有価証券報告書-第10期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
ミッション :働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。
サービスポリシー:「寄り添うように」 お客さまのこころの声を感じ、そのご要望に丁寧に応えるサービス
「慈しむように」 愛情と敬意に満ち、優しく包み込むようなサービス
「信頼に足るように」 他に換えることのできない確かなサービス
「妥協しないように」 果てしなき質の向上に挑み続けるサービス
当社グループは上記のミッションの下、創業以来、35年以上前から働く女性の支援を続けてまいりました。
昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、当社グループの経営方針及び提供するサービスが社会において重要な価値をもたらすものである事を改めて認識しております。
そこで、当社グループでは、2020年11月に株式会社日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、当社グループの社会課題解決に向けた対応状況を第三者の目から客観的に評価いただくとともに、今後の(経済的価値のみならず社会的価値を含めた)企業価値向上の契機としております。
また、SDGsは当社のミッションにも通ずる目標であると考えており、当社グループの提供するサービスにより、以下のそれぞれの目標達成に貢献してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、第2創業期の新経営体制のもと、事業規模の拡大にとどまらず、企業価値を創造する「利益成長」と「資本効率の規律」を両立させることを経営の重要課題と位置付けております。
そのため、目標とする経営指標として、利益成長を示す「営業利益」に加え、資本効率を評価する「ROIC(投下資本利益率)」及び「ROE(自己資本利益率)」を重視して経営しております。さらに、株主還元の指標として、「配当性向(40%目途)」に加え、短期的な利益変動に左右されず配当の予見性を高めるため、「DOE(株主資本配当率)」を設定しております。
(3)経営環境
日本では、少子高齢化に伴い労働者不足の加速化が予想されるとともに、産業構造の変化により多様な人財を活用していくことが必要不可欠となったことから、女性の活躍促進が一層求められております。
安倍政権が「女性が輝く社会」政策を打ち出した2013年時点で2,411万人だった女性の雇用者数は、以降拡大を続け、2025年には2,879万人(前年比49万人増)まで、約1.2倍に増加しております。(注1)
(注1) 総務省「労働力調査(2026年1月30日)」
一方で、少子化が想定を上回る速度で進行しております。出生数は過去最低の更新が見込まれ、生産年齢人口の減少に伴う「人手不足」は全産業共通の深刻な課題となりました。こうした中、社会全体で限られた人的資源を最大限に活用するための「働き方改革」は、もはや努力義務ではなく、企業の存続に不可欠な経営戦略へと変貌しております。
政府が「2030年までが少子化反転のラストチャンス」と掲げる中、2025年4月より「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されました。これにより、子どもが3歳になるまでのテレワーク導入の努力義務化など、柔軟な働き方が強く求められ、両立支援は新たなフェーズに突入しております。あわせて、児童手当の拡充など子育て世帯への直接支援も加速しています。
当社グループは、このような劇的な社会変容を、最高水準のエデュケアサービスを世に問う好機と捉えております。2025年4月の改正育児・介護休業法の施行を経て、企業における従業員の「仕事と家庭の両立支援」は、今や経営における最優先事項の一つとなりました。「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」という不変のミッションを軸に、当社はこうした社会の変化に即応してまいりました。
具体的には、ナニー・ベビーシッターサービスの徹底した質的向上を図るとともに、需要が急増したベビーシッター領域を中心に供給体制を大幅に拡充いたしました。あわせて、企業の人事部門が抱える課題に深く寄り添うべく、育児・介護コンサルティングの取り組みを強化し、組織全体の両立支援体制を強力に後押ししております。また、折しも「団塊の世代」の全員が70代後半を迎えたことで、当社が長年強みとしてきた自費介護サービスへのニーズも、いよいよ本格的な高まりを見せています。保育・学童施設運営を強固な基盤として、乳幼児へのエデュケアから高齢者へのシニアケアまで、多様化する働く女性のライフスタイルに寄り添う「フルラインの支援体制」をさらに強固なものとしてまいります。
①ファミリーケア事業
チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのナニーやベビーシッターの存在感が高まっております。高市政権によるベビーシッターや家事支援サービスの利用料の税額控除導入の検討や、東京都によるベビーシッター利用支援事業(一時預かり)の23区全域での事業採択及び病児保育の検証事業スタートなどの政策強化が重なる2026年は、まさに『ベビーシッター元年』となることが見込まれます。
さらに、シルバーケアサービス領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が全員75歳以上となりターゲット層が引き続き膨らむこと、さらに高市政権により示された、介護保険サービス基盤強化と並行しての「保険外サービスの普及促進」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が、より一層加速することが見込まれます。
ナニーサービスにつきましては、高付加価値サービスとして高い利益率を維持しつつ、高い品質と多様なニーズへの対応力を活かして、顧客単価向上と継続期間長期化を推進してまいります。
ベビーシッターサービスにつきましては、顧客・働き手の自然流入増が継続する中、政策強化などを背景とした、引き続き旺盛な需要に対応するため、第3の採用拠点開設を核としてさらなるベビーシッター採用・研修強化を図ってまいります。併せて、ベビーシッター分野で売上高トップ(注2)の地位を揺るぎないものものとするため、品質管理及びリスク管理のさらなる体制強化にも取り組んでまいります。
シルバーケアサービスにつきましては、営業管理体制の高度化やコーディネーター増強により運営体制を一段と強固にすると共に、ケアスタッフの待遇改善やDXによる採用・稼働促進を通じて、サービス供給力の強化を進めてまいります。
(注2)公表されているベビーシッター業界の統計数値がありませんので、当社独自の推計比較によるものです。
②エデュケア事業
保育所における待機児童問題は概ね解消し、その主たる課題が量的不足への対応から質的向上や、「こども誰でも通園制度」や付加的サービスのような多様なニーズへの対応へと移行しております。一方で、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万6,330人(前年比 1,356人減)と依然として高止まりしており、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっております。
2026年12月期については、子育て世帯の流入を伴う住宅開発に伴う保育所開設2施設を含め、合計11施設の開設が決定しております(認可保育所2施設、認証保育所(運営再開)1施設、学童クラブ・児童館8施設)。また、閉園はポートフォリオ管理適正化の観点からの能動的なクローズを含む10施設(小規模認可1施設、事業所内保育所3施設、学童クラブ・児童館5施設、その他1施設)を予定しております。
③プロフェッショナル事業
2025年12月期においてオンライン研修の浸透を背景とした広域展開が奏功し、主要な大型案件の再獲得を含め、自治体保育研修におけるシェアをさらに拡大いたしました。2026年12月期は、高い市場シェアを維持・防衛するための施策を徹底し、安定的な収益基盤を堅持いたします。自治体向けビジネスにおいては、例年継続的なコスト効率化が求められる傾向にありますが、当社は運営ノウハウの蓄積による付加価値の向上でこれに対応してまいります。
加えて、保育研修で培った講師ネットワークと運営知見を活かし、ニーズが拡大している学童保育領域での研修受注を強化するほか、育児・介護コンサルティング等の民需向けサービスの拡大に注力し、収益源の多角化を推進いたします。なお、民需向けコンサルティング事業の強化に際しては、将来の持続的成長に向けた人財確保・育成などの体制整備を先行して進めてまいります。
(4)経営戦略の基本方針
当社グループでは、ミッションの貫徹、及び今後の成長を目指して以下の3点を経営戦略の基本方針として事業を進めております。

①働く女性のサポート(ライフステージに応じた切れ目のないサービスラインナップ)
当社グループは、ナニーサービスにより事業を開始して以降、ミッションである『働く女性の支援』を具体的なサービスに落とし込み、ワンオペ育児・お受験・小1の壁、親の介護など、働く女性のライフイベントにおいて直面する離職の危機に対して、子育て・介護・家事支援・不妊予防(妊活)・ペットケアまで、一貫して女性の生涯をサポートするソリューションを提供しております。

