有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。2024年3月期第3四半期連結累計期間より、米国事業を非継続事業に分類しており、2024年4月2日に当社の米国事業の持株会社であるSawai America Holdings Inc.(以下、「SAH」という。)の全株式、並びにその傘下にあるSawai America LLC(以下、「SAL」という。)の当社持分とUSLの持分をSALへの共同出資者であるSumitomo Corporation of Americas(以下、「SCOA」という。)とともに、Boraに譲渡(以下、「本株式等譲渡」という。)しております。このため、売上収益、営業利益、税引前当期利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した金額を表示しております。
IFRSに基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益201,676百万円(前期比6.7%増)、営業利益15,894百万円(前期比292.5%増)、税引前当期利益14,273百万円(前期比351.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益10,438百万円(前期比12.8%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、24,778百万円(前期比3.6%減)となりました。
(注)売上収益、営業利益、税引前当期利益、コア営業利益は継続事業の業績を、親会社の所有者に帰属する当期利益は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ表示しています。
当社グループは、持株会社体制の下、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「Beyond 2027(以下、「中計」という。)」を発表し、同時に定量目標を修正した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」では、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「信頼される企業基盤の確立」を土台とし、さらに成長するために、「事業戦略」および「経営基盤」に重点テーマを設定しました。「事業戦略」は「GE市場における着実な成長」「GEビジネスの持続性確立」「成長分野への継続的投資」を重点テーマとして設定し、「経営基盤」では「持続的成長を支える人財の創出」「サステナビリティへの取り組み」「資本効率改善」を重点テーマとして設定しております。
2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされたのをはじめ、2022年4月の診療報酬改定では、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。
さらに2024年9月の社会保障審議会医療保険部会では、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が改訂され、数値目標として、「主目標:医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上(旧ロードマップから継続)」「副次目標①:2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の成分数の60%以上」「副次目標②:後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」が掲げられております(2024年9月の薬価調査における後発医薬品の金額シェアは62.1%)。また、2024年10月からは、ジェネリック医薬品のある長期収載品を患者さんが希望される場合は追加で患者負担を求める「選定療養」制度が導入され、これによりジェネリック医薬品の使用がさらに進んでいます。その結果、2025年9月の政府の薬価調査(速報値)による最新のジェネリック医薬品の数量シェアは88.8%となっています。その一方で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業を含む複数のジェネリック医薬品企業による薬機法違反を契機として、医薬品全体において供給不安が生じております。このような状況の下、2022年8月から始まった厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」では、医薬品の流通、薬価制度、ジェネリック医薬品産業の構造上の問題などについて幅広い議論が行われました。その成果として、2024年5月には「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書がまとめられ、6月には政府方針である「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針)において「足下の医薬品の供給不安解消に取り組むとともに、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品業界の理想的な姿を見据え、業界再編も視野に入れた構造改革を促進し、安定供給に係る法的枠組みを整備する」と明記されました。
これを受け、令和7年度薬価改定においては、国民負担軽減の観点に加えて、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保への対応の観点から、品目ごとの特性に応じた改定対象範囲が設定されての改定や最低薬価の引き上げが行われました。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)においても、少量多品目構造の解消に向けた後発医薬品業界の再編推進が記載されるなど、後発医薬品の安定供給に向けた具体的な取り組みが示されています。
こうした中、後発医薬品の非効率な生産体制からの脱却を目指し、生産性向上に取り組む企業への「後発医薬品製造基盤整備基金」や、安定供給体制を確保するための法的枠組みの整備も進められています。また、2026年度薬価改定においては、オーソライズド・ジェネリック医薬品の収載時薬価を先発医薬品と同額とする制度が導入されました。これにより、新規参入時の供給計画の精度向上等を通じた安定供給への寄与が期待されています。
このような環境におきまして、当社グループは中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、信頼される企業基盤の確立に努めつつ、社会インフラとして持続的に社会に貢献することを目指し、「着実な成長」と「ビジネス持続性の確立」に取り組んでおります。
