有価証券報告書-第21期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「すべてのステークホルダーに価値と成長をもたらす100年企業グループ」創出というグループビジョンを掲げ、中小企業経営の近代化(使命)と、よき伝統の尊重と戦略合理的経営を追求していくこと(価値観)を目指しております。中小企業経営において変化が求められる今の時代に、古き良き伝統のみに縛られるのではなく、経営の変革により企業価値を継続・発展させていくことを基本的な経営方針としております。
(2)経営上目標とする客観的な指標
当社グループは、経営上の中核指標(KPI)としてEBITDAを採用しております。
これは、当社が主としてM&Aを通じて事業ポートフォリオの拡充を図るビジネスモデルを採用しており、各子会社の本業から創出される正常収益力およびキャッシュ創出力を適切に把握・比較することが重要であるためです。
EBITDAは、減価償却費および金融費用の影響を受けない指標であり、資本構成や会計処理の差異に左右されず、事業そのものの収益力を評価するうえで有効な指標です。また、当社が活用するLBOファイナンス(※)においては、EBITDAが負債調達余力や返済能力の基礎指標となることから、M&A実行時の投資判断ならびにPMI後の業績管理においても重要な役割を担っております。
一方で、当社グループにおける事業価値の創出は、各子会社の事業パフォーマンスそのものにとどまらず、M&Aスキーム全体を通じたファイナンスアレンジの巧拙によっても大きく左右されると認識しております。すなわち、調達手法や資本構成、返済スケジュールを含む一連のファイナンス戦略は、キャッシュ・フローの安定性や資本効率に影響を及ぼす重要な経営要素であり、事業パフォーマンスを総合的に評価するうえでの重要な評価軸と位置付けております。
このため、当社は財務健全性およびレバレッジ水準の管理指標として、EBITDAに加えNet Debt/EBITDA倍率を併用しております。本指標により、過度な財務リスクを抑制しつつ、成長投資と財務規律のバランスを意識した資本効率の向上を図っております。
以上を踏まえ、当社グループでは、各子会社の本業における収益力の継続的な向上を通じたEBITDAの安定的な創出・拡大に加え、規律あるレバレッジ管理(Net Debt/EBITDA倍率)および最適なファイナンスアレンジを一体として実行することで、キャッシュ創出力の最大化と財務基盤の強化を両立し、グループ全体の持続的な成長と企業価値向上を実現してまいります。
(※)LBOファイナンスとは、企業やファンドが他社を買収する際、自己資金だけではなく、買収先の資産や将来のキャッシュ・フローを見合いとした借入等で調達した資金を元手に買収を行う方法です。
(3)経営環境
①事業承継・M&A市場
東京商工リサーチが2026年2月に公表した「2025年『全国社長の年齢』調査」によれば、国内企業における経営者の平均年齢は63.81歳となり、調査開始以来の最高水準を更新しております。加えて、70代以上の経営者比率は34.7%に達しており、事業承継の遅れが引き続き日本の構造課題となっております。
一方、帝国データバンクが2025年11月に発表した「全国『後継者不在率』動向調査」では、後継者不在率は50.1%と改善傾向にあるものの、依然として企業の約半数で後継者が不在であり、とりわけ中小企業においては経営の持続性確保が重要な課題となっております。
政策面では、中小企業庁が第三者承継支援を重要施策に位置付けており、後継者不在企業の円滑な承継を後押ししております。こうした環境のもと、国内M&A市場は事業承継ニーズを背景に拡大が続いております。
このような政策的後押しや事業承継ニーズの高まりを背景に、日本企業が関与するM&A件数は着実に増加しております。レコフデータによれば、国内M&A件数は2017年の3,050件から2025年には5,115件へと増加し、過去最多を更新しております。特に事業承継を目的とした中小企業のM&Aは拡大傾向にあり、今後も事業承継ニーズを背景とした市場の拡大が見込まれております。
②自動車内外装部品・自動車精密部品製造市場
日本自動車部品工業会が公表した2024年度(2024年4月~2025年3月)の「自動車部品出荷動向調査結果」によれば、国内自動車部品メーカーの出荷額は全体としては前年度比で微減となったものの、電動化関連部品を中心に分野別では成長が見られるなど、出荷構成に変化が生じております。
品目別では、車体部品が引き続き出荷額構成の中で大きな割合を占める一方、内燃機関関連部品は減少傾向にあり、電動車両向け部品の比率が着実に上昇しております。
このような環境のもと、自動車の電動化(EV化)の進展に伴い、静粛性や快適性、軽量化といった付加価値に対する要求は引き続き高まっており、特に内外装部品や精密部品分野においては、技術対応力や品質確保能力の重要性が一層増しております。一方で、次世代技術への対応や設備投資負担の増加により、部品サプライヤー間の競争環境は厳しさを増しております。