②クオリティ(最高水準のエデュケアと介護サービスの品質維持向上)
当社グループは、ミッションとして「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」を掲げており、常に最高水準のサービスをお客様に提供することを意識し、これまで様々な施策を実行してまいりました。その結果として、あらゆる場面で評価を頂いてまいりました。
当社グループの具体的な品質維持向上施策は以下のとおりであります。
・1999年に育児・介護サービス業界では全国初となる国際品質規格ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その過程で品質目標設定・実行・評価・改善というPDCAサイクルによる品質マネジメント体制が整備され、顧客満足度の視点からサービス品質の向上を実現する事に繋がりました。その結果、2024年度に実施した当社グループの保育施設のご利用者による満足度アンケートでは、全施設平均で98.2%の方から満足との評価をいただき、また6割の方から大変満足との評価をいただきました。
・当社グループでは、お客様の緊急性・利便性・安心感にお応えするナニーサービスを提供するため以下4点の実現を心掛けております。
A) ICT(PC/スマホ)を活用した24時間365日対応の実現
B) 当日オーダー100%に応える最適なナニーとのマッチング
C) コーディネーターによる入会訪問
D) お子様が病気の時でも対応
・運営施設数が増加する状況でも、優秀な人財の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進により、保育士、ナニー及びベビーシッター、介護スタッフ、家事支援スタッフの質の維持・向上を図っております。具体的な施策としては、ジョブディスクリプションによる各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を行っております。
上記諸施策の結果、2016年6月には、約30年、働く女性の支援のために高品質のナニーサービスを提供し続けてきた功績が認められ、第一回日本サービス大賞(注3)厚生労働大臣賞を受賞いたしました。
また、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)は、2017年12月、日経DUAL「マッチング型ベビーシッターサービス」ランキングにおいて「質・信頼性」や「料金」等が評価され、1位に選ばれました。2018年にはキッズデザイン賞(子ども達を産み育てやすいデザイン部門)を受賞しました。
子どもたちにとっての創造的な空間づくり(環境設定の質)等が評価され、2020年にはポピンズナーサリースクール恵比寿南、2021年にはポピンズナーサリースクール代々木上原がキッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞、2022年にはポピンズナーサリースクール阿佐ヶ谷が、キッズデザイン賞(同部門)及びグッドデザイン賞をダブル受賞いたしました。さらに、2023年にはポピンズナーサリースクール上大崎及びポピンズナーサリースクール軽井沢風越の2園がグッドデザイン賞を同時受賞しております。
2021年4月からは、お茶の水女子大学の大学院に国内初の産学連携による保育マネジメント講座を開設し、主に現場で働く保育士が経営学を含む専門的な理論や知識なども学べるようにして、女性の社会進出に伴い、需要が高まるとともに保護者からの求めが多様化している保育サービスの質を底上げしてまいります。
国も資格や一定の研修受講などの基準をつくり、受講状況などを確認できるシステムを開発するとしておりましたが、当社グループとしても30年間の経験を活かし、ナニー及びベビーシッターに必要な知識や技能の見える化を実現するため「ポピンズナニースクール(教育ベビーシッター養成講座)」と、その修了者を認定する「ポピンズナニー検定」を2019年4月よりスタートしております。
また、2021年8月には、東京都より、当社グループのナニー/ベビーシッター向け自社研修が、民間企業として初めて国認定研修(注4)として認定を受けました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められました。
これにより、当社グループの自社研修を受講すれば、いち早く「認定ナニー/ベビーシッター」として活躍いただけるようになりました。さらに、当該自社研修の、当社グループ外のベビーシッターへの外販も進めることで、ベビーシッター業界全体のクオリティの向上にも貢献してまいります。
これからも、当社グループの最高水準のサービス品質をさらに向上させてまいります。
(注)3 日本サービス大賞とは、日本生産性本部が主催し、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が後援する「革新的な優れたサービス」を表彰する日本初の制度です。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、サービスを管轄する各省の大臣賞、地方創生大臣賞などの各賞により、日本国内の”きらり”と光る優れたサービスを幅広く表彰します。ナニーサービスの授賞理由としては、「30年近く、働く女性の支援のため高品質のシッターサービスを提供し続けており、女性の活躍に大きく貢献するサービス。ナニー(教育ベビーシッター)の採用、教育、動機づけ、顧客との関係づくりなど、高品質サービスをつくりとどける工夫に加え、ICTを利活用した24時間365日の受付、最適なシッターとのマッチングなど利用者の利便性向上を追求している。顧客の状況に応じてサービスを提案するなど、個別ニーズにも応える高信頼のサービスである。」とされています。
4 こども家庭庁ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格を保有しているか、またはこども家庭庁が指定する研修を修了することが必須とされています。
③利益成長
ⅰ)事業シナジーを活かしたポートフォリオ経営
当社グループは、子育て支援と介護支援という働く女性にとり必要不可欠なサービスを提供してきたことにより、創業から継続して売上高成長を実現し、直近5年間においてCAGR(年平均成長率)8.6%成長を果たしてまいりました。

当社グループの事業は、下図に示すような事業ポートフォリオで構成されており、安定的な成長が見込めるエデュケア事業を「事業基盤」として、社会的ニーズが高く、また収益性も高いファミリーケア事業を「成長ドライバー」、グループ内の知見を集め、実践的な教育研修を行うプロフェッショナル事業を「育成事業」とし、さらに新規事業を展開することで、事業シナジーを生かしたポートフォリオ経営を実践し、当社グループ全体で高い利益成長を目指してまいります。

(5)中期経営計画2030について
当社グループは、2025年8月29日に、2030年12月期を最終年度とする『中期経営計画2030』(2030年度数値目標:営業利益30億円以上、ROIC12%、ROE15%、配当性向40%前後、DOE(自己資本配当率)6%)を公表し、その達成に向けて取り組んでおります。
少子化や働き方といった、当社グループを取り巻く社会的な外部環境が激変しております。事業面でも、旺盛なベビーシッター需要の想定以上の高まり、学童待機児童の増加、公定価格改定への対応等が急務であり、評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しも、事業共通で喫緊の経営課題となっております。
こうした状況を踏まえ、魅力的な社員を採用・育成(人的資本管理)し、そのナレッジを集積しながら、テクノロジーを活かして高い品質で生産的な働き方を実現(知的資本管理)することを目指し、高い成長性と資本効率の規律を両立するためにROIC等の指標も新たに導入した『中期経営計画2030』として策定しております。
2030年度 数値目標(連結)
(注)各サービスのセールスミックスの変化等を想定し、設定しております。
『中期経営計画2030』における株主還元方針
DOE(自己資本配当率)をKPIとして導入し、従来の「配当性向40%目途」との両立により、配当の予見可能性を高め、安定的かつ高い株主還元水準を実現します。また、ROEの向上に向けたキャピタルアロケーションとして、株主還元とM&Aを重要視いたします。
DOE目標: 当面は4.5%以上。2030年迄に6.0%を目指す。
(6)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、気候変動関連リスク及び機会が当社グループの事業に及ぼす影響の把握、及び分析を行い、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。
当社グループは未来を創り、グローバルに羽ばたくお子様や、日本の礎を築き走り抜けた方々、そして、働く女性の皆様が健やかに生活できる世界を維持するために、気候変動に対しても何が出来るのかを考え、その抑制に寄与してまいります。
(TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示)
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、全社横断的な対応を推進するため、CHROを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は原則年に2回開催され、サステナビリティ課題に対する基本方針や重要事項について審議・検討を行います。
