有価証券報告書-第7期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1) 経営環境及び経営方針等
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、五次総特に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要増への安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。
福島への責任を果たしていくため、五次総特の下、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
このような経営環境の下、東京電力ホールディングスグループで五次総特に基づき掲げる「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で付加価値の高い安定的な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経年水力発電所のリプレースによる発電電力量の増加や、“設備・ヒト・業務がデータでつながり、最大限の価値を生み出す発電所”と定義した「スマート発電所」の実現等の施策により既存アセットの収益力を向上させ、賠償・廃炉に関して、東京電力ホールディングスグループ全体で年間約5,000億円程度の資金の確保に貢献する。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、多くの国・地域が期限付きのカーボンニュートラル目標を掲げる中、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現し、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業においては、電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが広がっており、脱炭素と経済成長の両立に対する期待が高まっている。このような潮流を背景に、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、非化石電源比率を高める等、大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内においても、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、脱炭素電源の拡大を図り、最大限活用していくことが必要不可欠と示されている。
加えて、生成AIの利活用拡大やデータセンターの新増設等を背景としたDXの進展に伴い、今後、国内での電力需要は中長期的に大きく増加すると見込まれている。さらに、地政学リスクの高まり等を踏まえたエネルギー安全保障への要請も強まっており、安定的かつ大量の電力供給を脱炭素電源により実現することの重要性が一層高まっている。第7次エネルギー基本計画においては、将来の電力需要増加に対して十分な脱炭素電源を確保できない場合、我が国の経済成長や産業競争力強化の機会を喪失しかねないとの強い問題意識が示されており、電気事業者としての責務は一層増大しているものと認識している。
このような環境下において、これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外再生可能エネルギー事業と洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、東京電力ホールディングスグループ全体で年間約5,000億円程度の資金の確保に貢献する。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリプレースを継続的に実施し、2箇所の発電所で工事を完了させたほか、従来は巡視や点検で取得していたデータをIoTやセンサーを活用して常時取得し、設備トラブルの予兆監視を行う等、DX推進による業務高度化に向けた取り組みをすすめてきた。
また、国土交通省が推進する治水機能の強化と水力発電の促進を両立させる「ハイブリッドダム」の取り組みとして全国で初めてとなる栃木県湯西川ダムにおける事業の公募に応札し、2025年10月、当社を含むコンソーシアムが湯西川ダムの事業候補者に特定された。
さらに、再生可能エネルギー電源ニーズを有するお客さまに対し、特定の一般水力発電所の電気をお客さまにお届けする「コーポレートPPA」で電力供給するビジネスモデルを展開し、収益源の獲得による事業基盤強化にも着実に取り組んできた。
揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴ってその重要性が増している調整電源としての強みを活かし、系統安定に貢献するとともに、需給調整市場等での取引や、蓄電機能を活用した新電力等のお客さまへの「電力預かりサービス」の提供を行い、さらなる収益拡大をはかってきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
国内の洋上風力発電事業においては、将来の主力電源化を目指し、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから知見・経験の獲得をはかってきた。
また、海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。特に洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことを目指し、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みを進めてきた。
さらに、地熱発電事業については、長期安定稼働が可能な再生可能エネルギー電源であるという特性を踏まえ、国内の案件を通じて開発・建設技術・運転ノウハウの蓄積を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2026年2月に200億円の社債(グリーンボンド)を発行する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
