有価証券報告書-第19期(2022/01/01-2022/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションのもと、人生の大半を過ごすことになる「働く」という時間において、ただ生活の糧を得るためだけではなく、1人でも多くの人がより楽しく、自由な創造性を存分に発揮できる社会を実現することを目指し、仕事の効率化や新しく創造的な働き方を実現する製品やサービスの開発・提供に取り組んでおります。
こうした経営方針のもと、現在は主力サービスであるビジネスチャットツール「Chatwork」の普及とこれに関連するサービスの提供により、国内企業を中心とした顧客企業の働き方の変化への対応や労働生産性の向上に貢献してまいります。具体的な販売普及戦略としましては、当社ビジネスチャットの強みである社内外がシームレスにつながるオープンプラットフォーム性と、無料からはじめられるフリーミアムの特性により、紹介と自然流入を増やすことで無料ユーザーの拡大を目指します。従来より行ってきましたサービス品質の向上及び連携サービスの充実による無料ユーザーの有料化に加えまして、カスタマーサクセスによる初期活用支援を強化し、課金ID数、ARPUの拡大を目指します。
また、業界特有の顧客課題に対し、専門チームが共に解決するコミュニケーションプロセスの構築に取り組んでおります。業界ごとの業務プロセスや課題を研究し、ビジネスチャットの活用方法の型化や業務支援を行うことで、より質の高い提案とプロダクト機能強化を実現させ、ユーザーの更なる拡大を目指します。
ビジネスチャットツールのユーザー拡大と同時に、プラットフォーム価値の向上を目指しております。自社開発だけでなくアライアンスやM&Aを活用し、経営支援に資する様々なソリューションを取り揃え、当社顧客のあらゆる業務を巻き取りDXを推進する事業を展開することを目指していきたいと考えております。これらの施策を通じてChatworkセグメントの高い成長を実現してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの主力事業であるChatworkセグメントの収益の源泉は課金IDからの利用料です。そのため、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、課金ID数であると考えております。当該ID数の成長やその他付加サービスの拡大及び単価向上施策を推進することで、中期経営計画(2021年12月期~2024年12月期)におけるChatworkセグメントの年平均売上成長率については、40%を目指していきたいと考えております。
(3)経営環境
国内経済環境といたしましては、生産年齢人口減少に伴う労働力不足が問題視される一方で、政府主導により時間外労働時間の上限引き下げ等の労働法規の改正といった働き方改革が推進される中、労働生産性の向上に向けたソリューションへの期待が高まっているものと認識しております。また、新型コロナウイルスの影響で在宅ワークが一気に普及し、ニューノーマルとも呼ばれる働き方の根本的な変化が発生しています。現在ビジネスチャットの普及率は18.1%(当社依頼による第三者機関調べ)ですが、今後も大きく普及が広まるものと考えられます。こうした環境を踏まえると、当社の「Chatwork」の認知度拡大に伴い当サービスへの需要はこれまでよりも早いスピードで拡大していくものと期待しております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
上記の経営方針・経営目標等を推進する上で、当社グループとして捉えている対処すべき主要課題は以下のとおりです。
① ユーザビリティの更なる向上
当社グループの主要サービス「Chatwork」が今後も継続的な成長を果たしていくためには、より幅広い業種・業態の顧客に支持されるとともに、継続的に選ばれる必要があると考えております。そのためには、当該サービスの優位性となっているユーザビリティの維持向上が不可欠であると認識しております。今後とも顧客のニーズの変化を迅速に把握し、継続的なユーザー・インターフェースの改善や製品機能強化により、競合他社との差別化を図ってまいります。
② 顧客基盤の拡大
