有価証券報告書-第32期(令和1年10月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/12/24 15:45
【資料】
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【項目】
144項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、個人財産の最適な配分と次世代への不安無き移転を約束し、永代にわたるその御家族のファミリーミッションの実現をビジネスノウハウ、システムインフラの提供を通じて支援することを経営理念とし、1990年4月の設立以来、IT(Information Technology:情報工学)とFT(Financial Technology:金融工学)の統合を企業ミッションとして、金融機関のリテール営業支援システムを提供してまいりました。
金融リテール、すなわち個人金融市場をターゲットドメインと定義し、情報通信技術と金融ノウハウの双方のバランスを重視する金融ITブティックを目指すことを基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。経営指標としては、事業の収益力を表す経常利益を重視し、拡大を目指してまいります。
(3) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大により、ほぼ全産業にわたって重大な影響を受け、急速に悪化しました。当社グループが属する情報サービス産業におきましては、これまで金融機関を中心としたフィンテックやAI(Artificial Intelligence)へのニーズが活発化し、働き方改革への取組みもあり、堅調なIT投資が継続しておりましたが、当連結会計年度においては、多くの企業の生産活動、営業活動が制約を受けております。本年4月から5月末までの2か月にわたる政府の緊急事態宣言は解除されたものの、新型コロナウイルスの再拡大もあって、終息時期の明確な見通しが立たない状況が継続しております。企業の情報システム投資ニーズは大きく変貌し、非対面によりかつビッグデータ解析を駆使しながらAIを活用し意思決定を行うという新たな革新が生まれつつあります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
企業経営におけるIT活用は、高度化が進む一方で、情報システムの構築や運用をより迅速かつ安価に実現するニーズが高まっています。企業における情報システムの構築・運用においては、企業自らが行う自前主義から、専門の外部業者に一部を委託するアウトソース化、さらに自身はシステムを保有せず、外部業者からサービスとしてIT機能の提供を受ける「所有から利用」への流れが加速しており、情報サービス事業者はこれらのサービスの提供力を高めることが必要となっています。また、顧客の事業が国や業種の垣根を越えて拡大する中、情報サービス産業においては、グローバル対応や業種を超えた機能連携の実現が強く求められています。
当社グループは、これらの事業環境の変化に対応するため、以下の経営戦略で事業を推進してまいります。
生命保険会社統合フロントエンドシステムの開発経験を活かし、申込書ペーパレス、顧客データベース構築、見込み客管理、販売員及び契約者への情報提供システムの構築までを自社開発領域とするとともに、あらゆる生命保険会社のニーズに的確なソリューションを提供するブティック型システムインテグレーターとしての地位を確立します。
今後、人生100年時代、大相続時代に対する生命保険会社・証券会社・銀行向け各ソリューションの需要の増加が見込まれることから、ゴールベースファイナンシャルプランニングシステムであるDesign Your Goal、統合資産管理システムWealth Management Workstation、アセットアロケーションシステム等を、資産運用、管理に不可欠なプラットフォームシステムとして確立し、ライセンス使用料課金及びコンサルティング料シェアにより、承継ビジネスを行う際に高収益率と継続的な安定収益を目指します。
