公的機関・国際機関等との戦略的な連携 ● 公的機関のファイナンスに関するルール形成に貢献しつつ、他国公的機関・国際機関等との連携を通じて戦略的な案件形成と適切なリスクシェアを実現 (3) 外国政府・外国企業とのリレーション強化 ● 我が国の対外政策及び地経学上の重要性を踏まえた相手国との関係強化・案件形成に向け、相手国政府要人・企業等との関係構築を推進 | |||||||||||||||
| 2. ビジネス環境の変化に即応する業務機能の改善 ● ビジネス環境の変化に対応した新たな業務展開のため、業務態勢の整備、新たなファイナンス・メニューの創設、制度運用の見直し等を実施 | |||||||||||||||
| 3. 民間金融機関のビジネスモデルを踏まえた民間資金動員の更なる推進 ● バーゼル規制等による金融環境の変化を踏まえつつ、新規案件において我が国民間金融機関との協調融資、ツー・ステップ・ローン及び保証機能の活用等を通じて民業補完を徹底するとともに、既往融資の債権流動化等を通じた新たな投資機会の提供やセミナー開催による情報提供等を通じた協調融資先等の裾野の拡大を促進
| |||||||||||||||
| 組織②経営態勢の高度化 | |||
| 1. 迅速・果断な組織運営に資するマネジメント態勢の確保 (1) 企画遂行能力の強化 ● 部門別の企画事項の統括のための体制を構築し、組織課題に対する対応力の強化及び効率化を図る (2) 意思決定プロセスの見直し ● 会議体の統廃合、権能・構成員の最適化、合議プロセスの見直し等を実施 | |||
| 2. 経営判断を支える財務・リスク管理態勢の一層の充実 (1) リスクテイク能力強化のための資本充実 ● 大型案件等でのリスクテイク機能の積極的な活用に資する資本の充実 (2) 多様かつ安定的な資金調達能力の強化及び決算等の態勢整備 ● 外国通貨長期借入等の活用による資金調達手段の多様化、市場規制等や業務の変化に即応した経理・決算等財務態勢の構築 (3) リスク管理態勢の強化 ● リスク耐性の強化に資する全体管理・分析の高度化(モニタリング強化、資産負債管理・採算分析の高度化、信用力判断・データ捕捉を向上させる信用リスク管理システム改良等)
| |||
| 組織③組織基盤の強靭化 | |||
| 1. 働き方改革の推進 ● 「働き方改革基本計画」の実施 | |||
| 2. 事務効率化 (1) ミスや遺漏のない各種業務の遂行 ● IT等を活用した業務の効率化、確実且つ機動的な業務遂行に資する調達事務等の合理化 (2) システムの安定かつ安全な運営態勢の実現 ● 基幹システム刷新・IT基盤更改等の着実な実施による態勢整備 | |||
| 3. 業務遂行の安定性・安全性確保 ● 業務継続計画(BCP)の実効性確保、情報セキュリティインシデント発生時の対応強化 | |||
| 4. 人的資本の強化 ● 多様化する業務に対応した人材確保・開発・育成
| |||
(参考)<経営諮問・評価委員会の評価>各目標の達成度合いを総合した重点取組課題ごとの評価は、社外の有識者及び社外取締役より構成される経営諮問・評価委員会において決定されます。2019年度事業運営計画(中期経営計画において設けた個々の指標について、各年度に取り組むべき目標を設定したもの)に対する経営諮問・評価委員会の評価は以下のとおりです。
| ・国際協力銀行(JBIC)では、3つの基本方針(課題の取組方法)、8つの重点取組課題、21の具体的な取組目標から成る第3期中期経営計画(2018~2020年度)に取り組んでいる。2年目となる2019年度においては、米中通商問題の緊張の高まり、新型コロナウイルス感染症の拡大等により不確実性が増大するなか、「インフラ海外展開」ではJBICの強みを活かして案件形成・承諾実績をあげたほか、日本政府の政策・対策などに即応する形で次年度以降の取組に繋がる施策を導入するなど、一定の成果を出したことを評価する。最終年度となる2020年度はコロナ禍の世界経済への影響が懸念される中ではあるが、過去2年間に抽出された課題を踏まえ、引き続き世の中の潮流の変化を捉えつつ、中期経営計画達成に向けた取組を期待する。2019年度事業運営計画に係る重点取組課題毎の評価は以下のとおり。 |
