訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/28 9:49
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
いい住まいの提供を通じ、人々の暮らしを良くすることが当社グループの存在意義であると考え、お客様、パートナーの皆様、取引先の皆様、そして従業員、当社グループに関わる全ての人々に「GOOD LIFE(いい人生)」を送って頂きたいという想いから、「GOOD LIFE」を経営理念として定めております。
お客様である入居者様の満足度を高めることは入居率の向上につながり、結果としてパートナーであるオーナー様の満足度向上にもつながります。そのためには、当社グループ自身が賃貸マンション経営のプロフェッショナルにならなければならないと考え、平成20年6月に一級建築士事務所登録、同年8月に宅地建物取引業免許を取得、平成24年には特定建設業許可を取得し、自社で賃貸マンションの用地仕入、企画、設計、施工(監理)、賃貸仲介、賃貸管理、売却までワンストップで行える体制としました。
また、平成26年12月に福岡支社を開設、平成29年12月には福岡へ本社移転を行っており、現在は福岡、熊本の2拠点体制として事業拡大を進めているところです。
当社グループの安定的かつ持続的な成長には、入居者様及びオーナー様満足度の向上に努め、賃貸マンションの用地仕入、企画、設計、施工(監理)、売却を行う「アセットマネジメント事業」によるフロー収益と、賃貸仲介、賃貸管理を行う「プロパティマネジメント事業」による安定的なストック収益を継続的に確保していき、長期的には売上高経常利益率の向上を重視して経営に取り組んで参ります。
(2) 経営環境
当社グループが属する不動産業界は、住宅ローンの減税や、低金利、2020年東京オリンピックへの期待感が購買意欲を駆り立てる上で好材料となっており、業界の売上高は、平成25年の消費税増税前の駆け込み需要の反動により平成26年はやや落ち込みをみせたものの、その後3年連続増加で推移しております。
不動産投資業界においては、金融機関の平成29年度の不動産業向け貸出残高は一段と増加しております。不動産バブル及びその崩壊を警戒する風潮も一部では見受けられますが、基本的には実需に裏付けされたもので、過熱状況には至っていないと認識しております。
これまでは、金融機関の不動産業に対する融資姿勢が前向きであったため、マンションデベロッパーは新規案件を手がけて業績を伸ばしやすい環境にありましたが、今後は金融庁が不動産向け融資残高に関心を高めている背景もあり、金融機関の融資姿勢が変化する可能性があります。
また、足もとのマンション販売戸数の推移が不安視されているなか、税制優遇措置の打ち切りや、消費税10%への再増税が控えており、このまま回復基調が続くとは言い切れない状況であることは否めません。
不動産賃貸業界においては、賃貸マンション(民営借家・共同住宅(非木造))に居住する世帯は、昭和63年は334万世帯(全世帯の約9%)でしたが、平成25年には約3.0倍の996万世帯(全世帯の約19%)まで増加しております(注)。
また、入居世帯は、平成6年から平成10年をピークに減少傾向に転じており、平成21年から平成25年にはピーク時の約77%の水準まで減少しております。賃貸マンション(民営借家(共同住宅))の入居世帯数も平成6年から平成10年をピークに減少傾向にはありますが、賃貸マンションに入居する世帯の割合は増加しております(注)。
住宅戸数の変化を見ますと、借家全体は増加基調にはありますが、そのなかでも賃貸マンション(公営含む)は全住宅戸数の増加率を上回っており、借家のうち賃貸マンション(公営含む)が占める割合も約6割から約7割にまで増加しております(注)。
賃貸住宅需要にマイナス影響を与える持ち家率は、40歳代において低下傾向となっていることからも、不動産賃貸業界へのニーズは旺盛とは言えませんが、今後も主要都心部等においては一定のニーズが強くあるものと考えております。
(注)総務省「住宅・土地統計調査」(5年ごと)より。
(3)対処すべき課題
当社グループでは、安定的かつ持続的な成長へ向けて、以下の経営課題に取り組んで参ります。
① ブランド力の強化及び知名度の向上
当社グループの福岡、熊本における認知度については徐々に高まりつつあると感じておりますが、今後事業エリアを拡大していく上で、ブランド力の強化と知名度の向上は、仕入、販売活動や採用活動においても成果のための源泉となる部分でもありますので、今後はマーケティング戦略の強化やPR活動の強化を図っていく必要があると考えております。
