有価証券報告書-第27期(2023/12/01-2024/11/30)

【提出】
2025/02/25 11:39
【資料】
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【項目】
140項目
<当社グループが認識する気候変動がもたらすリスクと機会の例>
項目内容財務影響期間
移行機会環境負荷の小さいリノベーション技術の進展環境負荷の低い建材、キッチン等水回り備品の導入により、リノベーションマンションの省エネ化が進み、新たな商品として当社グループの事業拡大の機会となる。中~長期
移行機会新築と比較して環境負荷の低いリノベーションマンションの認知向上新築マンションの供給減少が続く中、新築マンション建設と比較したリノベーションマンションの環境負荷の小ささがお客様により一層認知され、お客様の購入の選択肢としての検討機会が増加する。また当社グループの市場シェア拡大の機会となる。中~長期
移行リスク炭素税の導入温室効果ガスの排出量に基づく課税である、いわゆる炭素税が導入され、リノベーション資材等の調達価格、社用車燃料価格、電気料金等のコスト増加が想定される。中~長期
移行リスクリノベーション資材の環境性能向上による調達コスト増加環境負荷の小さな資材の開発が進み、技術が一般に普及するにつれ、各資材への価格転嫁が想定される。環境性能の高い資材の普及は移行機会である半面、リノベーションコスト増加による収益圧迫要因となる。中~長期
物理リスク自然災害の増加及び激甚化豪雨や台風等による事業活動の遅延が予想され、物件購入の戸数減少や、リノベーション工期の長期化、販売期間の増加による、ランニングコスト増加の要因となりうる。
間接的には、災害対策に関わる法規制の改正や、ハザードマップの規制拡大による、保有物件の評価額減少の要因にもなり得る。
中~長期
物理リスク酷暑による健康被害の増大(熱中症等)社員の業務効率低下や労働災害発生による、収益圧迫が予想される。中~長期
物理リスク寒冬による光熱費の増大事務所等での暖房使用による光熱費の増大が予想される。間接的には、暖房使用による電気使用量や温室効果ガス排出量の増加により、いわゆる炭素税によるコスト増加要因となる可能性がある。中~長期

当社グループの認識する、気候変動がもたらすリスクのうち、実質的な財務上または戦略上の影響を与える可能性があると特定されたもの、その詳細は、次のとおりです。
◆特定リスクの種類:炭素税の導入
地球温暖化に伴い、日中の最高気温の上昇や異常気象が世界的に報告されており、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、地球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑えることが、社会の目標とされています。その実現へ向けた手段のひとつとして、炭素税の導入が各国で議論されています。当社グループにおいても、気候変動や、対策に向けての様々な取組は戦略上・また財務上の影響を与えるものと捉え、リスク分析を行いました。IEA World Energy Outlook 2024は、2050年までに少なくとも38,250円/tCO2の炭素税を予測しています。現在、2024年11月期時点で当社グループの排出量は92.3tCO2であるため、同量の排出量で試算した場合、3.5百万円の租税負担の増加が見込まれます。これは、当社グループにおいて、重大な財務上のリスクであると認識しました。
こうしたリスクを回避しつつ、脱炭素社会の実現に向けて、当社グループは排出量削減に向けた取組を推進いたします。当社グループにおいて、排出量の大部分を占めるScope2においては、オフィス利用における省エネの推進、リノベーション工事の際の再生可能エネルギー利用の推進を行ってまいります。また、Scope1においても、社用車の台数削減やEV社への切り替えを推進し、削減目標の達成に努めてまいります。

◆特定リスクの種類:資材調達コスト高騰
昨今の世界的な気候変動等の予期せぬ出来事は原材料の高騰、エネルギー価格の上昇などを招き、企業の調達活動に深刻な影響を与えております。重要な物的資源(木材やステンレス等)の調達可能性の変動の結果、売上原価が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。一方で、気候変動による出来事は、環境配慮商品の開発を早め、環境負荷の小さな資材及び、技術の普及に寄与する一面もあります。よって、環境性能の高い資材の普及は移行機会であると同時に、各資材への価格転嫁がなされた場合、リノベーションコスト増加による収益圧迫要因となる可能性があります。また、当社事業活動と密接に関わるリノベーション業務に関して、石油価格の変動や人件費の高騰は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、「第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティに関する考え方及び取組 ②リスク管理」と同様であります。