有価証券報告書-第41期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)戦略
初年度のシナリオ分析として、SDGsの目標達成年である2030年時点を想定し、現状を上回る気候変動対策が行われず異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。
・シナリオの世界観
・シナリオ分析の結果、想定されたリスク・機会と当社対応
・財務インパクトの試算
リスクとして想定された一部項目※について、当社事業への影響を定量的に計るため財務インパクトの試算を行いました。
(※)将来予測値及び自社実績値から定量的な分析が可能と判断したもの


シナリオ分析の結果、当社事業継続に重大な影響を及ぼすリスクは想定されませんでした。ただし、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオの両シナリオにおいて、気候変動による異常気象の増加は想定されており、国内外に広く店舗を展開する当社事業においては物理的な被害を受ける可能性が高いだけでなく、当社商品の原材料である小麦をはじめとした農作物や畜産の生育状況に影響を与えるため、最も重大なリスクとなると想定をいたしました。
今後、シナリオ分析の結果を基に店舗展開や調達面など、現状の事業戦略で考慮すべき要素について検討を重ねるとともに、プラントベースフードの開発や商品製造時の残渣の有効活用など、「食を通して新しい価値を創造し『笑顔』と『ありがとう』とともに世界中に伝えていく。」ことを創業の精神に掲げる企業として、社会や環境に貢献できる取り組みを積極的に行ってまいります。
初年度のシナリオ分析として、SDGsの目標達成年である2030年時点を想定し、現状を上回る気候変動対策が行われず異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」と、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。
・シナリオの世界観
| 項目 | 2℃以下シナリオ | 4℃シナリオ |
| 参照シナリオ | (2℃シナリオ) IEASustainableDevelopmentScenario、IPCCRCP2.6 (1.5℃シナリオ) IEANetZeroEmissionsby2050 | (4℃シナリオ) IEAStatedPoliciesScenario、IPCCRCP8.5 |
| 対象年 | 2030年時点 | |
| 想定される世界観 | 2100年時点において、産業革命時期比で1.5℃未満の平均気温上昇が想定されるシナリオ。カーボンニュートラル実現を目指し、気候変動問題を抑制するために現状以上の厳しい政策・法規制等が敷かれる | 2100年時点において、産業革命時期比で3.2℃~5.4℃(約4℃)の平均気温上昇が想定されるシナリオ。気候変動問題を軽減するための積極的な政策法規制等は敷かれず、異常気象の激甚化が顕著に表れる |
・シナリオ分析の結果、想定されたリスク・機会と当社対応
| 将来 世界像 | リスク・機会 | 想定される 発生時期 | 想定される財務的影響 | 自社戦略 | ||
| 短期 | 中期 | 長期 | ||||
| 移行 リスク | (リスク/機会) ・気候変動に対する取り組みと情報開示が 不十分である場合、顧客離れによる売上減少や投資家からの資金調達難が発生する | ● | ● | ● | 中 | ・環境保全型農業で生産されたお米を使用 ・一部を除く当社グループ店舗では、洗浄して再利用をするエコ箸を採用 |
| (リスク/機会) ・環境負荷軽減の観点から、畜産物の流通量が減少する一方で、エシカル消費に対応したレシピ開発により、新たな顧客創出に繋がる | ● | ● | ● | 中 | ・プラントベースフードの開発、販売 ・外食版サプライチェーンマネージメントの導入発注から商物流支払い登録までの一元管理によりコスト削減を図る | |
| (リスク) ・再生可能エネルギー導入に伴い、オフィスや営業所においてエネルギーコストの増加や設備投資コストが発生する | ● | ● | ● | 大 | ・オフィス/店舗でのLED照明活用 ・こまめな節電活動 | |
| (リスク) ・廃棄物を抑制するために、食品ロスに関する法規制が強化された場合、対応コストが増加する | ● | ● | 中 | ・消費期限がより長くなるよう工夫して梱包された食材の仕入れや、トッピングには使わない部分のチャーシューを活用したメニューの販売、料理の残量を計測し残量削減に取り組む ・残渣やラードなど、食品廃棄物を元にしたバイオディーゼル技術への貢献による収益機会の増加 | ||
| (リスク) ・プラスチック製容器やカトラリーの使用に関する規制が生じ、代替品への変更などの対応コストが増加する | ● | ● | 中 | ・化石燃料を原料としたプラスチック製品を紙製品やセルロースファイバーを使用したものに順次切り替え、プラスチック使用量を減少 | ||