品質管理面においては、中核会社の沢井製薬を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取り組みを行ってまいりました。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取り組みを行ってまいりました。しかしながら、沢井製薬の九州工場で製造するテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切な試験が継続的に行われていたことが判明し、2023年12月に厚生労働省、大阪府及び福岡県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする行政処分を受けました。当該不適切試験が継続して実施されてきた原因について、人的要因に起因する問題として、①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMPに対する理解の欠如が、物的要因に起因する問題として、①品質管理・品質保証の観点からの実効的な監督体制の不備、②試験記録管理の不十分さ、③試験を担当する品質管理部の業務過多及び人員不足が挙げられます。信頼の回復に向けた再発防止策として、①沢井製薬社長直轄の企業風土改革プロジェクトの立ち上げ、②既存上市品の製造面及び品質面での再評価とその対策実施、③全従業員に対するGMP教育の再実施や、管理職・監督職の責任の明確化、工場の品質管理部門、品質保証部門への社内外からの人材確保推進などの沢井製薬生産本部における再発防止策の実施に一丸となって取り組んでおります。また、2024年12月には発がん性物質「ニトロソアミン類」の分析研究に特化した「神戸分析研究センター」を開設し、製剤中にごく微量に含まれる可能性のある「ニトロソアミン類」を対象として、試験法開発難易度の高い品目や分析優先度の高い品目の試験法開発及び実測を行うとともに、社外分析受託会社や社内分析部門に試験法の技術移転を進めていく予定です。
生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大や供給不安、エネルギー価格や原材料価格が高騰する中、さらなる高効率・低コストを追求しており、既存の沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年9月に、九州工場注射剤棟の竣工、並びに2024年7月に、第二九州工場の敷地内に最終的に35億錠の生産能力となる新たな固形剤棟が竣工しました。また、小林化工株式会社から生産活動に係る資産を譲受し、関連部門人員を受け入れたトラストファーマテックにおいては、沢井製薬の製品の受託製造を行っており、稼働率向上に向けて取り組んでおります。今後、25億錠の増産実現に向け清間第二工場と第三工場に設備投資を行う予定としており、当社グループ生産能力年間250億錠体制に向け、引き続き体制の構築に取り組んでまいります。また、製造工程におけるトラブルを軽減し、安定供給に資するため、株式会社ヤマシタワークス、ユケン工業株式会社と共同で、粉末を固めて錠剤にする打錠工程で用いる製造部品を開発しました。この製造部品は汚れがつきにくい素材や加工を施しているため、打錠工程での製造トラブルを回避でき、製造効率の向上が期待できます。それらと併せ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。また、2024年6月には「後発品の安定供給に関連する情報の公表等に関するガイドライン」に従い、安定供給に関する情報開示を行うこととしました。さらに、2025年9月には日医工株式会社と後発医薬品の品目統合等に向けた協業に合意し、後発医薬品業界全体の安定供給体制構築に努めております。
販売面においては、原価高騰への対応策として、生産効率のさらなる改善と並行し、低薬価品を中心に原価高騰に伴う影響分を卸売販売業者への価格に反映しております。また、沢井製薬にて2025年3月に日本市場における経口抗凝固剤「ワーファリン」の権利をエーザイ株式会社から承継する契約を締結しており、循環器領域の製品ラインアップを拡充することで、当社の循環器領域における事業基盤の強化を図っています。また、12月には、「ダパグリフロジン錠」「ラコサミド錠・ドライシロップ」等を含む5成分9品目を発売しました。
製品開発においては、沢井製薬にて、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、5つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、当社が取り扱っている一部の医薬品の包装材料に、使用済みPETボトルを粉砕・洗浄し、高温で溶融・減圧・ろ過などの工程を経て、再び樹脂に戻すメカニカルリサイクルによって得られた「メカニカルリサイクルPETフィルム」を導入するなど、環境に配慮した取り組みを進めております。
さらに新たな取り組みとして、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、2022年より大学、自治体、企業、医療機関等様々な団体との間で連携、利活用を進めており、2025年6月に住友ファーマ株式会社から全株式を取得して子会社となったFrontActの専門人材やノウハウを活用しながら、デジタルヘルスケア事業での製品ラインアップの拡大と事業基盤の強化と成長を図り、デジタル技術を活用して人々の生活・健康をより良い方向に変化させてまいります。また、2025年10月にFrontActと東京都、都内4区市(品川区、世田谷区、豊島区、調布市)と地方独立行政法人東京健康長寿医療センターとの間で、「アプリを活用した高齢者の健康づくり推進事業」に関する連携協定を締結し、フレイル予防・健康づくりの充実・改善に向けて共同して取り組んでまいります。また、治療アプリ(DTx)に関しまして、2022年8月にNASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)領域におけるDTxの開発及び販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結しました。アルコール依存症を適応としたDTxについては2024年8月に販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結し、2025年9月に販売を開始しました。アプリを通じて、デジタルヘルスケア領域での技術や知見の強化とともに、IT技術を活用したソリューションを直接、患者さん・医療従事者の皆様にお届けすることを目指してまいります。医療機器事業においては、2023年12月に片頭痛の急性期治療に用いる医療機器として、厚生労働大臣から製造販売承認を取得した非侵襲型ニューロモデュレーション機器「レリビオン®」を中心として取り組んでまいります。
この結果、当社グループにおける売上収益は201,676百万円(前期比6.7%増)、営業利益は15,894百万円(前期比292.5%増)、コア営業利益(参考値)は24,778百万円(前期比3.6%減)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は200,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ478百万円減少いたしました。これは主に、棚卸資産が安定供給力の強化に向けた生産の影響等により7,740百万円増加、売上債権及びその他の債権が2,676百万円増加した一方、現金及び現金同等物が9,797百万円減少、その他の金融資産が2,132百万円減少したためです。非流動資産は159,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,774百万円増加いたしました。これは主に、沢井製薬第二九州工場における新固形剤棟建設等により有形固定資産が3,757百万円増加、経口抗凝固剤「ワーファリン」の権利承継等により無形資産が2,471百万円増加したためです。
この結果、資産合計は359,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,296百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は80,934百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,881百万円減少いたしました。これは主に、引当金が取崩により16,902百万円減少するとともに、資金繰り計画に基づき借入金が6,827百万円減少したためです。非流動負債は100,429百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,475百万円増加いたしました。これは主に、社債の発行及び借入の実行により社債及び借入金が20,512百万円増加したためです。
