有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/05/21 15:00
【資料】
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【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「地域のくらしを、かしこく、たのしく」というビジョンの下、地域情報に関するサービスの提供を通じて、ユーザー利便性の向上を目指しております。主たる事業でありますチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」では折込チラシを中心とした日々の買い物情報をパソコンやスマートフォンで簡単に閲覧できる仕組みを創ることで、ユーザーの利便性を高め、また小売企業などの顧客の経営の効率化を支援する事業を展開しております。
(2) 経営戦略等
当社は、「サービス開発力」と「顧客サポート力」の特性を生かしたチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」、また、地域の観光協会や自治体との連携による地域のよりみち情報サービス「ロコナビ」を提供しております。
① ユーザー利便性の向上によるサービス利用者数の拡大
[買物しようと思った時、一番最初に思い浮かぶサービスとして、サイトの情報の充実や検索性の向上など、専門サービスとして進化させる]
・情報の網羅性及び充実度の向上
・サービス利用体験の改善(検索性の向上など)
② サービス利用店舗数及び有料契約店舗数の増加
[小売領域での横展開に加え、サービス業などの新たな領域にも展開させる]
・生活者ニーズの高いサービス業などの非小売業態への対応
・新たな領域ごとに特化した機能付加
③ 「トクバイ」での収益構造の強化
[オンラインでの「チラシ・販促」による課金に加え、クーポンや予約などの課金対象の範囲を拡大させ、店舗あたり収益の向上を図る]
・価値実感を高める施策の強化(管理機能、効果調査、コスト削減など)
・主要小売業態や専門小売業態における大手企業への提案強化
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を重視しており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、サービス月間利用ユーザー数及び有料契約店舗数の拡大が挙げられます。現在、当社の中期経営計画の基本方針においては、2022年3月期のサービス月間利用ユーザー数2,400万ユーザー以上、有料契約店舗数37,000店舗以上到達をKPIとして目標設定しております。
なお、本KPIの目標数値につきましては、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではございません。
(4) 経営環境
当社が事業展開する小売業界において、経済産業省発表の「商業動態統計月報」では2020年2月の商業販売高は34兆8,460億円となっております。また、株式会社電通が発表する「2019年日本の広告費」によれば、2019年のインターネット広告費は2兆1,048億円、前年比19.7%増と6年連続で2桁成長を維持する一方、折込広告費は3,599億円(前年比91.0%)と減少傾向が続いております。今後、折込広告費はインターネット広告市場への取り込みが進むことも想定されております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① ブランドの知名度向上
当社が事業領域とする小売業界、具体的には、食品スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の有料契約店舗数の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの知名度向上が重要な課題であると認識しております。サービス利用店舗数の増加に伴って利用者数も拡大したこと等により、知名度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なる知名度の向上が不可欠と考えております。
この課題に対処するため、サービスの利便性向上やサイト構築等を積極的に行うことにより、利用者向けサービスを強化し続けることで「トクバイ」の利用者の満足度向上に努めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社は、小売業界を顧客としたインターネットメディア事業を主な収益源としております。当社が安定的な成長を続けていくためには、インターネットメディア事業での実績を積み上げ、顧客からの信頼に基づく受注のリピートを促し、収益基盤を強化していくことが課題と認識しております。
この課題に対処するため、高度なインターネット技術やサービス開発力を駆使し、マーケティング業務の効率化などの顧客の要望に応えた新機能や新サービスの開発を行っております。これらの新機能・新サービスの価値に応じた収益源の多様化を図ってまいります。
③ 新規事業の強化
当社は、新規事業として地域のよりみち情報サービス「ロコナビ」の運営を開始しておりますが、2019年3月期における総売上高に占める当該サービスの売上割合は1%未満と事業規模が小さく、投資段階であると認識しており、当社が地域情報専門サービスを目指す上で新規事業を強化していくことが課題と認識しております。
この課題に対処していくため、地域の観光協会や自治体との連携による掲載情報の拡大、サービスの利便性向上によるユーザー数の拡大などにより地域情報領域のサービス強化を図ってまいります。その結果としてローカル広告の掲載などの新たな収益機会の獲得が可能になると考えております。さらに小売企業の販売促進に関する業務効率化の支援やIT活用支援、自治体支援といった取り組みも進めていきたいと考えております。
④ 組織体制の整備
当社は、少数精鋭のもとで効率的な組織運営に努めてまいりましたが、今後の成長のためには要員拡充と組織体制の整備が重要な課題であると認識しております。しかし、必要な人材をタイムリーに確保するのは困難な場合があります。
当社の事業は「トクバイ」を収益基盤としており、その利便性と実装機能の向上のためにはサービス構築を担う有能な技術者の採用が当社の成長には欠かせない課題であると認識しております。また併せて、業容の拡大に伴って顧客提案力の強化も図っていく必要があります。
これらの課題に対処するため、求める人材に応じて、採用方法の柔軟化を図ることで、事業規模や必要な人材に応じた採用をタイムリーに行い、着実に組織体制の整備を図ってまいります。