有価証券報告書-第12期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 15:05
【資料】
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【項目】
63項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、高齢者施設・介護事業者とメーカー・卸業者・サービス事業者に、適切で効率的な情報マッチングが可能なプラットフォームを提供することで、介護業界を活性化し、豊かな超高齢社会を実現したいと考えております。
そのため、当社は「経営理念」を以下の通り定めております。
一.マッチングの満足度を最大化する
二.新しいサービスの創造で新しい市場を創造する
三.利益を伸ばし続けることがみんなの幸せになる
四.不正を行わず、誠実にビジネスを行う
五.変わらず生き続けるために変わり続ける
(2) 経営環境及び経営戦略
わが国の高齢化率は年々上昇し、当社が主に事業を行う介護業界においては、介護サービスの需要が拡大していることを背景に、介護事業者並びに各種サプライヤーの新規参入意欲は引き続き旺盛であるとみております。また、介護事業におけるM&A市場においては、オーナー社長の高齢化に伴う後継者問題や平成27年4月からの介護報酬改定に伴う介護報酬の引き下げ等の影響を背景としたM&Aによる事業承継への期待が高まっているとみられます。
このような環境下で、当社では、介護業界において新規参入や業容拡大を図る各種サプライヤーと、高齢者施設等の新設・修繕等を検討する介護事業者のマッチングをより一層促進すべく、現在東京・大阪・横浜にて開催している商談型展示会を、今後は他の都市圏にも展開することで、来場者の拡大を図っていく方針であります。また、商談型展示会において、各種サプライヤーと、来場者として集う介護事業者のアクティブバイヤーとの商談の活性化を図るために、商談型展示会を通じて得られたアクティブバイヤーと出展社である各種サプライヤーの情報をデータベース化し、業界特有の課題やニーズを収集・集約し、ニーズに応じたサービスの開発を行う予定であり、介護業界におけるマッチング・プラットフォームとしての役割を確立していく方針であります。
M&A仲介事業については、介護業界におけるM&Aによる事業承継ニーズにより一層応えるべく、広告宣伝活動の拡大、営業コンサルタントの拡充及び、データベースを活かしたマッチング精度の更なる向上による早期成約化を図ることで、M&Aによる事業承継の期待に応えていく方針であります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、主な経営指標として、企業の事業活動の成果を示す営業利益を重要な経営指標と考えております。
また、収益性判断の指標に営業利益率を掲げているほか、資本及び資産の効率性判断の指標に自己資本当期純利益率、財務の安定性判断の指標に自己資本比率を掲げ、バランスの取れた企業価値の継続的拡大を目指しております。
また、事業別には、商談型展示会事業については主な収入である出展料が出展小間数×小間単価となり、小間単価に大きな変動がないため、出展小間数(出展社に貸し出すために仕切られたスペースの単位)を重要な指標としており、M&A仲介事業については主な収入である仲介手数料が成約組数×手数料単価となり、手数料単価に大きな変動がないため、成約組数を重要な経営指標としております。
(4) 対処すべき課題
当社が対処すべき主な課題は以下の通りであります。
① サービスの継続的成長
当社は、商談型展示会をマッチング・プラットフォームとして捉え、商談型展示会の開催を通じて得られたアクティブバイヤーと各種サプライヤーの情報をデータベース化することで、介護事業者の開業準備からの開業、そして運営というライフサイクルの各段階に応じた設備投資、購買、コンサルティングといったサービスとのマッチングが可能となり、事業の拡大・事業運営の効率化を支援できるものと考えております。このマッチング・プラットフォームは、介護事業を経営・運営するアクティブバイヤー及び、介護事業者へサービス提供を行う各種サプライヤーによって支えられていると考えており、アクティブバイヤーや各種サプライヤーが求めるニーズに応えるための継続的なサービス拡充を課題と認識しております。
