訂正有価証券報告書-第18期(令和2年2月1日-令和3年1月31日)

【提出】
2022/03/25 14:05
【資料】
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【項目】
146項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「創造革命で世界中の人々を幸せに」という企業理念の下、「アーティスト・クリエイター」の活動を支援すると同時に、「ファン」にとって価値のあるサービスを、時代に合ったテクノロジーによって実現します。また、この新しいマーケットネットワークを創造する分野を、「Fan × Technology = “FanTech”」と定義し、当社グループの事業領域としております。
当該領域において、既存サービスの強化を図るとともに、積極的に新たなサービスプラットフォームを創造し、それらサービス群を有機的に結合させることで、他の会社にはない独自の価値を提供することで新たなエコシステムの実現を目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、「アーティスト・クリエイター」及び「ファン」に向けて、FC、EC、電子チケット、QRコード決済サービス、旅行、イベント、ライブ制作等の各サービスチャンネルをワンストップで提供することで、ファンに向けた新たな価値の提供を目指す「オムニチャネル戦略」を推進しております。
主にプロのアーティスト・クリエイター等をターゲットとして提供するプロ向けのプラットフォームである「Bitfan Pro」に加え、誰でも無料でファンマーケティングに必要なサービスを利用できるCtoC型のオープンモデルプラットフォーム「Bitfan」の開発・機能強化にも注力しており、世界中で利用されるプラットフォームを目指して、積極的なサービス展開を行っております。
これら「Bitfan Pro」及び「Bitfan」を中心としたサービス群の有機的な結合により、「Bitfan Pro」を中核としたプラットフォームの付加価値を向上させ、「アーティスト・クリエイター」と「ファン」をつなぐエコシステムの構築を実現して参ります。
(3)経営環境
当社グループが事業活動の対象とするエンタテインメント業界では、1998年をピークとした音楽生産ソフト金額の縮小(※1)に象徴されるように、コピーされるものの価値が限りなくゼロに近づいている傾向にあります。しかし一方で、ライブ・コンサート市場規模は2006年以降、上昇傾向にあります(※2)。これらのデータから、音楽市場は縮小しているわけではなく、収益モデルが変化していると推察されます。消費活動が、モノ消費からコト消費へスライドし、ライブ・コンサート分野を中心としたサービスの収益は今後も継続して拡大していくと考えられます。
当社グループでは、そのような市場の変化をいち早く捉え、FCサービス、ECサービス、SKIYAKI TICKET等の「アーティスト・クリエイター」と「ファン」をつなぐためのサービスプラットフォームを開発して参りました。
FCサービスを取り巻く環境については、スマートフォン及び高速通信の普及が進み、モバイル端末機器によるインターネットの利用環境が一層整備され、今後も安定的な成長が見込まれております。なお、個人のスマートフォン保有率は60.9%に達し、端末別のインターネット利用率でもスマートフォンが59.7%で最も高くパソコンを上回り(※3)、スマートフォンの位置づけはより重要性を増しております。また、前述のとおりライブ・コンサート市場規模は拡大傾向にあることから、会員向けに先行チケット販売サービスを提供するFCサービスに対する需要は高まっております。
ECサービスを取り巻く環境については、インターネットの普及及び通信の高速化を背景に、EC市場は堅調に成長しております(※4)。2020年のEC関連市場規模推計は、全体で20.0兆円であり、2026年度の市場規模は29.4兆円に拡大することが見込まれております(※5)。
音楽業界においては、2000年以降は毎年300組以上、直近3ヶ年においては400組以上の歌手がデビューしており(※6)、公演回数も過去10年間で約2倍の規模となっております(※2)。このようにエンタテインメント業界のトレンドが「体験型」市場に推移している中、ファンが優先的にライブ・コンサートのチケットやグッズを購入できるファンクラブサービスは、今後も継続的に需要が高まっていくと考えます。
一方、2020年においてはCOVID-19の感染拡大の影響により多くのライブ・イベントが自粛を余儀なくされ、ライブ等の実施がコロナ禍以前の水準に回復するには相当の時間を要すると考えられるものの、それらを考慮しても、ライブ・コンサート市場、チケットサービス市場は高い成長性を有していると考えます。