なお、当期において受託したWithコロナの環境における生命保険販売の遠隔コンサルティングシステムは、特にネットリテラシーの十分でない高齢者、資産家に対するafterコロナ時の金融商品、保険商品のコンサルティングセールスのニューノーマルとなるべき販売スタイルと言えます。従ってロボティクスアドバイスによる生命保険、投資信託販売がコモディティ化するなか、テクノロジーとヒューマンコンサルによるハイブリッド型金融サービスの進化型として、今後急成長する金融DⅩ領域と考えられます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、金融リテールビジネスに必要となるシステムを金融機関等及びその顧客に提供することにより、売上高の拡大及び収益性の向上を図り、持続的かつ安定的な成長及びより強固な経営基盤の確立を目指しております。
この目的を実現させるため、当社グループは以下の事項を重要な課題と認識し、その対応に引続き取り組んでまいります。
① 市場のニーズに応えるシステムの開発及び提供
当社グループは、主に生命保険会社をはじめとする金融機関にシステムを開発・提供しております。金融機関は、取扱う金融商品の増加及び消費者ニーズの多様化に対応するため、金融商品の販売に関する業務プロセスを効率的に運営する必要に迫られているほか、金融商品取引法及び保険業法等、関連する法令諸規則を遵守しなければなりません。金融機関は効率性と遵法性を両立させた業務プロセスを構築して金融商品を販売することが求められており、ここに当社グループが開発・提供するシステムを導入する必要性があるものと認識しております。
これまではフィンテック・インシュテックの展開に伴うAIやRPAの活用ニーズの高まりもあり、金融機関のITシステム投資は堅調に継続しておりましたが、新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大により、企業の情報システム投資ニーズは大きく変貌し、非対面によりかつビッグデータ解析を駆使しながらAIを活用し意思決定を行うという新たな革新が生まれつつあります。
さらに、当社グループを含むシステム会社各社が、前述の金融機関が抱える課題を解決するシステムを市場に供給しているため、競争が激化しております。このような事業環境の中、市場のニーズに応える革新性あるシステムを継続的に開発・提供することが必要であります。特に金融庁は「高齢社会における資産形成・管理」等の提言を通じて、人生100年時代、長寿化に伴う資産寿命の延長、ライフスタイルの多様化に対応したデジタル化に基づく顧客起点の金融サービスの提供を求めています。当社はこれに対応した各金融機関へのソリューションを提供することに加えて、現状のコロナ禍の環境下において、金融機関の多くが、現状の対面型金融商品、保険商品の販売から、デジタルテクノロジーを使いながら非対面コンサルによるハイブリッド型営業に重点が移行すると想定し、今後の金融商品のニューノーマルな環境下において予想される非対面による遠隔コンサルティングシステムの開発・提供がゴールであると認識しております。
この課題に対処するため、当社グループでは金融機関の業務プロセスに必要なシステムの新規開発を志向する金融機関との取引関係の維持・強化、最新のAI、ビッグデータ解析等の動向についての情報収集及び金融機関の販売業務に関する法令諸規則についての情報収集等を通じて、市場をリードする新規システムを開発・提供してまいります。 さらに、アフターコロナの環境下においても、金融庁の提言に対応したバンキングアプリケーション、アカウントアグリゲーション及びライフプランニングの各機能を統合した資産形成アドバイスシステム、資産家及び企業経営者をターゲットとして会計事務所及び会計事務所ネットワーク、IFA、FP向けに、クラウド上から個人の複数の投資目標を最適化するゴールベースプランニングシステムの提供を拡大し、資産家、富裕層、新富裕層への財産コンサルティングを使用料課金により実現してまいります。結果としてシステムを活用しながら、日本人の個人金融資産の成長拡大による豊かな老後、次世代への円滑な財産の移転を実現させるものであります。
② 既存販売先との取引関係の維持及び新規販売先の開拓
当社グループは、特定の保険会社への販売比率が高い状況にあります。
このため当社グループの業績は特定の販売先の取引金額の多寡に影響を受けやすくなり、特定の販売先への売上の集中を緩和し、収益基盤の安定性を確保することが課題であると認識しております。
当社グループでは、この課題に対処し、収益を安定的に確保するため、既存販売先との取引関係を維持・強化し、販売先のシステム投資予算に占める当社グループ受注比率を高めてまいります。特に前連結会計年度に子会社となった株式会社インフォームを通じて、生命保険システム開発の全工程の業務を受託し、長期的戦略パートナーとしての地位を獲得してまいります。
