有価証券報告書-第6期(2024/04/01-2025/03/31)
有報資料
(1) 経営環境及び経営方針等
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な潮流、激甚化・広域化する自然災害に対応したレジリエンス強化の要請、国際情勢を受けた全世界的な燃料価格の高騰など、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、四次総特のもと、グループ一丸となって非連続の経営改革をやり遂げ、福島への責任を貫徹していく。加えて、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値を提供するビジネスモデルへと転換を図り、更なる収益力拡大と企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
[東京電力ホールディングスグループ経営理念]

このような経営環境下、東京電力ホールディングスグループで四次総特に基づき掲げる「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で安定的かつ低廉な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
四次総特のとおり、早期かつ確実に再生可能エネルギーの開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、発電コストが急速に低減し、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現しており、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業が電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが世界的にも高まってきており、カーボンニュートラルを図りつつ経済成長を実現できるとの期待もある。このような中、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、世界的なカーボンニュートラルの潮流に対応すべく、非化石比率を高めるなど大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内でも、第6次エネルギー基本計画(2021年10月)において2050年カーボンニュートラル及び2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現を目指し、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組むことが掲げられ、新たに決定された第7次エネルギー基本計画(2025年2月)においても、脱炭素電源の拡大を図り、最大限活用していくことが必要不可欠と示されている。
これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外水力発電事業と国内外の洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、責任と権限の明確化の下、早期かつ確実に開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリパワリングを継続的に実施し、5箇所の発電所で工事を完了した。また、通信キャリアの電波が届かないダムにおける衛星通信を活用した自律飛行型ドローンの遠隔操作による臨時点検の実証に成功したほか、従来は巡視や点検で取得していたデータをIoTやセンサーを活用して常時取得し、設備トラブルの予兆監視を行うなど、DX推進による業務高度化に向けた取り組みを実施してきた。
また、再生可能エネルギー電源ニーズを有するお客さまに対し、既設水力発電所を活用したフィジカルコーポレートPPAで電力を供給する新たなビジネスモデルを展開し、収益源の創出による事業基盤の強化にも着実に取り組んできた。
さらに、揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴ってその重要性が増している調整電源としての強みを活かし、系統安定に貢献するとともに、需給調整市場等での取引や、蓄電機能を活用した新電力等のお客さまへの「電力預かりサービス」の提供を行い、さらなる収益拡大をはかってきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
洋上風力発電事業については、2024年3月に設立したみらいえのしま合同会社が同年7月に長崎県西海市で事務所を開設し、同市の江島沖における着床式洋上風力発電事業を着実にすすめているほか、他事業者と共同で設立した浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)を通じて、コストとリスクの低減を両立した共通基盤技術開発を行い、国内における浮体式洋上風力発電の商用化に取り組んできた。
また、海外子会社であるフローテーション・エナジー社が手掛ける浮体式洋上風力プロジェクトがイギリスにおける再エネ支援スキームのオークションにおいて落札を果たすなど、国外においても洋上風力発電事業を推進してきた。
さらに、出資参画している小安地熱株式会社を通じて、秋田県湯沢市で地熱発電所の建設に携わるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた電源の多様化を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2024年12月に400億円のグリーンボンドを発行する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
