有価証券報告書-第13期(2021/11/01-2022/10/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、当社グループの直営店事業部門、プロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、ステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。当社グループでは「元気と笑顔と〇〇で、シアワセを届ける。」というミッションを従業員に与え、それぞれの立場、役割に応じて「〇〇」での部分を自ら考え、シアワセを届ける行動を促しております。
当社グループでは、直営店事業部門において、いつも美味いと言っていただける味の追求は勿論のこと、ご来店いただいたお客様に対して、エンターテイメント性や笑顔が溢れる店舗空間において、きめ細やかな気遣いを感じていただけるサービスを提供しております。また、プロデュース事業部門においては、当社グループに蓄積された繁盛店ノウハウをプロデュース店に惜しみなく注ぎ、常に美味しいラーメンが提供される地域で愛される店舗づくりに貢献しております。
当社グループにおける、このような取り組みを通して一人でも多くのお客様に数多く足を運んでいただき、お客様に満足していただくことで、当社グループとしての事業の拡大を図り、企業価値の向上につなげてまいりたいと考えております。
(2)経営環境
当連結会計年度(2021年11月1日から2022年10月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染力の強い変異型オミクロン株の出現によって過去最多の感染者数を記録したものの、政府、自治体はこれまで行ってきた緊急事態措置、まん延防止等重点措置等の感染予防措置を3月以降講じることはなく、感染症対策と経済運営の両立を目指しながら推移してまいりました。
国内景気は、新型コロナウイルス感染症にかかる各種規制が3月以降解除されたことにより、飲食業、サービス業に明るい兆しが見え始めましたが、石油、天然ガス等のエネルギー資源価格の高騰に急激に進んだ円安が拍車をかけ、貿易収支が大幅な赤字に転落したこともあり、企業収益に下押し圧力がかかる等、先行きに不安を残しております。こうした状況下、内閣府が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、GDPの過半を占める個人消費が新型コロナウイルス感染症の第7波などの影響で伸び悩んだことから、前期比0.3%減(年率換算1.2%減)と4四半期ぶりのマイナス成長に転じることとなりました。個人消費のみならず、企業活動に目を向ければ、製造業においては世界的な半導体供給の減少を受け、電子部品、デバイス等のメーカー並びに自動車メーカーが生産を減少させる等、下振れリスクが顕在化いたしました。
一方、政府は10月より入国管理における水際対策を大幅に緩和すべく、訪日外国人に対する入国者数上限を撤廃したことから、外国人旅行客の個人旅行での入国も解禁される状況に至りました。その結果、訪日外国人は、新型コロナウイルス感染症流行後、初めて20万人を上回ることとなりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年対比では依然として9割減の水準に留まっております。足元の円安進行が1人当たりの旅行消費額を増加させることから、今後も訪日外国人の増加が期待されるものの、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた中国では、ゼロコロナ政策によって現在も海外渡航が制限されており、訪日客が新型コロナウイルス感染症流行前の水準まで回復するには一定程度の期間を要する状況にあり、コロナ禍で経済的影響を受けている飲食、宿泊等の小売、サービス業者は、インバウンド需要から得られる経済効果を今なお取り込めない状況が続いております。
海外においては、2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴い、米国、ヨーロッパ各国がロシア産原油、天然ガス、石炭などの輸入禁止等の対ロシア制裁を打ち出したことから、侵攻前から高騰し始めていたエネルギー資源価格は依然として高止まりし、世界のサプライチェーンも大きな混乱を招く状況が続いております。
米国においては、米国商務省が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比年率2.6%増と、3期ぶりにプラスに転じることとなりました。これは、輸出増加に支えられて貿易赤字の大幅な縮小が全体を押し上げた結果でありましたが、GDPの多くを占める個人消費は、年初において堅調であったものの、足下では歴史的な高水準であるインフレに対し、強い警戒感が表れ、物価高を嫌気して軟調に推移しております。そうした中、米連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月に2年半ぶりにゼロ金利政策を解除し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.00~0.25%から0.25~0.50%に引き上げ、さらにその後も大幅な引き上げを繰り返しており、足下ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75~4.00%となる等、インフレ抑制に腐心し続けております。