この結果、負債合計は181,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ594百万円増加いたしました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は178,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,702百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上及び剰余金の配当等によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.6%(前連結会計年度末は49.0%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は28,989百万円となり、前連結会計年度末に比べて9,797百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益14,273百万円、減価償却費及び償却費16,002百万円、売上債権及びその他の債権の増加2,613百万円、棚卸資産の増加7,561百万円及び引当金の減少16,902百万円を主因として7,433百万円の収入(前期は27,851百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出13,416百万円及び無形資産の取得による支出11,055百万円を主因として22,898百万円の支出(前期は6,480百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入20,500百万円、長期借入金の返済による支出14,971百万円、社債の発行による収入7,455百万円、配当金の支払額6,235百万円を主因として5,587百万円の収入(前期は32,704百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは「医薬品等の製造及び販売」のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)上記金額は、売価換算額で表示しております。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。
c. 販売実績
当社グループは「医薬品等の製造及び販売」のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(※)当連結会計年度における株式会社スズケンへの販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概要
当社グループは、主としてジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本で行っております。「なによりも健やかな暮らしのために」の企業理念の下で、ジェネリック医薬品事業では、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を高め競争に打ち勝つことに努め、持続的な成長を通じて企業価値向上を図りました。
当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約700品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で9の製造拠点を有しております。当社グループにおいて、生産能力及び生産数量(外注含む)は当連結会計年度末で約205億錠及び約166億錠(ともに錠換算)となっております。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりであります。
売上収益は前連結会計年度より12,651百万円(6.7%)増加し、201,676百万円となりました。当社グループの薬効別売上収益は、次のとおりであります。
薬価改定による販売単価下落の影響を受けたものの、一部品目での薬価上昇、選定療養制度導入対象品目や限定出荷解除品目を中心とした既存品の売上増加や、新規上市品を中心に、売上収益が伸長しました。
売上原価は前連結会計年度より10,210百万円(7.7%)増加し、142,882百万円となりました。売上総利益率は29.2%と前年よりやや低下しました。売上原価は、主に原材料費、人件費、減価償却費で構成されております。売上総利益率が前年よりやや低下した主な要因は、売上総利益率が相対的に高い新製品の発売に伴う製品MIXの改善による上昇要素に対して、薬価改定による影響及びエネルギーや原材料価格の上昇並びに人員増加による固定費の増加、加えて棚卸資産の評価損、廃棄損による低下要素の影響の方が大きかったことであります。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度より2,538百万円(10.8%)増加し、26,056百万円となりました。主な増加要因は、コスト削減に努めているものの、販売数量の増加に伴う運賃諸掛の増加と人員増加に伴う人件費増加等となっております。
研究開発費は前連結会計年度より205百万円(1.6%)減少し、12,388百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に減損損失3,076百万円を認識したことによる反動であります。
その他の収益は前連結会計年度より801百万円(94.8%)減少し、44百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に遊休資産を売却したことにより有形固定資産売却益が発生したことの反動であります。
その他の費用は前連結会計年度より12,537百万円(73.6%)減少し、4,499百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に訴訟損失引当金16,757百万円を認識した一方、当連結会計年度に支払和解金4,020百万円を計上したためであります。
以上より、営業利益は11,845百万円(292.5%)増加し、15,894百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
Ⅰ キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、7,433百万円の収入となりました(前連結会計年度は27,851百万円の収入)。当連結会計年度は14,273百万円の税引前当期利益となり、安定供給力の強化に向け棚卸資産の購入・製造に係るキャッシュ・アウトが大きかったことに加え、当社製品に関する訴訟の賠償金支払や、前連結会計年度では法人所得税の還付があったことの反動により、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比で収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、22,898百万円の支出となりました(前連結会計年度は6,480百万円の収入)。これは主に、有形固定資産の取得による支出、及び無形資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,587百万円の収入となりました(前連結会計年度は32,704百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入、及び社債の発行による収入によるものです。
