有価証券報告書-第14期(平成29年12月1日-平成30年11月30日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「共存共栄(=Phil)」をイデア(企業理念)として、土地オーナー、テナント、近隣関係者等、関わる全ての人々が共に幸せを享受できることを目的として設立されました。
当社グループは、駐車場上部“未利用”空間を活用することで、「ありそうでなかった」「実現したいが難しい」サービスを開拓し、“ヒト”と“空間”を新しいカタチで繋げる唯一の、且つ本質的に必要とされるリアルなビジネスモデルを生み出してきました。現在はもちろん、予想し得ない変化が訪れるであろう将来においても、更なる高みに果敢に挑み進化し続け、オンリーワンの誉れとナンバーワンの自覚を以って本物の価値を創造してまいります。このようにして当社グループが生み出すサービスを一人でも多くのユーザーにお届けし、10年・100年・1000年と、支持され続ける会社を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、空中店舗フィル・パーク事業を加速度的に拡大させることはもちろん、ユーザーファーストの観点から派生する関連サービスにも積極的に取り組むことで商品・サービスとしての総合力も高め、業界におけるシェアの拡大を図る方針であります。
そこで、将来にわたる当社グループの収益基盤の確立と企業価値・株主価値の向上に対するコミットメントを一層強化するため、役員・従業員向けの有償ストックオプションの行使条件を将来における連結経常利益の目標数値達成とするなど、目標とする経営指標については連結経常利益を重視しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く環境につきましては、一般社団法人日本パーキングビジネス協会が平成28年7月に発表した「コイン式自動車駐車場市場に関する実態分析調査」によると、コインパーキング(500㎡未満)の箇所数は平成27年で60,000箇所にまで達しており、駐車場及びコインパーキング市場は伸び続けております。
このような市場環境のもと、駐車場と共存共栄できる当社グループのフィル・パーク事業は、平成30年11月現在、全国主要都市を中心に171箇所(「請負受注スキーム」は受注ベース、「開発販売スキーム」は用地仕入ベースで算出)の実績を重ねてまいりました。これは、全国に在るコインパーキング60,000箇所に比べて未だ0.3%程度の数であり、空中店舗フィル・パークの展開余地は、十二分に存在していると考えられます。
昨今の不動産業界の複数の不祥事により、金融機関が投資用アパート向け融資に対して慎重な姿勢に転じているという報道がなされておりますが、当社が展開する駐車場(コインパーキング)の上部“未利用”空間を活用する空中店舗フィル・パーク事業は、主に商業施設としての活用を提案しております。また、土地を保有していない方に対して土地建物全体に融資が行われる投資用アパート等と異なり、既に土地を保有している方に対してそれぞれの立地に合わせた“最適解”の企画を提案し、継続性を備えた高投資利回り商品を提供しているため、報道による当社事業への影響に関する懸念は少ないと考えております。
むしろ当社事業においては、駐車場、特にコインパーキングは他社では企画が難しい狭小地や変形地に存在しているものも多く、「駐車場+商業施設」というオンリーワンの商品を提供していることに加え、“小型商業施設”という点が従来の“小型住居系建物”に代わる土地活用方法の選択肢の一つとして期待を集め始めております。また、当社事業は大通りから一本、二本入った路地裏を中心とした立地に灯りと賑わいをもたらし、「初期テナント誘致保証」も付帯した付加価値の高いサービスを提供していることも特長であります。最近では、駐車場を運営している土地オーナーからの相談だけではなく、リスクヘッジを目的とした顧客からの活用相談や、一部用地を仕入れたのち数十年かけて一帯の用地取得を完了させた上で大型開発を行うことを目指している商業・マンションデベロッパー(開発会社)からの暫定活用としての相談が増える等、当社にとって追い風が吹き始めております。
また、前連結会計年度より開始した土地の購入及び空中店舗フィル・パークの開発から販売までを行う取り組みである「開発販売スキーム」においては、当社企画の開発販売用物件に対する顧客ニーズの高さに強く手ごたえを感じ、販売手法や販売先の拡充も順調に図れています。土地の購入については平成29年11月にいちごグループと資本業務提携を行ってから、いちごグループの信用力や情報収集力と当社の企画力や設計力を活かして、主に小規模のフィル・パークの開発実績を積み重ねてきました。今後は平成30年10月に設立したいちごグループとの合弁会社・株式会社Trophyを活用して、これまで件数の少なかった中規模のフィル・パークについても開発及び運用を行ってまいります。
