有価証券報告書-第16期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/21 15:41
【資料】
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【項目】
146項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、2020年9月期に15周年を迎えたことを契機に、当社グループのありたい姿として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、サステナビリティを軸とした事業を展開し、持続的な成長を図っております。その中で、当社グループはユーグレナ等の微細藻類の大量培養技術を出発点として、食品、化粧品、飼料、燃料等の様々な分野における事業展開と研究開発を行っております。
ユーグレナは、植物と動物の両方の性質を備えたユニークな生物であり、その豊富な栄養素や独自成分であるパラミロンの機能性等を活かして、機能性食品、化粧品、飼料として活用することが可能です。また、ユーグレナは光合成により二酸化炭素を吸収して成長する特徴を有していることから、ユーグレナを低コストで大量に培養する技術を確立することで、ユーグレナに含まれる脂質成分をバイオ燃料原料として利用することも可能となります。当社グループは、これらのユーグレナの特徴を活かして、ヘルスケア分野やエネルギー・環境分野における事業を推進しております。
また当社グループは、ユーグレナの事業展開を通じて培った事業基盤と、バイオテクノロジー分野における知見を活かして、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という当社グループのありたい姿の実現に向けて、サステナビリティを軸に、ユーグレナ以外の素材や藻類培養以外のテクノロジーを用いた事業展開、並びに既存事業の周辺領域や新規領域への事業進出も進めてまいります。
当社は、ユーグレナを「バイオマスの5F」の「用途」分野に沿って事業化することを基本戦略としつつ、その事業化に伴い「ビジネスモデル」や「素材・技術」の多様化を進めております。「バイオマスの5F」とは、重量単価(例:1kgあたりの値段)が高い順からFood(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の各分野へ展開することを指しております。ユーグレナに関しては、現在はバイオマスの5Fのうち、最も価格が高いFood(食料)を主として食品及び化粧品の「用途」で事業化しており、「ビジネスモデル」は、原料販売から、OEM供給、流通チャネルでの卸売、直販、そして海外展開へと順次拡大しております。また今後は培養技術の更なる向上・開発により原料の低コスト化を図り、Feed(飼料)及びFuel(燃料)等の「用途」での事業化を目指してまいります。
図 バイオマスの5F
0102010_001.jpg一方、当社はユーグレナ以外の「素材・技術」についても研究開発や新規開拓を進めており、クロレラ等の微細藻類のほか、カラハリスイカや緑豆等の植物、クルマエビ等の農水産物、そして遺伝子解析サービスといった「素材・技術」を当社グループの事業ポートフォリオに順次導入しております。
以上のとおり、当社グループは、ユーグレナを「バイオマスの5F」の「用途」分野に沿って事業化するという基本戦略を軸に、「素材・技術」、「ビジネスモデル」の点で事業領域の多様化を進めることで、中長期的な企業成長と事業拡大を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループのヘルスケア事業の目標とする経営指標としては、事業の黒字維持と設定し、下記、「1.(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載する経営戦略に則り、ヘルスケア事業の再成長の継続に向けて、現在直面している課題の解決を成長機会に転じることで、新たな中長期成長の実現を目指してまいります。
「国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化(国産バイオ燃料計画)」に向けては、2018年10月31日に実証プラントが竣工に至り、同年11月2日には「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN』宣言を発表し、実証プラントにおいて生産するバイオ燃料の供給パートナーとの関係構築を着実に進めております。また、2020年3月には、いすゞ自動車株式会社とともに次世代バイオディーゼル燃料の完成と燃料供給開始を発表し、実証プラントが2020年3月に本格稼働に至りました。また、2020年1月にバイオジェット燃料の製造技術の国際規格であるASTM D7566規格の新規格の取得の完了を発表しました。一方、バイオジェット燃料の製造・供給に向けた準備及び関係各所との協議を進めておりますが、バイオジェット燃料を使用した有償フライトの実現の方針は変更しないものの、有償フライトの実施スケジュールについては、新型コロナウイルス感染症拡大に関する関係者の状況に配慮し、柔軟に対応してまいる方針です。