Ⅱ 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。
Ⅲ 財務政策
当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。
2024年6月に発表した中計でも示しているとおり、成長に向けた投資を積極的かつ効果的に継続実施していく予定であり、その内訳は中期経営計画期間の3年間合計で、研究開発投資約350億円、GE事業約785億円、新規事業35億円+α、機動的アロケーション約210億円+α、自己株取得約330億円+α、配当190億円以上となっております。このうち、GE事業投資については、将来の需要増に応じて生産キャパシティを拡大するべく、沢井製薬の第二九州工場新固形剤棟新設(ステップ2の一部)等を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フロー7,433百万円の収入と第3回無担保社債の発行、また長期借入れによる収入を原資に、第二九州工場新固形剤棟建設資金などの有形固定資産の取得、及び無形資産の取得、配当金の支払いなどに充当しています。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当該連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験、見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積り及び仮定に影響を受ける重要性がある会計方針は次のとおりです。また、見積り及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(収益認識)
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベート等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。
収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。
・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。
・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りにより変動する可能性があります。
これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。
(無形資産の減損)
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。また未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。
資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。
回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
・割引率
・将来キャッシュ・フローの金額及び時期
・競合他社の動向
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。
当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、無形資産の減損損失は適切であると判断しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の発生見込みは事業計画を基礎としておりますが、当該事業計画には開発中の製品の上市及び市場シェアの拡大による販売数量の増加等並びに将来の薬価改定による影響等を主要な仮定として織り込んでおります。繰延税金資産は期末日毎に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を獲得する可能性が高くなくなった部分について減額しております。
当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、繰延税金資産の回収可能性は適切であると判断しております。
(米国における広域係属訴訟(Multi District Litigation、以下、「MDL訴訟」という。)に対する金融負債)
当社は、2024年1月16日に、当社が保有する米国事業の持株会社であるSAHの全株式、並びにその傘下にあるSALの当社持分とUSLの持分を、SALへの共同出資者であるSCOAとともに、Boraに譲渡することを決議し、2024年4月2日をもって譲渡が完了しました。
上記のBoraとの持分譲渡契約において、USLが被告となっている反トラストに係るMDL訴訟に関する訴訟対応費用及びその帰結(判決、和解等に基づく損害賠償)に対して一定の責任を負う旨が規定されております。
当社は、Bora及び訴訟代理弁護士と密接に連携をとるとともに、本件について対処する法律事務所を独自に起用することを通して、本訴訟の実態を適時に把握する体制をとっております。
当社グループは、上記体制に基づいて、現時点で見積もられた想定負債合計は適切であると判断しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。2024年3月期第3四半期連結累計期間より、米国事業を非継続事業に分類しており、2024年4月2日に当社の米国事業の持株会社であるSawai America Holdings Inc.(以下、「SAH」という。)の全株式、並びにその傘下にあるSawai America LLC(以下、「SAL」という。)の当社持分とUSLの持分をSALへの共同出資者であるSumitomo Corporation of Americas(以下、「SCOA」という。)とともに、Boraに譲渡(以下、「本株式等譲渡」という。)しております。このため、売上収益、営業利益、税引前当期利益、継続事業からの当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した金額を表示しております。
IFRSに基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益201,676百万円(前期比6.7%増)、営業利益15,894百万円(前期比292.5%増)、税引前当期利益14,273百万円(前期比351.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益10,438百万円(前期比12.8%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、24,778百万円(前期比3.6%減)となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (2025年3月期) | 当連結会計年度 (2026年3月期) | 増減額 | 増減率(%) | |
| 売上収益 | 189,024 | 201,676 | 12,651 | 6.7 |
| 営業利益 | 4,050 | 15,894 | 11,845 | 292.5 |
| 税引前当期利益 | 3,161 | 14,273 | 11,112 | 351.5 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 11,969 | 10,438 | △1,532 | △12.8 |
