有価証券報告書-第19期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 15:30
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114項目

有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
企業理念『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』
当社は、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針としております。
この企業理念を実現するため、当社は会社設立時よりBNCTの実用化に取り組んでおり、がん患者へ新たな医療の選択肢を提供することを、経営の基本方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、新規医薬品の上市を目指して研究開発を先行して行う、いわゆるバイオベンチャー企業であり、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得いたしました。また同年5月からステボロニン®の販売を開始しております。
当面の経営上の目標は、新たな医療としてBNCTの認知度を向上させることによる上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴い事業基盤を確立させることであります。そこでBNCTの実施症例数の伸長に基づく月次売上高(ステボロニン®の受注数量)を上記目標の達成状況を判断するための主要な経営指標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、国内では適応疾患の拡大を図り、さらに米国、欧州及びアジアを中心にグローバルに事業を展開し、新たながん治療の選択肢として各国にステボロニン®を提供することを中長期の経営戦略としております。
適応拡大については、未だ有効な標準的治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ、いわゆる「アンメットメディカルニーズ」の分野での適応拡大を目指し、CSRの観点からも社会に貢献していく方針であります。
また、海外展開においては、グローバルの製薬企業等をはじめとしたパートナー企業との連携を深め、海外案件の早期実現を目指してまいります。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が属する製薬業界は、国内市場が横ばいで推移する一方、がん患者数は緩やかな増加傾向にあり、医療費の増加とともに今後も一定の市場規模を維持することが予測されます。
また、海外では、世界人口の増加や高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模での気候変動等の環境変化、それらに伴う疾病構造及びヘルスケアニーズの変化など、製薬業界を取り巻く外部環境は急速に変化しておりますが、当社が属するがん治療分野においては、新薬承認及びオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の増加等により、米国をはじめとした主要市場での成長が見込まれております。
がん治療分野においては、新薬の研究開発が活発に行われており、潜在的な競合相手に先行するためには、開発から承認に至るまでの計画を迅速に進める必要があります。
このような経営環境の下、当社は、2024年度よりスタートした「中期経営計画2027」において「BNCT医薬品の世界でフロントランナーであり続ける」を目指す姿として掲げ、世界で初めてBNCT医薬品の薬事承認を取得した企業としてBNCTを広く普及させるため、以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。
① 適応疾患の拡大
当社は、2020年3月に、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌を効能・効果として、ステボロニン®の製造販売承認を取得いたしました。これに続く適応拡大として、2026年3月に厚生労働省に再発髄膜腫及び血管肉腫の製造販売承認事項の一部変更申請を行いました。再発髄膜腫については、ランダム化比較試験として実施された国内第Ⅱ相試験において主要評価項目である無増悪生存期間で統計学的に有意な改善が認められ、血管肉腫については国内第Ⅱ相試験において主要評価項目を達成し、有効性及び安全性が示されました。いずれも希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査の対象として早期承認を目指しております。
胸部悪性腫瘍については、国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院、住友重機械工業株式会社(以下、「住友重機械工業」という。)及び株式会社CICS(以下、「CICS」という。)と共同で、標準治療の実施が困難かつ切除不能な再発の胸部固形悪性腫瘍を対象とする国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を進めております。本治験は、BNCTとして世界初となる胸部に発生する複数のがんを対象とする治験であり、複数の胸部がんを一つの枠組みで評価することにより、個別に治験を実施する場合と比較して開発期間の短縮が期待されます。加えて、BNCT施行前に[18F]FBPA-PET検査による適否判定を組み込むことで、患者様ごとに最適な治療選択につながる可能性があるものと考えております。
当該治験の対象疾患の一つである食道がんについては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)の令和8年度「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、切除不能な進行再発食道がんを対象とするBNCT用ホウ素医薬品の開発支援を受けることとなりました。食道がんは、既承認疾患である頭頸部がんと腫瘍生物学的特徴に類似性が認められることから、胸部悪性腫瘍領域における重要な適応拡大テーマとして開発を推進しております。