こうした事業環境の変化を背景に、完成車メーカーのみならず、部品サプライヤーにおいても、競争力強化を目的とした事業規模の拡大や再編の動きが進展しております。特に大手・中堅企業を中心に再編が進む一方で、中小サプライヤーにおいては、技術投資、人材確保、及び事業承継への対応が事業継続上の重要な課題となっております。
③機能性表面処理市場
近年、製造業においては、母材そのものの置換に加え、表面に耐食性、耐摩耗性、導電性、摺動性、密着性、装飾性等の機能を付与する「機能性表面処理」の重要性が高まっております。これは、部品の高性能化、長寿命化、軽量化を実現するうえで、表面改質が性能とコストの両面で有効な手段となっているためであります。とりわけ、自動車分野では、電動化の進展に伴い部品構成が変化する一方で、HEVおよびPHEVでは今後も一定期間にわたり内燃機関を搭載した構成が継続すると見込まれ、従来型部品と新たな電動系部品の双方において、表面処理技術の重要性は引き続き高いと考えられます。
HEV・PHEVにおいては、エンジン、排気、熱管理、駆動補機等に関わる部材で、防錆性、耐熱性、耐摩耗性、摺動性を支える表面処理需要が残存する一方、モーター周辺部品、制御系部品等では、導電性、耐食性、接触信頼性を高める機能性表面処理の重要性が高まっております。すなわち、電動化の移行期においては、内燃機関由来の需要が直ちに消失するのではなく、既存需要と新規需要が重なり合うことで、表面処理の適用領域は多層化していると捉えられます。
他方、BEVおよびFCEVでは、高電圧化、軽量化、熱管理、安全性への要求が一段と高まることから、電池周辺部材、電力制御部材、接続部品等において、より高い耐食性、導電性、絶縁性、耐久性が求められております。また、燃料電池分野では、NEDOのロードマップにおいて、金属セパレータ等に対し、長時間使用下での腐食耐性向上と低接触抵抗維持のための表面処理高度化が課題として示されております。さらに、全固体電池を含む次世代電池分野においても、界面制御や表面コーティングは、性能発現および耐久性向上に関わる重要な技術課題として位置付けられております。
加えて、欧州ではELV関連制度のもとで六価クロム等の有害物質使用規制の見直しが継続しており、自動車部品における代替表面処理技術の開発・量産対応力は、環境対応のみならず新規採用機会の獲得にもつながる要素となっております。
このような環境のもと、機能性表面処理市場は、汎用品では価格競争が継続する一方で、HEV・PHEVにおける内燃機関関連部品の高耐久化需要、電動化進展に伴う導電・耐食・接触信頼性需要、BEV・FCEV・電池関連分野における高機能化需要、有害物質規制に対応した代替処理需要の各領域で成長機会が存在しております。したがって、量産安定性、品質保証、環境対応、ならびに顧客要求に応じた処方・工程設計力を有する事業者にとって、高付加価値化と採用領域拡大の余地が大きい市場であると認識しております。
④製造業向け生産自動化ソリューション市場
製造業を取り巻く環境は、労働力不足やサプライチェーン上の制約など複合的な課題が顕在化しており、これらの課題解決の手段として、デジタルソリューションや自動化技術の活用による変革の重要性が高まっております。
経済産業省とNEDOが公表する「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」においても、製造部門単体の部分最適ではなく、開発設計・調達・製造・販売等を含むプロセス全体を俯瞰した全体最適を目指すことが重要である旨が示されております。
こうした背景のもと、製造現場では、単に機械・ロボットを導入するだけでなく、工程課題の整理から、最適な機器選定、システム設計、導入・立上げ、導入後の定着支援までを一体として提供する「生産自動化ソリューション」へのニーズが拡大しております。
特に、多品種少量生産を行う中堅・中小製造業では、「何から手を付ければよいか分からない」といった段階から、課題の可視化と実行可能な解決策の提示、導入後のフォローまでを含めた“伴走型”の支援が求められる傾向にあります。
また、生産自動化の実現には、ロボットや専用機単体の性能だけでなく、供給・加工・組立・検査・梱包・搬送(マテハン)といった複数工程をつなぎ、現場条件に合わせて稼働させるインテグレーション(統合・組み込み)が成否を左右します。
この点、専用・特注自動機の設計・製造に加え、ヒアリングから設計・納品、保守までを一貫して担うライフサイクル型サービスや、導入初期費用にとどまらないTCO(導入~運用・保守までの総コスト)を意識した提案の重要性が高まっております。
さらに、協働ロボット等の活用は、人手不足への対応のみならず、工程の柔軟性向上や段取り負荷の軽減にも寄与し得る一方、現場で“使い切る”ためには、導入設計・運用設計・教育を含む定着支援が不可欠です。
