有価証券報告書-第16期(令和1年12月1日-令和2年11月30日)

【提出】
2021/02/18 14:28
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「共存共栄(=Phil)」をイデア(企業理念)として設立されました。
2005年6月の設立以来、駐車場の上部“未利用”空間の活用を実現した空中店舗フィル・パーク事業を展開しており、「駐車場+商業施設」という新たな“常識と価値”を創り出すことで、土地オーナーやテナントを始め、関わる多くの人達が幸せを分かち合える継続的なまちづくりを推進してまいりました。
また、2019年1月に子会社化した株式会社プレミアムガレージハウスの企画提案するガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」については、高い需要と少ない供給から今後の成長が見込まれる商品となっております。
商業エリアにおいては空中店舗フィル・パークを、駅から遠い土地や住宅街エリアにおいてはプレミアムガレージハウスを一棟でも多く増やし、まちの景色として浸透させていくことで更なる好循環を生み出すことを基本方針とし、当社グループの企業価値向上にますます努めてまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループを取り巻く環境につきましては、一般社団法人日本パーキングビジネス協会が2019年5月に発表した「コイン式(時間貸)自動車駐車場市場に関する実態分析調査2018年版」によると、コインパーキング(500㎡未満)の箇所数は2011年時点で40,000箇所、2015年時点で60,000箇所、2018年4月時点で79,600箇所となり、駐車場及びコインパーキング市場は伸び続けている状況にあります。要因としては、路上駐車の減少に伴うコイン式駐車場の利用拡大、アパート・マンションの附置義務駐車場及び空き家のコイン式駐車場への転用などの背景が考えられます。
また、一般財団法人日本不動産研究所が2020年11月に発表した「第43回不動産投資家調査(2020年10月現在)の調査結果」によると、不動産投資家の今後1年間の投資に対する考えは、「新規投資を積極的に行う」が2019年10月の調査で95%、2020年4月の調査で86%、2020年10月の調査で92%となり、全体として不動産投資家の投資姿勢は回復基調となっております。
なお、当社グループにおいては、お客様及び従業員の安全確保を最優先に考え、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため2020年4月4日から6月30日までの間、原則在宅勤務を実施し、土地オーナーに対する企画提案が困難な中、空中店舗フィル・パークに入居するテナントの誘致業務に注力してまいりました。「請負受注スキーム」においては、営業活動を2020年7月から段階的に、2020年10月から本格的に再開しており、「開発販売スキーム」においては、2020年9月から販売用不動産の販売活動を再開しました。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、今後の収束時期等を正確に予測することは困難な状況にありますが、直近の営業状況等から当該感染症の影響は限定的であると判断しております。当該感染症の影響を受けつつも請負受注の状況は2021年11月期末までに徐々に回復していくと考えております。
このような市場環境のもと、駐車場と共存共栄できる当社グループの空中店舗フィル・パーク事業においては、2020年11月現在、全国主要都市を中心に231箇所(「請負受注スキーム」においては受注ベース、「開発販売スキーム」においては開発用地仕入契約ベースで集計)の実績を積み重ねてまいりました。これは、全国に存在するコインパーキング79,600箇所に比べて未だ0.3%程度の数であり、空中店舗フィル・パークの展開余地は、十二分に存在していると考えられます。
「請負受注スキーム」においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも当第4四半期連結会計期間の受注高は505,341千円となり、2020年11月期第2四半期の受注高9,948千円、第3四半期の受注高28,755千円と比べ、請負受注の状況は回復傾向となっております。空中店舗フィル・パークは、コロナ禍にあっても順調にテナント誘致を行えていることからその実績が再評価され始めており、また、プレミアムガレージハウスは、当第4四半期連結会計期間の請負受注件数が6件、受注高が282,468千円となり、新型コロナウイルス感染症の流行前と比べ問い合わせ件数も増えていることから、着実に実績を積み重ねております。今後、商業系案件である空中店舗フィル・パークと、住宅系案件であるプレミアムガレージハウスとの両輪で、顧客要望に幅広く応えられる補完関係を築きながら成長していくことを基本戦略とし、当社グループの企業価値向上に努めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は連結営業利益、連結経常利益であります。当該指標を採用した理由は、当社グループの収益力を客観的に評価できる指標であるためです。
2021年11月期の目標値は連結営業利益200百万円、連結経常利益200百万円であります。当該指標については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 継続的な人材採用及び人材教育、並びに専門性の高い人材の確保
当社グループにおいては、フィル・パーク事業の持続的な成長のために、優秀な人材の確保が引き続き重要な課題であると認識しております。
継続的な人材採用及び人材教育を行うために、人事部に専任の人材担当者を配置し、新卒採用に注力しており、社長室長が教育責任者として入社後の教育プログラムを構築しております。
また、専門性の高い人材の確保として、設計・施工等の建築分野やIR・広報等の経営企画分野のスペシャリストについても人材採用を進め、社内体制の整備に努めてまいります。
② 空中店舗フィル・パーク事業の認知度・ブランド力及び信用力の向上
当社グループの空中店舗フィル・パーク事業においては、2020年11月現在、全国主要都市を中心に231箇所(「請負受注スキーム」においては受注ベース、「開発販売スキーム」においては開発用地仕入契約ベースで集計)の実績を積み重ねてまいりましたが、フィル・パーク事業の認知度・ブランド力及び信用力についてはまだまだ不足していると考え、その向上が引き続き重要な課題であると認識しております。
今後は、コンタクトパートナーである金融機関等とのビジネスマッチング契約を全国的に増やしていくことで、空中店舗フィル・パーク事業の認知度向上に努めてまいります。
③ ガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」の商品力及び収益力の強化
プレミアムガレージハウスは、今後、世の中のパラダイムシフトが進み、ライフスタイルの変化とともにガレージ付賃貸住宅の利用スタイルも多様化していくことが想定され、益々需要の増加が見込まれます。
そのため、プレミアムガレージハウスの商品力及び収益力を強化し、収益の第二の柱とすべくビジネスモデルを再構築することが重要な課題であると認識しております。
④ 当社グループとシナジー効果のある企業との業務提携・連携
当社グループは、空中店舗フィル・パーク並びにプレミアムガレージハウスを一棟でも多く増やし、加速度的に事業を展開していくことを基本戦略としており、そのための他社との積極的な業務提携・連携が引き続き重要な課題であると認識しております。
今後も引き続き「土地オーナー」「テナント」「人材」「テクノロジー」をキーワードとした、シナジー効果が高いと考えられる企業との業務提携・連携を積極的に推進してまいります。
⑤ 内部管理体制の強化
当社グループは成長段階にあるため、業務の効率化やリスク管理、法令遵守を目的とした内部管理体制の強化が引き続き重要な課題であると認識しております。
当社グループは信頼性の益々の向上のため、引き続き経営の公正性・透明性の確保に注力してまいります。そのために、経営管理本部を中心に内部監査室・外部協力機関と連携をとり、内部管理体制の更なる強化に取り組んでまいります。