第7次エネルギー基本計画の閣議決定を受け、再生可能エネルギーの主力電源化および長期安定電源化に向けて、国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリパワリングによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立をはかるとともに、「流域総合水管理」の考え方を踏まえ、「ハイブリッドダム」の取り組みを通じた既設ダムへの発電所新設や、ダム再編等の事業への参画により、国とも連携して、貴重な水資源を最大限に活かした安定的かつ低廉な電気の供給を行っていく。
また、デジタル技術を活用した異常兆候の早期検出、ドローンなどのロボットやIoTツールを活用した点検の効率化・省力化による発電停止期間の短縮、カイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮などの取り組みをすすめ、さらなる発電電力量の増加をはかっていく。
さらに、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電については、その強みである蓄電・調整力を電力市場等で最大限活用し、カーボンニュートラルと系統安定に貢献していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、出資参画しているベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業において、長年の国内水力発電事業で培った技術力・ノウハウを活用し、調整池運用方法のカイゼンや機器取替周期の最適化等のバリューアップを行うとともに、パイプライン案件の開発を着実にすすめて、収益を拡大させていく。
引き続き、国内外で蓄積した知見を活用し、キャピタルリサイクル等にも取り組むことで、新規・既設案件への出資や事業会社への出資等をすすめ、事業を拡大し成長を促進していく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、長崎県西海市江島沖での開発をみらいえのしま合同会社を通じて着実にすすめるとともに、さらなる案件獲得の積み上げにより、国内外における事業拡大に向けた競争力強化を図っていく。
また、日本は遠浅の海が限定的であり、洋上風力発電設備の設置が排他的経済水域(EEZ)内まで認められる法律案が閣議決定されたこと等を踏まえると、今後拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電の技術獲得が重要となる。将来の浮体式洋上風力発電事業における共通基盤技術の確立を目的に、浮体式洋上風力技術研究組合が提案し採択されたNEDOのグリーンイノベーション基金事業の推進をはかるとともに、競争優位性を高めるためにノルウェー沿岸での共同実証事業等を通じて、コストとリスクの低減を両立した技術開発に引き続き取り組んでいく。加えて、フローテーション・エナジー社とグローバルに案件開発をすすめ、実案件の設計・建設・O&Mを通じて洋上風力発電事業の技術・運営に関するノウハウを獲得することにより、国内外における事業拡大を推進していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については長年のO&M実績があるものの、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から改善の余地は残っている。これまでのO&MノウハウにロボットやAI等のデジタル技術を融合させることにより、地上・水中の様々な保全業務において遠隔監視・遠隔制御を実現し、生産性向上や業務負担低減をはかる取り組みをすすめていく。
また、蓄積したデータを学習させたAIを用いて、複数ダム群の連携操作による下流発電所を含めた流域全体でのダム運用の最適化による増電力に向けた取り組み等をすすめ、発電設備の保全高度化や制御・運用の最適化を通じたさらなる改善をはかり、よりエネルギー効率の良い発電を実現していく。
ホ.組織体制の構築
収益拡大に向けて、国内水力発電事業の基盤強化に加え、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の拡大が必要であり、そのための組織体制の充実化をはかっていく。収益拡大に資する事業に重点的に人財を充てることを基本に、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得をすすめる。並行して、DXとカイゼン活動を通じて、事業運営に関わる業務の変革を推進し、事業全体のさらなる省力化をはかる。これにより、業務効率の向上と収益拡大に必要な人財確保の両立を指向していく。また、海外事業においては、各国における優良案件の獲得やカントリーリスクへの対応など、組織能力の獲得と事業基盤の構築が求められており、社外人財の積極的な登用を含め、基盤整備を推進していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来のさらなる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。太陽光発電事業については、今後は子会社の東京発電株式会社にリソースを集中させ、未利用地等を活用した案件の開発に取り組んでいく。地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った案件開発ノウハウを活かし、新規案件の早期事業化をめざしていく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な金融手法により必要資金を確保し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。
東京電力ホールディングスグループを取り巻く経営環境は、カーボンニュートラルの実現を目指す世界的な潮流、激甚化・広域化する自然災害に対応したレジリエンス強化の要請、国際情勢を受けた全世界的な燃料価格の高騰など、大きく変化している。
このような事業環境の変化に対応していくため、四次総特のもと、グループ一丸となって非連続の経営改革をやり遂げ、福島への責任を貫徹していく。加えて、カーボンニュートラルや防災を軸とした新たな価値を提供するビジネスモデルへと転換を図り、更なる収益力拡大と企業価値向上を実現していく。