また、審議された内容は、原則年に1回取締役会へ報告し、事業活動や財務に重大な影響を与えると判断された事項については、取締役会にて、その対応方針や施策を審議・決議いたします。
なお、サステナビリティ委員会では、様々な属性の社員の力が発揮できるよう、社内制度における課題の把握や対策、風土醸成のための取り組みについての全社横断的な対応も併せて推進しております。『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指し、誰もが自分らしく活躍できる組織の実現に取り組んでおり、気候変動に対する取り組みと連携しながら、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。
②戦略
TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察するため、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。
また、自社への影響のみならず、ターゲットとする「働く女性」にどのような影響が起こるのかまで包括的に考察を行うことで、気候変動によって起こる「働く女性」への影響に対して、当社グループがどのように対応・寄与していくべきかを考え、下記のようにシナリオ分析を実施しております。
今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。なお、当社のカーボンニュートラルの目標達成年度である2050年に加え、SDGsの目標である2030年時点における影響を分析しております。


(シナリオ分析)
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による自社事業活動拠点への被害が大きなリスクであると想定されました。ただし、当社グループでは、従来よりハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような事業所作りを進めていたため、想定される被害についても最小限に留められており、自社の経営に大きな影響を与えるものではないと判断いたしました。今後もBCPを意識した事業所設営を進めるとともに、環境に配慮した設備や部材を用いた環境にやさしい事業所作りを行ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、「働く女性」の働き方や就業形態に変化が起こることが想定されました。
当社グループは「働く女性」の活躍を支援するためのサービスを手厚く展開しており、社会貢献性の向上とともに収益機会の増加が見込めました。
今後も当社グループは事業活動を通じて気候変動抑制に寄与するとともに、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指してまいります。
(特定した主なリスク・機会とその対応)
(主なリスクにより想定される当社への財務的インパクト(2050年時点))

③リスク管理
(リスクに対する管理と対応)
当社グループでは、気候変動関連リスクについて「サステナビリティ委員会」にて管理を行います。
サステナビリティ委員会では、各グループ会社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から定性・定量の両面で評価を行います。また、当社では新たな取り組みに伴い発生するリスクや重大な外部環境の変化などのリスクを、「重要リスク」として設定しています。「重要リスク」であると判別されたものについては、取締役会にてその対応方針や施策を審議・決定することといたします。
また、その他リスクもしくは、短期的かつ緊急対応を要する事項(気候変動関連リスクを含む。)もしくはその他リスクに関しては、「リスク管理委員会」にてその対応を審議し、関連会社・部署への指示を行います。
気候変動関連リスクに関して緊急対応を要するため、リスク管理委員会で指示された対応については、その対応の進捗や、当社方針に沿った指示が適切に行われたのか等、サステナビリティ委員会で定期的なモニタリングを行います。
サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて、識別・評価されたリスクについては、原則年に1回、取締役会に報告を行うことで全社的なリスクマネジメントとしております。
④指標と目標
当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略及び施策の検討を行ってまいります。
<当社事業活動におけるGHG排出量削減目標>
なお、当社事業活動におけるGHG排出量実績の経年推移データ(対象:Scope1、Scope2)につきましては、当社ホームページ(https://www.poppins.co.jp/hldgs/sdgs/environment/)に開示しております。
(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループとして、上記のほか、保育・学童施設運営やナニーサービス・ベビーシッターサービス等の子育て支援事業や介護事業に対する国や社会の関心が高まる中で、さらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。
①人財の確保
i)子育て支援事業(ファミリーケア事業(チャイルドケアサービス)・エデュケア事業)
日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえ、子育て支援業界でも、人財獲得競争の激化が続いております。しかしながら、子育て支援業界のパイオニアを自負する当社グループとしては、高品質なサービスを維持し、子育て支援事業を引き続き拡大させるために優秀な人財の確保が必要であります。
チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)においては、子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアの活用に積極的に取り組んでおり、当社グループが株式会社として唯一、こども家庭庁ベビーシッター割引券及び東京都ベビーシッター利用支援事業という二大助成金の適用を受けるための指定研修として認定を受けたベビーシッター自社研修を通して、新たなナニー・ベビーシッターを養成しております。また、ベビーシッターサービスにおいては、2025年4月に、価格改定と共にベビーシッターの報酬改定を実施しております。
エデュケア事業においては運営する保育施設数の増加に伴い、保育士やスタッフの確保が急務となるため、新卒採用及び中途採用の強化に取り組んでおります。
2025年度は年間を通して500人以上の保育スタッフ(350人以上の保育士を含む。)を採用いたしました。保育士確保は依然厳しい状況が続いておりますが、助成金拡大も追い風とした新人事制度の運用開始や、新制度に基づいた採用促進と退職抑制などの施策継続や、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策をさらに強化する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数の充足に努めております。
ⅱ)ファミリーケア事業(シルバーケアサービス)
団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を迎え、自費介護サービスへの需要は急速に拡大しています。当社グループのVIPケアサービスはオーダーメイドの在宅ケアサービスであるため、介護だけではなく家事支援、調理、茶道・華道等、幅広いサービスを提供していくため、そのサービスを提供するにふさわしい、素養のある人財の確保に力を入れております。
子育て支援業界と同様に、日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえた人財獲得競争の激化が続いておりますが、当社グループの提供サービスは介護保険適用外のサービスが中心であり、介護保険適用の訪問介護事業で働く介護士の報酬に比べて自由度が高いこと、働き方も一軒のお宅でじっくりお世話を行うため移動の時間が少ないこと、また、研修も充実していることなどの特色を踏まえて、人財獲得を強化しております。また、2025年6月に、価格改定と共にケアスタッフの報酬改定を実施しております。
さらに、中長期的な成長戦略の実現を支えることができる評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しにも、引き続き取り組んでまいります。
②人財の育成
人財サービス業である当社グループは、人財こそが宝であり、お客様に最高水準のサービスを約束するオンリーワン企業となる事を目指して、人財育成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、下記のような様々な人財育成システムを通じて教育の機会を提供しております。
従業員には、社内講師や専門家による階層別研修、専門研修、任意研修、eラーニング研修のほか、ポピンズ蓼科研修センターでの合宿研修や海外研修を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人財への継続的な教育投資を実施しております。