また、中国においては、中国国家統計局が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比3.9%増(年率換算16.5%増)となりました。新型コロナウイルスへの感染対策で上海市などがロックダウン(都市封鎖)された影響で0.4%増と減速した4~6月期からは回復したものの、今年のGDP実質成長率の政府目標「5.5%前後」の達成が危ぶまれる状況に至っております。
こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、まん延防止等重点措置が全面解除された2022年3月以降、行動制限の緩和で人流が一時期回復したものの、感染力の高いオミクロン株BA.5系統による新型コロナウイルス感染症第7波の到来によって過去最多の感染者数となる等、人流増加は一進一退の状況が続いております。こうした状況においては、数年の最重要経営課題であった「人手不足解消」が一層クローズアップされており、特に夜間時間帯を主力営業時間とし、長時間滞在を前提とするような高級飲食業態、居酒屋業態等においては、営業時間短縮を進めることにより従業員の雇用確保が難しくなる等、事業継続と人材確保のバランスを保つための舵取りに苦慮する場面も散見されております。また、顧客獲得という点から見れば、円安が進行する為替環境において、政府が訪日外国人の入国制限を大幅に緩和させたにも関わらず、依然として訪日外国人は新型コロナウイルス感染症流行前とは比較にならず、インバウンド需要を取り込めない状況のまま推移しております。さらに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によって、ウクライナからウクライナ産小麦の輸出ができない状況を招いており、先行き不透明な状況で推移しております。このように、今後の外食産業を取り巻く環境は、人口減少社会と言われるわが国において、他産業との採用競争激化による適正人員数の採用難、食の安全性に対する消費者意識の高まり、食材価格の高騰、低価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。
こうした外食産業を取り巻く経営環境において当社グループは、2年間に及ぶコロナ禍の制約的な事業環境の中であっても利益を追求するという経営スタンスを貫き、極力、通常営業を継続してまいりました。当社グループのラーメン事業が店内滞在時間も短く、「ハレ消費」を前提とする飲食事業モデルではないことから、「日常食」という強みを生かしつつ、店内における各種感染症対策を万全に講じながら、新型コロナウイルス感染症が拡大する環境においても事業拡大の歩を一切緩めることなく、積極的な事業展開を進めてまいりました。当社グループは、こうした対応を機動的且つ適切に行うことにより、直営店事業、プロデュース事業のいずれにおいても新規出店を続ける等、安定的に事業を拡大してまいりました。また、お客様の持ち帰りニーズにも的確にお応えするべく、テイクアウト体制を速やかに構築するとともに、宅配(フードデリバリー)サービス、ECサイトでの商品販売等を本格展開してまいりました。さらに、現在BCPの観点から、製麺工場の供給体制を関東2カ所、関西1か所と分散配置してまいりましたが、2022年8月より新チャーシュー工場を本格稼働させ、製造能力を一気に3倍に引き上げるとともに、従前のチャーシュー工場をスープ工場に転換させ、本格的な生産活動を開始することとなりました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2025年10月期に国内1,000店舗体制を達成するべく2025年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、以下の施策を重要施策として認識し、更なる企業価値向上を目指してまいります。
① 既存店(※)売上の維持向上
外食産業は、個人消費の動向に影響を受けやすく、また参入が比較的に容易であることから、企業間競争は激化する傾向にあります。こうした状況下、当社グループは地域密着型の展開を進め、地元のお客様に長く愛され、記憶に残る商品を安定して提供し続けていくことが繁盛店維持の鍵であると考えております。主力の「町田商店」を中心に、品質の高い自家製麺や自家製チャーシュー等の供給体制を維持しつつ、絶え間ないタレやスープ等の味の見直し、並びに、店舗オペレーションの標準化及び単純化を推し進めることにより、収益を確保してまいります。今後も味は勿論のこと、エンターテイメント性に富んだ空間をお客様に提供できるよう社員教育を徹底、並びに、DX化を推進し、お客様満足度を高めていくことで、既存店売上高の維持向上を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)を達成してまいります。
※ 既存店は、開店から16ヶ月以上経過した店舗と定義しております。