このため、製造業向け生産自動化ソリューション市場は、ハードウェア提供(専用機・周辺設備)と、導入コンサルティング/ロボット・システムインテグレーション/導入後サポートが組み合わさる形で付加価値が形成され、今後も継続的な需要が見込まれる市場であると考えられます。
⑤試作品製作市場
経済産業省の「自動車部品産業の変遷に関する調査」によれば、自動運転技術の進展や車両の電子化(SDV化)に伴い、車両に搭載される機能は高度化・多様化しており、自動車に求められる顧客価値は、従来の走行性能や耐久性に加え、安全性、快適性、さらにはユーザーインターフェースを含む操作性・使い勝手といった分野へ広がっております。
特に、車載HMI(Human Machine Interface)の領域においては、これまで進展してきたタッチパネル中心のインターフェースにおいて、安全性や操作性の観点から課題が顕在化しており、物理スイッチの再評価を含めた、直感的な操作性の向上が求められる傾向が見られます。これに伴い、物理的要素とデジタル技術を融合した「フィジタル(Phygital)」型のインターフェースの重要性が高まりつつあり、ユーザー体験を起点とした製品開発が進展しております。
こうした顧客価値の高度化を背景として、自動車メーカーおよび部品メーカーでは研究開発活動が一層活発化しており、開発初期段階において設計内容や機能のみならず、操作性やユーザー体験を含めた検証を行うため、試作品の役割は従来以上に重要性を増しております。特に、短期間での試作や実機に近い形での評価に加え、実際の使用環境を想定した検証が求められる傾向にあります。
また、開発から量産に至るまでのリードタイム短縮の要請が高まる中で、従来の概念実証(PoC)にとどまらず、量産工程への移行を前提とした試作および技術評価の重要性が高まっております。すなわち、早期段階において量産を見据えた仕様・デバイスを用いた試作を行い、迅速に設計判断につなげる開発プロセスへの転換が進んでおります。
さらに、車載コンテンツを含むHMI領域では、SDV化や高度情報端末化を背景として、UI/UX設計の重要性が一層高まっております。これに伴い、試作から量産準備に至る過程において、単発的なデザイン検証にとどまらず、量産を前提としたUI/UX設計やデザインシステムの構築に対する需要が拡大しております。
このような環境のもと、試作品製作市場においては、従来の形状確認や単機能検証にとどまらず、機能・操作性・意匠性を統合した高付加価値な試作および、量産移行を見据えた技術検証を担う役割へと進化しております。また、製品開発の効率化および開発リスクの低減を目的として、これら高度な試作機能を外部の専門事業者に委ねる動きも継続しており、試作品製作市場は自動車関連の研究開発を支える重要な分野として、その重要性は一層高まっております。
⑥ビューティーテック市場
矢野経済研究所が2026年1月に公表した「2026年版 エステティックサロンマーケティング総鑑」によれば、国内エステティックサロン市場規模は、2024年度において前年度比96.9%の3,043億円(事業者売上高ベース)と、引き続き緩やかな縮小傾向にあります。一方で、市場全体の減少にもかかわらず、その内訳や提供価値には変化が生じております。
特に、コロナ禍以降の生活様式の変化やオンラインコミュニケーションの定着を背景に、性別を問わず自身の外見やコンディションに対する意識が高まりつつあり、メンズエステ市場は前年度比100.6%と堅調に推移しております。美容に対する価値観は、リラクゼーション中心のサービスから、効果実感や再現性を重視する方向へとシフトしており、ジェンダーレスな考え方を持つ若年層を中心に新たな顧客層の拡大が進む可能性が示されております。
このような環境下において、エステティック業界では、施術者の経験や技量に依存するビジネスモデルから、業務用美容機器を活用してサービス品質の安定化や効率化を図る取り組みが重要性を増しております。ビューティーテック分野においては、美容機器を単なる設備としてではなく、サロン運営を支援し、顧客満足度の向上や差別化を実現するための中核的なツールとして位置付ける動きが広がっており、今後も同分野の役割は一層高まるものと考えられます。
(4)経営戦略
①基本方針
上記経営環境のもと、M&Aを通じモノづくり企業をグループ化し、当社独自の「モノづくり事業承継プラットフォーム」に組み込むことで、グループ会社を変革・進化させ、グループ全体の成長を図るのが当社グループのビジネスモデルです。
「モノづくり事業承継プラットフォーム」とは、a.M&A実行基盤(投資)、b.経営管理基盤(整備)、c.モノづくり基盤(育成)の3つの基盤で構成され、事業承継に必要なすべてのソリューションをワンストップで提供する当社独自の仕組みを指します。
a.M&A実行基盤(投資)
M&Aプロセス全体(M&Aの戦略立案、デューデリジェンス、資金調達、PMI等)を、モノづくり事業とインベストメント事業に精通したプロフェッショナル人材が一気通貫で遂行していきます。
b.経営管理基盤(整備)