また、資本提携・業務提携先である会計事務所、会計事務所ネットワーク、IFA、FP向け等を通じて非金融機関向け売上の拡大に努める一方で、新規販売先(保険会社、銀行、証券会社等)への提供及び金融サービスプラットフォームを運営する企業や新しいサービスを提供しているフィンテック企業とのさらなる業務提携の推進等によって、生命保険会社以外への売上を増加させる戦略が重要と考えております。
なお、当社システムの新規金融機関、IFA、FP等への開拓のため、プライベートバンキング、事業承継財産承継に係る書籍を日本証券アナリスト協会から出版し、さらには対面及びオンラインセミナーの開催により、当社プロダクトの取得後の活用方法等プロモーションを継続的に行っております。
③ 受託開発収入以外の収益形態の拡大
当社グループの売上高は、受託開発収入、使用許諾収入、保守運用収入及びコンサルティング収入で構成されておりますが、受託開発収入の比率が高い状況にあります。
受託開発収入は、案件の獲得、失注及び納期のずれ込み等により、収益が大きく変動する可能性があり、これを課題と認識しております。
当社グループでは、この課題に対処するため、受託開発収入以外の収益形態による売上高を増やす方針としております。具体的には、システムの使用者数及び登録資産に連動した使用許諾収入を得る収入形態の採用、付加価値の高いサービスの開発並びにコンサルティング収入を得るための営業活動の推進、クラウド上でのゴールベースプランニングシステムを利用したサブスクリプションモデルによる財産コンサルティング等により、顧客から得る収益形態を多様化させる方針としております。 引続き相続・財産分割ニーズに対応したファンドラップ提案システムにおける、銀行・証券会社向けに使用販売員数等を基準とした従量課金の強化に努めます。
④ 利益の確保及び利益率の向上
当社グループが開発・提供するシステムは「フロントエンドシステム」であり、システムの利用者(金融機関の営業担当者や金融商品の購入を検討する顧客等)が直接システムを操作することに特徴があります。販売先ごとに異なるシステムを開発・提供する必要があることに加え、システム利用者の操作のし易さについても配慮しなければならないことから、開発過程において、一般的な基幹系システムよりも比較的多くの作業工数を費やす必要があります。そのため、厳格な工数管理を実施することが、利益を確保し利益率を向上させるための課題であると認識しております。
当社グループでは、この課題に対処するため、社内にプロジェクトの進捗状況を管理する会議体を設けており、この会議体の運用を徹底することで、プロジェクト損失を回避してまいります。また、開発・提供にあたって多くの作業工数を必要としない既存のシステムをパッケージ化して新規取引先に販売すること、APIにより他社アプリとシームレスに連携すること等により、利益の確保及び利益率の向上を実現させる方針としております。
⑤ 優秀な人材の確保
当社グループが属する情報サービス産業では、人材の獲得競争が激化しており、優秀な人材の確保が困難な状況となっております。また、当社グループは金融商品の販売に係わる諸問題を解決するシステムを提供しているため、当社グループ従業員はシステムだけではなく保険数理、金融知識、社会保障、税務等に習熟していることが求められます。
こうした中、当社グループが事業を継続的に遂行し、より付加価値の高いサービスを提供するため、新規採用及び中途採用を拡充するほか、CAPユニバーシティという社内教育体系を確立し、総合的人材教育、特にITとファイナンスに係わるフィンテックの領域の最新の教育を継続的に強化してまいります。
⑥ 海外展開
昨今、日本を除く東アジア地域において、日本に比べ若い世代の資産家が増加しており、特に国家による社会保障制度の整備が遅れている地域の企業家及び富裕層にとって、個人の資産管理は重要な課題となっております。またスマートフォンによる資金決済、資金運用、ファミリーオフィスに係わる統合資産運用システムは日本以上に進展しつつあり、アセットアロケーションシステムの中国本土の複数の銀行へのライセンス課金を実行中であります。当社グループはこれを商機と捉え、当社グループが日本国内において開発したシステムを海外で提供することを目的に、世界各地で開催されるカンファレンスへの出展や講演、さらには海外有力システム会社との提携について継続的に実施しております。
将来の収益源となるよう、今後も継続的に取り組んでまいります。

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