再生可能エネルギーの主力電源化及び長期安定電源化に向けて、国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリプレースによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立をはかっていく。また、国のハイブリッドダムの取り組みに基づく既設ダムへの発電所新設等により、国とも連携して、貴重な水資源を最大限に活かした付加価値の高い安定的な電気の供給を行うとともに、コーポレートPPAの拡大等により、さらなる収益向上に取り組む。
さらに、水力発電事業における事業基盤の変革に向けて、“設備・ヒト・業務がデータでつながり、最大限の価値を生み出す発電所”と定義した「スマート発電所」の実現を目指していく。特に、システム標準化・現地制御の自動化については、今後、自社利用にとどまらず、広域ネットワークを経由した水力運転監視制御システムの利用サービス提供等を通じて、水系全体における高度な水管理運用の実現を志向していく。
加えて、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電については、その強みである蓄電機能・調整力を電力市場等で最大限活用し、カーボンニュートラルと系統安定化に貢献していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、出資参画しているベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業において、長年の国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かし、ダム調整池の堆砂対策による発電電力量の増加やO&Mの効率化によるコストダウン等に取り組むことで、水力発電所のバリューアップを行うとともに、パイプライン案件の開発を着実にすすめて、収益を拡大し、グローバルなサプライチェーンの国内還元をめざしていく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、みらいえのしま合同会社を通じた長崎県西海市江島沖での開発により得られた知見を活かし、国内外における中長期的な事業拡大に向け競争力強化をはかっていく。
また、フローテーション・エナジー社が英国で開発を進める浮体式案件を通じて設計・建設・O&Mの知見を獲得し日本市場での活用をめざす等、国内外における事業拡大を推進していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については、長年のO&M実績により安定的な電気の供給を実現してきた一方、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から改善の余地は残っている。これまでのO&Mノウハウにドローンやデジタル技術を融合させることにより、地上・水中の様々な保全業務において遠隔監視・遠隔制御を実現し、生産性向上や業務負担低減のみならず、非常時における現地対応の削減等による人身災害の防止にも寄与する取り組みをすすめていく。
また、蓄積した運用データと外部気象データを活用したAIを用いて、複数ダム群の連携操作による下流発電所を含めた水系全体のダム運用の最適化モデルをシミュレーションし、実装する等、再生可能エネルギーの増電力と防災の両立に貢献する取り組み等をすすめることで、社会的価値の創出を実現していく。
ホ.組織体制の構築
収益拡大に向けて、国内水力発電事業の基盤強化に加え、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の推進が必要であり、そのための組織体制の充実をはかっていく。まずは国内水力発電事業に優先的に人財を充てることを基本に、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得をすすめる。並行して、DXとカイゼン活動を通じて、事業運営に関わる業務の変革を推進し、事業全体のさらなる省力化をはかる。これにより、収益拡大と業務効率の向上に必要な人財確保の両立を志向していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来のさらなる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。開発期間の短い太陽光発電事業については、引き続き子会社の東京発電株式会社にリソースを集中させ、地域との共生を重視しながら取り組んでいく。
地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った案件開発ノウハウを活かし、新規案件の早期事業化をめざしていく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
将来の事業の柱となり得るグリーン水素については、お客さまのニーズに応えられるよう、引き続き取り組んでいく。また、電力需要が落ち込む時間帯に設備を運転することで電力需要を創出し、それによる需給調整も担えることから、揚水・蓄電池に次ぐ系統調整機能としても期待される。こうした特性を踏まえ、水素に対する需要や技術開発、政策の動向等も見極めながら、先行的な実証等を通じてノウハウの蓄積に向けて取り組んでいく。
