有価証券報告書-第16期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/29 15:00
【資料】
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【項目】
129項目

事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ドラフト)並びに連結子会社であるD-RAWRITE INC.及びD-RAWRITE d.o.o. Beogradにより構成されております。
(1) 事業の内容
当社グループは、「ALL HAPPY BY DESIGN」を経営理念としております。
「ALL HAPPY BY DESIGN」は、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、これによって社会に貢献することを意図しており、HX(ヒューマン・エクスペリエンス)(注1)を向上させる空間の創造を通じて、この経営理念の実現を目指しております。
いわゆるアフターコロナの世になり、社会のあらゆる場所に存在する「空間」のあり方は多様化を加速させております。これは、単に空間が多様化しているのではなく、その空間での過ごし方の多様化も伴うものであり、空間を作るということではなく、その空間に集う人たちの行動や心情、そしてその結果をトータルで想像しながらデザインの力で具現化していくことの意義が高まっていることを意味していると考えます。オフィスのデザインからスタートした当社グループの事業領域は、創業から16年を経て、ディスプレイデザイン、建築デザイン、プロダクトデザイン、ブランドデザイン、オフィスデザインなど広範囲に拡大してまいりました。
当社グループの事業はインテリア・建築を中心としたデザインであり、クライアントの課題の解決をデザインの力で実現することを目指しております。
グループ従業員の大半が所属するデザインチームは分業体制となっており、コミュニケーション、デザイン、プロジェクトマネジメント(注2)等のスペシャリストがチームを組んでクライアントに向き合います。
事業は主として企業向けの B to B事業であり、クライアントの課題に応じて調査・コンサルティング・企画・デザイン・設計からコンストラクションマネジメント(注3)までを一貫して行います。都市計画や大規模商業施設のデザイン・ディスプレイのような長期大型案件の場合は、企画・デザイン・設計が中心業務となります。施工は外注しており、施工を実施する場合の当社グループの業務は外注先のマネジメントとなります。施工のみを受注することはありません。
2022年5月に設立した「山下泰樹建築デザイン研究所」は、既存のデザインチームから独立した社内組織として当社グループのデザインを牽引しております。先端的デザインの開発や話題となるランドマークのデザインに取り組んでおり、この活動で得た知見・ノウハウやブランド力を通常業務のプロジェクトへ反映することで、一層の事業拡大を目指します。
プロダクトデザインの分野では、ライフスタイルブランドであるDAFT about DRAFT、オフィス家具ブランドである201°(にひゃくいちど)を立ち上げ、ハイクラスの家具・インテリア小物の企画・販売を企業向け・個人向けに実施しております。家具・インテリア小物は当社グループが行うデザイン・設計にふさわしいものを自ら開発・選定しておりますので、外部向けに販売するだけでなく、B to B事業のディスプレイに取り入れることで内製化率の向上を進めております。
この他、クライアントの課題に外部とのコミュニケーションが含まれる場合には、ブランドデザインチームが対応にあたります。例えば、オフィス移転やリデザインを機に企業ブランドの再構築を行う場合には、当社グループにおいて一貫したブランディングサービスを提供することが可能です。
また、連結子会社であるD-RAWRITE INC.はフィリピンにおいて、D-RAWRITE d.o.o. Beogradはセルビアにおいて、当社が発注する3Dイメージパース(注4)等の製作を行っております。クライアント企業へのプレゼンテーション等で使用する3Dイメージパースの製作には高い質が要求され、また、多大な時間を要します。これを優秀なエンジニアが多数存在するフィリピン及びセルビアで内製することにより、ノウハウ・スキルの蓄積による品質の向上、業務の効率化及びコスト削減を実現しております。
なお、当社グループはデザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(事業系統図)

<デザインの事例>
(2) 事業の特色
当社グループは、主要事業領域であるディスプレイデザイン、建築デザイン等のプロジェクトをレギュラープロジェクト(受注型案件)、プロポーザルプロジェクト(提案型案件)、リーディングプロジェクト(新領域への挑戦案件)の3つに分類し、異なるプロジェクトの相乗効果によって収益基盤の強化と新たな領域への拡大を進めております。レギュラープロジェクトは業績の基盤を形成するもので、これまで当社グループが実施してきたオフィス、ビル、商業施設等におけるディスプレイデザイン、建築デザイン等の受注型業務が中心となります。リーディングプロジェクトは当社グループのブランド構築に資する先端的なアイデアによる新しい分野への取り組みで、社内組織である「山下泰樹建築デザイン研究所」が牽引する領域です。プロポーザルプロジェクトは両者の中間に位置し、従来型の業務と先端的取り組みの橋渡しとなるプロジェクトを指します。リーディングプロジェクトの取り組みが先進的な提案型事業として実現し、さらに一般のクライアント対応業務に反映して次の収益基盤となっていく(レギュラープロジェクト化)、といった相互連携による事業の拡大を目指しております。
例えば、当社グループが取り組んでいる「臨港パークプロジェクト(仮称)」(注5)は、既存の公園のリデザインにより新しい価値を創出するという先進的な取り組みです。当社グループの提案企画が実現することで、新しいエリアマネジメントという事業パッケージが生まれます。このモデルを全国に展開することで、継続的事業とすることが可能となります。
このように高いクリエイティビティを背景としたデザインを基軸として、様々な領域で新たな事業を創出することに当社グループの事業の特色があります。
<臨港パークプロジェクト(仮称)>
※ 用語解説
(注) 1.当社グループでは、その空間にいる人々の心地よい体験や満足感を表現する言葉としてヒューマン・エクスペリエンスを使用しております。
2.プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの全体計画を立案し、コスト・資源・時間を総合的に管理してプロジェクトを完了へ導くコントロールを指します。
3.コンストラクションマネジメントとは、プロジェクトの全体計画に従い、主にコスト及び外注管理を行って事故なく、計画どおりにプロジェクトを完了させるコントロールを指します。
4.3Dイメージパースとは、図面をもとに作成する建物の外観や室内の完成予想画像で、クライアントと完成イメージを共有する上で非常に重要なツールです。当社グループでは、連結子会社であるD-RAWRITE INC.及びD-RAWRITE d.o.o.Beogradにおいて、質の高い立体的な3Dイメージパースを製作しております。
5.「臨港パークプロジェクト(仮称)」は、横浜市臨港地区の活性化を目的とした取り組みで、複合施設のデザイン・設計及び建設、並びに複合施設を含むエリア全体の運営を企画・実施する予定です。