| コア営業利益 | 25,703 | 24,778 | △925 | △3.6 |
(注)売上収益、営業利益、税引前当期利益、コア営業利益は継続事業の業績を、親会社の所有者に帰属する当期利益は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ表示しています。
当社グループは、持株会社体制の下、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「Beyond 2027(以下、「中計」という。)」を発表し、同時に定量目標を修正した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」では、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「信頼される企業基盤の確立」を土台とし、さらに成長するために、「事業戦略」および「経営基盤」に重点テーマを設定しました。「事業戦略」は「GE市場における着実な成長」「GEビジネスの持続性確立」「成長分野への継続的投資」を重点テーマとして設定し、「経営基盤」では「持続的成長を支える人財の創出」「サステナビリティへの取り組み」「資本効率改善」を重点テーマとして設定しております。
2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされたのをはじめ、2022年4月の診療報酬改定では、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。
さらに2024年9月の社会保障審議会医療保険部会では、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」が改訂され、数値目標として、「主目標:医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上(旧ロードマップから継続)」「副次目標①:2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の成分数の60%以上」「副次目標②:後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」が掲げられております(2024年9月の薬価調査における後発医薬品の金額シェアは62.1%)。また、2024年10月からは、ジェネリック医薬品のある長期収載品を患者さんが希望される場合は追加で患者負担を求める「選定療養」制度が導入され、これによりジェネリック医薬品の使用がさらに進んでいます。その結果、2025年9月の政府の薬価調査(速報値)による最新のジェネリック医薬品の数量シェアは88.8%となっています。その一方で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業を含む複数のジェネリック医薬品企業による薬機法違反を契機として、医薬品全体において供給不安が生じております。このような状況の下、2022年8月から始まった厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」では、医薬品の流通、薬価制度、ジェネリック医薬品産業の構造上の問題などについて幅広い議論が行われました。その成果として、2024年5月には「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書がまとめられ、6月には政府方針である「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針)において「足下の医薬品の供給不安解消に取り組むとともに、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品業界の理想的な姿を見据え、業界再編も視野に入れた構造改革を促進し、安定供給に係る法的枠組みを整備する」と明記されました。
これを受け、令和7年度薬価改定においては、国民負担軽減の観点に加えて、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保への対応の観点から、品目ごとの特性に応じた改定対象範囲が設定されての改定や最低薬価の引き上げが行われました。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)においても、少量多品目構造の解消に向けた後発医薬品業界の再編推進が記載されるなど、後発医薬品の安定供給に向けた具体的な取り組みが示されています。
こうした中、後発医薬品の非効率な生産体制からの脱却を目指し、生産性向上に取り組む企業への「後発医薬品製造基盤整備基金」や、安定供給体制を確保するための法的枠組みの整備も進められています。また、2026年度薬価改定においては、オーソライズド・ジェネリック医薬品の収載時薬価を先発医薬品と同額とする制度が導入されました。これにより、新規参入時の供給計画の精度向上等を通じた安定供給への寄与が期待されています。
このような環境におきまして、当社グループは中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、信頼される企業基盤の確立に努めつつ、社会インフラとして持続的に社会に貢献することを目指し、「着実な成長」と「ビジネス持続性の確立」に取り組んでおります。
品質管理面においては、中核会社の沢井製薬を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取り組みを行ってまいりました。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取り組みを行ってまいりました。しかしながら、沢井製薬の九州工場で製造するテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切な試験が継続的に行われていたことが判明し、2023年12月に厚生労働省、大阪府及び福岡県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする行政処分を受けました。当該不適切試験が継続して実施されてきた原因について、人的要因に起因する問題として、①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMPに対する理解の欠如が、物的要因に起因する問題として、①品質管理・品質保証の観点からの実効的な監督体制の不備、②試験記録管理の不十分さ、③試験を担当する品質管理部の業務過多及び人員不足が挙げられます。信頼の回復に向けた再発防止策として、①沢井製薬社長直轄の企業風土改革プロジェクトの立ち上げ、②既存上市品の製造面及び品質面での再評価とその対策実施、③全従業員に対するGMP教育の再実施や、管理職・監督職の責任の明確化、工場の品質管理部門、品質保証部門への社内外からの人材確保推進などの沢井製薬生産本部における再発防止策の実施に一丸となって取り組んでおります。また、2024年12月には発がん性物質「ニトロソアミン類」の分析研究に特化した「神戸分析研究センター」を開設し、製剤中にごく微量に含まれる可能性のある「ニトロソアミン類」を対象として、試験法開発難易度の高い品目や分析優先度の高い品目の試験法開発及び実測を行うとともに、社外分析受託会社や社内分析部門に試験法の技術移転を進めていく予定です。