さらに、資産回転型の事業モデルの導入を検討する等して投下資金の早期回収をはかり、有望な新規案件に再投資できるよう、投資キャッシュフローの最適化を実現しながら、事業を拡大し成長を促進していく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な金融手法により必要資金を確保し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、福島第一原子力発電所の廃炉の進捗、GX・DXの進展等に伴う電力需要の増加、物価高騰等に伴う投資・費用増による厳しい財務状況等、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、五次総特に基づき、前人未踏の領域である廃炉の貫徹に向けた改革や、GX・DX等による電力需要増への安定供給責任の全うと事業成長に向けた取り組み、経営合理化や資産売却等を通じた財務状況の改善を進めていく。加えて、中長期的な廃炉の推進と企業価値向上の両立に向け、資金・技術・能力等の補完につながるアライアンスを追求し、大胆な改革に取り組んでいく。
福島への責任を果たしていくため、五次総特の下、福島事業・経済事業双方の改革に取り組み、賠償・廃炉に必要な資金の確保及び企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
このような経営環境の下、東京電力ホールディングスグループで五次総特に基づき掲げる「脱炭素電源の確保・カーボンニュートラルの実現」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で付加価値の高い安定的な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経年水力発電所のリプレースによる発電電力量の増加や、“設備・ヒト・業務がデータでつながり、最大限の価値を生み出す発電所”と定義した「スマート発電所」の実現等の施策により既存アセットの収益力を向上させ、賠償・廃炉に関して、東京電力ホールディングスグループ全体で年間約5,000億円程度の資金の確保に貢献する。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、多くの国・地域が期限付きのカーボンニュートラル目標を掲げる中、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現し、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業においては、電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが広がっており、脱炭素と経済成長の両立に対する期待が高まっている。このような潮流を背景に、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、非化石電源比率を高める等、大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内においても、2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、脱炭素電源の拡大を図り、最大限活用していくことが必要不可欠と示されている。
加えて、生成AIの利活用拡大やデータセンターの新増設等を背景としたDXの進展に伴い、今後、国内での電力需要は中長期的に大きく増加すると見込まれている。さらに、地政学リスクの高まり等を踏まえたエネルギー安全保障への要請も強まっており、安定的かつ大量の電力供給を脱炭素電源により実現することの重要性が一層高まっている。第7次エネルギー基本計画においては、将来の電力需要増加に対して十分な脱炭素電源を確保できない場合、我が国の経済成長や産業競争力強化の機会を喪失しかねないとの強い問題意識が示されており、電気事業者としての責務は一層増大しているものと認識している。
このような環境下において、これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外再生可能エネルギー事業と洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、東京電力ホールディングスグループ全体で年間約5,000億円程度の資金の確保に貢献する。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリプレースを継続的に実施し、2箇所の発電所で工事を完了させたほか、従来は巡視や点検で取得していたデータをIoTやセンサーを活用して常時取得し、設備トラブルの予兆監視を行う等、DX推進による業務高度化に向けた取り組みをすすめてきた。
また、国土交通省が推進する治水機能の強化と水力発電の促進を両立させる「ハイブリッドダム」の取り組みとして全国で初めてとなる栃木県湯西川ダムにおける事業の公募に応札し、2025年10月、当社を含むコンソーシアムが湯西川ダムの事業候補者に特定された。
さらに、再生可能エネルギー電源ニーズを有するお客さまに対し、特定の一般水力発電所の電気をお客さまにお届けする「コーポレートPPA」で電力供給するビジネスモデルを展開し、収益源の獲得による事業基盤強化にも着実に取り組んできた。
揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴ってその重要性が増している調整電源としての強みを活かし、系統安定に貢献するとともに、需給調整市場等での取引や、蓄電機能を活用した新電力等のお客さまへの「電力預かりサービス」の提供を行い、さらなる収益拡大をはかってきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
国内の洋上風力発電事業においては、将来の主力電源化を目指し、運転中の千葉県銚子沖、開発中の長崎県西海市江島沖での取り組みから知見・経験の獲得をはかってきた。
また、海外においては、引き続き、水力発電事業や洋上風力発電事業の拡大に取り組んできた。特に洋上風力発電事業については、技術・運営に関するノウハウを習得して国内での開発に活かすことを目指し、海外子会社であるフローテーション・エナジー社を通じて、英国での浮体式洋上風力発電事業の取り組みを進めてきた。