さらに、すべての子どもが心身ともに健康に成長する権利を最優先とし、時代と共に変化する保育観に対応し、かつての慣行が現代の「不適切保育」とならないよう、教育研修を通じた予防を徹底しています。また、ケアスタッフ向けに高齢者の健康に配慮しつつも満足していただける食事のレシピについての講習会を開催するなど、サービスレベルの強化と、安全・安心の担保を、両面から支える人財の養成に引き続き注力してまいります。
③コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、経営の効率化及び透明性の向上、ならびに企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。
そのため、東京証券取引所が公表しているコーポレートガバナンス・コードへの対応を含め、社外取締役を中心とした任意の指名・報酬諮問委員会の設置や、関連当事者取引に対する社内取締役の意識強化を含めた内部統制システムの十分性及びリスク管理体制の評価など、社外取締役による監督・牽制機能の強化、「ポピンズグループ人権方針」に基づく人権尊重の企業体質確立などの取り組みを推進しております。
その一環として、人権尊重に対する当社取締役の意識強化及びハラスメント研修の強化に引き続き取り組み、加えて、当社グループの業務に従事するすべての者(役員、正社員、契約社員、アルバイト、ナニー・ケアスタッフ・ベビーシッター等の業務受託者、派遣社員等を含む)にとって利用しやすい内部通報制度として、「ポピンズほっとライン」の周知徹底を継続し、クリーンな組織風土の醸成に努めてまいります。
④コンプライアンス及び安全管理の徹底
各種関連法令の遵守はもとより、保育・介護現場における事故防止などの安全管理(リスクマネジメント)を経営の根幹と位置付けています。個人情報の取扱いや内部監査の徹底に加え、「コンプライアンス意識調査」の定期実施や、日常的に現場の声を吸い上げる仕組みの強化により、自浄作用の働く健全な組織風土を維持するための不断の努力を続けてまいります。
⑤財務基盤の強化と戦略的投資
「中期経営計画2030」の実現に向け、既存事業の安定成長に加え、DX投資や新規事業、シナジーの見込めるM&Aに対する戦略的な資金配分を行います。当社グループでは、複数の金融機関との良好な関係を維持し、資本効率を意識した経営を推進してまいります。
⑥グローバル対応力の強化と知見の国内還元
現在、ハワイで託児施設を運営しておりますが、アジアに進出する日本企業のニーズへの対応を含め、海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を引き続き目指してまいります。
また、海外において先行している「ケアギバーのマルチタレント化(一人のスタッフが保育・介護・教育等の多角的なスキルを持つこと)」に関する先進的な知見・ノウハウを積極的に吸収し、国内サービスのさらなる質的向上へと還元してまいります。
⑦多様な人財の活用とD&Iの推進
人財不足の解消のためにも、女性、アクティブシニア、外国人財がそれぞれの強みを活かせる就業環境を整備しています。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進し、多様な視点をサービス開発に活かすことで、複雑化する顧客ニーズに応えてまいります。
⑧新規事業及びM&A等への取り組み
当社グループでは、2022年9月に、ペットケアサービスをスタートしております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ナニー・ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。
また、「中期経営計画2030」の実現に向け、既存の「ファミリーケア」「エデュケア」「プロフェッショナル」の各事業との高いシナジーが見込まれる領域への拡大に積極的に取り組んでまいります。具体的には、自社による新規事業の開発のみならず、M&Aや戦略的提携(アライアンス)を機動的に活用することで、働く女性とそのご家族の多様なライフスタイルを支えるプラットフォームとしての機能をさらに強化し、持続的な成長を目指してまいります。
⑨サステナビリティ経営の深化(SDGsへの貢献)
2020年12月21日に東京証券取引所市場第一部に上場した際に、調達資金の使途に関し、当社グループのこれまでの取り組みによるSDGsへの貢献についてセカンドパーティ・オピニオンによる第三者評価を取得いたしました。当社グループがおかれている経営環境や当社グループの経営戦略を踏まえ、社会課題対応に向けた取り組み状況の開示や、当社グループの経営目標への組入れ等により、引き続きSDGsを当社グループの経営の中核に位置付けてまいります。
また、「中期経営計画2030」において、「6つのマテリアリティ(重要課題)」を特定いたしました。「サービスの安全・安心の向上」「人権の尊重」「多様なプロフェッショナル人財の継続確保」「家庭生活支援の市場創造」「健全な企業統治」「環境教育の推進」を軸に、事業活動そのものが社会課題の解決に直結する当社固有のビジネスモデルの仕組みを、引き続き強化します。加えて、非財務情報の開示(人的資本・知的資本の集積・活用等)を拡充することで、ステークホルダーからの信頼に応えてまいります。
⑩DX戦略及びコーポレート機能強化の推進
当社グループでは、お客様(顧客)と働くスタッフ(人財)の情報を統合的に管理するCRM基盤の構築を再加速させております。この取組みにより、グループ内のあらゆる顧客接点及び人財接点の最大化を図り、より深く、より広く繋げることを可能とします。
さらに、マーケティングをはじめとするコーポレート機能の強化を通じて、お客様一人ひとりの多様なニーズ、スタッフ一人ひとりのスキルや経験を、グループ横断的に把握できる体制を構築していきます。これにより、事業の枠を越えた最適なサービス提案や、多様なキャリアパスの提示が実現できます。
この新たなプラットフォームを、「働く女性を支援したい」という想いと、「支援を必要とする方々」の声とを繋ぐ架け橋とし、人と人、人と未来をつなぎながら、希望あふれる社会の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。引き続き、「人のぬくもり」とAI活用を含めた「最先端テクノロジー」の融合を目指し、DX戦略を加速させます。
(1) 会社の経営の基本方針
ミッション :働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。
サービスポリシー:「寄り添うように」 お客さまのこころの声を感じ、そのご要望に丁寧に応えるサービス
「慈しむように」 愛情と敬意に満ち、優しく包み込むようなサービス
「信頼に足るように」 他に換えることのできない確かなサービス
「妥協しないように」 果てしなき質の向上に挑み続けるサービス
当社グループは上記のミッションの下、創業以来、35年以上前から働く女性の支援を続けてまいりました。
昨今、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」に代表されるように、社会課題の解決が企業にも求められる時代となり、当社グループの経営方針及び提供するサービスが社会において重要な価値をもたらすものである事を改めて認識しております。
そこで、当社グループでは、2020年11月に株式会社日本総合研究所からセカンドパーティ・オピニオンを取得し、当社グループの社会課題解決に向けた対応状況を第三者の目から客観的に評価いただくとともに、今後の(経済的価値のみならず社会的価値を含めた)企業価値向上の契機としております。
また、SDGsは当社のミッションにも通ずる目標であると考えており、当社グループの提供するサービスにより、以下のそれぞれの目標達成に貢献してまいります。
| 目標 | ターゲット | 左記ターゲットに貢献する 当社グループのサービス・施策 |
![]() | 5.5「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」 | ・働く女性を支援することにより、女性の社会参画を増大 ・子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアをナニー及びベビーシッターやケアスタッフとして活用。その他、年齢・性別・国籍・ハンディキャップにかかわらず多様な就業の場を提供 ・当社グループにおいても、2025年12月末時点で管理職の76.6%、本書提出日現在で取締役(子会社取締役を含む。)の30.8%を女性が占めるなど、女性活躍を自ら実践 |
![]() | 4.2「すべての女児及び男児が、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする」 | ・「保育」から「エデュケア」へ保育理論、非認知能力の向上ノウハウを深化・体系化 ・将来グローバル社会で生きる子どもたちのために「0歳からのエデュケア」を実践 ・「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育において、米ハーバード大学、米スタンフォード大学、英ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施し、世界最先端の教育科学を保育に取り入れる ・国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティング、研修事業(年間93,000人以上参加(2025年度))を実施 |
