有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/22 15:00
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。本項目を含む、本書における当社グループに関連する見通し、計画、目標等の将来に関する記述は、当社グループが現在入手している情報に基づき本書提出日時点における予測等を基礎としてなされたものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針
当社グループは、ミッションとして「お客さまの声で世界を変える」を掲げております。当社グループは、創業以来お客さまの声を利活用することで会社を成長させている企業様のサポートを多数してまいりました。今後は、今まで培ったノウハウを活かしたプラットフォームを広めていくことで、お客さまの声を活用する企業を増やし、そのような企業が増えることで日本を変え、さらに世界を変えて行きたいと考えております。
また、ビジョンとして「テクノロジーの力で顧客対応のデジタルシフトを支援」を掲げております。ICTの利活用においては、アナログなスキルをどれだけ改善しても本質的な解決にはならないと考えております。当社グループはICTを活用することで、企業活動で存在する情報を繋ぎ、まとめることで効率化をサポートすることはもちろん、今まで見えなかった情報を可視化・分析し、経営判断や新商品の開発、品質管理、マーケティングなど会社の事業活動に貢献することで、クライアント企業の成長に貢献いたします。
(2)経営戦略等
当社のミッションである「お客さまの声で世界を変える」の実現のため、当社グループは顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」をオンライン・オフライン問わず顧客対応が必要な様々な企業に提供することを推進してまいります。また、企業に提供する事で生まれるノウハウをフィードバックすることでプラットフォームの機能を強化し、高い顧客満足度と新規営業への貢献など、顧客基盤を固めていくと共に、競争力があるプラットフォーム開発を目指すことで、販売や事業提携等の戦略的パートナーシップの構築にも力を入れてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高、営業利益を特に重視しております。当社グループの経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、クラウド事業及びオンプレ事業共に新規導入件数であると考えております。
既存顧客営業の強化や追加オプション機能(音声認識機能、店舗検索機能等)をはじめとしたアップセル・クロスセルサービスの開発、導入等の施策を推進すると共に、適正な人員規模・人材配置による事業運営に努めてまいります。
(4)経営環境
当社グループ事業は、顧客対応部門向けサービスが主な市場となっております。
生産年齢人口減少に伴う人手不足を背景とした働き方改革が推進される一方、企業の顧客対応部門は新型コロナウイルスの世界的流行の昨今においても、受付件数の増加や対応内容の複雑化、チャットやSNSなど問い合わせのチャネルの増加などに直面していると認識しております。人手不足の中でも担当者増員無しで対応するケースも少なくなく、増員無しでの環境の中でも多様な情報処理対応が求められてきているとの観測もあります。また企業の業務スタイルはテレワークの活用が進んでいる一方、企業内での情報共有が希薄化、顧客対応についてのナレッジ不足深刻化や、情報連携の弱体化とリスク感知力の低下進行が想定されております。
近年、企業は効率性重視から持続可能性重視(ESG、SDGsに対する意識強化)に転換する中、顧客満足度向上に向けて、顧客対応部門への期待は大きいと考えられます。同時にインシデント対応や危機対応への対応としても顧客対応部門の重要性はますます高くなってまいります。
当社グループは、市場の拡大・変化及び競合企業の動向など経営環境の変化に対応すべく、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」を中心に常にフィードバックを活かしていく体制を構築することで、持続的な成長の実現に取り組んでまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① ユーザビリティの更なる向上
当社グループの主力サービスである「Discoveriez」が今後も継続的に成長していくためには、より幅広い業種の顧客に支持されていくと共に、継続的に利用していただく必要があると考えております。そのためには、当該サービスの競争優位性の源泉となっているユーザビリティの維持向上が必要不可欠であると認識しております。当社グループでは、従来の国内開発に加え、オフショア開発の導入、ミャンマーに開発拠点を設立する等、開発リソースの確保に注力してまいりました。今後も顧客のニーズを迅速に把握し、継続的に「Discoveriez」の機能強化に注力することにより、競合他社との差別化を図っていきます。
② 新規顧客の獲得
近年のSNSなどの発展に伴い顧客の声は重要性を増しており、企業は対応を誤ると企業価値を毀損するなど多大なリスクを負うことになります。当社グループの「Discoveriez」は業界知及び、蓄積したデータの分析により、顧客の声からビジネスのリスクやチャンスの発見・予測を行う機能を実装しております。当社グループは「Discoveriez」の継続的な機能強化により更なる信頼度を高めると共に、新規顧客の獲得に努めてまいります。また、顧客対応窓口向けの相談窓口として「next相談室」を拡張し、ナレッジを提供してまいります。大企業への導入拡大に向けて基本機能や連携サービスを強化すると共に、SMB(※1)への導入拡大に向けては、プロモーション強化及び代理店開拓に努めてまいります。
③ システムの安定性の確保
当社グループは、インターネット上で顧客にサービスを提供しており、システムの安定稼働の確保は必要不可欠であります。安定してサービスを提供していくため顧客の増加に合わせた適切なインフラ環境の構築の強化を継続的に行い、システムの安定性の確保に努めてまいります。
④ 人材の確保と育成
当社グループが持続的に成長するためには、優秀な人材を数多く確保・育成することが重要であると認識しております。特にサービス利便性及び機能の向上のためには、優秀なエンジニアの継続的な採用が課題であると認識しております。
当社グループは、従業員の多様な働き方を推進し採用力を高めるとともに、既存人材の能力及び技術の向上のため、教育・研修体制の充実化を進めていく方針であります。
⑤ 内部管理体制の強化
クラウド事業を推進するにあたり、情報セキュリティを含む内部統制体制への信頼性確保の重要性が高まっております。当社グループは、統制の仕組み化(ルール化、見える化、効率化)をより一層強化すると共に、財務、人事、広報、法務等、それぞれの分野でコア人材となり得る高い専門性や豊富な経験を有している人材を採用することで、更なる内部管理体制の強化を図り、より一層のコーポレート・ガバナンスの充実に努めてまいります。
⑥ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社グループは、事業拡大を目指して、開発投資を中心に積極的な先行投資を進めており、2020年3月期は営業損失を計上しております。
当社の収益の中心であるクラウド事業の新規導入件数が伸びることで、先行投資として計上される開発費用が売上高に占める割合は低下しており、今後も中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
(※1) SMB
中小企業のこと。Small to Medium Businessの省略表記。