このような経営環境の下、当社グループの他にFCサービス、アーティストグッズ等のECサービス及び電子チケットサービス等の類似サービスを提供する企業は複数存在しますが、当社グループの競合他社との競争優位性は次ののとおりであります。
① プラットフォームの開発力とノウハウ
当社グループが提供するプラットフォームは、高い専門性を有する優秀な人材を確保しつつ、企画、開発、サイト運営及びカスタマーサポートに至るすべてのプロセスを当社グループで一貫して行う体制を整え、サービス提供に必要なノウハウを蓄積しております。また、効率化されたプラットフォーム上で多くのサービスを展開しているため、各サイトの運用から得られる改善点を迅速にシステムに反映することで、サービス全体のクオリティをスピーディーに高めていくことが可能です。
② サイト制作スピードと運用体制
効率化されたプラットフォーム及び業務フローにより、非常に短期間で多数のFCサービス、ECサービスのリリースが可能であり、年間150以上のサービス(オフィシャルサイト、ファンクラブサイト、ECサイト等)リリース実績があります。また、専門知識を備えたIT業界、音楽・エンタテインメント業界の経験者がサイトの運用やライツホルダーに対するコンサルティング業務を担当しており、パートナー企業・アーティストと適時にコミュニケーションを図りながら、ファンに向けたサービスを提供する体制を構築しております。
③ 戦略的パートナーシップ
当社グループは、比較的小規模な中堅・中小の芸能プロダクションから日本を代表する大手企業まで、多くの企業向けにプラットフォームを提供しております。特定のアーティストに係る個別契約のみならず、対象企業に所属するアーティストのFC, ECサービス等を包括的に当社グループが提供する包括契約を締結している契約先も存在するなど、過去の取引実績に基づく強固な協力関係を多くの企業と築いております。
また、連結子会社である㈱SEA Globalとのスポーツ領域におけるプラットフォーム提供の推進など、音楽業界にとどまらない分野へのサービス展開を積極的に行っております。
加えて、当社グループは、2014年2月にカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱(以下「CCC」という。)と、CCCの会員基盤やTSUTAYAなどの事業基盤を活用したファンビジネスの展開に向けた資本業務提携を行っており、CCCグループ(※7)に属しております。
当該提携に基づき、CCCグループに属するカルチュア・エンタテインメント㈱との協業によるFCサービス等を提供しておりますが、今後は当社のオープン型サービスプラットフォーム「Bitfan」と連携したサービス開発等を行っていく方針です。
(※1)一般社団法人日本レコード協会「音楽ソフト 種類別生産金額推移」
(※2)一般社団法人コンサートプロモーターズ協会「ライブ市場調査データ」
(※3)総務省「平成30年版情報通信白書」
(※4)経済産業省「令和元年度電子商取引に関する市場調査」
(※5)株式会社野村総合研究所「ITナビゲーター2021年版」
(※6)一般社団法人日本レコード協会「デビュー歌手数推移」
(※7)当社のその他の関係会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱を中心とするCCCグループは、「『カルチュア・インフラ』を、つくっていくカンパニー。」をブランド・ステートメントとして掲げ、書店事業を中心としたエンタテインメント事業、Tポイントを中心としたデータベース・マーケティング事業のほか数々のネットサービスや新たなプラットフォームサービスを企画し、それらのプラットフォームを通じて新しいライフスタイルの提案を行うこと」を事業としています。なお、カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱は証券取引所に上場しておらず、有価証券報告書を作成しておりません。
(COVID-19感染拡大の影響について)
当社グループでは、COVID-19感染拡大に伴う外出自粛及びライブ・イベント等の中止又は延期等により、主に各セグメントにおいて以下の影響が生じております。
セグメント主な影響売上高及び営業利益への影響
プラットフォーム事業(FCサービス)
チケット先行予約の減少によるFCサービス有料会員数の伸び悩み
(ECサービス)
アーティストによるオンライングッズ販売の加速及び巣ごもり需要増加によるEC商品出荷金額の増加
(FCサービス)
売上高成長率及び営業利益成長率の鈍化
(ECサービス)
売上高及び営業利益の大幅な増加
O2O事業ライブ・イベント制作数の減少売上高及び営業利益の大幅な減少