さらに、地熱発電事業については、長期安定稼働が可能な再生可能エネルギー電源であるという特性を踏まえ、国内の案件を通じて開発・建設技術・運転ノウハウの蓄積を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2026年2月に200億円の社債(グリーンボンド)を発行する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
再生可能エネルギーの主力電源化及び長期安定電源化に向けて、国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリプレースによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立をはかっていく。また、国のハイブリッドダムの取り組みに基づく既設ダムへの発電所新設等により、国とも連携して、貴重な水資源を最大限に活かした付加価値の高い安定的な電気の供給を行うとともに、コーポレートPPAの拡大等により、さらなる収益向上に取り組む。
さらに、水力発電事業における事業基盤の変革に向けて、“設備・ヒト・業務がデータでつながり、最大限の価値を生み出す発電所”と定義した「スマート発電所」の実現を目指していく。特に、システム標準化・現地制御の自動化については、今後、自社利用にとどまらず、広域ネットワークを経由した水力運転監視制御システムの利用サービス提供等を通じて、水系全体における高度な水管理運用の実現を志向していく。
加えて、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電については、その強みである蓄電機能・調整力を電力市場等で最大限活用し、カーボンニュートラルと系統安定化に貢献していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、出資参画しているベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業において、長年の国内水力発電事業で培った開発・運転保守技術の強みを活かし、ダム調整池の堆砂対策による発電電力量の増加やO&Mの効率化によるコストダウン等に取り組むことで、水力発電所のバリューアップを行うとともに、パイプライン案件の開発を着実にすすめて、収益を拡大し、グローバルなサプライチェーンの国内還元をめざしていく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、みらいえのしま合同会社を通じた長崎県西海市江島沖での開発により得られた知見を活かし、国内外における中長期的な事業拡大に向け競争力強化をはかっていく。
また、フローテーション・エナジー社が英国で開発を進める浮体式案件を通じて設計・建設・O&Mの知見を獲得し日本市場での活用をめざす等、国内外における事業拡大を推進していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については、長年のO&M実績により安定的な電気の供給を実現してきた一方、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から改善の余地は残っている。これまでのO&Mノウハウにドローンやデジタル技術を融合させることにより、地上・水中の様々な保全業務において遠隔監視・遠隔制御を実現し、生産性向上や業務負担低減のみならず、非常時における現地対応の削減等による人身災害の防止にも寄与する取り組みをすすめていく。
また、蓄積した運用データと外部気象データを活用したAIを用いて、複数ダム群の連携操作による下流発電所を含めた水系全体のダム運用の最適化モデルをシミュレーションし、実装する等、再生可能エネルギーの増電力と防災の両立に貢献する取り組み等をすすめることで、社会的価値の創出を実現していく。
ホ.組織体制の構築
収益拡大に向けて、国内水力発電事業の基盤強化に加え、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の推進が必要であり、そのための組織体制の充実をはかっていく。まずは国内水力発電事業に優先的に人財を充てることを基本に、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得をすすめる。並行して、DXとカイゼン活動を通じて、事業運営に関わる業務の変革を推進し、事業全体のさらなる省力化をはかる。これにより、収益拡大と業務効率の向上に必要な人財確保の両立を志向していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来のさらなる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。開発期間の短い太陽光発電事業については、引き続き子会社の東京発電株式会社にリソースを集中させ、地域との共生を重視しながら取り組んでいく。
地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った案件開発ノウハウを活かし、新規案件の早期事業化をめざしていく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
将来の事業の柱となり得るグリーン水素については、お客さまのニーズに応えられるよう、引き続き取り組んでいく。また、電力需要が落ち込む時間帯に設備を運転することで電力需要を創出し、それによる需給調整も担えることから、揚水・蓄電池に次ぐ系統調整機能としても期待される。こうした特性を踏まえ、水素に対する需要や技術開発、政策の動向等も見極めながら、先行的な実証等を通じてノウハウの蓄積に向けて取り組んでいく。
さらに、資産回転型の事業モデルの導入を検討する等して投下資金の早期回収をはかり、有望な新規案件に再投資できるよう、投資キャッシュフローの最適化を実現しながら、事業を拡大し成長を促進していく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な金融手法により必要資金を確保し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。