② ITによる集客方法の強化及びオーナー様向けプラットフォームの開発
当社グループでは、パートナーとなるオーナー様の獲得について、これまで既存オーナー様からのご紹介によることが多くの割合を占めておりました。しかしながら、今後事業規模を拡大していく上で、より多くのパートナーを獲得していくためには、ITの活用は不可欠であると考えております。
現在、サービスサイトのリニューアルを予定しており、「アパートタイプ」、「ミドルタイプ」といった商品ラインナップの充実をアピールすることにより、潜在的なオーナー候補者の拡充を図っていくこととしております。
また、オーナー様がいつでもスマートフォンやタブレット端末等を通じて、自身の保有物件の状況や、収支状況を確認できる等のオーナー様向けのプラットフォームの開発も進めて参りたいと考えております。
③ 人材の確保と育成強化
当社グループでは、今後の事業の発展及び業容拡大のために、不動産の用地仕入、企画、設計、施工(監理)、賃貸仲介、賃貸管理、売却及び内部管理等のすべての事業組織において、優秀な人材の確保及び定着が必要なものと認識しております。
オーナー様に対して、不動産関連知識に加え、不動産経営に関する金融・法務・税務等広範囲に及ぶ高いコンサルティング能力が不可欠となって参ります。有能な社員の確保とともに、適材適所の人材配置と教育体制の充実により能力の向上に努めて参ります。多様な人材の確保と育成には、業務の高度化、権限委譲による従業員の満足度の向上が必須です。効果的かつ効率的な内部統制の再構築と内部管理部門の強化と併せて取り組んで参ります。
④ 用地情報の強化
当社グループでは、用地情報の大半を不動産会社等の情報提供者から入手しておりますが、今後の継続的な成長を図るためにも更なる情報ルートが必要不可欠であります。そのため、既存情報提供者との良好な取引関係を維持するとともに、情報ルートの多様化、強化に努め、優良な情報の確保を進める方針であります。
⑤ 賃貸管理サービスの品質向上
当社グループでは、「プロパティマネジメント事業」として、マンション引渡後の賃貸管理サービスを提供しており、オーナー様と入居者様の満足度を重視した高品質のサービスを提供することを基本姿勢としております。
そのため、賃貸管理サービスの品質をより一層高めるとともに、周辺サービスの開発・発展に努めることにより、さらなる成長を目指して参ります。
⑥ コンプライアンスの徹底
当社グループでは、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業免許及び特定建設業許可を取得しており、各種法規制等の下に事業展開しております。法令遵守は企業存続の基本であり、前提であることから、関係諸法令を遵守することは当然のことであるとの認識で事業活動を行っております。しかしながら、当社は、創業以降平成25年6月までの間、事業費総額の融資(フルローン)を希望するオーナー様に対して、総事業費における借入比率を高め、自己資金割合を抑えるため、金融機関に実態と異なる契約書を提出することについての助言や関与を継続的に行っていた状況にありました。これは、当時の経営陣の認識が不十分であったことに起因するものですが、内部監査人等による過去の契約書の精査等の結果、平成25年7月以降の案件においては、かかる不適切な助言等は一切行っておらず、事業活動における適法性は確保されております。また、事後対応として、かかる不適切な助言等に起因する融資残高のある金融機関及びオーナー様に対して説明を行っており、今後、これに関連して当社に損失が生じる見込みはないと考えております。
当社グループでは、今後も、全社的にコンプライアンスを徹底することが必要であると考えており、経営陣のコンプライアンスに対する認識強化に加え、独立役員の牽制機能の強化(独立役員全員が出席する会議体の運営)、全社員を対象にした定期的な研修等を実施して参ります。
⑦ エリア展開
当社グループは、現在福岡、熊本エリアで事業を行っておりますが、今後は、主要政令指定都市を中心に、当社サービスを提供していくため、エリア展開を行って参ります。
⑧ 商品ラインナップの拡充
当社グループは、現在、個人富裕層向けに投資用新築一棟賃貸マンションを主体とした事業を行っております。今後は顧客層の拡大及びより最適な資産運用を展開するために、投資用新築一棟賃貸マンション以外の収益用不動産の取扱いも検討して参ります。