今後、当社グループは2021年9月期において、ヘルスケア事業における下記、「1.(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載する経営戦略に則った各種施策の実施によって売上再成長を実現していくことを目指し、業績予想として過去最高の売上高である15,200,000千円を見込んでおります。また、2021年9月期から新たに経営者が目標とする経営指標として調整後EBITDAを開示いたしました。調整後EBITDAは一般に公正妥当と認められた会計基準に基づく営業利益に、当社グループにとって経常的に発生する収益や非現金支出を反映させ、恒常的に事業から創出されるキャッシュ・フローを計る利益指標であります。2021年9月期の調整後EBITDAは△630,000千円と前期比で赤字幅の縮小を見込んでおります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的な経営戦略として、ヘルスケア事業においてはユーグレナ食品売上高の再成長を、エネルギー・環境事業においてはバイオ燃料製造・供給の商業化を図ってまいります。
ヘルスケア事業については、2019年9月期までは直販化粧品を成長ポテンシャル領域と位置づけて広告宣伝投資を実施してまいりましたが、直販化粧品のパフォーマンスが当初想定を達成するに至りませんでした。2020年9月期以降は、減少基調が継続しているユーグレナ食品領域を重点強化領域と位置づけ、短期的な売上成長・利益確保は追及せず、ユーグレナ食品の素材プロモーション、企業/素材/商品ブランド間の連携強化、事業基盤整備等に投資比重をシフトすることで、持続的な成長を目指してまいります。具体的な実施施策については下記、「1.(4)対処すべき課題」に記載しております。
エネルギー・環境事業については、2018年11月2日に実証プラントの竣工に併せて、2025年までに商業プラントの稼働開始を目指す方針を発表いたしました。当社が製造を予定しているバイオ燃料のうち、特にバイオジェット燃料に関連する社会の動きとしては、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)が気候変動問題への対応として、2020年以降、航空業界において温室効果ガスの排出を増加させないことを掲げており、その対策としてバイオジェット燃料の普及・拡大が期待されています。このようなバイオ燃料へのニーズの高まりに対して、当社グループも採算性を重視しながら、気候変動問題の解決に貢献するバイオ燃料製造・供給の商業化を2025年に向けて着実に進めていく方針です。また、ユーグレナの大規模培養技術に関する研究開発を着実に進展させることで、燃料用だけでなく飼料用原料としてのユーグレナの利活用も目指してまいります。具体的な実施施策については下記、「1.(4)対処すべき課題」に記載しております。
(4)対処すべき課題
当社グループでは、15周年を新たな意思表明の機会と捉え、当社グループのありたい姿として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、サステナビリティを軸とした事業を展開し、持続的な成長を図っております。現状の市場環境及び事業進捗において、当社グループとして認識している対処すべき課題については以下のように考えております。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業においては、売上高及びセグメント利益の減少が続いていることから、食品素材としての便益認知の向上、ブランドの再構築並びに直販チャネルにおける新規定期顧客獲得のための広告宣伝投資の見直しに取り組んでおります。
ヘルスケア事業の再成長に向けて当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題の解決を成長機会に転じることで、新たな中長期成長の実現を目指してまいります。
①ユーグレナ食品需要の低迷
ユーグレナ食品売上高は減少基調が継続しており、ユーグレナ食品に対する需要の創出がヘルスケア事業の再成長に向けた課題と認識しております。ユーグレナ食品の認知・購買経験率は他の健康素材と比較して低い水準にとどまっていることから、ユーグレナ食品市場の成長がピークアウトしたと判断するのは時期尚早と評価しており、むしろ素材認知促進や顧客接点拡大による成長余地が大きく残されていると捉えております。当連結会計年度においては、これまで特定してきたユーグレナの訴求便益に加えて、石垣島ユーグレナの継続摂取が、現代人が抱える複合的な健康不安を解決し根本から健康へ導く可能性があることを確認したヒト臨床試験に基づいた機能性研究の結果を発表しました。今後は素材開発や機能性研究を強化するとともに、食品素材としての便益等に関する素材プロモーション等の認知向上施策の実施や、全販路展開による顧客接点の拡大に努めることで、独自素材を有する健康食品メーカーとしての強みを最大限に活用していく方針です。