![]() | 8.1「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる」 8.5「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する」 | ・保育/学童施設325ヵ所(2025年12月31日時点)の運営、ナニー及びベビーシッターサービス提供を通じ女性の社会参画を支援 ・お茶の水女子大学大学院に「ポピンズ保育マネジメント講座」を開設(2021年4月開講)し、保育士の地位向上を図る ・地方採用も積極化し、地方から三大都市圏(東京都・大阪・名古屋)に転居して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策を準備(2025年12月末現在369件) ・保育士の処遇改善(大卒保育士の初任給業界最高水準)や福利厚生(自社サービスの割引利用他)の充実 ・人財育成を重要な経営課題と捉え様々な教育機会を提供(海外研修に自社社員派遣含めのべ600名以上参加(英ノーランドカレッジ海外研修(1994年~)、米スタンフォード海外研修(2006年~)、米ハーバード海外研修(2007年~)の累計参加者数)、オンライン開催となった2020年度~2022年度分を除く。) |
(2)目標とする経営指標
当社グループは、第2創業期の新経営体制のもと、事業規模の拡大にとどまらず、企業価値を創造する「利益成長」と「資本効率の規律」を両立させることを経営の重要課題と位置付けております。
そのため、目標とする経営指標として、利益成長を示す「営業利益」に加え、資本効率を評価する「ROIC(投下資本利益率)」及び「ROE(自己資本利益率)」を重視して経営しております。さらに、株主還元の指標として、「配当性向(40%目途)」に加え、短期的な利益変動に左右されず配当の予見性を高めるため、「DOE(株主資本配当率)」を設定しております。
(3)経営環境
日本では、少子高齢化に伴い労働者不足の加速化が予想されるとともに、産業構造の変化により多様な人財を活用していくことが必要不可欠となったことから、女性の活躍促進が一層求められております。
安倍政権が「女性が輝く社会」政策を打ち出した2013年時点で2,411万人だった女性の雇用者数は、以降拡大を続け、2025年には2,879万人(前年比49万人増)まで、約1.2倍に増加しております。(注1)
(注1) 総務省「労働力調査(2026年1月30日)」
一方で、少子化が想定を上回る速度で進行しております。出生数は過去最低の更新が見込まれ、生産年齢人口の減少に伴う「人手不足」は全産業共通の深刻な課題となりました。こうした中、社会全体で限られた人的資源を最大限に活用するための「働き方改革」は、もはや努力義務ではなく、企業の存続に不可欠な経営戦略へと変貌しております。
政府が「2030年までが少子化反転のラストチャンス」と掲げる中、2025年4月より「改正育児・介護休業法」が段階的に施行されました。これにより、子どもが3歳になるまでのテレワーク導入の努力義務化など、柔軟な働き方が強く求められ、両立支援は新たなフェーズに突入しております。あわせて、児童手当の拡充など子育て世帯への直接支援も加速しています。
当社グループは、このような劇的な社会変容を、最高水準のエデュケアサービスを世に問う好機と捉えております。2025年4月の改正育児・介護休業法の施行を経て、企業における従業員の「仕事と家庭の両立支援」は、今や経営における最優先事項の一つとなりました。「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」という不変のミッションを軸に、当社はこうした社会の変化に即応してまいりました。
具体的には、ナニー・ベビーシッターサービスの徹底した質的向上を図るとともに、需要が急増したベビーシッター領域を中心に供給体制を大幅に拡充いたしました。あわせて、企業の人事部門が抱える課題に深く寄り添うべく、育児・介護コンサルティングの取り組みを強化し、組織全体の両立支援体制を強力に後押ししております。また、折しも「団塊の世代」の全員が70代後半を迎えたことで、当社が長年強みとしてきた自費介護サービスへのニーズも、いよいよ本格的な高まりを見せています。保育・学童施設運営を強固な基盤として、乳幼児へのエデュケアから高齢者へのシニアケアまで、多様化する働く女性のライフスタイルに寄り添う「フルラインの支援体制」をさらに強固なものとしてまいります。
①ファミリーケア事業
チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのナニーやベビーシッターの存在感が高まっております。高市政権によるベビーシッターや家事支援サービスの利用料の税額控除導入の検討や、東京都によるベビーシッター利用支援事業(一時預かり)の23区全域での事業採択及び病児保育の検証事業スタートなどの政策強化が重なる2026年は、まさに『ベビーシッター元年』となることが見込まれます。
さらに、シルバーケアサービス領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が全員75歳以上となりターゲット層が引き続き膨らむこと、さらに高市政権により示された、介護保険サービス基盤強化と並行しての「保険外サービスの普及促進」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が、より一層加速することが見込まれます。
ナニーサービスにつきましては、高付加価値サービスとして高い利益率を維持しつつ、高い品質と多様なニーズへの対応力を活かして、顧客単価向上と継続期間長期化を推進してまいります。
ベビーシッターサービスにつきましては、顧客・働き手の自然流入増が継続する中、政策強化などを背景とした、引き続き旺盛な需要に対応するため、第3の採用拠点開設を核としてさらなるベビーシッター採用・研修強化を図ってまいります。併せて、ベビーシッター分野で売上高トップ(注2)の地位を揺るぎないものものとするため、品質管理及びリスク管理のさらなる体制強化にも取り組んでまいります。
シルバーケアサービスにつきましては、営業管理体制の高度化やコーディネーター増強により運営体制を一段と強固にすると共に、ケアスタッフの待遇改善やDXによる採用・稼働促進を通じて、サービス供給力の強化を進めてまいります。
(注2)公表されているベビーシッター業界の統計数値がありませんので、当社独自の推計比較によるものです。
②エデュケア事業
保育所における待機児童問題は概ね解消し、その主たる課題が量的不足への対応から質的向上や、「こども誰でも通園制度」や付加的サービスのような多様なニーズへの対応へと移行しております。一方で、学童保育の待機児童(いわゆる「待機学童」)は1万6,330人(前年比 1,356人減)と依然として高止まりしており、保育環境の整備、保育の質向上が引き続き大きな課題となっております。
2026年12月期については、子育て世帯の流入を伴う住宅開発に伴う保育所開設2施設を含め、合計11施設の開設が決定しております(認可保育所2施設、認証保育所(運営再開)1施設、学童クラブ・児童館8施設)。また、閉園はポートフォリオ管理適正化の観点からの能動的なクローズを含む10施設(小規模認可1施設、事業所内保育所3施設、学童クラブ・児童館5施設、その他1施設)を予定しております。
③プロフェッショナル事業
2025年12月期においてオンライン研修の浸透を背景とした広域展開が奏功し、主要な大型案件の再獲得を含め、自治体保育研修におけるシェアをさらに拡大いたしました。2026年12月期は、高い市場シェアを維持・防衛するための施策を徹底し、安定的な収益基盤を堅持いたします。自治体向けビジネスにおいては、例年継続的なコスト効率化が求められる傾向にありますが、当社は運営ノウハウの蓄積による付加価値の向上でこれに対応してまいります。
加えて、保育研修で培った講師ネットワークと運営知見を活かし、ニーズが拡大している学童保育領域での研修受注を強化するほか、育児・介護コンサルティング等の民需向けサービスの拡大に注力し、収益源の多角化を推進いたします。なお、民需向けコンサルティング事業の強化に際しては、将来の持続的成長に向けた人財確保・育成などの体制整備を先行して進めてまいります。
(4)経営戦略の基本方針
当社グループでは、ミッションの貫徹、及び今後の成長を目指して以下の3点を経営戦略の基本方針として事業を進めております。

①働く女性のサポート(ライフステージに応じた切れ目のないサービスラインナップ)
当社グループは、ナニーサービスにより事業を開始して以降、ミッションである『働く女性の支援』を具体的なサービスに落とし込み、ワンオペ育児・お受験・小1の壁、親の介護など、働く女性のライフイベントにおいて直面する離職の危機に対して、子育て・介護・家事支援・不妊予防(妊活)・ペットケアまで、一貫して女性の生涯をサポートするソリューションを提供しております。

②クオリティ(最高水準のエデュケアと介護サービスの品質維持向上)
当社グループは、ミッションとして「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」を掲げており、常に最高水準のサービスをお客様に提供することを意識し、これまで様々な施策を実行してまいりました。その結果として、あらゆる場面で評価を頂いてまいりました。
当社グループの具体的な品質維持向上施策は以下のとおりであります。