② 新規出店の継続、出店エリアの拡大
当社グループは、主として「町田商店」を日本各地に出店し続けてまいりました。今後は新たな収益獲得を一層進めるべく、「町田商店」による出店が成功したエリアに、「豚山」「元祖油堂」など様々なジャンルのラーメンブランドによる出店を加速させることでラーメン市場における当社グループの占有率を高めてまいります。また、国内のラーメン市場がここ数年微増にとどまっていることから、事業拡大には海外進出は不可欠と考えております。新たな収益機会の獲得、並びに、ラーメン文化を海外へ浸透させるため、事業パートナーの模索、並びに、海外直営店の収益化を実現することによりグローバルパッケージの構築を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
③ プロデュース店舗数の拡大
当社グループは、直営店と同様の味やサービスをお客様に提供できるビジネスモデルとしてプロデュース事業を展開しております。当社グループの直営店事業部門にて展開する横浜家系ラーメン業態をプロデュースして欲しいというオーナー様のニーズを受け、今後も積極的に横浜家系ラーメン業態をプロデュースするとともに、それ以外のラーメン業態のプロデュースニーズにも対応してまいります。プロデュースされた店舗は当社グループから麺、タレ、スープ、チャーシュー等を安定供給されることにより、さらなる店舗展開を図ってまいります。また、当社グループは、全国に多くの出店余地を残す横浜家系ラーメン業態を中心に今後も積極的にプロデュース事業部門を拡大してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA、ROE、さらには店舗数目標を達成してまいります。
④ 内製化比率改善による採算性改善
当社グループのPB商品は、タレ、スープ等については大部分を生産委託する一方、麺やチャーシューについては大半を自社工場(平塚、横浜第一、丹波篠山、綾瀬の4工場)にて生産しております。なお、スープについては一部を自社工場(横浜第二工場)から供給できる体制を有しております。また、2021年10月期に新設した丹波篠山工場にて西日本向けの麺の生産を行う等、食材供給量を拡大するとともに、エリア別に安定した供給ができる体制を構築してまいりました。当社グループでは、今後も店舗で使用する食材の内製化を図り、一層のコストダウン(採算性改善)を実現してまいります。また、災害リスク等を念頭に置き、生産拠点を分散しつつ、多角的に生産体制を検討してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高営業利益率、ROA、ROEを達成してまいります。
⑤ 人材の確保、社員教育の徹底
コロナ禍以前の人材採用環境は、バブル期並み水準まで有効求人倍率が高まる等、求職者側にとって有利な状況にあり、求人側の企業は適正人員確保に苦戦を強いられておりましたが、コロナウイルスへの感染が拡大する中、外食産業全体で既存従業員の雇用継続が厳しい状況に至り、人材採用環境は一時的に改善いたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の第7波が到来する状況ではあるものの、まん延防止等重点措置が全面解除され行動制限が緩和され人材採用環境が悪化に転じました。こうした状況下、当社グループでは当社ビジネスモデルの優位性、事業成長性、並びに今後の海外展開等のアピールポイントを訴求するとともにダイバーシティを推進することで、正社員の適正数確保、並びに離職率の減少を図ってまいります。また、パート・アルバイトの戦力化を図るべく経営理念の共有、OJT教育を徹底的に実施し、人材の戦力化を図ることで事業拡大の体制を維持してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
⑥ 業態ミックス最適化による出店加速
当社グループは、既存業態である「町田商店」「がっとん」「四天王」「豚山」「長岡食堂」「元祖油堂」等に続き、さらに、本年度は「いと井」をローンチし、数多くのブランドを有することとなりました。
今後も、直営店及びプロデュース店の出店調整、出店エリアにおける同業他社との競合分析、並びに出店地域の顧客特性分析等、あらゆる角度から出店可否を総合的に検討することで、当社グループの有するラーメン業態の中から最適な業態を選択し、出店の成功確率を保ちつつ出店を加速してまいります。また、引き続き絶え間ない業態開発、商品開発、並びにM&Aによる売却案件の探索を続け、お客様に支持される新たな業態、商品を提供してまいります。これにより、当社が目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
⑦ インフレへの対応
