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有価証券報告書-第17期(2025/07/01-2026/06/30)

【提出】
2026/09/18 10:22
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、当社グループを取り巻く社会環境がどのように変化しても揺らぐことのない、すべての行動の規範として、創業企業・循環企業・求道企業という3つの企業理念を制定しております。この企業理念に基づき、当社グループは「持続可能社会実現の一翼を担う」をミッションとして掲げ、その実現に向けた挑戦を続けております。当社は純粋持株会社として、この理念とミッションのもとに、グループ各社の経営管理を行っております。

(2) 重要な決断
当社の独自性は、一つの決断にさかのぼります。静岡県富士宮市の鉄スクラップ問屋として出発した当社は、平成に入り鉄鋼生産量が頭打ちとなり鉄スクラップの需給が緩むなか、日本で初めて鉄スクラップの輸出に踏み出し、営業の領域を全国へ拡げました。しかし物流にとどまる限り先行きは限られるとの判断から、1997年、使用済みの自動車や家電製品を資源化するための大型破砕機を導入いたしました。当時の当社経営基盤からすると無謀とも言われるほどの大きな投資でありましたが、安易な道を選ばず、人のやらないことに挑むこの決断は、当社の企業理念そのものの現れでありました。この決断が、廃棄物から価値ある資源を選り分け、再生する破砕・選別技術の確立につながり、以来、当社の中核技術となっております。企業理念に根ざして生まれたこの技術は、「技術ドリブンで環境課題を解決する」という一貫した軸として、今日まで当社グループの事業を貫いております。
(3) 経営環境についての経営者の認識
当社グループを取り巻く経営環境は、構造的に変化しております。
世界的なブロック経済化の進展や資源ナショナリズムの台頭により、重要鉱物資源の確保競争が激しさを増し、再生資源の国外流出をいかに抑えるかが課題となっております。こうした状況は、国内での資源循環の重要性を一段と高めております。あわせて、DX・GXの進展を背景に重要鉱物の需要は拡大し、その価格は高止まりする一方、電炉や非鉄製錬における再生原料の活用が広がるなど、再生原料の市場そのものが新たに形成されつつあります。さらに、サプライチェーン全体での脱炭素化の要請が強まるなか、再生資源のもたらす低炭素価値が顕在化しグリーンマテリアルへの需要が高まっております。
これらの変化は、再生資源を扱う当社グループにとって、事業機会の拡大を意味しております。当社はこの環境変化を、長期ビジョンと戦略を再構築する前提と位置づけております。
こうした環境認識のもと、当社は事業を通じて解決すべき社会課題と、それを支える経営基盤を「重要課題(マテリアリティ)」として特定しております(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております)。
(4) 長期ビジョン
当社グループは、変化する経営環境を機会と捉え、2036年6月期を到達点とする長期ビジョン「En-Vision2035」を掲げております。それは、廃棄物を価値ある資源へと再生し、社会の資源循環の全体を担う存在、すなわち「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことであります。この長期ビジョンは、当社グループがかねてより掲げてきた「サーキュラーエコノミーをリードする」という戦略コンセプトを、明確な到達点として描き直したものであります。
このビジョンにおいて、当社グループは3つの役割を担ってまいります。すなわち、資源を出す側と使う側をつなぎ資源循環の仕組みを設計・運営するサーキュラーエコノミー・サプライチェーンコーディネーター、低炭素なプロセスによりグリーンマテリアルを製造するグリーンマテリアルメーカー、そして自治体の廃棄物処理機能の受け皿となり地域の資源循環を支える資源循環インフラパートナーであります。当社グループでは、グリーンマテリアルを、廃棄物から低炭素なプロセスによって製造される再生素材と定義しております。
当社グループは、これら3つの役割を一気通貫でつなぐことにより、グリーンマテリアルの価値を最大化し、資源循環に関わる企業や地域をつなぐプラットフォームとしての役割を担ってまいります。そして、この長期ビジョンから現在を逆算し、その実現に向けた戦略を組み立てております。