その他事業ファンクラブ旅行販売件数の減少売上高及び営業利益の減少

これら事業環境の急激な変化を受けて、プラットフォーム事業においては、FCサービスのチケット先行予約に依存しないビジネスモデルを構築するため、FC有料会員のみが閲覧できる限定動画の配信等のリッチコンテンツの提供を強化し、FCサービス売上高の増加を図るとともに、アーティスト等のオリジナルグッズの企画製造販売を行うMD(マーチャンダイジング)サービスの取り扱いアーティスト数及び取引規模を拡大することで、ECサービス売上高を維持・成長させる方針を掲げております。
O2O事業においては、2021年中におけるライブ開催の完全な正常化は困難と考えられることから、連結子会社である㈱SKIYAKI LIVE PRODUCTIONにおいて、業務委託費等の不要なコストの削減、賃料の低い新オフィスへの本社移転、非中核事業の当社への事業譲渡等の必要な施策を速やかに推進しており、今後の正常化に備えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが属する音楽業界・エンタテインメントを主として取り扱うIT業界においては、当社グループ及び大手数社がシェアを持つ構図になっております。
このような状況の下、当社グループは、ワンストップ・ソリューションプラットフォーム「Bitfan Pro」の優位性が他社に対する強みであると考えており、その強みを活かしてプロダクション・音楽レーベル等のライツホルダー企業(権利保有者)に対して継続的に営業を行って参りました。その結果、多くのライツホルダー企業と業務提携契約を締結し、会員数を伸ばして参りました。
一方で、現状では小規模な組織により事業を運営していることもあり、コーポレート・ガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。また、当社グループサービスの要である「Bitfan Pro」に更なる競争力を持たせるとともに、オープンモデルのファンプラットフォーム「Bitfan」の機能拡充を進めるため、一層十分な開発リソースを確保していく必要があることも課題として認識しております。
以上を踏まえ、当社グループとして以下の具体的な課題に取り組んで参ります。
① 人材の確保
現在IT業界においては、優秀なエンジニアの確保が困難な状況が続いております。当社グループとしましては、従業員が働きやすい環境づくりや福利厚生の充実を図っております。
具体的には、まず、独自開発の社内業務管理システム「INTRA」や電子稟議システムの導入等により業務の効率化を推進することで、従業員が仕事とプライベートを両立できる環境の構築に努めており、当連結会計年度における従業員の月平均の所定外労働時間は、全体で約9時間41分、エンジニアに限ると約5時間55分となっております(いずれも2020年2月1日~2021年1月31日実績。なお、一般社団法人情報サービス産業協会が2021年3月に公表した「2020年版 情報サービス産業 基本統計調査」によれば、回答企業301社のITエンジニアの月平均所定外労働時間は、約19時間10分)。
また、リモートワーク制度を導入し、従業員が在宅で就業できる環境を整備するとともに、時間単位有給休暇制度の導入や年次有給休暇の計画的取得の推奨等の施策により、従業員が有給休暇を取得しやすい環境を整備しており、当連結会計年度における有給消化率は70.6%でした。
加えて、求職者を惹きつけるような魅力あるアーティストのファンクラブ・ファンサイトを継続的にリリースしていくこと自体が、当社グループの業務の魅力とやりがいをわかりやすい形で伝えるための重要な手段になると考えております。
② コンテンツ力の更なる強化
当社グループでは、既存コンテンツの継続的な成長に加え、新規コンテンツの獲得のための新たなパートナー獲得に向けた取り組みを行っております。引き続き、多くのライツホルダー企業とのアライアンスの促進や、ブレイク前のアーティストの発掘等を行って参ります。また、新たなジャンルの開拓として、漫画・アニメ等とそれらを対象とした2.5次元ミュージカル、バーチャルYouTuber、スポーツクラブ、一般企業向け案件等に対する営業活動を強化し、当社サービスを利用していただくライツホルダーと一般ユーザーの双方にメリットを提供できるよう、積極的にコンテンツを拡充して参ります。
③ 内部管理体制の強化
当社が今後一層の事業拡大を進めるとともに事業環境の変化に適応していくためには、内部管理体制を強化していくことも重要であると考えております。当社としましては、内部統制の実効性を高めコーポレート・ガバナンスを強化していくことで、リスク管理の徹底や業務の効率化を図って参ります。
④ システム基盤の強化
当社グループが掲げる「創造革命」を実現するためには、単なるコンテンツの提供者ではなく、トータルソリューションを提供するプラットフォーマーとしての立ち位置を確立することが必要であり、自社開発と他社との提携を組み合わせてプラットフォーム機能の拡充を進めております。また、当社グループは収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システム稼働の安定性を確保することが重要な経営課題であると認識しております。「Bitfan Pro」をはじめとする当社サービスの利用者増加に対応するための負荷分散や、オープンモデルの「Bitfan」の機能拡充等、継続的にシステム基盤と機能の強化を図っていく方針であります。
⑤ 会員情報の管理体制
当社グループの事業では多数の会員の個人情報を取り扱っており、その数はサービスの拡大に比例して増加しております。そのため、今後個人情報の管理体制をより一層厳格に行うことを重要な課題として認識しております。
不正アクセス等への事前対策はもちろん、情報漏洩の多くが内部の関係者のヒューマンエラーに起因しているという実情を踏まえ、情報の取り扱いに関する社内規程を厳格に定め、全役社員を対象に情報セキュリティに関する社内研修を定期的に実施するとともに、毎年機密情報・個人情報の適切な管理に関する誓約書を提出させるなど、引き続き全役社員の情報管理意識及び情報リテラシーの向上に努めております。
加えて、当連結会計年度においては、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格「ISO/IEC27001:2013」の認証を取得し、より強固な情報管理体制を構築するとともに、万が一の事態に備え、個人情報漏洩時の損害保険にも加入しております。
⑥ グローバルな事業展開
当社グループでは、社名にも想いを込めたように、グローバルな事業展開を目指しております。「Bitfan Pro」及びオープンモデルの「Bitfan」を中核とした当社グループのサービスをグローバルに展開し、世界中のアーティスト・クリエイターに利用してもらえるよう、現地でのパートナー企業の選定、協業の際の当社グループシステムとの連携等の推進を重要な経営課題として認識しております。当連結会計年度においては、シンガポールの現地子会社であるSKIYAKI 65 Pte. Ltd.において、COVID-19の感染拡大の影響により現地における営業活動が実施できない状況が続いておりましたが、韓国の現地子会社であるSKIYAKI 82 Inc.については、韓国現地アーティストによる「Bitfan Pro」及びオープンモデルの「Bitfan」を利用した日本のファン向けサービスの提供が進展するなど、一定の成果を上げております。今後も、子会社又は現地パートナー企業との提携等により、世界中で利用されるプラットフォームの確立を目指して参ります。
⑦ 他の企業との資本提携の推進
当社グループは、当連結会計年度末日時点において当社及び連結子会社5社、持分法適用関連会社4社により構成されておりますが、当社グループを取り巻く事業環境の急激な変化に対応し、収益基盤をより一層強化するためには、他の企業との資本提携の推進が必要であると考えております。一方で、当連結会計年度までの間において、過去の投資に係る持分法による投資損失及び減損損失を計上していることから、今後はより慎重に提携先企業を選定し、投資実行の可否を検討する必要があると考えております。
今後の具体的なM&A戦略として、当社グループとのシナジーが見込まれる以下の事業領域における企業との資本業務提携を検討しております。
・既存サービスに関連する事業領域(ファンクラブ、EC、チケット、コンサート、イベント、旅行、映像等)
・既存又は新たに提供するコンテンツに関連する事業領域(音楽、漫画、アニメ、出版、舞台、ミュージカル、キャラクター、ゲーム、eスポーツ、スポーツ等)
・新たな技術革新に関連する事業領域(VR、AR、MR、AI、ブロックチェーン、暗号資産、個人間決済等)
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、FCサービスに係るストック収入の源泉である「有料会員数(継続課金ユーザー)」及び無料会員(将来的に有料会員となる可能性を有する非継続課金ユーザー)を含む「総会員数」を、重要な指標として位置付けております。具体的には、新規サービスのオープン時に、当初見込有料会員数と実績値との比較分析を行うとともに、毎月の取締役会において有料会員数及び総会員数の月次推移を報告し、今後の会員増に向けた戦略・施策を協議するなど、定期的なモニタリング及び経営へのフィードバックを行っております。

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