訂正有価証券報告書-第22期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/02/27 15:05
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので、将来生じる実際の結果と差異を生じる可能性があります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「常に豊かな知性と感性を磨き、市場に適応した価値ある製品を創出し、豊かな社会の実現と地球環境の保全に貢献するとともに、私たちの事業に携わるすべての人々が共に繁栄する」という経営理念のもと、「常に問題に対して創意と熱意を持って確実に取り組み、そして品格を高め、お客様の信頼を得よ」を社是として掲げ、設立以来、アナログ電源ICに特化し、製品の開発・製造・販売を精力的に行ってまいりました。
上記の社是及び経営理念に則り、ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との関係を常に意識した、ぶれない経営を実践してまいります。2015年度よりスタートしております3ヵ年中期経営計画に基づき、開発・生産・販売・品質・新事業領域にわたってグローバル競争に打ち勝つための競争力及び成長力を強化し、世界に存在感のある企業を目指して事業活動を行ってまいります。
(2)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、企業価値の向上を図ることを念頭に、収益力を確保しつつ戦略的な投資を実行することにより、中長期的な競争力及び成長力の向上に取り組んでおります。2015年度よりスタートしております3ヵ年中期経営計画では、営業利益率及びROEを更に高めていくための体制を構築することを目指してまいります。
(3)当社グループの現状の認識について
アナログ電源ICの市場は、あらゆる製品の電子制御化やネットワーク化が進展していくことに伴い、今後も拡大を続けていくことが期待されます。その中で当社の重点分野である産業機器・車載機器の市場においては、要求される製品・サービスの性能・品質は、ますます高度化していくことが予想されると同時に、コンシューマー製品等の市場においては、中華圏等の新興勢力が台頭する中で、価格競争は激化しています。当社グループが培ってきた小型化・省電力化の技術を活かし、重点分野に向けた高付加価値製品の開発・販売に注力しております。
顧客仕様に基づくウェハの生産・販売の市場は、半導体・電子機器業界の専門化・分業化の流れが進展するにつれて、ますます役割を高めています。同市場においては技術の進展に合わせて絶え間ない投資を要するとともに、同業他社との競争の中で品質・納期等に対する顧客の要求水準はますます高まる傾向にあります。子会社化したフェニテックセミコンダクター株式会社は国内で唯一の専業企業として、長期・安定的に製品をお届けすることで、当社を含めた国内外の顧客から高い信頼を得ております。
このような事業環境の中で、当社グループが実現していくべき最重要事項は以下のとおりであると認識しております。
・ステークホルダーである株主、顧客、取引先、従業員及び地域社会との適切な関係の構築
・経営理念に基づいた中長期的な収益性の向上と継続的な企業価値の向上
・経営方針・企業戦略に基づいた適切なリスクテイクと健全な事業運営を実現する環境の整備
(4)当面の対処すべき課題の内容
当社グループの事業領域であるアナログ電源ICの開発・販売及び顧客仕様に基づくウェハの生産・販売は、市況変動の影響を受けつつも、電子機器市場の拡大に伴い、その市場は中長期的に拡大していく見通しでありますが、開発・製造技術の進展及び新興国をはじめとした新規参入を背景に、競争環境は一層厳しさを増しております。
当社グループは、世界トップレベルの競争力と収益力を確立するために、これまでに培ってきた収益力を確保しつつ、戦略的な投資を実施するという方針に則りながら、フェニテックセミコンダクター株式会社の子会社化を踏まえて、以下の課題に取組んでおります。
・当社グループの強みを活かせる成長性の高い市場として、産業機器・車載機器・医療機器の市場を重点的に攻略する
・当社グループの技術力及びノウハウを結集し、技術ロードマップに基づいた「強み」の強化と拡張を図り、差別化された特長のある製品・サービスを創造する
・当社グループの企画・開発・購買・生産・品質・販売に関わるリソースの緊密な連携を図り、低コストかつ高品質の製品を安定供給することを通じて、顧客へ提供する付加価値を高める
・戦略的提携を活用して新たな基盤技術や生産技術を積極的に取り込む
上記の課題で着実に成果をあげていくため、「開発」「生産」「販売」「品質」「財務」の各々について、以下の方針・施策を推進してまいります。
①開発
当社グループの企画力や技術優位性を活かして、差別化の出来る高付加価値な製品をタイムリーにターゲット市場へ投入していくため、開発担当者の育成・増員や開発環境の整備に向けた投資を実施しております。さらに、顧客の要望やグローバル市場の動向を迅速に製品開発に反映するため、社内IT基盤を強化し、開発を担当するビジネスユニットの機動性を高めてまいります。また、戦略的提携先との共同開発や相互OEM供給、グループ内での製品カテゴリーの組合せによるモジュール化、重点分野に向けたグループを挙げた研究開発等にも取り組むことによって、社内外の最新技術の活用と製品ラインナップの拡充を図ってまいります。
②生産
当社グループは、基本的にファブレスによる生産活動を方針としておりましたが、フェニテックセミコンダクター株式会社の子会社化に伴い、ウェハプロセスの過半に相当する製造工程を当社グループに取り込むとともに、当社グループ外の顧客に向けたウェハの製造・販売にも踏み出しました。従来から製品企画段階からのコスト分析の徹底、生産計画の効率化、製造子会社であるTOREX VIETNAM SEMICONDUCTOR CO.,LTDの活用等に取り組んでまいりましたが、今後はフェニテックセミコンダクター株式会社を含めた当社グループ内の協力体制を深め、生産方法や生産管理手法を含めた改良・改善に努め、同業他社に比して競争力のある製造コストと納期対応の実現を推進してまいります。
③販売
当社グループは、顧客の要望や製品企画を汲み取りながら、幅広い技術・製品情報の提供を通じて受注をいただくソリューション提案営業を基本としております。製品をタイムリーにターゲット市場へ投入するため、開発・生産担当者に対する営業情報のフィードバックと密な連携を強化してまいります。また、当社グループの事業はワールドワイドで展開されており、これに伴う海外事業の比重はますます拡大する傾向にあります。これに対応するために、海外販売子会社のローカル営業体制の強化、フィールド・アプリケーション・エンジニアの配置・増員による顧客サポート強化、当社グループが保有する顧客基盤、ブランド及び販売ネットワークの効果的な組合せに積極的に取り組んでまいります。
④品質
当社グループは、常に顧客の信頼に応えていくため、製品に対して要求される品質の確保に全力で取組んでまいります。定期的な工場監査等を実施するとともに、重点市場を意識した品質保証体制の強化のため、「生産」、「開発」、「品質」に関わる各部門が密接に協調し、新規技術に対応するための投資も実施いたします。また、当社グループ内で保有する品質管理に関わる技術・設備・ノウハウを持ち寄り、各種の認証制度にも的確に対応した品質管理・保証体制の強化を図ってまいります。
⑤財務
当社グループ内における重複する工程や設備投資等を洗い出し、当社グループ全体の資産の最適化と投下資金の効率化を図ってまいります。