当社グループは、インフレに対して、お客様に満足いただく品質を維持しつつも食材の見直し、並びに規模の経済を活かした一括仕入などによるコスト削減を図るとともに、コスト削減では吸収しきれない利益率の悪化に対しては商品価格に転嫁することで利益率を維持してまいりました。また、商品価格を引き上げる際には、一部店舗で先行して実施するなど、事前に収益に対する影響度合を測定分析することで、利益の最大化を追求してまいりました。インフレリスクは不透明な状況ですが、今後も引き続き、品質の高いラーメンを手頃な価格で提供できるように、インフレによるコストアップに注視しつつ、小まめな商品価格の見直しを慎重かつ機動的に実施して事業拡大を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA、ROE、さらには店舗数目標を達成してまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、持続的な成長の実現と収益基盤強化のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。なお、成長戦略を構成する新規出店等の投資につきましては、営業活動から生じるキャッシュフローと金融機関からの借入を中心とする財務活動から生じるキャッシュ・フローで賄える見込みであります。
① 商品の改善
店舗内での仕込作業及び包丁作業を軽減するために、店舗内仕込みの食材のPB化を図ってまいります。これにより、採用面での効果が期待でき、店舗運営を行うにあたっての適正人員数の確保してまいります。
② オペレーションの改善
お客様に安定した品質のラーメンを迅速に提供するために、出品数の分析によるメニューの選択と集中及び調理工程の共通化を図るなど、オペレーションを標準化・単純化いたします。また、営業時間外の開店準備並びに閉店作業時間を短縮することによりコスト削減を図ってまいります。これらにより、食材価格の高騰、低価格競争の激化に対応するべく収益基盤を強化してまいります。
③ 製造・物流の改善
食材の品質を向上させるために工場の稼働率を上げ、食材の製造から使用までのリードタイムを短くすることを図ってまいります。さらに、製麺3工場(平塚工場、横浜第一工場、丹波篠山工場)、チャーシュー工場(綾瀬工場)、スープ工場(横浜第二工場)で食材の内製化を進め、食材コストの削減を図ります。また、物流センターをさらに整備・運用し、食材の一括納品を促進、並びに欠品リスクを減少させることで、店舗における在庫管理を効率・短縮化させ、物流コストの最適化、並びに食材ロスの減少を図ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2025年10月期に国内1,000店舗体制を達成するべく2025年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、事業拡大並びに企業価値向上を目指し、成長性に収益性を加えて、投資収益性を重要な経営指標と位置付けております。
・売上高成長率 20%以上
・売上高営業利益率 10%以上
・ROA(総資産経常利益率) 15%以上
・ROE(自己資本当期純利益率) 15%以上
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「シアワセを、自分から。」という企業理念の下、当社グループの直営店事業部門、プロデュース事業部門のお客様はもとより、当社グループの従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関等、ステークホルダーの皆様にシアワセを届けてまいります。当社グループでは「元気と笑顔と〇〇で、シアワセを届ける。」というミッションを従業員に与え、それぞれの立場、役割に応じて「〇〇」での部分を自ら考え、シアワセを届ける行動を促しております。
当社グループでは、直営店事業部門において、いつも美味いと言っていただける味の追求は勿論のこと、ご来店いただいたお客様に対して、エンターテイメント性や笑顔が溢れる店舗空間において、きめ細やかな気遣いを感じていただけるサービスを提供しております。また、プロデュース事業部門においては、当社グループに蓄積された繁盛店ノウハウをプロデュース店に惜しみなく注ぎ、常に美味しいラーメンが提供される地域で愛される店舗づくりに貢献しております。
当社グループにおける、このような取り組みを通して一人でも多くのお客様に数多く足を運んでいただき、お客様に満足していただくことで、当社グループとしての事業の拡大を図り、企業価値の向上につなげてまいりたいと考えております。
(2)経営環境
当連結会計年度(2021年11月1日から2022年10月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染力の強い変異型オミクロン株の出現によって過去最多の感染者数を記録したものの、政府、自治体はこれまで行ってきた緊急事態措置、まん延防止等重点措置等の感染予防措置を3月以降講じることはなく、感染症対策と経済運営の両立を目指しながら推移してまいりました。
国内景気は、新型コロナウイルス感染症にかかる各種規制が3月以降解除されたことにより、飲食業、サービス業に明るい兆しが見え始めましたが、石油、天然ガス等のエネルギー資源価格の高騰に急激に進んだ円安が拍車をかけ、貿易収支が大幅な赤字に転落したこともあり、企業収益に下押し圧力がかかる等、先行きに不安を残しております。こうした状況下、内閣府が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、GDPの過半を占める個人消費が新型コロナウイルス感染症の第7波などの影響で伸び悩んだことから、前期比0.3%減(年率換算1.2%減)と4四半期ぶりのマイナス成長に転じることとなりました。個人消費のみならず、企業活動に目を向ければ、製造業においては世界的な半導体供給の減少を受け、電子部品、デバイス等のメーカー並びに自動車メーカーが生産を減少させる等、下振れリスクが顕在化いたしました。