生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大や供給不安、エネルギー価格や原材料価格が高騰する中、さらなる高効率・低コストを追求しており、既存の沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年9月に、九州工場注射剤棟の竣工、並びに2024年7月に、第二九州工場の敷地内に最終的に35億錠の生産能力となる新たな固形剤棟が竣工しました。また、小林化工株式会社から生産活動に係る資産を譲受し、関連部門人員を受け入れたトラストファーマテックにおいては、沢井製薬の製品の受託製造を行っており、稼働率向上に向けて取り組んでおります。今後、25億錠の増産実現に向け清間第二工場と第三工場に設備投資を行う予定としており、当社グループ生産能力年間250億錠体制に向け、引き続き体制の構築に取り組んでまいります。また、製造工程におけるトラブルを軽減し、安定供給に資するため、株式会社ヤマシタワークス、ユケン工業株式会社と共同で、粉末を固めて錠剤にする打錠工程で用いる製造部品を開発しました。この製造部品は汚れがつきにくい素材や加工を施しているため、打錠工程での製造トラブルを回避でき、製造効率の向上が期待できます。それらと併せ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。また、2024年6月には「後発品の安定供給に関連する情報の公表等に関するガイドライン」に従い、安定供給に関する情報開示を行うこととしました。さらに、2025年9月には日医工株式会社と後発医薬品の品目統合等に向けた協業に合意し、後発医薬品業界全体の安定供給体制構築に努めております。
販売面においては、原価高騰への対応策として、生産効率のさらなる改善と並行し、低薬価品を中心に原価高騰に伴う影響分を卸売販売業者への価格に反映しております。また、沢井製薬にて2025年3月に日本市場における経口抗凝固剤「ワーファリン」の権利をエーザイ株式会社から承継する契約を締結しており、循環器領域の製品ラインアップを拡充することで、当社の循環器領域における事業基盤の強化を図っています。また、12月には、「ダパグリフロジン錠」「ラコサミド錠・ドライシロップ」等を含む5成分9品目を発売しました。
製品開発においては、沢井製薬にて、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、5つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、当社が取り扱っている一部の医薬品の包装材料に、使用済みPETボトルを粉砕・洗浄し、高温で溶融・減圧・ろ過などの工程を経て、再び樹脂に戻すメカニカルリサイクルによって得られた「メカニカルリサイクルPETフィルム」を導入するなど、環境に配慮した取り組みを進めております。
さらに新たな取り組みとして、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、2022年より大学、自治体、企業、医療機関等様々な団体との間で連携、利活用を進めており、2025年6月に住友ファーマ株式会社から全株式を取得して子会社となったFrontActの専門人材やノウハウを活用しながら、デジタルヘルスケア事業での製品ラインアップの拡大と事業基盤の強化と成長を図り、デジタル技術を活用して人々の生活・健康をより良い方向に変化させてまいります。また、2025年10月にFrontActと東京都、都内4区市(品川区、世田谷区、豊島区、調布市)と地方独立行政法人東京健康長寿医療センターとの間で、「アプリを活用した高齢者の健康づくり推進事業」に関する連携協定を締結し、フレイル予防・健康づくりの充実・改善に向けて共同して取り組んでまいります。また、治療アプリ(DTx)に関しまして、2022年8月にNASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)領域におけるDTxの開発及び販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結しました。アルコール依存症を適応としたDTxについては2024年8月に販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結し、2025年9月に販売を開始しました。アプリを通じて、デジタルヘルスケア領域での技術や知見の強化とともに、IT技術を活用したソリューションを直接、患者さん・医療従事者の皆様にお届けすることを目指してまいります。医療機器事業においては、2023年12月に片頭痛の急性期治療に用いる医療機器として、厚生労働大臣から製造販売承認を取得した非侵襲型ニューロモデュレーション機器「レリビオン®」を中心として取り組んでまいります。
この結果、当社グループにおける売上収益は201,676百万円(前期比6.7%増)、営業利益は15,894百万円(前期比292.5%増)、コア営業利益(参考値)は24,778百万円(前期比3.6%減)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は200,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ478百万円減少いたしました。これは主に、棚卸資産が安定供給力の強化に向けた生産の影響等により7,740百万円増加、売上債権及びその他の債権が2,676百万円増加した一方、現金及び現金同等物が9,797百万円減少、その他の金融資産が2,132百万円減少したためです。非流動資産は159,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,774百万円増加いたしました。これは主に、沢井製薬第二九州工場における新固形剤棟建設等により有形固定資産が3,757百万円増加、経口抗凝固剤「ワーファリン」の権利承継等により無形資産が2,471百万円増加したためです。
この結果、資産合計は359,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,296百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は80,934百万円となり、前連結会計年度末に比べ21,881百万円減少いたしました。これは主に、引当金が取崩により16,902百万円減少するとともに、資金繰り計画に基づき借入金が6,827百万円減少したためです。非流動負債は100,429百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,475百万円増加いたしました。これは主に、社債の発行及び借入の実行により社債及び借入金が20,512百万円増加したためです。