(https://www.tepco.co.jp/about/corporateinfo/business_plan/overall_special_plan.html)
[東京電力ホールディングスグループ経営理念]

このような経営環境下、東京電力ホールディングスグループで四次総特に基づき掲げる「カーボンニュートラル」や「防災」を軸とする諸施策として、当社は、「経営ミッション」「経営ビジョン」を掲げ、再生可能エネルギーを通して、持続可能な社会の実現に貢献していく。
「ミッション/理念」
当社は、「自然の恵みをエネルギーに、そして社会に」を理念として掲げ、再生可能エネルギーを通して、地域に根ざした産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献する。
「ビジョン/目指す姿」
当社は、東京電力ホールディングスグループの再生可能エネルギーの認知度向上を志向した再生可能エネルギー電源への特化や、国内外のパートナーとの連携、大規模な投資等に対する迅速な意思決定のための責任と権限の明確化、資金調達の柔軟化を実現し、再生可能エネルギー事業の成長を目指す。また、再生可能エネルギーを制度に依存しない自立した「主力電源」の1つと位置付けることを目指し、国内外で安定的かつ低廉な電気を供給することにより、持続可能な社会の実現に貢献していく。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
四次総特のとおり、早期かつ確実に再生可能エネルギーの開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
近年、再生可能エネルギーをめぐる状況は、大きく変貌している。世界的には、発電コストが急速に低減し、火力・原子力等の従来型電源と比較してもコスト競争力のある再生可能エネルギー電源が出現しており、その導入量は急増している。また、一部のグローバル企業が電力消費を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す動きが世界的にも高まってきており、カーボンニュートラルを図りつつ経済成長を実現できるとの期待もある。このような中、欧米のエネルギー主要プレーヤーは、世界的なカーボンニュートラルの潮流に対応すべく、非化石比率を高めるなど大幅な事業ポートフォリオの転換を断行している。
国内でも、第6次エネルギー基本計画(2021年10月)において2050年カーボンニュートラル及び2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現を目指し、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組むことが掲げられ、新たに決定された第7次エネルギー基本計画(2025年2月)においても、脱炭素電源の拡大を図り、最大限活用していくことが必要不可欠と示されている。
これまで水力発電や風力発電を手掛けてきた当社にとって、再生可能エネルギーの拡大・カーボンニュートラルの流れは大きなビジネスチャンスであると捉えている。
現在、当社は総出力約1,000万kWの設備容量を保有するが、その大部分が国内水力発電設備となっている。目標の実現に向けて、当面の主力事業である国内水力発電事業の基盤強化を推進するとともに、将来の主力事業を目指して海外水力発電事業と国内外の洋上風力発電事業の更なる開発を進めていく。その上で、「(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、責任と権限の明確化の下、早期かつ確実に開発を推進し、事業規模や収益を持続的に拡大することで、2030年度までに年間1,000億円規模の親会社株主に帰属する当期純利益を目指す。
具体的な当年度における施策及び優先的に対処すべき課題は以下の通り。
① 当年度の施策
イ.国内水力発電事業の基盤強化
経年水力発電所について、発電電力量の増加と設備信頼度向上に向けたリパワリングを継続的に実施し、5箇所の発電所で工事を完了した。また、通信キャリアの電波が届かないダムにおける衛星通信を活用した自律飛行型ドローンの遠隔操作による臨時点検の実証に成功したほか、従来は巡視や点検で取得していたデータをIoTやセンサーを活用して常時取得し、設備トラブルの予兆監視を行うなど、DX推進による業務高度化に向けた取り組みを実施してきた。
また、再生可能エネルギー電源ニーズを有するお客さまに対し、既設水力発電所を活用したフィジカルコーポレートPPAで電力を供給する新たなビジネスモデルを展開し、収益源の創出による事業基盤の強化にも着実に取り組んできた。
さらに、揚水式水力発電については、再生可能エネルギーの導入拡大に伴ってその重要性が増している調整電源としての強みを活かし、系統安定に貢献するとともに、需給調整市場等での取引や、蓄電機能を活用した新電力等のお客さまへの「電力預かりサービス」の提供を行い、さらなる収益拡大をはかってきた。
ロ.事業領域の拡大に向けた取り組み
洋上風力発電事業については、2024年3月に設立したみらいえのしま合同会社が同年7月に長崎県西海市で事務所を開設し、同市の江島沖における着床式洋上風力発電事業を着実にすすめているほか、他事業者と共同で設立した浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)を通じて、コストとリスクの低減を両立した共通基盤技術開発を行い、国内における浮体式洋上風力発電の商用化に取り組んできた。
また、海外子会社であるフローテーション・エナジー社が手掛ける浮体式洋上風力プロジェクトがイギリスにおける再エネ支援スキームのオークションにおいて落札を果たすなど、国外においても洋上風力発電事業を推進してきた。
さらに、出資参画している小安地熱株式会社を通じて、秋田県湯沢市で地熱発電所の建設に携わるなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた電源の多様化を推進してきた。