労働生産性向上に対する社会的要請並びに新型コロナウイルスの影響による在宅ワーク需要の高まりに伴い、ビジネスチャットツールは国内企業において導入に対する期待が急速に高まっているものと認識しております。
自然流入と顧客ユーザーからの紹介による無料ユーザー(フリーミアムユーザー)の獲得を中心としており、サービス品質の向上により拡大を図ってまいります。また、業界ごとの深い理解を元にした提案活動を行い、既に展開している士業や介護、建設等の業種ごとの人脈やネットワークを活用した営業アプローチの推進を拡大、推進してまいります。
また、ビジネスチャットツールは世界的に利用が普及しつつあります。当社では、「Chatwork」にかかる日本語を含む4か国語への多言語対応を行っており、将来の収益獲得の布石としてフリープランによる顧客獲得等を中心としたテストマーケティングを実施しております。
③ マーケティング活動
ビジネスチャットツールの国内における導入期待が急速に高まり、今後も普及が大きく進むものと考えております。当社グループの人員、サポート体制の整備に伴い、今後適切な販促活動を行うことが、中長期の事業成長のために必要と判断し、マーケティング費用の投入を行う予定です。なお、マーケティング費用に関しましてはこれまで同様、費用対効果を見極めながら、適宜コントロールしてまいります。
④ サービスの付加価値向上
当社グループが競争優位性を確保しながら持続的に成長するためには、前述のユーザビリティ向上に加えて、サービスの提供する付加価値を高め、高い継続率を確保することが重要であると認識しております。当社グループは、付加価値向上のため、経営資源サポート領域やデータ活用といったプラットフォームサービスにおける新たな提供サービスの開発・展開を推進し、「Chatwork」のビジネスインフラとしての価値向上に努めるとともに、収益基盤を強化してまいります。
⑤ セキュリティの継続的な向上
当社の提供するビジネスチャットツールは、ビジネスコミュニケーションの根幹となるインフラ機能であるため、継続利用の前提としてセキュリティの確保は必要不可欠であります。当社では、自社による監視体制のみならず、外部業者による脆弱性の確認を継続的に実施し、必要な対策をとることでセキュリティの向上に努めております。当該対策には終わりはないと認識しており、今後も継続してセキュリティ向上に向けた対応を行ってまいります。
⑥ 優秀な人材の確保と育成
当社グループが持続的に成長するためには、優秀な人材を数多く確保・育成することが重要であると認識しております。特にサービス利便性及び機能の向上のためには、優秀なエンジニアの継続的な採用が課題であると認識しております。
当社は、従業員の多様な働き方を推進することで求職者への提供価値を高め、採用力を強化するとともに、既存人材の能力及び技術の向上のため、教育・研修体制の充実化を進めていく方針であります。
⑦ 内部管理体制の強化
当社の提供する「Chatwork」サービスは、顧客ビジネスのインフラとなり得る機能であり、当該サービスの普及・利用にあたっては顧客企業よりインフラ提供会社である当社への信頼が獲得できるかが重要な点であると考えております。そのため当社では個人情報管理体制をはじめ、アクセス制限等のシステム統制、当社自身の内部統制体制の強化等を継続して検討・推進していくことで、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実を図り、顧客からの信頼を獲得できるよう努めてまいります。
(5)サステナビリティに関する取り組み
当社は、「働くをもっと楽しく、創造的に」というミッションのもと、人生の多くを費やす「働く」という時間を、生活の糧を得るという基本的な目的に留まらず、一人でも多くの方が夢や志の実現にむけて創造性を発揮し楽しみながら働けるような社会の実現に貢献したいと考えております。
理念の実現にむけて、当社グループが中長期的に取り組むべき財務・非財務両面から見た重要課題を検討し、取締役会での承認を経て「ミッション・ビジョンの実現にむけた11の重要課題」を特定しました。
このマテリアリティは、大きく「事業を通じた価値創造に関わる課題」「価値創造基盤の強化に関わる課題」「地球規模の社会課題解決に関わる課題」の3カテゴリからなり、優れた価値創造基盤づくりを進めることで、当社にしか提供できない価値を創造し、それにより理念の実現とサステナブルな社会への貢献を目指すものです。この重要課題に取り組むことが、当社グループの持続的成長と長期的な企業価値向上につながると考えています。詳細については、当社コーポレートサイトにあるサステナビリティページをご覧ください。