・1999年に育児・介護サービス業界では全国初となる国際品質規格ISO9001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。その過程で品質目標設定・実行・評価・改善というPDCAサイクルによる品質マネジメント体制が整備され、顧客満足度の視点からサービス品質の向上を実現する事に繋がりました。その結果、2024年度に実施した当社グループの保育施設のご利用者による満足度アンケートでは、全施設平均で98.2%の方から満足との評価をいただき、また6割の方から大変満足との評価をいただきました。
・当社グループでは、お客様の緊急性・利便性・安心感にお応えするナニーサービスを提供するため以下4点の実現を心掛けております。
A) ICT(PC/スマホ)を活用した24時間365日対応の実現
B) 当日オーダー100%に応える最適なナニーとのマッチング
C) コーディネーターによる入会訪問
D) お子様が病気の時でも対応
・運営施設数が増加する状況でも、優秀な人財の採用や育成の強化、及び、諸施策を通じた長期雇用の促進により、保育士、ナニー及びベビーシッター、介護スタッフ、家事支援スタッフの質の維持・向上を図っております。具体的な施策としては、ジョブディスクリプションによる各職位における職務内容や人事評価制度の精緻化、処遇改善等を行っております。
上記諸施策の結果、2016年6月には、約30年、働く女性の支援のために高品質のナニーサービスを提供し続けてきた功績が認められ、第一回日本サービス大賞(注3)厚生労働大臣賞を受賞いたしました。
また、スマートシッター株式会社(現 株式会社ポピンズシッター)は、2017年12月、日経DUAL「マッチング型ベビーシッターサービス」ランキングにおいて「質・信頼性」や「料金」等が評価され、1位に選ばれました。2018年にはキッズデザイン賞(子ども達を産み育てやすいデザイン部門)を受賞しました。
子どもたちにとっての創造的な空間づくり(環境設定の質)等が評価され、2020年にはポピンズナーサリースクール恵比寿南、2021年にはポピンズナーサリースクール代々木上原がキッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)を受賞、2022年にはポピンズナーサリースクール阿佐ヶ谷が、キッズデザイン賞(同部門)及びグッドデザイン賞をダブル受賞いたしました。さらに、2023年にはポピンズナーサリースクール上大崎及びポピンズナーサリースクール軽井沢風越の2園がグッドデザイン賞を同時受賞しております。
2021年4月からは、お茶の水女子大学の大学院に国内初の産学連携による保育マネジメント講座を開設し、主に現場で働く保育士が経営学を含む専門的な理論や知識なども学べるようにして、女性の社会進出に伴い、需要が高まるとともに保護者からの求めが多様化している保育サービスの質を底上げしてまいります。
国も資格や一定の研修受講などの基準をつくり、受講状況などを確認できるシステムを開発するとしておりましたが、当社グループとしても30年間の経験を活かし、ナニー及びベビーシッターに必要な知識や技能の見える化を実現するため「ポピンズナニースクール(教育ベビーシッター養成講座)」と、その修了者を認定する「ポピンズナニー検定」を2019年4月よりスタートしております。
また、2021年8月には、東京都より、当社グループのナニー/ベビーシッター向け自社研修が、民間企業として初めて国認定研修(注4)として認定を受けました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められました。
これにより、当社グループの自社研修を受講すれば、いち早く「認定ナニー/ベビーシッター」として活躍いただけるようになりました。さらに、当該自社研修の、当社グループ外のベビーシッターへの外販も進めることで、ベビーシッター業界全体のクオリティの向上にも貢献してまいります。
これからも、当社グループの最高水準のサービス品質をさらに向上させてまいります。
(注)3 日本サービス大賞とは、日本生産性本部が主催し、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省が後援する「革新的な優れたサービス」を表彰する日本初の制度です。最優秀賞である内閣総理大臣賞をはじめ、サービスを管轄する各省の大臣賞、地方創生大臣賞などの各賞により、日本国内の”きらり”と光る優れたサービスを幅広く表彰します。ナニーサービスの授賞理由としては、「30年近く、働く女性の支援のため高品質のシッターサービスを提供し続けており、女性の活躍に大きく貢献するサービス。ナニー(教育ベビーシッター)の採用、教育、動機づけ、顧客との関係づくりなど、高品質サービスをつくりとどける工夫に加え、ICTを利活用した24時間365日の受付、最適なシッターとのマッチングなど利用者の利便性向上を追求している。顧客の状況に応じてサービスを提案するなど、個別ニーズにも応える高信頼のサービスである。」とされています。
4 こども家庭庁ベビーシッター割引券などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格を保有しているか、またはこども家庭庁が指定する研修を修了することが必須とされています。
③利益成長
ⅰ)事業シナジーを活かしたポートフォリオ経営
当社グループは、子育て支援と介護支援という働く女性にとり必要不可欠なサービスを提供してきたことにより、創業から継続して売上高成長を実現し、直近5年間においてCAGR(年平均成長率)8.6%成長を果たしてまいりました。

当社グループの事業は、下図に示すような事業ポートフォリオで構成されており、安定的な成長が見込めるエデュケア事業を「事業基盤」として、社会的ニーズが高く、また収益性も高いファミリーケア事業を「成長ドライバー」、グループ内の知見を集め、実践的な教育研修を行うプロフェッショナル事業を「育成事業」とし、さらに新規事業を展開することで、事業シナジーを生かしたポートフォリオ経営を実践し、当社グループ全体で高い利益成長を目指してまいります。

(5)中期経営計画2030について
当社グループは、2025年8月29日に、2030年12月期を最終年度とする『中期経営計画2030』(2030年度数値目標:営業利益30億円以上、ROIC12%、ROE15%、配当性向40%前後、DOE(自己資本配当率)6%)を公表し、その達成に向けて取り組んでおります。
少子化や働き方といった、当社グループを取り巻く社会的な外部環境が激変しております。事業面でも、旺盛なベビーシッター需要の想定以上の高まり、学童待機児童の増加、公定価格改定への対応等が急務であり、評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しも、事業共通で喫緊の経営課題となっております。
こうした状況を踏まえ、魅力的な社員を採用・育成(人的資本管理)し、そのナレッジを集積しながら、テクノロジーを活かして高い品質で生産的な働き方を実現(知的資本管理)することを目指し、高い成長性と資本効率の規律を両立するためにROIC等の指標も新たに導入した『中期経営計画2030』として策定しております。
2030年度 数値目標(連結)
| 指標 | 2024年度 | 2030年度(目標) | ||
| 営業利益 | 15.7億円 | 30億円以上 | ||
| 営業利益 年平均成長率(2024年度比) | - | 11.5%以上 | ||
| ファミリーケア事業 | - | 12% | ||
| エデュケア事業 | - | 5%以上 | ||
| プロフェッショナル事業 | - | 10%以上 | ||
| ROIC | 8.0% | 12% | ||
| ファミリーケア事業 | 55.6% | 50%(注) | ||
| エデュケア事業 | 7.1% | 9% | ||
| プロフェッショナル事業 | 7.4% | 12% | ||
| ROE | 9.3% | 15% | ||
(注)各サービスのセールスミックスの変化等を想定し、設定しております。
『中期経営計画2030』における株主還元方針
DOE(自己資本配当率)をKPIとして導入し、従来の「配当性向40%目途」との両立により、配当の予見可能性を高め、安定的かつ高い株主還元水準を実現します。また、ROEの向上に向けたキャピタルアロケーションとして、株主還元とM&Aを重要視いたします。
DOE目標: 当面は4.5%以上。2030年迄に6.0%を目指す。
(6)気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同するとともに、気候変動関連リスク及び機会が当社グループの事業に及ぼす影響の把握、及び分析を行い、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。
当社グループは未来を創り、グローバルに羽ばたくお子様や、日本の礎を築き走り抜けた方々、そして、働く女性の皆様が健やかに生活できる世界を維持するために、気候変動に対しても何が出来るのかを考え、その抑制に寄与してまいります。
(TCFDの提言に基づく4項目についての情報開示)
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、全社横断的な対応を推進するため、CHROを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は原則年に2回開催され、サステナビリティ課題に対する基本方針や重要事項について審議・検討を行います。