各資本業務提携先との取り組みにつきましては、今後も各提携先と案件実績を積み上げ、双方の企業価値向上に努めてまいります。とりわけ、日本郵政グループに対しては、複数の企画・提案を行い、その企画力を評価されているものの各種調整に想定以上の時間を費やしており、未だ案件実績が成立していない状況であります。一方で、平成30年4月に日本郵政グループ保有資産の開発を進めるために日本郵政不動産株式会社が設立されており、平成30年10月には日本郵政株式会社の不動産事業を会社分割の方法により日本郵政不動産株式会社に事業承継されるリリースが発表されております。このことから、不動産事業の効率化・意思決定の迅速化を期待し、取り組み方法の協議を進めてまいりました。今後は、案件実績の成立に向けて更に業務連携を深め、協業実績成立に向けて尽力してまいります。
財務面については、不動産投資に関する金融機関の姿勢が厳しい環境下で、当社事業の信頼性を評価して頂いた株式会社みずほ銀行との間で借入極度額10億円の特別当座貸越契約を締結しました。当社の事業の特徴として、「請負受注スキーム」においては前受金で土地オーナーから事業資金をお預かりするため当社の財務負担がないのに対して、「開発販売スキーム」においては事前に土地の購入が必要となるため資金需要が発生します。これまでは土地を仕入れるタイミングで必要に応じて1物件ごとに短期の借入れをしておりましたが、今後は機動的に資金調達を行いながら、健全かつ迅速に空中店舗フィル・パーク事業を進めてまいります。
当社グループでは、見込顧客(駐車場オーナーをはじめとした土地オーナーや不動産投資を検討している方)を、主に「WEBマーケティングを活用した顧客から直接問い合わせを得る方法」と「金融機関や税理士など信用力の高いCP(コンタクトパートナー※)から紹介を受ける方法」とにより集客しており、質が高く効率の良い営業活動が可能であります。当連結会計年度においては、前連結会計年度から取り組んでいる日本郵政グループやいちごグループ等との連携による認知度・信用力の向上もあり、WEBからの集客、CPからの集客ともに伸長しており、今後についても「集客の“正”連鎖」が期待されます。したがいまして、引き続き人的資源への投資(人材補強・組織の構築及び分業化)に力を注いでまいります。
※)CP(コンタクトパートナー)とは、地主又は駐車場オーナーに対して空中店舗フィル・パークを紹介して頂ける法人・個人をいいます。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループの企業価値向上のために、以下の経営課題を解決していかなければならないと認識しております。
① 認知度・ブランド力及び信用力の向上
空中店舗フィル・パーク事業においては、リピート案件や新規問い合わせ件数の増加から、飛躍的な市場拡大の余地があると実感しております。一方、土地オーナーからの認知度・ブランド力及び信用力はまだまだ不足しております。更なる成長のために、現在行っているインターネット広告(リスティング等)の強化及び効率化を図り、一つでも多くのフィル・パークを世の中に生み出すことで、空中店舗フィル・パーク事業の認知度・ブランド力及び信用力の向上を図ってまいります。
② 継続的な採用活動と優秀な人材の確保
当社グループは、空中店舗フィル・パーク事業の継続的な成長のために、優秀な人材の確保が引き続き一番の課題であると認識しております。当社グループでは、数年前から採用活動に注力しており、その結果順調に人員増加を達成しております。今後のフィル・パークの需要拡大に対応していくために、採用活動を積極的に継続していくとともに、役職員の教育強化、組織体制の整備を行い、更なる人材強化に努めてまいります。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは成長段階にあるため、業務運営の効率化やリスク管理を目的とした、内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。また、昨今不動産業界で複数発生した不祥事により、業界全体の信頼性が問われている中で、当社グループは信頼性の益々の向上のために、経営の公正性・透明性の確保に注力してまいります。そのために、経営管理部を中心に内部監査室・外部協力機関と連携をとり、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
④ 積極的な業務提携・連携
当社グループは、他社との積極的な業務提携・連携による、加速度的な事業拡大の実現を目指しております。その中で、最良な提携先の選定と、シナジー効果の最大化を課題として挙げております。そのために、提携先候補の定性・定量評価のノウハウ強化や、提携目的を確実に具現化し連鎖的に実績を生み出す好循環を実現していくための提携効果の評価について、今まで以上に注力し取り組んでまいります。
⑤ 関連サービス(新たな付加価値)の創出による事業収益力の向上
当社グループは、空中店舗フィル・パーク事業について、その余りある事業マーケットにおいてプロジェクトの拡大を目指すとともに、まだまだ発展途上のサービスであることを強く認識し、ユーザーファーストの観点から派生する関連サービス(新たな付加価値)の創出が重要な課題であると認識しております。
そのため、まずは徹底したマーケティングに注力し、安定した財務体質維持を前提としながらも、積極的に最新技術を取り入れるなど、新しい取り組みに挑戦してまいります。