有価証券報告書-第12期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 16:55
【資料】
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善が堅調に継続し、緩やかな回復基調で推移したものの、中国をはじめとする新興国経済の景気減速や英国のEU離脱問題、米国の政策動向等による為替相場や株式市場の混乱等による世界経済への影響が懸念される等、さまざまな地政学リスクに対する警戒感の高まりにより、日本経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況の中、グローバル事業においては、主にフィリピンでのオフショア拠点を活用したITソリューション開発事業を展開しており、自動車、電機、産業機械をはじめとする製造業や流通、金融、医療など幅広い業界に対して、より付加価値の高いソリューションを提供し続けております。2017年2月には、成長戦略の一環として、ITサービス市場として世界最大規模である米国での需要拡大を見込み、米国ミシガン州に子会社Advanced World Solutions U.S.A., Inc.を設立いたしました。これにより、米国とフィリピンをダイレクトに結び、主として米国の自動車、製造業、医療分野に向けた分析、IoT事業展開を推進し、更なる業況拡大に向けた取組みを邁進しております。
メディカル事業においては、レセプト点検ソフト「MightyChecker®」シリーズ、オーダリングチェックソフト「Mighty QUBE®」の売上は引き続き堅調に推移しており、ストック型ビジネスとして安定した収益源を確保しております。医療機関向けレセプト点検ソフトウエア『Mighty』シリーズの導入数は2017年3月末で13,290医療機関(2016年3月末比23.4%増)にのぼる等、シェア拡大に向けた取組みに引き続き注力いたしました。さらにはクラウドコンピューティングを活用したレセプト点検およびデータ分析エンジンを構築することにより、「レセプト点検ソフトのリーディングカンパニー」から「医療ビッグデータ分析のリーディングカンパニー」へと、新たな高収益モデル確立に向けた取組みを実施しております。
一方で、メディカル事業を行う連結子会社である株式会社エーアイエスにつき、当社主導で収益性を重視したスクラップ&ビルドを実施するなかで、2017年3月末の案件状況や売上見込みの蓋然性等を総合的に判断した結果、同子会社の院内物流システムソフトウエア「Mighty SPD®」(以下「SPD」)につき、67,442千円を事業構造改革費用として計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,992,365千円(前期比2.2%増)、営業利益237,192千円(前期比22.5%増)、経常利益289,076千円(前期比24.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益112,464千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失4,747千円)となりました。
セグメントの業績を示しますと、次のとおりであります。
a.グローバル事業
・グローバル部門
グローバル部門においては、既存顧客からの継続・安定した堅調な受注に加え、新規顧客の増加等により、着実な成長戦略を推進しております。引き続き、自動車のeコックピット化に関わる車載機器テスト自動化、製造業向けの分析、IoTソリューションの確立を模索する等、当社グループの成長戦略に向けた取組みを積極的に実施いたしました。一方、新設した米国子会社の本格的な貢献は来期以降になるものの、新規顧客の開拓に向けた提案を実施する等、中長期的な連結業績および企業価値の向上に向けた積極的な営業活動を実施いたしました。中国では主要案件が翌期へずれ込む等、厳しい状況が続いておりますが、既存顧客との関係強化ならびに新規顧客の開拓が重要であるとの認識から、案件獲得のための営業活動を積極的に進めております。
・エンタープライズソリューション部門
エンタープライズソリューション部門においては、日本アイ・ビー・エム株式会社を始めとする開発案件を中心とした既存案件が堅調に推移し、大手システムインテグレーター、公共セクター、旅客業等、金融以外の取引の幅を拡大させましたが、お客先都合による新規案件立ち上がりの遅延等から売上高は計画を下回りました。一方、AIに関する取り組みを本格開始し、Watson Ecosystem パートナーとして登録され、大手顧客におけるAIを用いた業務への開発参画など、当社グループの成長戦略に向けた取り組みを積極的に実施するとともに、今後見込まれる案件の増加に対応すべく、積極的な採用活動および先進技術の習得を含めた個々のスキルアップ研修を、引き続き重点的に行っております。
加えて、当連結会計年度においてフィリピン・ペソの為替レートが円高基調で推移したことから、海外子会社の人件費等のコストが圧縮され、グローバル事業における利益を押し上げる要因となっております。
この結果、グローバル事業の売上高は1,922,445千円(前期比1.5%増)、セグメント利益は356,217千円(前期比7.2%増)となりました。
b.メディカル事業
メディカル事業においては、「SPD」やCPCトレーサシステム導入コンサル支援等の新サービスの販売不振の影響を受けたものの、Mightyシリーズの主力製品である、レセプト点検ソフト「MightyChecker®」やオーダリングチェックシステム「Mighty QUBE®」の導入医療機関が順調に増加したことにより、売上高は堅調に推移しました。また、査定・分析機能や、クラウド版・ORCA版・歯科版等、ユーザー視点に立った利便性の高い製品・サービスを提供するとともに、きめ細やかな充実したユーザーサポートを提供することで、競合他社との差別化を推進しております。
この結果、メディカル事業の売上高は1,076,034千円(前期比6.2%増)、セグメント利益は145,311千円(前期比60.1%増)となりました。
なお、前述の通り、将来の利益創出をより確実なものとするため、連結子会社である株式会社エーアイエスにおいて組織のスクラップ&ビルドを実施し、開発、販売を行うすべての商品・サービスについての収益性を精査し、事業構造改革費用を特別損失に計上いたしました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ290,646千円増加し、1,044,865千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は149,212千円(前期比30.5%増)となりました。これは主に、売上債権や未収入金の増加、法人税等の支払等があったものの、前受金の増加、税金等調整前当期純利益を計上したこと及び現金支出を伴わない減価償却費・事業構造改革費用を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は64,021千円(前期比34.0%減)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出と払戻による収入、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は237,766千円(前期は17,904千円の使用)となりました。これは、短期借入金の純減額、長期借入金の新規借入と返済による支出があったものの、増資や新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものであります。