有価証券報告書-第76期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/31 10:44
【資料】
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【項目】
155項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループをはじめとするグローバルな食の世界に携わる企業を取巻く環境は、サプライチェーンの状況や為替変動等から受ける影響のほか、世界的に広がる食の多様化や供食形態の変化(外食・中食需要増)等によって、近年ますます大きな変化に晒されております。
他方、日本食を中心としたアジア食品のグローバル化は、2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことにも代表されるように、現地の食生活により馴染む形で着実に発展、浸透しつつあります。
また、環境への配慮や健康に対する意識と、味や値段・利便性とのバランス等、人々の食に対するニーズがさらに多様化する中、既存の食品業界の領域を超えて、様々な技術・サービスが新たに生まれております。
このような環境下において持続可能な収益基盤を構築していくためには、当社グループの事業構造を継続的に変革していくことが切要と考えております。具体的には、既存事業における一層の収益性向上を目指して以下の戦略・方針を実現するとともに、食品業界を取巻く課題や人々のライフスタイルの変化等から生じるニーズを発掘し、それらに対するソリューションを開発・展開する事業の構築を目指してまいります。
(1) 営業戦略
アジア食グローバル事業では、今まで培ってきたサプライチェーン機能をさらに強化するとともに、日本食レストランや日系・アジア系の量販店のほか、各国の現地系大手量販店等、新規顧客の開拓を推進することによりシェアの拡大を図ります。事業エリアについては、主要地域である北米での成長を維持しつつ、北米以外の地域についても積極的に市場開拓に取り組んでまいります。本事業は、各国の食品に係る各種規制対応等、グローバルに事業を展開する上で参入障壁が高い分野であると認識しております。併せて、当社グループは110年を超える実績のもと、世界各国に拠点を有し、調達から輸出・輸入卸と物流機能を一気通貫で展開可能な体制を整備しております。そのような競争優位性を活かしながら、食のライフスタイルの変化に対応した商品の開発、フードセーフティの強化、事業オペレーションの効率化等によって更なる差別化を図り、中長期での収益性の向上を目指してまいります。
また、食の安全・安心を守り、食を通じて世界の人々の生活をより豊かに、より幸せにすることが当社グループの使命と心得、各地域において現地のニーズを反映した商品販売や新たな事業展開を推進するべく、現地プロフェッショナルの採用を進めるとともに、社内の人材育成も注力してまいります。
農水産商社事業では、サンキスト・グロワーズ社の日本輸入総代理元として柑橘類を取扱っているほか、世界中から生鮮青果の幅広い商品を調達し、全国の卸売市場、量販店及び外食産業へ販売しております。グローバルな調達力と輸入青果に係る国内販売網の両方を有する企業として、これまでに培った知見や技術、取引先との信頼関係を活かし、中国をはじめアジア各国への販路拡大を推進してまいります。その一環として、2022年1月にシンガポールの有力青果物輸入卸商社であるBan Choon Marketing Pte. Ltd.を連結子会社化いたしました。同社を東南アジア地域における農水産商社事業の核として位置づけ、同地域の青果物事業の拡大を目指すとともに、同社の販路を活かし、アジア食グローバル事業の規模拡大にも繋げてまいります。
国内のその他事業では、海外のユニークなブランド食品を日本市場に紹介する他、ハロウィン、クリスマス等のイベント商品やキャラクター商品の企画・販売を行っております。催事への出店やECサイト販売の強化、オーガニック商品の取扱いやサプリメント販売等、食が創り出す楽しさ・喜びを国内一般消費者にもお届けしております。
また、当連結会計年度においては、手術後・病後者向けの食品提供事業等、国内向け新規事業の展開も開始いたしました。
(2) 商品戦略
当社グループは、北米地域を中心に世界各国へ日本食を中心としたアジアの食品・食材を供給しております。そのため生産者やメーカーと協働し市場ニーズを的確に捉え、各地のマーケットに合わせた商品を企画・開発し提供してまいりました。1921年に商標登録したプライベートブランド「Shirakiku」は、以来1世紀にわたり有数の日本食ブランドとして米国を中心に世界各地で親しまれております。今後もその商品ラインナップを拡充し、「健康・安全・美味」を象徴するブランドとして一層強化・育成してまいります。
また、注力分野である非日系レストラン及び量販店に対しては、既存商品の取扱量増加を目指すとともに、Ready To Eat商品等、消費者の利便性を高めた商品の開発により、日常食としてのアジア食の浸透に向けた取組みも進めております。
(3) 物流・システム戦略
当社グループでは、特にアジア食グローバル事業において自社の配送網を持ち、きめ細かな物流サービスを提供しております。このことは、大手の卸売会社を容易に参入させない優位性である一方、在庫管理・流通加工及び配送業務における効率化は、更なる成長に向けた重要な課題と認識しております。
世界的に人件費やエネルギー費用等を含む物流費が増加する中、当社グループは次のような施策を推進し、在庫管理及び物流機能の強化に努めてまいります。
・受注から配送までの業務を一貫して効率運用できるオンライン受発注システムの改善
・グループ会社間での情報管理システムの共有化、グループ横断的なデータ収集・分析
・グループ全体でのスケールメリットを活かした船舶輸送の手配、効率化
(4) フードセーフティ・法令対応
当社グループは、食の安全・安心を守り、食を通じて世界の人々の生活をより豊かに、より幸せにすることを経営理念の一つとして掲げております。各国ごとに異なる食品に関する法令・規制を順守すると同時に、法令・規制対応に限定せず、取扱食品の安心・安全を担保するフードセーフティ(以下「FS」という。)活動は、当社グループにとって必須かつ永続的な課題です。
当社グループでは、情報収集とその分析・対応を迅速かつ正確に行う体制として、当社にホールディングカンパニーとしての総合的な統括部署を設置している他、各国の事業会社ごとにFS担当部署を設けております。また、事業部門にもFS担当部署との窓口となる担当者を配置し、速やかに漏れなく情報を集約する体制を構築しております。かかる組織体制により、事業部門担当者からの報告をもとに事業会社のFS担当部署が情報整理及び対策検討を行い、さらに全体を当社統括部署が監修し、社外の専門家も活用しながら、課題の設定やスケジュール管理を行っております。このようなグループ内での情報共有と円滑な業務連携が、グローバルかつ網羅的なFS管理を可能にしております。
(5) 財務戦略
当社グループでは、主要取引が米ドルを中心とした外貨取引であるため、為替リスク対応が重要な課題と認識しております。このため、グループ会社間における為替マリー(※)の活用や、三国間取引を行うことで為替リスクの極小化を図ってまいります。
また、当社グループの継続的成長を図る上で、資金調達力の強化は重要な検討課題であると捉えております。経済環境等に応じて、借入金のほか公募増資・社債発行等資本市場からの直接金融による資金調達等の選択肢を考慮しながら、安定した財務基盤の構築に取り組んでまいります。
(※)外国為替の売り持高と買い持高を結びつけることによって、為替持高を相殺することを指します。
(6) M&Aを活用した成長の追求
当社グループでは、これまでアジア食グローバル事業を中心に、潜在成長性が高く、かつ、マーケット全体に占める割合の大きい欧州及びアジアにおいて、複数のM&Aを実施してまいりました。当連結会計年度におきましても、2022年1月にシンガポールのBan Choon Marketing Pte. Ltd.を連結子会社化しております。今後も既存事業の強化や事業エリアの拡大、及び新規事業の構築に寄与する投資機会については、デュー・ディリジェンスの実施による財務・法務上の精査を十分行った上で検討してまいります。
(7) フードテックや食のデジタル化への対応
人々のライフスタイルの多様化や食のグローバル化が加速する中、食の安全や環境問題に対する配慮等、食品業界に対する社会的な要請が多様化する一方、食品業界にとって新たなソリューションとなりうる技術やテクノロジーの研究開発が世界各地で進んでおります。これらのソリューションを発掘し、事業化に繋げていくことによって、食品業界に携わる人々の生活をより豊かに、幸せにするという当社グループの経営理念を追求してまいります。
(8) 目標とすべき経営指標
当社グループは、「北米地域の事業のグループ内シェア」及び「ROWC(=Return on Working Capital)」を目標とすべき主要な経営指標としております。
「北米地域の事業のグループ内シェア」は、当社グループの事業基盤を支える北米地域における事業を伸ばしながらもその構成比率を引き下げること、言い換えると、北米以外の地域における事業で北米地域における事業を上回る成長を実現することにより、グループとしての成長を加速させることを目指しているものです。
北米以外の地域の事業構成比率(売上高ベース)は、欧州における事業規模拡大等により43.0%となりました。
「ROWC」は、大きな設備をあまり必要としない当社グループの事業効率の指標として採用しており、営業利益(Return)が運転資本(Working Capital)に占める割合になります。運転資本とは日々営業活動を継続するための資金で、(売上債権+棚卸資産-買入債務)で求められます。ROWCの算出には一般に前期末と当期末の平均が用いられます。
なお、2022年度の実績は、前期比プラス1.7ポイントの21.3%となりました。

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