| カテゴリ | 重要課題 | 2030年のゴールにむけたアクション・KPI |
| 事業を通じた社会価値の創造 | DXを通した中小企業の労働生産性向上 | 当社ビジネスプラットフォームを利用する日本の中小企業数:100万社以上 ※当社のビジネスプラットフォームとは、ChatworkおよびChatworkの利用を基盤として提供されるDXソリューションに関わるサービス群を指す。 |
| 楽しく創造的に活躍できる人材の創出 | 1. クレドアンバサダーによるバリューの啓蒙活動 2. エンゲージメントサーベイの実施 (2023年度にエンゲージメントサーベイを実施した上で、エンゲージメントの状況を測定するKPIを今後設定予定) | |
| 価値創造基盤の強化に関わる課題 | ビジネスインフラとして信頼いただける品質の確保 | 1. 提供するITサービスのシステム稼働率: 99.5%以上を継続達成 2. プロダクト開発に関わる組織力の強化 (ア) 開発と運用が一体化した組織を構築 (イ) 品質保証専門チームの設置と開発プロセスでの品質作り込み強化 (ウ) 教育、研修に関してのプログラム整備と投資 |
| 高度な情報セキュリティとプライバシーの保護 | 1. CEO管掌の元、情報セキュリティに関わる社会情勢や事業戦略に対応したセキュリティ戦略を立案し、全社横断的なセキュリティマネジメントを強化 2. セキュリティ機能を監視する独立した監査体制の整備・運用 3. 国際セキュリティ認証SOC2の認証取得・運用 4. 重大セキュリティインシデント: 0件 ※SOC2...米国公認会計士協会(AICPA)が開発したサイバーセキュリティ・コンプライアンス・フレームワーク(Service Organization Control Type 2) | |
| 企業価値向上を牽引するコーポレートガバナンスの実現 | 1. 取締役会の多様性の確保(取締役会が獲得すべき機能の明確化、スキルマトリックスの開示など) 2. 監督機能等の強化(独立社外取締役:過半数以上、監督と執行の分離強化、内部監査室の設置、取締役会の実効性評価、役員報酬開示の強化) 3. サステナビリティ課題への対応と情報開示についての監督強化(サステナビリティ委員会の設置、ESG情報開示) | |
| 全てのステークホルダーに誠実な企業活動の推進 | 1. コンプライアンス問題発生件数: 0件/年(対象:連結) 2. 内部通報件数(件/年、モニタリング指標、対象:連結) 3. コンプライアンス研修受講率: 100%の継続(対象:連結) | |
| 理念実現にむけたサステナビリティ・マネジメントの推進 | 1. 各本部と連携したサステナビリティマネジメント基盤の整備(最高サステナビリティ責任者の配置、マテリアリティの特定、ゴール・KPIの設定、ESG情報開示など) 2. サステナビリティ・ESG基礎研修の実施 3. 入社時研修「Chatworkのサステナビリティへの取組み」の実施 | |
| 信頼いただけるブランドの実現とエンゲージメント強化 | 1.コーポレートブランドの認知・評価についてのサーベイ実施 (2023年度にサーベイを実施した上で、測定するKPIを今後設定予定) | |
| 新たな価値創造を実現するダイバーシティ・マネジメント | 1. D&I研修受講率: 100%維持(対象:連結) 2. 従業員意識調査「私たちの組織は、多様な属性・価値観を持つ人材を受け入れ、組織力につなげていると思う」等への肯定的回答率:90% 3. 男女別の育休取得率: 男性 100%、女性 100% | |
| 地球規模の社会課題解決への貢献 | 国際的に認められた人権の尊重を基盤としたビジネスの推進 | 1.人権研修受講率: 2024年までに100%(対象:連結) |
| 気候変動の防止とエネルギー・マネジメント | 1. Chatworkグループの事業活動で排出するCO2排出量(スコープ1+2)をネットゼロにする(t-CO2) 2. Chatworkグループの事業活動で使用する電力(スコープ2)を100%再生可能エネルギー由来にする ※スコープ3は今後検討し、公開予定 |