再発悪性神経膠腫については、学校法人大阪医科薬科大学及び住友重機械工業と、再発膠芽腫患者を対象としたBNCTのランダム化比較試験として設計された国内第Ⅲ相臨床試験に係る契約を締結し、医師主導治験に協力する体制を整備しております。本治験は2026年春の開始を予定しており、当社は、本治験を踏まえて承認申請を目指す方針であります。初発膠芽腫についても、国立大学法人筑波大学(以下、「筑波大学」という。)が実施する第Ⅰ相医師主導治験への協力を通じて開発を進めております。
当社は、これらの疾患の患者様にBNCTという新たな治療の選択肢を一日でも早くお届けできるよう、早期の承認取得を目指して取り組んでまいります。
② 海外展開の推進
当社は、日本で承認を得た製剤を米国、欧州及びアジアに早期に供給し、BNCT市場を拡大することで、がん治療における新たな選択肢を世界に広げていきたいと考えております
欧米展開については、2024年11月に米国バイオテクノロジー企業TAE LIFE SCIENCES US, LLCと、欧米における臨床試験の実施を含む共同開発及び商業化に関する基本合意契約を締結いたしました。今後、開発対象地域及び対象疾患を順次拡大し、中長期的な事業成長につなげてまいります。
また、中国展開については、海南島医療特区の鵬博(海南)BNCTセンターにおいて、2026年3月に頭頸部癌を対象としたBNCTの治療が開始されました。当社が供給するBNCT用ホウ素医薬品ステボロニン®と、住友重機械工業のBNCT治療システムを組み合わせた治療が中国で実施されたことは、海外におけるBNCTの社会実装に向けた重要な進展であると認識しております。
今後は、海南島医療特区における治療実績及び実臨床データの蓄積を通じて、中国本土での承認申請に向けた基盤整備を進めるとともに、日本国内で開発中の適応疾患についても海外展開を視野に入れ、欧州及びアジアにおけるBNCTの普及と事業拡大に取り組んでまいります。
③ 新規パイプラインの拡充
医薬品事業においては、開発パイプラインの充実が中長期的な成長に重要であることから、新規パイプラインの拡充を重要課題と認識しております。
当社は、従来のBNCTでは治療対象が比較的浅い部位の腫瘍に限定されていたことを踏まえ、より深部のがんへの適応拡大を目指した研究開発を進めております。その一環として、学校法人藤田学園 藤田医科大学における研究開発拠点の整備が進められており、住友重機械工業と学校法人藤田学園 藤田医科大学との間で、2026年1月に深部がん治療の研究開発を目的としたBNCT治療システム及びBNCT線量計算プログラムの導入に関する契約が締結されております。
当社は、これまで蓄積した医薬品研究開発の知見を活用し、関係先と連携しながら、FBPA-PET評価、非臨床試験及び臨床試験等を通じて深部がん治療の実現に向けた取り組みを推進し、新たなパイプラインの創出につなげてまいります。
④ 財務体質の強化
当社は、事業拡大フェーズへの移行に向け、成長投資を本格化していく方針であり、これに伴い研究開発費及び事業基盤構築に係る投資は段階的に拡大する見込みです。持続的な事業運営基盤の確立に向けて、損益への影響を勘案しつつ、十分な流動性及び資本バッファーを確保していく必要があります。
当社の事業は、開発パイプラインの収益化まで研究開発費が先行するため、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが生じる可能性があります。また、医薬品の安定供給責任を果たすための在庫確保や、海外展開に伴う供給体制整備にも継続的な資金需要があります。
このような状況のもと、当社は、2022年12月に発行した第4回新株予約権の行使完了後、資金使途の見直しを行うとともに、2025年2月にはシンジケートローン契約を締結いたしました。さらに2026年3月には、成長投資及び事業基盤整備に必要な資本を確保するため、株式及び新株予約権発行プログラムを導入いたしました。本プログラムは、単なる短期的な資金補填を目的とするものではなく、複数の成長施策を同時並行で推進するため、必要なタイミングで段階的に資金を確保する資本政策として位置付けております。
当社は、引き続き研究開発活動及び投資計画を適切にコントロールしつつ、資本性資金と負債性資金のバランスを意識した財務運営を進め、成長投資を支える安定的な財務基盤の強化に努めてまいります。
⑤ 優秀な人材の確保及び育成
当社は、事業の持続的成長及び中長期的な企業価値向上のためには、各分野における専門的知識及び経験を有する優秀な人材の確保及び育成が重要であると認識しております。
今後、適応疾患の拡大、海外展開、製造・供給体制の強化等を推進していくにあたり、研究開発、薬事、品質保証、製造、事業開発及び管理部門等において、必要な専門人材の確保を進めるとともに、事業規模の拡大に応じた組織体制の整備を図ってまいります。
また、各従業員の能力向上を図るため、導入教育及び継続教育を含む各種研修を実施し、専門性の向上と次世代人材の育成に取り組んでまいります。今後も、優秀な人材の確保と育成を通じて組織力を高め、持続的な成長を支える経営基盤の強化に努めてまいります。
⑥ 安定供給の維持・確保
当社は、治療を必要とする患者様のもとに高品質な医薬品を確実かつ安定的に供給することが、医薬品メーカーとして極めて重要な使命であると認識しております。このため、厳格な基準に基づく製造管理及び品質管理を徹底し、品質の維持向上と安定供給の確保に努めております。
また、需要予測の精査や適正在庫の確保に加え、原材料については代替調達が困難なものもあることから、災害その他の不測の事態に備え、長期保管が可能な中間体等の形で一定期間の販売に対応可能な在庫を確保してまいりました。
2025年9月に発生した主要な製造委託先の準自己破産に伴い、当社は新たな製造委託先への生産移管が必要な状況となっております。現在、新たな製造委託先に対して技術移管及び製造所変更に必要な対応を進めており、試作品を用いた評価、商業プラントでの製造試作、プロセスバリデーション及び安定性試験等の実施を経て、製造所変更に係る承認手続を進めることで、翌事業年度中の本格的な製造開始を目指し、安定供給体制の再構築を最優先課題として取り組んでおります。
加えて、今後の海外展開や販売地域の拡大に対応するためには、国内供給にとどまらず、各国のレギュレーションに適合した製造、梱包、保管及び輸送体制の整備、並びに複数の製造拠点の確保を含む供給体制の強化が重要であると認識しております。当社は、こうした観点から、海外展開及び安定供給体制構築のための製造開発を着実に推進し、国内外において継続的かつ安定的に製品を供給できる体制の整備に努めてまいります。

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