また、審議された内容は、原則年に1回取締役会へ報告し、事業活動や財務に重大な影響を与えると判断された事項については、取締役会にて、その対応方針や施策を審議・決議いたします。
なお、サステナビリティ委員会では、様々な属性の社員の力が発揮できるよう、社内制度における課題の把握や対策、風土醸成のための取り組みについての全社横断的な対応も併せて推進しております。『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指し、誰もが自分らしく活躍できる組織の実現に取り組んでおり、気候変動に対する取り組みと連携しながら、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。
②戦略
TCFD提言では、気候変動に起因する事業への影響を考察するため、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループでも不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。
また、自社への影響のみならず、ターゲットとする「働く女性」にどのような影響が起こるのかまで包括的に考察を行うことで、気候変動によって起こる「働く女性」への影響に対して、当社グループがどのように対応・寄与していくべきかを考え、下記のようにシナリオ分析を実施しております。
今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策の実施が想定される「1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)」と、現状を上回る気候変動対策が行われず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、定性・定量の両面から考察を行いました。なお、当社のカーボンニュートラルの目標達成年度である2050年に加え、SDGsの目標である2030年時点における影響を分析しております。


(シナリオ分析)
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による自社事業活動拠点への被害が大きなリスクであると想定されました。ただし、当社グループでは、従来よりハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような事業所作りを進めていたため、想定される被害についても最小限に留められており、自社の経営に大きな影響を与えるものではないと判断いたしました。今後もBCPを意識した事業所設営を進めるとともに、環境に配慮した設備や部材を用いた環境にやさしい事業所作りを行ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、「働く女性」の働き方や就業形態に変化が起こることが想定されました。
当社グループは「働く女性」の活躍を支援するためのサービスを手厚く展開しており、社会貢献性の向上とともに収益機会の増加が見込めました。
今後も当社グループは事業活動を通じて気候変動抑制に寄与するとともに、『働く女性の支援』という社会課題の解決をリードする企業を目指してまいります。
(特定した主なリスク・機会とその対応)
| 区分 | 項目 | 発生時期 | 考察 | 自社への影響度 | 当社対応方針 | |
| 1.5℃ | 4℃ | |||||
| 自社 グループ への影響 | カーボンプライシングの導入 | 中期~長期 | 炭素税や排出権取引などのカーボンプライシング導入により、操業コストが増加する。 | ↓↓ | ― | ■再生可能エネルギーの使用 例:再エネ使用施設への事業所展開など ■換気設備に換気によって失われる空調エネルギーの全熱を交換回収する省エネルギー装置(全熱交換器)の採用 |
| エネルギー コストの変化 | 中期~長期 | エネルギー費用の上昇が取引先の事業運営費用(原材料費・物流など)の上昇を招き、当社の操業コストを上昇させる。 | ↓ | ↑ | ■オフィス含む事業所の省エネ化 ■環境に配慮した事業所作り(内外装・設備) | |
| 人口の変化 | 中期~長期 | 少子高齢化や人口の減少により、育児・保育サービスの需要が低下する。一方、シルバーケア事業や家事支援サービスについては需要が増加する。 | ↓↑ | ↓↓ | ■サービスを通した「働く女性への支援」 | |
| 異常気象の 激甚化 | 短期~長期 | 台風や高潮などの異常気象の発生頻度や強度が強まることで、オフィスや物理的損害による操業不能や従業員に対する人的被害が発生し、業績悪化のリスクが発生する。 ※一方で、気候変動リスクへの備え(開設立地、施設堅牢性、備蓄)、BCPによる被災園・事業の早期復旧により、社会的信頼・評価が向上し、入園者が増加する。 | ↓↓ | ↓↓↓ | ■「子どものためのSDGs」教育の推進 ■災害発生時を想定した従業員向けの訓練・研修の実施 ■物理的リスクに対して脆弱な資産(事業所など)の把握と災害対策対応 ■ネット上で需給をマッチングし、お客様の自宅でサービスを提供するナニー・シッター事業、シルバーケア事業を伸ばし、物理的な事業拠点やエネルギー消費量を増やさずに事業規模を拡大 | |
| 社会 (働く女性) への影響 | 低炭素技術 の進展 | 中期~長期 | 環境技術分野における女性参画が増加。 働き方・就労形態が変化するに伴い、育児・保育サービスへの期待・需要がこれまでとは異なる方向へ変化。 | ↑↑ | ↑ | ■サービスを通した働く女性への活躍支援 ■在宅や近隣シェアオフィスで働く労働者が増える就労形態の変化に適応した、サービスの展開やサービス提供方法を開発 |
| 人口の変化 | 中期~長期 | 異常気象の激甚化や気象パターンの変化により、健やかな生活が危ぶまれ、少子高齢化の進行とともに人口が減少する。 | ↓↓ | ↓↓↓ | ■サービスを通した「働く女性への支援」 | |
| 評価基準 - 想定される発生時期 - | 評価基準 - 財務影響評価 – | |||
| ↑:機会 ↓:リスク ↑↓:リスク機会の両面 | ||||
| 記載項目 | 項目の定義 | 記載項目 | 項目の定義 | |
| 長期 | 11年~30年後に発生が想定されるもの | ↑↑↑ | 1億円超の影響が想定されるもの | |
| 中期 | 4年~10年後に発生が想定されるもの | ↑↑ | 1,000万円以上~1億円未満の影響が想定されるもの | |
| 短期 | 0年~3年後に発生が想定されるもの | ↑ | 1,000万円未満の影響が想定されるもの | |
(主なリスクにより想定される当社への財務的インパクト(2050年時点))

③リスク管理
(リスクに対する管理と対応)
当社グループでは、気候変動関連リスクについて「サステナビリティ委員会」にて管理を行います。
サステナビリティ委員会では、各グループ会社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から定性・定量の両面で評価を行います。また、当社では新たな取り組みに伴い発生するリスクや重大な外部環境の変化などのリスクを、「重要リスク」として設定しています。「重要リスク」であると判別されたものについては、取締役会にてその対応方針や施策を審議・決定することといたします。
また、その他リスクもしくは、短期的かつ緊急対応を要する事項(気候変動関連リスクを含む。)もしくはその他リスクに関しては、「リスク管理委員会」にてその対応を審議し、関連会社・部署への指示を行います。
気候変動関連リスクに関して緊急対応を要するため、リスク管理委員会で指示された対応については、その対応の進捗や、当社方針に沿った指示が適切に行われたのか等、サステナビリティ委員会で定期的なモニタリングを行います。
サステナビリティ委員会及びリスク管理委員会にて、識別・評価されたリスクについては、原則年に1回、取締役会に報告を行うことで全社的なリスクマネジメントとしております。
④指標と目標
当社グループは、気候変動対応への進捗を管理するための指標として、GHG(温室効果ガス)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略及び施策の検討を行ってまいります。
<当社事業活動におけるGHG排出量削減目標>
![]() |
なお、当社事業活動におけるGHG排出量実績の経年推移データ(対象:Scope1、Scope2)につきましては、当社ホームページ(https://www.poppins.co.jp/hldgs/sdgs/environment/)に開示しております。
(7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループとして、上記のほか、保育・学童施設運営やナニーサービス・ベビーシッターサービス等の子育て支援事業や介護事業に対する国や社会の関心が高まる中で、さらなる事業拡大に向けた重要課題として以下の点に取り組んでまいります。
①人財の確保
i)子育て支援事業(ファミリーケア事業(チャイルドケアサービス)・エデュケア事業)
日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえ、子育て支援業界でも、人財獲得競争の激化が続いております。しかしながら、子育て支援業界のパイオニアを自負する当社グループとしては、高品質なサービスを維持し、子育て支援事業を引き続き拡大させるために優秀な人財の確保が必要であります。