一方、政府は10月より入国管理における水際対策を大幅に緩和すべく、訪日外国人に対する入国者数上限を撤廃したことから、外国人旅行客の個人旅行での入国も解禁される状況に至りました。その結果、訪日外国人は、新型コロナウイルス感染症流行後、初めて20万人を上回ることとなりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症流行前の2019年対比では依然として9割減の水準に留まっております。足元の円安進行が1人当たりの旅行消費額を増加させることから、今後も訪日外国人の増加が期待されるものの、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた中国では、ゼロコロナ政策によって現在も海外渡航が制限されており、訪日客が新型コロナウイルス感染症流行前の水準まで回復するには一定程度の期間を要する状況にあり、コロナ禍で経済的影響を受けている飲食、宿泊等の小売、サービス業者は、インバウンド需要から得られる経済効果を今なお取り込めない状況が続いております。
海外においては、2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻に伴い、米国、ヨーロッパ各国がロシア産原油、天然ガス、石炭などの輸入禁止等の対ロシア制裁を打ち出したことから、侵攻前から高騰し始めていたエネルギー資源価格は依然として高止まりし、世界のサプライチェーンも大きな混乱を招く状況が続いております。
米国においては、米国商務省が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比年率2.6%増と、3期ぶりにプラスに転じることとなりました。これは、輸出増加に支えられて貿易赤字の大幅な縮小が全体を押し上げた結果でありましたが、GDPの多くを占める個人消費は、年初において堅調であったものの、足下では歴史的な高水準であるインフレに対し、強い警戒感が表れ、物価高を嫌気して軟調に推移しております。そうした中、米連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月に2年半ぶりにゼロ金利政策を解除し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.00~0.25%から0.25~0.50%に引き上げ、さらにその後も大幅な引き上げを繰り返しており、足下ではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は3.75~4.00%となる等、インフレ抑制に腐心し続けております。
また、中国においては、中国国家統計局が発表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比3.9%増(年率換算16.5%増)となりました。新型コロナウイルスへの感染対策で上海市などがロックダウン(都市封鎖)された影響で0.4%増と減速した4~6月期からは回復したものの、今年のGDP実質成長率の政府目標「5.5%前後」の達成が危ぶまれる状況に至っております。
こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、まん延防止等重点措置が全面解除された2022年3月以降、行動制限の緩和で人流が一時期回復したものの、感染力の高いオミクロン株BA.5系統による新型コロナウイルス感染症第7波の到来によって過去最多の感染者数となる等、人流増加は一進一退の状況が続いております。こうした状況においては、数年の最重要経営課題であった「人手不足解消」が一層クローズアップされており、特に夜間時間帯を主力営業時間とし、長時間滞在を前提とするような高級飲食業態、居酒屋業態等においては、営業時間短縮を進めることにより従業員の雇用確保が難しくなる等、事業継続と人材確保のバランスを保つための舵取りに苦慮する場面も散見されております。また、顧客獲得という点から見れば、円安が進行する為替環境において、政府が訪日外国人の入国制限を大幅に緩和させたにも関わらず、依然として訪日外国人は新型コロナウイルス感染症流行前とは比較にならず、インバウンド需要を取り込めない状況のまま推移しております。さらに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によって、ウクライナからウクライナ産小麦の輸出ができない状況を招いており、先行き不透明な状況で推移しております。このように、今後の外食産業を取り巻く環境は、人口減少社会と言われるわが国において、他産業との採用競争激化による適正人員数の採用難、食の安全性に対する消費者意識の高まり、食材価格の高騰、低価格競争の激化等により、今後も厳しい状況が継続するものと想定されます。