| (リスク) ・化石燃料(ガス)の使用規制に伴い、現行の調理器具、調理方法が使用できなくなり、新たに対応コストが増加する | ● | ● | 小 | ・IH機器等の燃料を使用しない機器の導入によりガス使用量を減少 | ||
| (リスク) ・炭素税の導入により、電気・ガスの使用等により排出したGHG排出量に応じて、課税コストが増加する | ● | ● | ● | 中 | ・再生可能エネルギー導入等により、GHG排出量を減らし、税負担軽減を図る | |
| 将来 世界像 | リスク・機会 | 想定される 発生時期 | 想定される財務的影響 | 自社戦略 | ||
| 短期 | 中期 | 長期 | ||||
| 物理 リスク | (リスク) 異常気象の激甚化により、以下が発生することにより支出の増加及び収益機会の損失が発生する ・サプライチェーンの寸断による、原材料調達難や出荷の停止 ・異常気象に伴う来客数の減少 ・オフィス、店舗、工場の被災による営業活動の停止 | ● | ● | ● | 中 | ・取引先と連携を取り、仕入先や取引する地域を増やすことで安定を図る ・販売チャネル等の見直しを行い、収益安定を図る ・BCPの策定により、営業活動停止リスクを最小限に抑える |
| (リスク) ・熱波及び干ばつの影響により原材料(農作物)生産量が減少し、調達難やコスト増加が発生する | ● | ● | ● | 大 | ・取引先と連携を取り、仕入先や取引する地域を増やすことで安定を図る | |
| (リスク) ・平均気温の上昇に伴う、空調コストの増加及び冷蔵、冷凍庫への設備費用が増加する ・平均気温の上昇に伴い、食品の保存環境に影響を及ぼし、消費期限が短縮され、食品ロスや提供方法の変更など対応コストが発生する | ● | ● | 大 | ・再生可能エネルギーの導入を含む、水道光熱費削減の取り組みを実施する | ||
| (リスク) ・降水パターンが変化することで、原材料(農作物)の安定した調達が困難となり、対応コストが発生する ・畜産飼料となる小麦などの食物の生育不良に伴い、畜産の流通量減少などが発生し、調達コストが増加する | ● | ● | ● | 大 | ・外食版サプライチェーンマネージメントの導入 発注から商物流支払い登録までの一元管理によりコスト削減を図る ・使用する部位を増やすことで、仕入量の安定を図る | |
| (リスク) ・海産資源の生態系の変化により、漁獲量の減少及び原料価格の上昇が生じる | ● | ● | 小 | ・仕入先の増加、事前に仕入量を予約する | ||
| (リスク) ・害虫が発生することで、原材料(農作物)の安定した調達が困難となり、対応コストが発生する | ● | ● | 中 | ・取引先と連携を取り、仕入先や取引する地域を増やすことで安定を図る | ||
| (リスク) ・節足動物の生育地域拡大に伴い、マラリア等の感染症増加や気温上昇による国内の感染症流行状況が変化し、来客数の減少や店舗運営に影響が生じる。また、畜産を媒介とした感染症の増加によって、原材料の流通に影響が発生する | ● | ● | 中 | ・乾麺タイプのプラントベース白丸・赤丸の販売開始ECサイトにて各種限定商品やオリジナル商品の国内外での販売 | ||
・財務インパクトの試算
リスクとして想定された一部項目※について、当社事業への影響を定量的に計るため財務インパクトの試算を行いました。
(※)将来予測値及び自社実績値から定量的な分析が可能と判断したもの


| リスク項目 | 試算内容 |
| 炭素税の導入 | 当社GHG排出量及び将来の炭素税価格から試算 |
| 電力価格の増減 | 当社電力使用量及び将来の電力価格から試算 |
| 空調使用量の増加 | 当社電力使用量及び将来の電力価格・空調使用量増加率から試算 |
| 洪水・高潮による 年平均被害リスク | 治水経済調査マニュアル(国土交通省)に基づき、拠点ごとに災害による被害額を 試算。被害情報(被害率や営業停止停滞日数)はハザードマップにて拠点ごとに特定 |
シナリオ分析の結果、当社事業継続に重大な影響を及ぼすリスクは想定されませんでした。ただし、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオの両シナリオにおいて、気候変動による異常気象の増加は想定されており、国内外に広く店舗を展開する当社事業においては物理的な被害を受ける可能性が高いだけでなく、当社商品の原材料である小麦をはじめとした農作物や畜産の生育状況に影響を与えるため、最も重大なリスクとなると想定をいたしました。
今後、シナリオ分析の結果を基に店舗展開や調達面など、現状の事業戦略で考慮すべき要素について検討を重ねるとともに、プラントベースフードの開発や商品製造時の残渣の有効活用など、「食を通して新しい価値を創造し『笑顔』と『ありがとう』とともに世界中に伝えていく。」ことを創業の精神に掲げる企業として、社会や環境に貢献できる取り組みを積極的に行ってまいります。