この結果、負債合計は181,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ594百万円増加いたしました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は178,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,702百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上及び剰余金の配当等によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.6%(前連結会計年度末は49.0%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は28,989百万円となり、前連結会計年度末に比べて9,797百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益14,273百万円、減価償却費及び償却費16,002百万円、売上債権及びその他の債権の増加2,613百万円、棚卸資産の増加7,561百万円及び引当金の減少16,902百万円を主因として7,433百万円の収入(前期は27,851百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出13,416百万円及び無形資産の取得による支出11,055百万円を主因として22,898百万円の支出(前期は6,480百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入20,500百万円、長期借入金の返済による支出14,971百万円、社債の発行による収入7,455百万円、配当金の支払額6,235百万円を主因として5,587百万円の収入(前期は32,704百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは「医薬品等の製造及び販売」のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 増減率(%) |
| 医薬品等の製造及び販売 | 185,749 | 0.6 |
(注)上記金額は、売価換算額で表示しております。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。
c. 販売実績
当社グループは「医薬品等の製造及び販売」のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 増減率(%) |
| 医薬品等の製造及び販売 | 201,676 | 6.7 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 株式会社メディセオ | 37,601 | 19.9 | 41,016 | 20.3 |
| アルフレッサ株式会社 | 34,538 | 18.3 | 38,642 | 19.2 |
| 株式会社スズケン(※) | 19,856 | 10.5 | - | - |
(※)当連結会計年度における株式会社スズケンへの販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概要
当社グループは、主としてジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本で行っております。「なによりも健やかな暮らしのために」の企業理念の下で、ジェネリック医薬品事業では、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を高め競争に打ち勝つことに努め、持続的な成長を通じて企業価値向上を図りました。
当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約700品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で9の製造拠点を有しております。当社グループにおいて、生産能力及び生産数量(外注含む)は当連結会計年度末で約205億錠及び約166億錠(ともに錠換算)となっております。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||||||
| 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | 増減額 | ||||
| 継続事業 | ||||||
| 売上収益 | 189,024 | 201,676 | 12,651 | |||
| 売上原価 | △132,673 | △142,882 | △10,210 | |||
| 売上総利益 | 56,352 | 58,793 | 2,442 | |||
| 販売費及び一般管理費 | △23,518 | △26,056 | △2,538 | |||
| 研究開発費 | △12,593 | △12,388 | 205 | |||
| その他の収益 | 845 | 44 | △801 | |||
| その他の費用 | △17,035 | △4,499 | 12,537 | |||
| 営業利益 | 4,050 | 15,894 | 11,845 | |||
| 金融収益 | 151 | 145 | △6 | |||
| 金融費用 | △1,039 | △1,766 | △727 | |||
| 税引前当期利益 | 3,161 | 14,273 | 11,112 | |||
| 法人所得税 | △988 | △2,737 | △1,749 | |||
| 継続事業からの当期利益 | 2,173 | 11,536 | 9,363 | |||
| 非継続事業 | ||||||
| 非継続事業からの当期利益(△損失) | 9,796 | △1,098 | △10,894 | |||
| 当期利益 | 11,969 | 10,438 | △1,532 | |||
| 当期利益の帰属 | ||||||
| 親会社の所有者 | 11,969 | 10,438 | △1,532 | |||
売上収益は前連結会計年度より12,651百万円(6.7%)増加し、201,676百万円となりました。当社グループの薬効別売上収益は、次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||||
| 薬効別分類 | 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) | ||
| 循環器官用薬 | 42,565 | 45,796 | ||
| 中枢神経系用薬 | 25,711 | 28,140 | ||
| その他の代謝性医薬品 | 20,562 | 24,955 | ||
| 消化器官用薬 | 20,403 | 22,310 | ||
| 血液・体液用薬 | 17,823 | 19,778 | ||
| 抗生物質製剤 | 10,668 | 9,384 | ||
| アレルギー用薬 | 8,898 | 8,913 | ||
| 呼吸器官用薬 | 6,929 | 7,613 | ||
| ビタミン剤 | 7,115 | 7,223 | ||
| 腫瘍用薬 | 6,445 | 6,787 | ||
| 化学療法剤 | 7,022 | 5,984 | ||
| 泌尿生殖器官及び肛門用薬 | 5,184 | 5,406 | ||
| その他 | 9,699 | 9,385 | ||
| 合計 | 189,024 | 201,676 | ||
薬価改定による販売単価下落の影響を受けたものの、一部品目での薬価上昇、選定療養制度導入対象品目や限定出荷解除品目を中心とした既存品の売上増加や、新規上市品を中心に、売上収益が伸長しました。
売上原価は前連結会計年度より10,210百万円(7.7%)増加し、142,882百万円となりました。売上総利益率は29.2%と前年よりやや低下しました。売上原価は、主に原材料費、人件費、減価償却費で構成されております。売上総利益率が前年よりやや低下した主な要因は、売上総利益率が相対的に高い新製品の発売に伴う製品MIXの改善による上昇要素に対して、薬価改定による影響及びエネルギーや原材料価格の上昇並びに人員増加による固定費の増加、加えて棚卸資産の評価損、廃棄損による低下要素の影響の方が大きかったことであります。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度より2,538百万円(10.8%)増加し、26,056百万円となりました。主な増加要因は、コスト削減に努めているものの、販売数量の増加に伴う運賃諸掛の増加と人員増加に伴う人件費増加等となっております。