②企業/素材/商品ブランドの連携不足
当社グループのブランディングは、企業/素材/商品の各ブランドが十分に相互連携できておらず、企業活動に関するメディア露出等が商品売上の拡大につながらない、また商品ブランドにおいて企業活動や素材便益が想起されにくい等の課題を有しています。当社グループは、社名でもあるユーグレナという独自素材を有するとともに、バイオ燃料の研究開発やバングラデシュでの活動等の社会性の高い事業を展開しており、他のヘルスケア企業が容易に模倣できない独自のブランドを構築し、マーケティングに活用できるポテンシャルを備えていると捉えております。当連結会計年度においては主力食品ブランドである「緑汁」及び「飲むユーグレナ」を「からだにユーグレナ」シリーズとしてリブランディングしました。また、素材及び便益の認知度を向上させるためTVCMを全国展開しました。今後は広告宣伝投資に占めるブランディング投資の比重を高め、企業/素材/商品の各ブランド間の相互連携を強化することで、独自性の高いブランドを構築し、ブランドを軸とした商品展開とマーケティングを強化していく方針です。
③顧客獲得チャネル及び顧客層の偏り
当社グループの売上の主力である直販チャネルの定期顧客はシニア層が中心を占めており、当該顧客層に親和性の高い新聞広告・テレビショッピング等のオフライン広告に対して集中的に広告宣伝投資を展開してきた結果、顧客層と顧客獲得チャネルに偏りが生じていることを課題と認識しております。ヘルスケア事業の中長期的な成長には顧客層の多様性と持続性の確保が重要であるにも関わらず、当社グループのデジタルマーケティングやミドル層へのアプローチ、ロイヤルカスタマー育成施策等への取り組みは十分とは言えず、改善の余地は大きいと捉えております。当連結会計年度では、主力食品ブランドの「からだにユーグレナ」シリーズの広告におけるオンライン比率の向上に取り組んだほか、グループ会社のMEJが若年層向けのヘルスケア商品「C Coffee」をデジタルマーケティングによって展開しました。今後はマーケティング、CRM、事業管理等におけるデジタル化の推進や、ロイヤルカスタマー育成施策の拡充等、中長期的成長に必要な事業基盤の整備を進めていく方針です。
(エネルギー・環境事業)
当社グループは、エネルギー・環境事業において、将来的な商業化を見据えたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造・供給体制の構築と微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性に関する研究開発を推進しております。エネルギー・環境事業に関して当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題を早急に解決することで、中長期的に新たな事業の柱として確立することを目指してまいります。
①バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントの供給体制の構築
当社グループは2020年9月期までに国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を実現するという目標のもと、神奈川県横浜市鶴見区において実証プラントの建設を2017年6月より開始し、2018年10月末に竣工に至りました。当連結会計年度においては、2020年1月に当社が使用するバイオ燃料の製造技術であるBICプロセス(※1)が、バイオジェット燃料の国際技術標準であるASTM(※2) D7566の新規格を取得しました。また、2020年3月には次世代バイオディーゼル燃料を完成させ、同月にいすゞ自動車株式会社への供給を開始した後、次世代バイオディーゼル燃料の供給先は順調に拡大しています。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は依然収束の見通しも不透明な状況が続いており、バイオ燃料供給見込み先における導入スケジュールや実証プラントの稼働スケジュールに影響が出た結果、2020年9月末までにバイオジェット燃料を使用した有償フライトの実現には至りませんでした。今後、当社が次世代バイオディーゼル燃料の供給先拡大や有償フライト実現を目指していく方針に変更はありませんが、当面は、関係者の状況への配慮を優先し、製造・供給スケジュールに関しては期限を定めずに柔軟に対応していく予定です。今後は、次世代バイオディーゼル燃料の継続的な供給とバイオジェット燃料による有償フライトを2021年9月期中の早期に実現することを目指してまいります。
②バイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラントの製造・供給体制の構築