(5) 長期戦略
長期ビジョンの実現に向けた当社グループの戦略は、事業の拠って立つ領域を定める戦略と、その領域で収益力を高める手段、そしてこれらを支える事業基盤インフラで構成されております。
事業の拠って立つ領域を定めるのが、グリーンマテリアル戦略であります。当社グループは、サーキュラーエコノミーと脱炭素という付加価値を備えたグリーンマテリアルを、企業と地域に供給する事業者としての立ち位置を確立してまいります。ベースメタル、プレシャスメタル、レアメタル、レアアース、ポリマーを対象素材とし、資源を回収し、再生して供給するまでの動静脈にわたるサプライチェーンを構築することで、そのサプライチェーンに深く組み込まれ、価格決定力と継続的な需要を確立することを目指しております。この立ち位置を確かなものとするため、当社グループは、独自の強みを持つ領域に経営資源を集中するニッチトップの考え方のもと、競合が追随しにくい優位性を確立してまいります。企業と地域の双方にグリーンマテリアルを供給することを通じて、当社グループは社会課題の解決に深く関与してまいります。
これらの領域において収益力を高める手段が、循環マネジメント力強化、広域拠点展開及び中核技術深化の3つであります。第一に、循環マネジメント力強化として、グループ各機能の高度化と連携により、動静脈をつなぐスキームの構築・管理能力を強化してまいります。第二に、広域拠点展開として、確立した事業モデルを各地に展開し、特定地域への偏りを避けながら、安定した供給と収益基盤の強靱化を図ってまいります。第三に、中核技術深化として、当社グループの中核となる技術をさらに深め、その技術的な優位を活かして事業を築いてまいります。
この戦略の源泉にあるのが、「(2) 重要な決断」に述べた当社グループの独自性、すなわち破砕・選別の技術であります。当社グループは、日本人が古くから大切にしてきた「もったいない」の精神を原点に、廃棄物という複合物のなかから価値ある資源を選り分けてまいりました。資源に価値がある限り、より細かく、より幅広く分けようと工夫を重ね、その積み重ねが技術となって蓄積されてきました。この蓄積を土台として、高度選別技術をはじめとする技術の発展を重ね、扱う対象を拡げてまいりました。これらの技術は、他社が容易に模倣できない自社独自のプラントエンジニアリングと、それを使いこなす人の手によって支えられており、当社グループは、あらゆる事業を貫くこの独自性を磨き上げながら、資源循環のサプライチェーンを築いてまいります。
これらの戦略と手段は、当社グループの事業基盤インフラによって支えられております。人的資本の充実、AI・DXの活用、財務規律の徹底に加え、グループが一体となって総合力を発揮する経営と、長期を見据えた時間軸での経営を通じて、当社グループは戦略の実行を支えてまいります。