| ・業務①「成長分野・新領域」では、イノベーション・経済フロンティア・新たな市場環境に対応した資源といった課題設定に対応した取組を推進。北欧・バルト地域のIT先端企業を投資対象としたファンドにおいて投資やビジネスマッチングといった特徴ある成果をあげた。新規承諾案件としては、スタートアップ企業にグローバルに投資を行うファンド・オブ・ファンズへの投資、北極海航路を活用するLNG事業権益取得案件支援といった今後の案件組成にも繋がる実績をあげたものの、アフリカ向けなど案件組成に時間を要していることなどから、承諾件数・金額・取組件数はいずれも目標に届かなかった。日本企業にとって、当該重点取組課題の業務分野はいずれも、その重要性を増しており、成果実現に向けたより一層の取組を期待する。 |
| ・業務②「インフラ海外展開」では、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を満たす社会インフラ形成において、日本企業の更なる活躍を支援するため、中長期的視点での取組を推進。中国国家開発銀行との第三国での協業に向けた取組のほか、日本企業が更なる開拓を目指す国においてPPP制度の創設・運用改善等に係る提言を実施。またブラジル貨物鉄道事業、トルコ自動車専用ターミナル運営事業向け支援を行うなど、いずれの件数目標も達成。引き続き、ホスト国・我が国の双方にとってWin-Winの関係実現を目指した戦略的な取組を期待する。 |
| ・業務③「環境保全」では、2020年1月、前年度新設した「質高インフラ環境成長ファシリティ(QI-ESG)」を発展的に改編し「成長投資ファシリティ」を創設。当該新ファシリティの中で環境保全分野については「質高インフラ環境成長ウインドウ」として強化。低炭素インフラ案件として、モロッコ陸上風力発電事業を支援したほか、ベトナムにおける太陽光発電事業等の支援のための融資枠を現地国営商業銀行に設定。また、日本企業の環境技術を動員する案件として、ベトナムにおいて太陽光パネル用透明導電膜ガラス製造販売事業を支援したが、承諾件数はいずれも目標を下回った。ESG投資の世界的潮流は一層の加速を見せており、成果実現に向けたより一層の取組を期待する。 |
| ・業務④「M&A」では、2020年1月に創設した「成長投資ファシリティ」の中で、海外M&Aも対象とする「海外展開支援ウインドウ」を設置するなど取組を強化。金利環境などからJBIC活用ニーズが乏しいなか、日本企業に対する直接支援については、イタリアの自動車部品会社M&A案件をLBOファイナンス活用により支援したほか、参入障壁の高い巨大市場であるインドにおける大手製鉄会社M&A案件支援、シンガポールのエンジニアリング事業会社M&A案件に対する出資など、件数目標未達ながら、顧客ニーズに応じた支援を実施。また、ツー・ステップ・ローン活用による支援については、目標件数未達ながら、実績は前年度を上回った。グローバル・サプライチェーン再編といった動きのなか、重要性を増す海外M&A支援に向けた一層の取組を期待する。 |
| ・業務⑤「政策金融の着実な遂行と業務の見直し」では、国際金融市場や企業の資金調達状況を把握した上で、民間金融機関と連携しつつ、「資源分野」及び「国際競争力分野」での案件形成・承諾を実施(資源分野:承諾目標件数未達、国際競争力分野:承諾目標件数達成)。また、中堅・中小企業向け承諾は目標を上回った。民間金融機関では対応が容易でない金融手法等の活用については、2017年4月に設立したロシアのプロジェクト開発促進会社を活用し輸出案件組成を支援に加え、中堅・中小企業向け現地通貨建融資の取組により目標件数を上回ったが、特別業務の承諾実績はなかった。昨年度第4四半期から始まった新型コロナウイルス感染症拡大の経済への影響のなかで日本企業の海外事業を支えるべく、特別業務活用によるリスクテイクをはじめ、民間金融機関との適切な連携のもと、公的機関としての一層の機能発揮を期待する。 |