ハ.再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金調達
こうした取り組みを支えるため、2024年12月に400億円のグリーンボンドを発行する等、再生可能エネルギー発電事業の拡充に向けた資金確保策の実施に努めてきた。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
イ.国内水力発電事業の基盤強化
第7次エネルギー基本計画の閣議決定を受け、再生可能エネルギーの主力電源化および長期安定電源化に向けて、国内水力発電事業については、引き続き計画的に、経年水力発電所のリパワリングによる発電電力量の増加と設備信頼度の向上の両立をはかるとともに、「流域総合水管理」の考え方を踏まえ、「ハイブリッドダム」の取り組みを通じた既設ダムへの発電所新設や、ダム再編等の事業への参画により、国とも連携して、貴重な水資源を最大限に活かした安定的かつ低廉な電気の供給を行っていく。
また、デジタル技術を活用した異常兆候の早期検出、ドローンなどのロボットやIoTツールを活用した点検の効率化・省力化による発電停止期間の短縮、カイゼン活動を通じた作業停止期間の短縮などの取り組みをすすめ、さらなる発電電力量の増加をはかっていく。
さらに、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って重要性が増すと考えられる揚水式水力発電については、その強みである蓄電・調整力を電力市場等で最大限活用し、カーボンニュートラルと系統安定に貢献していく。
ロ.海外水力発電事業の本格展開
海外水力発電事業については、出資参画しているベトナム、ジョージア、インドネシアでの水力発電事業において、長年の国内水力発電事業で培った技術力・ノウハウを活用し、調整池運用方法のカイゼンや機器取替周期の最適化等のバリューアップを行うとともに、パイプライン案件の開発を着実にすすめて、収益を拡大させていく。
引き続き、国内外で蓄積した知見を活用し、キャピタルリサイクル等にも取り組むことで、新規・既設案件への出資や事業会社への出資等をすすめ、事業を拡大し成長を促進していく。
ハ.洋上風力発電事業の拡大
着床式洋上風力発電については、長崎県西海市江島沖での開発をみらいえのしま合同会社を通じて着実にすすめるとともに、さらなる案件獲得の積み上げにより、国内外における事業拡大に向けた競争力強化を図っていく。
また、日本は遠浅の海が限定的であり、洋上風力発電設備の設置が排他的経済水域(EEZ)内まで認められる法律案が閣議決定されたこと等を踏まえると、今後拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電の技術獲得が重要となる。将来の浮体式洋上風力発電事業における共通基盤技術の確立を目的に、浮体式洋上風力技術研究組合が提案し採択されたNEDOのグリーンイノベーション基金事業の推進をはかるとともに、競争優位性を高めるためにノルウェー沿岸での共同実証事業等を通じて、コストとリスクの低減を両立した技術開発に引き続き取り組んでいく。加えて、フローテーション・エナジー社とグローバルに案件開発をすすめ、実案件の設計・建設・O&Mを通じて洋上風力発電事業の技術・運営に関するノウハウを獲得することにより、国内外における事業拡大を推進していく。
ニ.O&Mノウハウとデジタル技術の融合によるDXの実現
既設水力発電所については長年のO&M実績があるものの、自然環境の変化や水系一貫での制御といった観点から改善の余地は残っている。これまでのO&MノウハウにロボットやAI等のデジタル技術を融合させることにより、地上・水中の様々な保全業務において遠隔監視・遠隔制御を実現し、生産性向上や業務負担低減をはかる取り組みをすすめていく。
また、蓄積したデータを学習させたAIを用いて、複数ダム群の連携操作による下流発電所を含めた流域全体でのダム運用の最適化による増電力に向けた取り組み等をすすめ、発電設備の保全高度化や制御・運用の最適化を通じたさらなる改善をはかり、よりエネルギー効率の良い発電を実現していく。
ホ.組織体制の構築
収益拡大に向けて、国内水力発電事業の基盤強化に加え、将来の主力事業と位置付ける海外水力発電事業と洋上風力発電事業の拡大が必要であり、そのための組織体制の充実化をはかっていく。収益拡大に資する事業に重点的に人財を充てることを基本に、一定規模の新卒採用、社外からの高度専門人財の獲得をすすめる。並行して、DXとカイゼン活動を通じて、事業運営に関わる業務の変革を推進し、事業全体のさらなる省力化をはかる。これにより、業務効率の向上と収益拡大に必要な人財確保の両立を指向していく。また、海外事業においては、各国における優良案件の獲得やカントリーリスクへの対応など、組織能力の獲得と事業基盤の構築が求められており、社外人財の積極的な登用を含め、基盤整備を推進していく。
ヘ.中長期を見据えた更なる取り組み
将来のさらなる再生可能エネルギー発電事業の拡大に向けて、再生可能エネルギー電源の多様化を検討していく。太陽光発電事業については、今後は子会社の東京発電株式会社にリソースを集中させ、未利用地等を活用した案件の開発に取り組んでいく。地熱発電事業については、出資参画している小安地熱株式会社のかたつむり山地熱発電所の建設を推進するとともに、水力発電事業で培った案件開発ノウハウを活かし、新規案件の早期事業化をめざしていく。また、日本の地熱資源の有効活用に向け、新たな熱回収技術を適用した地熱発電事業にも取り組んでいく。
ト.資金調達基盤強化
これまでの取引金融機関からの融資に加えて、自立的かつ柔軟な資金調達を可能とするため、引き続き、グリーンボンドの発行等グリーンファイナンスを推進するとともに、多様な金融手法により必要資金を確保し、成長投資を着実に実現していく。
(注) 本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は提出日現在において判断したものである。