有価証券報告書-第10期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/21 9:02
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108項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
デジタル情報技術が目覚ましい進化を遂げる中、ユーザーのニーズに応じて次々と新しい商品・サービスが生み出されていく現代において、当社グループは「顧客中心主義に基づく金融サービスのイノベーターとして新しい価値を創造していく」ことを企業理念として掲げています。各種金融規制の緩和や法改正により、銀行等の専門業種との境界が融解、またコロナ禍で外部環境や社会構造の変化がドラスティックに起こりつつある中、新たに生じた潜在需要の高い領域に対して、FinTech技術を活用することで顧客ニーズに合致した革新的なサービスを提供していくことを基本経営戦略としています。
当社グループは、インターネット黎明期に決済事業を開始し、日本の電子商取引市場の発展と歩調をあわせるように拡大・成長してまいりました。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査2020年度版」によると、B2C-EC市場は2019年度で約19.4兆円に達し、約107%で成長をしております。また矢野経済研究所の調査資料「オンライン決済サービスプロバイダーの現状と将来予測」では、2019年度のオンライン決済サービスプロバイダー市場規模は約16.4兆円にまで拡大、今後もコロナ禍を受けて対象業種の拡大やBtoB決済、オムニチャネル領域への拡大等により成長を続け、2024年度には30兆円超の規模にまで拡大するという予測がなされています。一方、未だ収まりを見せない新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の再発出がされたものの感染抑制効果は限定的であり、足元の景気の下押し要因となっております。当社グループの主要事業領域の一つである消費者向け電子商取引市場においては、これまでEコマースを利用していなかった業種も次々とネット販売を開始したり、役務サービスやエンターテイメント業界においてもオンラインでのサービス提供を実施する等、イノベーションの発展を伴って新たな消費行動を促す兆候も多くみられました。決済サービス事業そのものは、その産業の特性上、一定の選別は伴うものの「巣ごもり消費」や「新たな生活様式」に合致した消費を中心に継続的な市場規模の拡大が予測されています。
また、もう一方の主要事業である国際送金サービスにおける重要指標の在留外国人数において、政府が慢性的な人手不足を解消するため、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を成立させたこともあり、これまでは毎年過去最高を記録し順調に増加しておりましたが、2020年に入り急速に全世界的に感染が拡大した新型コロナウイルスの影響により、法務省入国管理局の「令和2年末現在における在留外国人数について」の統計データによると、2020年12月末現在における在留外国人数は288万7,116人、前年末に比べて4万6,021人(-1.6%)と8年振りに前年末に比べて減少いたしました。新型コロナウイルスの感染症拡大防止の水際対策として、政府が外国人の入国を事実上制限する措置を再度とったため、2021年1月以降 新たに来日する外国人が激減しており、今後の新規会員獲得とこれまで同様の継続的な市場の拡大は厳しい状況との予測がなされております。ただし、当期に限って言えば、上半期は帰国せず日本に残留した既存会員による送金が予想よりも多く実施されたこともあり、影響は限定的となりました。
また「FinTech」という従来型の金融サービスを新しいテクノロジーで根本から変革しようという動きが活発で、ブロックチェーンやDLT(分散型台帳技術)AI、API連携等といったキーワードに加え、リモートワークでもオフィスと同様の業務が可能になるバックオフィスのクラウド化やDX化(デジタルトランスフォーメーション)等のニーズが顕在化し、様々な取組みと共にこれまでになかった新しいサービスの提供がされるようになりました。一方で、コード決済等に代表されるスマホ決済アプリ等、新たな市場が拡大していくスピードに法規制やセキュリティ対策等が追い付かず、近年加速度的に増加している不正アクセス等のサイバー攻撃による情報漏えい事故も多発し、今後給与のデジタル払い等が解禁される見込みであることからも、より一層顧客資産の安全性第一のセキュリティ基準厳格化に向け対応が急務となっております。