これらの戦略を長期にわたり牽引する成長の柱が、3つの重要戦略事業であります。
金銀滓事業は、自治体の焼却灰やシュレッダーダスト等から、金・銀・銅・プラチナ・パラジウム等の有用な金属を回収する事業であります。資源化が困難とされてきた対象を高付加価値な資源へと転換する当社グループ独自のモデルであり、拠点の展開を通じて安定した供給と収益力を確立し、当社グループの成長を早期に牽引する主力事業へと育ててまいります。
リチウムイオン電池リサイクル事業は、社会課題の解決に直結する事業であります。リチウム、ニッケル、コバルト等は、その多くを輸入に依存する重要鉱物であり、使用済み電池からの再資源化は、国内における安定的な供給網の確保につながります。あわせて、リチウムイオン電池を使用した製品の普及に伴い、廃棄の過程での発熱・発火を原因とする収集運搬車両や処理施設の火災事故が全国で相次いでおり、廃棄時の適切な分別と安全な処理ルートの確保が喫緊の課題となっております。一方で、自治体による回収・処理は、処理事業者の少なさやコスト負担の大きさといった課題を抱えております。当社グループは、使用済みのリチウムイオン電池を安全かつ適正に回収し、再資源化する体制を各地に広げることで、こうした社会課題の解決に貢献するとともに、2030年以降の成長を牽引する事業へと拡大してまいります。
ポリマーサーキュラーエコノミー事業は、廃プラスチックやゴムを再生する事業であります。当社グループは、熱として回収するサーマルリカバリー、再び素材として利用するマテリアルリサイクル、化学的に分解して原料に戻すケミカルリサイクルの3つのアプローチを組み合わせて対応してまいります。とりわけケミカルリサイクルは、脱炭素と資源循環に資する将来を担う技術と位置づけ、長期的な社会実装を目指して技術の確立に取り組んでまいります。
当社グループは、これらの戦略を長期の時間軸で実行することにより、長期ビジョンの実現を目指してまいります。
(6) 優先的に対処すべき課題
「(5) 長期戦略」に掲げた長期の戦略を着実に実行するため、当社グループは、優先的に対処すべき課題を、重要戦略事業の推進と事業基盤の構築の2つの側面から認識しております。
(a) 重要戦略事業の推進
金銀滓事業につきましては、従前から手掛けてきた焼却灰からの金銀滓回収を一層拡大してまいります。貴金属・非鉄金属価格の変動に対応して生産フローを最適化するとともに、自治体や関係各社等との連携を通じて、取扱品目の拡大と集荷体制の強化を進めてまいります。
リチウムイオン電池リサイクル事業につきましては、これまで取り組んできた自動車・エネルギー貯蔵システム用途を中心とする大型のリチウムイオン電池への対応を継続しながら、民生用途を中心とする小型のリチウムイオン電池への取組を強化してまいります。排出事業者や同業者との連携により回収ネットワークを拡大するとともに、高品位・高効率なブラックマスの製造技術の研究を進め、既存工場の品質・生産性を高めつつ、新たな拠点の展開を進めてまいります。
ポリマーサーキュラーエコノミー事業につきましては、3つのアプローチを組み合わせ、ポリマーの資源循環を促進してまいります。低炭素燃料の製造・供給を強化するとともに、廃ゴム・廃プラスチックの再生素材としての供給を拡大してまいります。また、パートナー企業との協働によるケミカルリサイクルの実証を継続し、将来の社会実装に向けた事業化の可能性を検討してまいります。
(b) 事業基盤の構築
長期の戦略を支える事業基盤を強化するため、当社グループは、次の課題に取り組んでまいります。
安全の確保は、すべてに優先する課題であります。当社グループは、労働災害の防止を経営の最重要課題と位置づけ、繰り返しの教育による意識の改革と設備面の対策の両面から、各事業所の責任者と一体となって、安全な職場環境の構築に取り組んでまいります。
人材の確保・育成は、労働力人口が減少する社会において、事業の持続性を左右する課題であります。人材そのものが当社グループの力であり、その成長が企業の成長に直結いたします。当社グループは、継続的な待遇改善と成長機会の提供を通じて一人ひとりの成長を促すとともに、次世代の経営層の選抜・育成を進めてまいります。
生産性の向上は、当社グループの事業に直結する課題であります。当社グループは、AIの積極的な活用を全社で進めるとともに、グループが一体となって総合力を発揮する経営と業務プロセスの最適化を通じて、生産性と業務の実効性を高めてまいります。
コンプライアンス及びガバナンスの強化は、上場企業として社会の信頼に応え続けるための基盤であります。当社グループは、規律の徹底と内部統制の運用により法令遵守を浸透させ、内部監査によりその実効性を検証してまいります。あわせて、企業価値の向上に資する取締役会の監督機能の強化を図り、ガバナンス体制の一層の充実に取り組んでまいります。
財務規律の徹底は、長期の戦略を実行するための前提であります。長期ビジョンの実現には、成長投資と財務の健全性の両立が不可欠であり、当社グループは、投資基準の遵守と資本効率を意識した経営のもと、創出した資金を成長投資に振り向け、企業価値の向上を図ってまいります。
これらの事業基盤に関する取組の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
なお、当社グループは、10年先を見据えつつ、翌期を着実に実行する時間軸で経営してまいります。
(7) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業を通じて社会の課題解決に取り組み、その積み重ねによって企業価値を高めてまいります。その実現に向けて、長期ビジョン「En-Vision2035」に掲げる「サーキュラーエコノミー総合プラットフォーム企業になる」ことを、10年後に目指すべき姿としております。一方、そこに至る経営計画につきましては、将来の環境変化を前提とした仮説と位置づけ、変化に応じて実行の内容を柔軟に見直すことを基本としております。
当社グループは、これまで中期経営計画をローリング方式により毎年策定してまいりましたが、直近3か年に公表した各計画において、いずれも初年度に業績予想の下方修正を行うこととなりました。当社グループの業績は、資源価格、為替及び制度の変更等の外部環境の影響を大きく受け、各連結会計年度において変動いたします。このような事業環境のもとで長期の財務数値目標を掲げた場合、前提条件の変動のたびに目標の見直しを要し、本来、事業の実行と改善に充てるべき経営資源が計画の策定に向けられるほか、目標の達成そのものが目的となりかねないと考えております。
こうした考えのもと、当社グループは、2026年8月に長期ビジョン「En-Vision2035」及び長期戦略を策定し、事業の方向性を明確にお示しすることができるようになりました。これにより、長期については、財務数値目標によらず、長期ビジョン及び長期戦略により目指す姿と方向性をお示しし、短期については単年度の具体的な利益計画及び財務指標を公表し、その確実な達成を積み重ねてまいります。なお、2025年8月20日公表の「中期経営計画取り下げに関するお知らせ」において掲げておりました自己資本利益率(ROE)に関する目標(中期10%、長期15%)につきましては、上記の方針に基づき、固定的な到達目標としては掲げず、株主資本コストを上回る資本収益性を継続的に実現するという考え方に改めることといたしました。
資本効率につきましては、当社グループの株主資本コストを10%程度(当社試算)と認識しており、これを上回る資本収益性を維持・向上させることを基本方針としております。その結果につきましては、ROEにより毎期検証し、実績をお示しいたします。当連結会計年度のROEは13.6%であります。また、株価純資産倍率(PBR)をはじめとする市場からの評価につきましても、その水準と要因の分析を継続的に行い、その結果を経営に反映してまいります。外部環境による業績の変動につきましては、その影響も含めて当社グループの実績として受け止め、改善に取り組んでまいります。
なお、サステナビリティに関する指標及び目標については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

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