研究開発費は前連結会計年度より205百万円(1.6%)減少し、12,388百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に減損損失3,076百万円を認識したことによる反動であります。
その他の収益は前連結会計年度より801百万円(94.8%)減少し、44百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に遊休資産を売却したことにより有形固定資産売却益が発生したことの反動であります。
その他の費用は前連結会計年度より12,537百万円(73.6%)減少し、4,499百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に訴訟損失引当金16,757百万円を認識した一方、当連結会計年度に支払和解金4,020百万円を計上したためであります。
以上より、営業利益は11,845百万円(292.5%)増加し、15,894百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
Ⅰ キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、7,433百万円の収入となりました(前連結会計年度は27,851百万円の収入)。当連結会計年度は14,273百万円の税引前当期利益となり、安定供給力の強化に向け棚卸資産の購入・製造に係るキャッシュ・アウトが大きかったことに加え、当社製品に関する訴訟の賠償金支払や、前連結会計年度では法人所得税の還付があったことの反動により、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比で収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、22,898百万円の支出となりました(前連結会計年度は6,480百万円の収入)。これは主に、有形固定資産の取得による支出、及び無形資産の取得による支出によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,587百万円の収入となりました(前連結会計年度は32,704百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入、及び社債の発行による収入によるものです。
Ⅱ 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。
Ⅲ 財務政策
当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。
2024年6月に発表した中計でも示しているとおり、成長に向けた投資を積極的かつ効果的に継続実施していく予定であり、その内訳は中期経営計画期間の3年間合計で、研究開発投資約350億円、GE事業約785億円、新規事業35億円+α、機動的アロケーション約210億円+α、自己株取得約330億円+α、配当190億円以上となっております。このうち、GE事業投資については、将来の需要増に応じて生産キャパシティを拡大するべく、沢井製薬の第二九州工場新固形剤棟新設(ステップ2の一部)等を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フロー7,433百万円の収入と第3回無担保社債の発行、また長期借入れによる収入を原資に、第二九州工場新固形剤棟建設資金などの有形固定資産の取得、及び無形資産の取得、配当金の支払いなどに充当しています。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当該連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験、見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積り及び仮定に影響を受ける重要性がある会計方針は次のとおりです。また、見積り及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(収益認識)
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベート等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。
収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。
・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。
・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りにより変動する可能性があります。
これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。
(無形資産の減損)
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。また未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。
資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。
回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
・割引率
・将来キャッシュ・フローの金額及び時期
・競合他社の動向
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。
当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、無形資産の減損損失は適切であると判断しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の発生見込みは事業計画を基礎としておりますが、当該事業計画には開発中の製品の上市及び市場シェアの拡大による販売数量の増加等並びに将来の薬価改定による影響等を主要な仮定として織り込んでおります。繰延税金資産は期末日毎に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を獲得する可能性が高くなくなった部分について減額しております。
当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、繰延税金資産の回収可能性は適切であると判断しております。
(米国における広域係属訴訟(Multi District Litigation、以下、「MDL訴訟」という。)に対する金融負債)
当社は、2024年1月16日に、当社が保有する米国事業の持株会社であるSAHの全株式、並びにその傘下にあるSALの当社持分とUSLの持分を、SALへの共同出資者であるSCOAとともに、Boraに譲渡することを決議し、2024年4月2日をもって譲渡が完了しました。
上記のBoraとの持分譲渡契約において、USLが被告となっている反トラストに係るMDL訴訟に関する訴訟対応費用及びその帰結(判決、和解等に基づく損害賠償)に対して一定の責任を負う旨が規定されております。
当社は、Bora及び訴訟代理弁護士と密接に連携をとるとともに、本件について対処する法律事務所を独自に起用することを通して、本訴訟の実態を適時に把握する体制をとっております。
当社グループは、上記体制に基づいて、現時点で見積もられた想定負債合計は適切であると判断しております。