このような中、当社グループは主要事業である決済サービス事業の強化・拡充を着実に実行しつつ、国際送金サービスや各種クラウドソリューションを含む企業支援サービス等、新たに加わった事業セグメントにおけるセキュリティ対策を強化すると共に、単なるグループシナジーを超えた「相互進化」による顧客中心主義のサービス開発を徹底し、事業領域及び業績の拡大を目指してまいります。また、当社及び当社グループすべての子会社においてシステム運用の安定化、リスク管理の強化に重点をおき、コスト削減、組織体制・人事制度等の改革、人材の確保・育成を図りながら、持続的な成長と収益性を確保できる経営基盤を構築するため、以下の課題に鋭意取り組んでまいります。
(1)新サービスの開発と収益の多様化
当社グループは、主に非対面決済サービス事業並びに国際送金サービス事業に注力してまいりましたため、両事業の収益の占める割合が比較的大きい状況にあります。今後、外部環境の変化や顧客ニーズの変化に対しても安定的に収益を計上できるよう、新しい切り口からのサービスを拡充していくことは、当社グループの重要な課題の一つであると認識しております。このため、決済システムを自社開発している強みを活かし、コロナ禍で一層需要の高まりを見せているバックオフィス系のクラウドサービスとの連携を模索しており、SBIビジネス・ソリューションズと共に決済サービスとシナジー効果の高い「請求書発行ソリューション」や継続的な成長市場である中小企業向けのファクタリング・掛け払い等のBtoB領域における新たなフィナンシャルソリューションの提供について検討を進めてまいります。またクラウドサービスと同様、既存決済サービスにおいても、新規顧客獲得数(課金加盟店数)を最重要経営指標と定め、これまでの顧客対応のノウハウは活かしつつ、自動化・省力化・どこよりも低価格等明確な顧客メリットをWebでわかりやすく訴求することで、新たな顧客層の開拓にも注力してまいります。
(2)システム安定運用・運用業務改善によるコスト削減
当社グループの決済サービス事業では、当社データセンターで処理するデータ量はこの数年で飛躍的に増加しており、またリアルタイム処理が求められることから、システムの安定運用は極めて重要な課題であると認識しております。今後もグループシナジー展開の本格化に伴い、さらなるデータ処理量の増大や機能拡張が見込まれます。また国際送金サービスといった、多数のエンドユーザーが直接利用するシステムにおいても、安全性の確保はもとより、さらなるデータ処理量の増大やコルレス先の追加に伴う機能拡張と即時性の担保といった利便性向上についても常に改善を図っていく必要があります。そのような中、「システムの安定運用」と「業務改善によるコスト削減」を同時に実現可能な社内体制を構築すべく、運用・管理業務の継続的な改善に取り組んでまいります。
(3)情報セキュリティ体制の継続的な強化
当社グループが営む決済サービス事業では、クレジットカード情報等の重要情報を保有・管理しております。そのため、創業時より「安全・安心」を第一に考えた決済システムの構築とサービス提供に取組み、日々あらゆる側面からセキュリティレベルの維持・検証を徹底し、改善を実施しております。代表的なものとしては、業界に先駆けてのプライバシーマーク取得、さらにはISO/IEC27001(ISMS)及びPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)の認証を取得・維持しております。国際送金サービス事業では2019年秋の「第4次*FATF(ファトフ)対日相互審査」を機に、日本の金融業界は、マネー・ローンダリング対策のレベルアップを求められており、SBIレミットでも情報セキュリティの強化はもとより、運用体制の強化を継続的に図っております。また、情報セキュリティ対策は「人的セキュリティ」を基本として成り立っているという考えから、社員一人一人に徹底した教育・研修を実施し、人為的事故の予防等に取り組んでおります。今後も、これまでに築いてきた信頼の維持・向上に努めてまいります。
*FATFとは“Financial Action Task Force(金融活動作業部会)の略で、マネロン・テロ資金対策等に取り組む主要国政府による枠組み。
(4)業務提携・M&A等の推進
当社グループは、「選択と集中」による経営リソースの最適配分のため、常に事業ポートフォリオの見直しを図っております。グループシナジーを意識し、常に顧客ニーズに対して最適でスピーディーかつ包括的なソリューションの提示と新たな事業領域への進出に向け、他企業との業務提携やM&A等を積極的に活用し、企業価値向上を目指してまいります。当期における事業ポートフォリオ最適化の実績として、サイト内検索サービスを提供するビジネスサーチテクノロジ株式会社の全株式を売却し、譲渡益を計上した一方、コロナ禍でさらに資金需要が旺盛になったEC事業者を顧客に持つマーケティング会社や、診療報酬債権の買取等で有益な顧客を数多くもつ複数の医療系の企業と業務提携契約を締結しております。

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