こうした外食産業を取り巻く経営環境において当社グループは、2年間に及ぶコロナ禍の制約的な事業環境の中であっても利益を追求するという経営スタンスを貫き、極力、通常営業を継続してまいりました。当社グループのラーメン事業が店内滞在時間も短く、「ハレ消費」を前提とする飲食事業モデルではないことから、「日常食」という強みを生かしつつ、店内における各種感染症対策を万全に講じながら、新型コロナウイルス感染症が拡大する環境においても事業拡大の歩を一切緩めることなく、積極的な事業展開を進めてまいりました。当社グループは、こうした対応を機動的且つ適切に行うことにより、直営店事業、プロデュース事業のいずれにおいても新規出店を続ける等、安定的に事業を拡大してまいりました。また、お客様の持ち帰りニーズにも的確にお応えするべく、テイクアウト体制を速やかに構築するとともに、宅配(フードデリバリー)サービス、ECサイトでの商品販売等を本格展開してまいりました。さらに、現在BCPの観点から、製麺工場の供給体制を関東2カ所、関西1か所と分散配置してまいりましたが、2022年8月より新チャーシュー工場を本格稼働させ、製造能力を一気に3倍に引き上げるとともに、従前のチャーシュー工場をスープ工場に転換させ、本格的な生産活動を開始することとなりました。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2025年10月期に国内1,000店舗体制を達成するべく2025年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、以下の施策を重要施策として認識し、更なる企業価値向上を目指してまいります。
① 既存店(※)売上の維持向上
外食産業は、個人消費の動向に影響を受けやすく、また参入が比較的に容易であることから、企業間競争は激化する傾向にあります。こうした状況下、当社グループは地域密着型の展開を進め、地元のお客様に長く愛され、記憶に残る商品を安定して提供し続けていくことが繁盛店維持の鍵であると考えております。主力の「町田商店」を中心に、品質の高い自家製麺や自家製チャーシュー等の供給体制を維持しつつ、絶え間ないタレやスープ等の味の見直し、並びに、店舗オペレーションの標準化及び単純化を推し進めることにより、収益を確保してまいります。今後も味は勿論のこと、エンターテイメント性に富んだ空間をお客様に提供できるよう社員教育を徹底、並びに、DX化を推進し、お客様満足度を高めていくことで、既存店売上高の維持向上を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)を達成してまいります。
※ 既存店は、開店から16ヶ月以上経過した店舗と定義しております。
② 新規出店の継続、出店エリアの拡大
当社グループは、主として「町田商店」を日本各地に出店し続けてまいりました。今後は新たな収益獲得を一層進めるべく、「町田商店」による出店が成功したエリアに、「豚山」「元祖油堂」など様々なジャンルのラーメンブランドによる出店を加速させることでラーメン市場における当社グループの占有率を高めてまいります。また、国内のラーメン市場がここ数年微増にとどまっていることから、事業拡大には海外進出は不可欠と考えております。新たな収益機会の獲得、並びに、ラーメン文化を海外へ浸透させるため、事業パートナーの模索、並びに、海外直営店の収益化を実現することによりグローバルパッケージの構築を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
③ プロデュース店舗数の拡大
当社グループは、直営店と同様の味やサービスをお客様に提供できるビジネスモデルとしてプロデュース事業を展開しております。当社グループの直営店事業部門にて展開する横浜家系ラーメン業態をプロデュースして欲しいというオーナー様のニーズを受け、今後も積極的に横浜家系ラーメン業態をプロデュースするとともに、それ以外のラーメン業態のプロデュースニーズにも対応してまいります。プロデュースされた店舗は当社グループから麺、タレ、スープ、チャーシュー等を安定供給されることにより、さらなる店舗展開を図ってまいります。また、当社グループは、全国に多くの出店余地を残す横浜家系ラーメン業態を中心に今後も積極的にプロデュース事業部門を拡大してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA、ROE、さらには店舗数目標を達成してまいります。
④ 内製化比率改善による採算性改善
当社グループのPB商品は、タレ、スープ等については大部分を生産委託する一方、麺やチャーシューについては大半を自社工場(平塚、横浜第一、丹波篠山、綾瀬の4工場)にて生産しております。なお、スープについては一部を自社工場(横浜第二工場)から供給できる体制を有しております。また、2021年10月期に新設した丹波篠山工場にて西日本向けの麺の生産を行う等、食材供給量を拡大するとともに、エリア別に安定した供給ができる体制を構築してまいりました。当社グループでは、今後も店舗で使用する食材の内製化を図り、一層のコストダウン(採算性改善)を実現してまいります。また、災害リスク等を念頭に置き、生産拠点を分散しつつ、多角的に生産体制を検討してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高営業利益率、ROA、ROEを達成してまいります。