当社グループは、実証プラントの竣工を機に「日本をバイオ燃料先進国にする」を合言葉とする『GREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)』宣言を公表し、2025年までにバイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラント(以下、「商業プラント」)の建設を目指す方針を発表いたしました。商業プラントの建設の実現には、実証プラントの稼働データを取得・分析するとともに、プラントの立地選定・用地確保、バイオジェット・ディーゼル燃料原料の確保、プラントの設計・建設、プラント運転に要する人員・用役の確保、供給先や販売パートナーの確保等、様々な課題に取り組む必要があります。2019年9月期よりプラント立地候補地調査や事業パートナーの開拓等、商業プラント設計開始に向けた準備に着手しており、今後さらにフィージビリティ・スタディを進めることで、商業プラント建設に向けた計画を立案していく方針です。
③微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性
当社グループは、微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性に関する研究開発を進めており、将来的な商業生産の実現を目指しております。商業生産の実現には、生産コストの更なる削減、大規模生産技術の確立、大規模生産の候補地調査と現地データ収集、ユーグレナの品種改良や用途に関する研究等、様々な課題に取り組む必要があります。2017年より三重県多気郡多気町の藻類エネルギー研究所においてバイオ燃料向け微細藻類の研究を進めているほか、2019年2月には株式会社デンソーとの間で微細藻類を活用した事業開発で包括的に提携する基本合意書を締結、2019年6月には伊藤忠商事株式会社との間でバイオ燃料用・飼料用ユーグレナの海外培養実証事業開始に向けた覚書を締結してインドネシアにおける実証実験の開始を発表、同年11月にはコロンビアにおいても同様の実証実験を開始するなど、微細藻類の大規模・低コスト生産技術の確立を目指す研究開発活動とパートナーシップ構築を推進しております。今後も各方面の有力な研究機関との共同研究や事業会社とのパートナーシップを活かしながら、商業生産実現に向けたフィージビリティ・スタディ及び技術開発・実証を推進してまいります。
【用語解説】
※1:バイオフューエルズアイソコンバージョン(Biofuels IsoConversion)プロセス技術の略称。Chevron Lummus Global社及びARA社より当社にライセンスが付与されているバイオ燃料製造技術の一つです。
※2:米国の材料試験協会(American Society for Testing and Materials)が定める国際的な工業材の技術規格・認証制度。バイオジェット燃料の国際的な技術規格としては、ASTMのD7566という技術規格が整備されており、当該規格にのっとって、各種の方法で製造されたバイオジェット燃料の試験・評価がされ、審査を通過した技術規格のみが国際的な認証を取得可能です。
(営業キャッシュ・フローの減少について)
当社グループは、ヘルスケア事業からの営業キャッシュ・フローによる収入を原資として、中長期的な成長が見込まれるエネルギー・環境事業への投資に資金を投下し、必要に応じて追加の資金を財務活動によって調達することをキャッシュ・フローの基本方針としております。
エネルギー・環境事業に必要とされる資金は、公募増資及び第三者割当増資により既に調達済みであり、当面の事業運営に必要な資金は十分に有しております。
一方で、2018年9月期以降ヘルスケア事業の売上高及びセグメント利益の減少が続いていることから、同事業の営業キャッシュ・フローが回復せず、当社グループの事業運営に必要な資金が財務活動によっても調達できない場合には、当社グループの事業運営及び事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年9月期上半期に、ヘルスケア事業において顧客獲得効率が低迷しているブランドの広告宣伝投資を縮小した影響で、同事業の売上高は減収となりました。一方で、同下半期に広告効率の改善によって、ヘルスケア事業の売上高の成長が見込まれたため、広告宣伝投資を成長ブランドに積極的に投下しました。その結果、通期では同事業の売上高とセグメント利益は前期比で減収減益となりましたが、下期における広告宣伝投資によって直販チャネルにおける定期購入顧客数が増加に転じており、2021年9月期以降につきましては同事業の売上高、セグメント利益並びに営業キャッシュ・フローの回復を見込んでおります。
(新型コロナウイルス感染の影響について)
新型コロナウイルスの感染拡大による事業への大きな影響はないものの、依然として収束時期が不透明な状況であるため、引き続き事業へ及ぼす影響については注視してまいります。
消費者における外出自粛による通販需要の拡大や、健康意識の向上による健康食品需要の拡大といったトレンドは、通信販売や健康食品販売といったヘルスケア事業を主力とする当社グループにとって成長機会となるものと見込んでおり、適切なタイミングで広告投資を実施してまいります。

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