| ・組織①「業務機能の高度化」では、総合経済対策の一環として「成長投資ファシリティ」を創設したほか、政令改正による先進国支援対象分野の拡充(水素・蓄電・空港・港湾など)や、資源分野における支援対象として水素を追加するなど、次世代を見据えた支援メニューの充実化を実現。この他、調査部を活用したインテリジェンス情報の業務への活用、政府・ステークホルダーへの提供の定着化や、外国政府、外国企業要人とのネットワーク強化を図りつつ、民間金融機関との協調・連携を適切に実施。 |
| ・組織②「経営態勢の高度化」では、前年度策定方針に基づき、 2019年7月に経営企画部・業務企画室・総裁室を統合。企画事項の一元化に加え、会議体、決定権限等の見直しにより、効率的な情報共有と経営との円滑な意思疎通を可能とする取組を実施。また、IFRS9を適用した決算を実施したほか、一般業務勘定、特別業務勘定の増資、与信先に対するオンサイトモニタリング継続をはじめとするリスク管理態勢強化を実施。これまでの経営態勢の見直しを浸透させるとともに、必要な調整、柔軟な見直しを行うことを通じ、迅速・果断な組織運営の継続に向けた不断の取組を期待する。 |
| ・組織③「経営基盤の強靭化」では、「働き方改革基本計画」に基づき、ダイバーシティの観点も踏まえ、多様な働き方を実現するための各種施策を段階的に導入・実施。また、RPA(Robotic Process Automation)を含む業務効率化や、業務継続計画や情報セキュリティインシデント発生時の対応について、実効性向上に向けた訓練実施など、取組を強化。ビジネス環境の目まぐるしい変化の中で、公的金融機関として期待される機能を間断なく発揮するため、「働き方改革基本計画」、これを実現する事務効率化の一層の推進と人材育成に取組むことを通じ、経営基盤の強靭化に向けた不断な取組を期待する。 |
<新型コロナウイルス感染症に係る対応>(1)既往案件・債務者に対する適切なモニタリング
2019年度第4四半期から始まった新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の変化や不確実性の高まりに伴い、債務者等の財務状況悪化やプロジェクトの建設遅延・操業への影響等を通じ、債務者等に影響が生じ得るところ、当行与信ポートフォリオの特性を踏まえ、与信集中管理や予兆管理等の枠組を活用しつつ、業況や債権回収の見通しにつき適切にモニタリングしていきます。
(2)日本政府の経済対策を踏まえた日本企業の海外事業活動の支援
当行は、米中間の通商問題をめぐる緊張の影響など海外発の下方リスクなどに対応した総合経済対策の一環として2020年1月に日本企業の海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等の海外展開支援及び質の高いインフラ整備支援を目的として「質高インフラ環境成長ウインドウ」と「海外展開支援ウインドウ」から構成される「成長投資ファシリティ」を創設しており、また、日本政府による「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(2020年4月20日閣議決定)を踏まえ、2020年4月、同ファシリティに「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」を追加しております。当該ウインドウ等を活用しつつ、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている日本企業の海外における事業活動を支援していきます。なお、2020年3月には、新型コロナウイルス感染症の発生により影響を受けた企業を対象に相談窓口を設置しており、当該窓口も通じ、日本企業のニーズに対応していきます。