有価証券報告書-第16期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/23 12:19
【資料】
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【項目】
66項目

業績等の概要

(1) 業績
当事業年度におけるわが国経済は、引き続き景気の緩やかな回復が謳われているものの、家計に対する景気回復の影響は未だ限定的であり、個人消費については、未だ踊り場局面から脱せない状況にあります。また、新興国経済の減速、中国経済の停滞、イギリスのEU離脱の影響等の世界経済の悪化懸念により、その先行きも依然、不透明な状況にあります。このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、着実に増加しており、平成29年9月末時点で固定系ブロードバンド契約数が約3,915万(前年同期比1.7%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、スマートフォンやタブレット端末の利用者の増加により移動系超高速ブロードバンド契約数は約11,065万(前年同期比17.6%増)となるなど、インターネットを利用する環境は引き続き継続的な拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表資料)。一方、平成29年1月から12月の雑誌の販売状況は前年同期比で約10.8%減少の6,548億円となりました。書店からの返品率は43.7%となり(前年同期比2.3ポイント増)、返品率も改善の兆しがみえない状況となっております(出所:出版月報平成2018年1月号)。
このような環境のなか、当社は、当事業年度においても、前事業年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、WEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社が購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。
また、当社の経営戦略として提示している出版社への雑誌販売以外の収益機会を提供する「第三の矢」については、雑誌記事連動型のECサイトの運営について、第3四半期会計期間において新たに雑誌「子供の科学」、「ゴルフダイジェスト」、「veggy」の公式オンラインストアの運営を受託し、運用を開始いたしました。
この結果、当事業年度において当社を定期購読の専属窓口とする雑誌数は751誌、総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は2,756,429名(第3四半期累計期間から61,532名増加)、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、当事業年度末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は571,388名(第3四半期累計期間から3,259名増加)となりました。
また、雑誌においては未だ黎明期にありますが、スマートフォン、タブレット端末の普及に合わせ、今後、紙媒体に並ぶ媒体となることが期待されるデジタル雑誌の取り次ぎサービスの拡大についても、「第二の矢」の展開の手段として引き続き注力して参りました。
この結果、当社が取り扱うデジタル雑誌数は当事業年度末時点で3,660誌となっております。
上記の施策の結果、当事業年度における取扱高(当社から出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社が出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は8,373,348千円(前期比9.4%増)、売上高は2,919,696千円(前期比13.7%増)となりました。利益面につきましては、営業利益331,126千円(前期比18.5%減)、経常利益331,527千円(前期比18.7%減)、当期純利益210,741千円(前期比23.4%減)となりました。
注:当社は単一セグメントであるため、セグメント別の業績については記載しておりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末より49,234千円減少し、1,753,809千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得た資金は、418,303千円(前期は482,150千円の収入)となりました。
これは、税引前当期純利益286,367千円、減価償却費176,264千円、未払金の増加額102,000千円等による資金の増加と、未収入金の増加額90,018千円、法人税等の支払額148,500千円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、178,250千円(前期は249,580千円の支出)となりました。
これは、ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出165,062千円、投資有価証券の取得による支出10,000千円等による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、289,287千円(前期は3,910千円の収入)となりました。
これは、株式の発行による収入10,470千円による資金の増加と、自己株式の取得による支出299,757千円による資金の減少によるものであります。