⑤ 人材の確保、社員教育の徹底
コロナ禍以前の人材採用環境は、バブル期並み水準まで有効求人倍率が高まる等、求職者側にとって有利な状況にあり、求人側の企業は適正人員確保に苦戦を強いられておりましたが、コロナウイルスへの感染が拡大する中、外食産業全体で既存従業員の雇用継続が厳しい状況に至り、人材採用環境は一時的に改善いたしました。しかし、新型コロナウイルス感染症の第7波が到来する状況ではあるものの、まん延防止等重点措置が全面解除され行動制限が緩和され人材採用環境が悪化に転じました。こうした状況下、当社グループでは当社ビジネスモデルの優位性、事業成長性、並びに今後の海外展開等のアピールポイントを訴求するとともにダイバーシティを推進することで、正社員の適正数確保、並びに離職率の減少を図ってまいります。また、パート・アルバイトの戦力化を図るべく経営理念の共有、OJT教育を徹底的に実施し、人材の戦力化を図ることで事業拡大の体制を維持してまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
⑥ 業態ミックス最適化による出店加速
当社グループは、既存業態である「町田商店」「がっとん」「四天王」「豚山」「長岡食堂」「元祖油堂」等に続き、さらに、本年度は「いと井」をローンチし、数多くのブランドを有することとなりました。
今後も、直営店及びプロデュース店の出店調整、出店エリアにおける同業他社との競合分析、並びに出店地域の顧客特性分析等、あらゆる角度から出店可否を総合的に検討することで、当社グループの有するラーメン業態の中から最適な業態を選択し、出店の成功確率を保ちつつ出店を加速してまいります。また、引き続き絶え間ない業態開発、商品開発、並びにM&Aによる売却案件の探索を続け、お客様に支持される新たな業態、商品を提供してまいります。これにより、当社が目標として掲げる売上高成長率、店舗数目標を達成してまいります。
⑦ インフレへの対応
当社グループは、インフレに対して、お客様に満足いただく品質を維持しつつも食材の見直し、並びに規模の経済を活かした一括仕入などによるコスト削減を図るとともに、コスト削減では吸収しきれない利益率の悪化に対しては商品価格に転嫁することで利益率を維持してまいりました。また、商品価格を引き上げる際には、一部店舗で先行して実施するなど、事前に収益に対する影響度合を測定分析することで、利益の最大化を追求してまいりました。インフレリスクは不透明な状況ですが、今後も引き続き、品質の高いラーメンを手頃な価格で提供できるように、インフレによるコストアップに注視しつつ、小まめな商品価格の見直しを慎重かつ機動的に実施して事業拡大を図ってまいります。これらにより、当社グループが目標として掲げる売上高成長率、売上高営業利益率、ROA、ROE、さらには店舗数目標を達成してまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、持続的な成長の実現と収益基盤強化のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。なお、成長戦略を構成する新規出店等の投資につきましては、営業活動から生じるキャッシュフローと金融機関からの借入を中心とする財務活動から生じるキャッシュ・フローで賄える見込みであります。
① 商品の改善
店舗内での仕込作業及び包丁作業を軽減するために、店舗内仕込みの食材のPB化を図ってまいります。これにより、採用面での効果が期待でき、店舗運営を行うにあたっての適正人員数の確保してまいります。
② オペレーションの改善
お客様に安定した品質のラーメンを迅速に提供するために、出品数の分析によるメニューの選択と集中及び調理工程の共通化を図るなど、オペレーションを標準化・単純化いたします。また、営業時間外の開店準備並びに閉店作業時間を短縮することによりコスト削減を図ってまいります。これらにより、食材価格の高騰、低価格競争の激化に対応するべく収益基盤を強化してまいります。
③ 製造・物流の改善
食材の品質を向上させるために工場の稼働率を上げ、食材の製造から使用までのリードタイムを短くすることを図ってまいります。さらに、製麺3工場(平塚工場、横浜第一工場、丹波篠山工場)、チャーシュー工場(綾瀬工場)、スープ工場(横浜第二工場)で食材の内製化を進め、食材コストの削減を図ります。また、物流センターをさらに整備・運用し、食材の一括納品を促進、並びに欠品リスクを減少させることで、店舗における在庫管理を効率・短縮化させ、物流コストの最適化、並びに食材ロスの減少を図ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2025年10月期に国内1,000店舗体制を達成するべく2025年10月期を最終年度とした中期経営計画を策定し、事業拡大並びに企業価値向上を目指し、成長性に収益性を加えて、投資収益性を重要な経営指標と位置付けております。
・売上高成長率 20%以上
・売上高営業利益率 10%以上
・ROA(総資産経常利益率) 15%以上
・ROE(自己資本当期純利益率) 15%以上