各事業において以下項目を対処すべき重要課題として、取り組んでおります。
a.商談型展示会事業
当事業においては、介護事業者とサプライヤーのマッチングの促進(商談型展示会における商談数及び商談密度の向上)が、商談型展示会事業における満足度の向上に繋がると考えており、更なるマッチングの促進を図ることが課題であると捉えております。現在は東京と大阪の2地域において商談型展示会「CareTEX」を開催しておりますが、サプライヤーの販路拡大等の期待に応えるためには、開催地域以外からの介護事業者の来場が課題と考えております。
この課題に対処すべく、これまで開催してきた東京と大阪の2つの地域以外にも、開催地域を増やしていく予定であり、福岡や埼玉といった地域で開催をしていく方針であります。この開催エリアの拡大による地理的広がりにより、新たな介護事業者とサプライヤーのマッチング機会を提供できるよう取り組んでいきたいと考えております。
b.M&A仲介事業
当事業においては、譲渡希望先、譲受希望先双方にとって事業及び会社の売買は重い決断であることから、双方のマッチング精度の更なる向上が課題であると捉えております。
この課題に対処すべく、より多くの選択肢の中から最適なマッチングが図れるよう、現在約3千件の介護事業譲受希望者リストの更なる拡充・整備を進めるとともに、M&Aコンサルタントの採用・育成を通して業務・サービスの品質を高めることで成約率の向上に努め、量と質の両面で双方のマッチング精度の更なる向上に取り組んでいきたいと考えております。
c.WEBマッチング事業
当事業においては、収益化に向けてサービス利用者にとって使い勝手の良い仕組みを早期に構築することが課題であると捉えております。
当事業においては、「CareTEXクラウド」及び「営業アポイント取得代行サービス」の運営をしており、「CareTEXクラウド」においては、サイト内の情報コンテンツ及び情報検索機能等の充実を図ることで、サービス利用者にとっての利便性の向上を目指すとともに、継続的に利用されるための新たなサービスの開発に取り組んでいく予定であります。
d.eコマース事業
当事業においては、介護需要の高まりと同時に、当社が運営する介護用品向けECサイトへのお客様のご要望も高まっており、より一層の顧客サービスの充実が課題となっております。
この課題に対応すべく、商品情報についてより正確かつ詳細な情報提供を行うとともに、テレフォンオペレーターのサービス品質の向上により、より適切な商品の購買・販売ができるECサイトの構築に取り組んでおります。
② 新技術への対応
当社が運営する情報マッチングサービス及びECサイトは、インターネット技術を利用しておりますが、消費者の利用環境や消費行動は著しく変化しており、新技術に適時に対応していくことが課題となっております。
この課題に対応すべく、ハードウェア並びにソフトウェアに関する様々なテクノロジーを積極的に取り入れ、業務オペレーションの効率化を図るとともに、売り手と買い手の最適なマッチングが図れるような新しいサービスの開発・提供に取り組んでおります。
③ 人材の確保・育成
当社では、今後のさらなる事業拡大を目指す上で、最重要となる経営資源は人的資源であると考えており、その確保が課題となっております。
この課題に対応すべく、中途採用活動を積極的に実施し、専門知識や経験を有する人員の確保に努めていくとともに、新卒採用で確保した人材の教育活動の強化に取り組んでおります。
なお、M&A仲介事業においては、M&Aや経営の専門知識を有し、経営者を相手に高いレベルの交渉ができる優秀な人員を獲得し、育成・維持していく方針であります。商談型展示会事業においては、業容拡大のために新規展を企画し、新分野へ提案型営業をできる人員を獲得し、育成・維持していく方針であります。
④ 経営管理体制と内部管理体制の強化
当社では、市場動向、競合企業の動向、顧客ニーズ、技術革新等の変化に対して速やかに対応できる組織を運営するための経営管理体制のさらなる強化が課題となっております。
この課題に対応すべく、社内外問わず積極的な意見交換、公正な人員評価、組織を横断したプロジェクトチーム作り等を通じて環境変化にいち早く対応できる経営管理体制の構築に取り組んでおります。また一方で、組織が健全かつ効率的に運営されるように、多様化するリスクを正しく把握し、対処しながら収益をあげていくとともに、コンプライアンスの強化を重視した内部管理体制の整備、強化にも取り組んでおります。