チャイルドケアサービス(ナニーサービス・ベビーシッターサービス)においては、子育て経験をキャリアとして評価し、女性とシニアの活用に積極的に取り組んでおり、当社グループが株式会社として唯一、こども家庭庁ベビーシッター割引券及び東京都ベビーシッター利用支援事業という二大助成金の適用を受けるための指定研修として認定を受けたベビーシッター自社研修を通して、新たなナニー・ベビーシッターを養成しております。また、ベビーシッターサービスにおいては、2025年4月に、価格改定と共にベビーシッターの報酬改定を実施しております。
エデュケア事業においては運営する保育施設数の増加に伴い、保育士やスタッフの確保が急務となるため、新卒採用及び中途採用の強化に取り組んでおります。
2025年度は年間を通して500人以上の保育スタッフ(350人以上の保育士を含む。)を採用いたしました。保育士確保は依然厳しい状況が続いておりますが、助成金拡大も追い風とした新人事制度の運用開始や、新制度に基づいた採用促進と退職抑制などの施策継続や、地方から首都圏に上京して働く人に向けて借上げ社宅などのサポート施策をさらに強化する等、様々な方法を駆使し、保育施設運営上の必要数の充足に努めております。
ⅱ)ファミリーケア事業(シルバーケアサービス)
団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を迎え、自費介護サービスへの需要は急速に拡大しています。当社グループのVIPケアサービスはオーダーメイドの在宅ケアサービスであるため、介護だけではなく家事支援、調理、茶道・華道等、幅広いサービスを提供していくため、そのサービスを提供するにふさわしい、素養のある人財の確保に力を入れております。
子育て支援業界と同様に、日本社会全体にわたる賃上げの流れ及び働き手不足の深刻化を踏まえた人財獲得競争の激化が続いておりますが、当社グループの提供サービスは介護保険適用外のサービスが中心であり、介護保険適用の訪問介護事業で働く介護士の報酬に比べて自由度が高いこと、働き方も一軒のお宅でじっくりお世話を行うため移動の時間が少ないこと、また、研修も充実していることなどの特色を踏まえて、人財獲得を強化しております。また、2025年6月に、価格改定と共にケアスタッフの報酬改定を実施しております。
さらに、中長期的な成長戦略の実現を支えることができる評価・報酬制度や待遇等の抜本的な見直しにも、引き続き取り組んでまいります。
②人財の育成
人財サービス業である当社グループは、人財こそが宝であり、お客様に最高水準のサービスを約束するオンリーワン企業となる事を目指して、人財育成が重要な経営課題であると捉えております。そのため、下記のような様々な人財育成システムを通じて教育の機会を提供しております。
従業員には、社内講師や専門家による階層別研修、専門研修、任意研修、eラーニング研修のほか、ポピンズ蓼科研修センターでの合宿研修や海外研修を通じ、常に質の高いサービスを提供するために、人財への継続的な教育投資を実施しております。
さらに、すべての子どもが心身ともに健康に成長する権利を最優先とし、時代と共に変化する保育観に対応し、かつての慣行が現代の「不適切保育」とならないよう、教育研修を通じた予防を徹底しています。また、ケアスタッフ向けに高齢者の健康に配慮しつつも満足していただける食事のレシピについての講習会を開催するなど、サービスレベルの強化と、安全・安心の担保を、両面から支える人財の養成に引き続き注力してまいります。
③コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、経営の効率化及び透明性の向上、ならびに企業価値の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠であると認識しております。
そのため、東京証券取引所が公表しているコーポレートガバナンス・コードへの対応を含め、社外取締役を中心とした任意の指名・報酬諮問委員会の設置や、関連当事者取引に対する社内取締役の意識強化を含めた内部統制システムの十分性及びリスク管理体制の評価など、社外取締役による監督・牽制機能の強化、「ポピンズグループ人権方針」に基づく人権尊重の企業体質確立などの取り組みを推進しております。
その一環として、人権尊重に対する当社取締役の意識強化及びハラスメント研修の強化に引き続き取り組み、加えて、当社グループの業務に従事するすべての者(役員、正社員、契約社員、アルバイト、ナニー・ケアスタッフ・ベビーシッター等の業務受託者、派遣社員等を含む)にとって利用しやすい内部通報制度として、「ポピンズほっとライン」の周知徹底を継続し、クリーンな組織風土の醸成に努めてまいります。
④コンプライアンス及び安全管理の徹底
各種関連法令の遵守はもとより、保育・介護現場における事故防止などの安全管理(リスクマネジメント)を経営の根幹と位置付けています。個人情報の取扱いや内部監査の徹底に加え、「コンプライアンス意識調査」の定期実施や、日常的に現場の声を吸い上げる仕組みの強化により、自浄作用の働く健全な組織風土を維持するための不断の努力を続けてまいります。
⑤財務基盤の強化と戦略的投資
「中期経営計画2030」の実現に向け、既存事業の安定成長に加え、DX投資や新規事業、シナジーの見込めるM&Aに対する戦略的な資金配分を行います。当社グループでは、複数の金融機関との良好な関係を維持し、資本効率を意識した経営を推進してまいります。
⑥グローバル対応力の強化と知見の国内還元
現在、ハワイで託児施設を運営しておりますが、アジアに進出する日本企業のニーズへの対応を含め、海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を引き続き目指してまいります。
また、海外において先行している「ケアギバーのマルチタレント化(一人のスタッフが保育・介護・教育等の多角的なスキルを持つこと)」に関する先進的な知見・ノウハウを積極的に吸収し、国内サービスのさらなる質的向上へと還元してまいります。
⑦多様な人財の活用とD&Iの推進
人財不足の解消のためにも、女性、アクティブシニア、外国人財がそれぞれの強みを活かせる就業環境を整備しています。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進し、多様な視点をサービス開発に活かすことで、複雑化する顧客ニーズに応えてまいります。
⑧新規事業及びM&A等への取り組み
当社グループでは、2022年9月に、ペットケアサービスをスタートしております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ナニー・ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。
また、「中期経営計画2030」の実現に向け、既存の「ファミリーケア」「エデュケア」「プロフェッショナル」の各事業との高いシナジーが見込まれる領域への拡大に積極的に取り組んでまいります。具体的には、自社による新規事業の開発のみならず、M&Aや戦略的提携(アライアンス)を機動的に活用することで、働く女性とそのご家族の多様なライフスタイルを支えるプラットフォームとしての機能をさらに強化し、持続的な成長を目指してまいります。
⑨サステナビリティ経営の深化(SDGsへの貢献)
2020年12月21日に東京証券取引所市場第一部に上場した際に、調達資金の使途に関し、当社グループのこれまでの取り組みによるSDGsへの貢献についてセカンドパーティ・オピニオンによる第三者評価を取得いたしました。当社グループがおかれている経営環境や当社グループの経営戦略を踏まえ、社会課題対応に向けた取り組み状況の開示や、当社グループの経営目標への組入れ等により、引き続きSDGsを当社グループの経営の中核に位置付けてまいります。
また、「中期経営計画2030」において、「6つのマテリアリティ(重要課題)」を特定いたしました。「サービスの安全・安心の向上」「人権の尊重」「多様なプロフェッショナル人財の継続確保」「家庭生活支援の市場創造」「健全な企業統治」「環境教育の推進」を軸に、事業活動そのものが社会課題の解決に直結する当社固有のビジネスモデルの仕組みを、引き続き強化します。加えて、非財務情報の開示(人的資本・知的資本の集積・活用等)を拡充することで、ステークホルダーからの信頼に応えてまいります。
⑩DX戦略及びコーポレート機能強化の推進
当社グループでは、お客様(顧客)と働くスタッフ(人財)の情報を統合的に管理するCRM基盤の構築を再加速させております。この取組みにより、グループ内のあらゆる顧客接点及び人財接点の最大化を図り、より深く、より広く繋げることを可能とします。
さらに、マーケティングをはじめとするコーポレート機能の強化を通じて、お客様一人ひとりの多様なニーズ、スタッフ一人ひとりのスキルや経験を、グループ横断的に把握できる体制を構築していきます。これにより、事業の枠を越えた最適なサービス提案や、多様なキャリアパスの提示が実現できます。
この新たなプラットフォームを、「働く女性を支援したい」という想いと、「支援を必要とする方々」の声とを繋ぐ架け橋とし、人と人、人と未来をつなぎながら、希望あふれる社会の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。引き続き、「人のぬくもり」とAI活用を含めた「最先端テクノロジー」の融合を目指し、DX戦略を加速させます。