プロ経営者のタレント・マネジメント・システムの構築、業務のシェアード化、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の構築及びグループ全体のGRC(ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンス)体制の構築を、経営管理に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。
c.モノづくり基盤(育成)
標準化された、品質管理強化・製造効率化・IoTを活用した省人化・そして新製品開発を、モノづくり事業と経営に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。
さらに、当社グループは、モノづくり事業承継プラットフォームで蓄積したノウハウを、グループ内に留まらず、フィナンシャル・アドバイザリー、経営コンサルティングを始めとした事業化を進め、当社グループ全体の企業価値最大化を図ります。
②成長戦略
当社グループは、更なる成長に向けた戦略として、以下の方針を立てています。
(ⅰ)事業ポートフォリオの強化
当社は、M&Aによる非連続的成長と既存事業のオーガニック成長(※)を両輪で推進し、事業ポートフォリオを強化していきます。
M&Aによる非連続的成長においては、M&Aを戦略的に実行し、スピード感を持ってグループの成長を推進します。投資企業の選定には「国際競争力が高く、サプライチェーンが強固な分野」を重点投資領域に設定し、製造業において安定的な成長が期待できる分野や、高成長・高付加価値の創造が期待できる分野を主なターゲットとした独自の投資ポートフォリオを構築していきます。
一方、既存事業のオーガニック成長においては、M&A後のPMIフェーズで、当社から派遣されたプロ経営者チームが、経営環境及び製造現場の可視化を前提とした「標準PMI」で再現性の高い統合プロセスを実現します。PMIフェーズで得た知見を当社グループの独自ノウハウとして蓄積し、「標準PMI」のアップデートを重ねることで、PMIの効果・スピードを高めていきます。
また、当社グループは自動車部品製造事業、製造業向け生産自動化ソリューション、試作品製作、業務用美容機器開発製造等において、成長に必要なR&D(新技術の研究開発活動)を積極的に行っていきます。具体的な取り組みとしては、「リサイクル率向上」「低騒音化」といった環境に配慮した取り組み、「工場の自動化」「DX化」といった効率性と品質向上への取り組み及び産学共同研究を通じた「伝送効率の改善」を実現する新素材の開発・製品化に向けた取り組み等を行っていきます。
(※)当社がいう「オーガニック成長」とは、当社グループが買収した企業を含む既存事業の持続的な成長を指しています。当社グループは、既存事業の強みを活かしながら、標準化、省力化及びDX化を推進し、生産性を向上させています。また、既存事業から派生した新たな事業の創造や研究開発への取り組みもオーガニック成長の一環として位置づけています。
(ⅱ)グループ財務機能の強化
当社グループは、グループ経営の課題として収益基盤の安定化と子会社財務の健全化を目指しています。具体的には、超過利潤であるROICスプレッド(ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の差)の拡大、当社グループ内の資金を有効活用し最適配分を行うための事業ポートフォリオ戦略によるグループ財務の安定、更には予算精度向上による継続的な収益力の改善を図っていきます。
事業ポートフォリオ戦略による投資余力の確保、金融、会計、法律等の多分野にわたる複雑で高度な専門知識やノウハウを組み合わせて「全体最適」な資金調達手段を導き出し、機動的・多様な資金調達を目指します。
(ⅲ)人的資本への投資
人的資本投資については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、M&Aによる事業承継を通じて傘下に収めた子会社の中長期的な成長を実現し、グループ全体の企業価値向上を図るビジネスモデルを基本としております。このビジネスモデルを持続的に発展させていくため、子会社における既存事業の成長及びソリューション拡充に向け、以下の課題に注力してまいります。
① M&A対象企業の発掘及び事業成長の実現
当社グループにとって、成長の源泉となる良質なM&A案件の継続的な発掘及び、M&A後における事業成長の実現は最重要課題の一つであります。
M&A案件の検討に際しては、金融機関、M&A仲介会社等の多様なリソースを活用しつつ、対象企業の事業内容・収益力に関する精緻な分析に加え、M&A後の成長戦略、PMI戦略、グループシナジーの創出可能性等を十分に勘案した上で投資判断を行っております。
また、ターゲット案件については、当社取締役を中心とした経営層及び関係部門で構成する投資委員会において十分な審議を行い、当社グループの中長期的な成長に資するM&Aの実行に引き続き注力してまいります。
② プロ経営者の積極的採用及び育成の強化
当社グループの最も重要な経営資源は人材であり、M&A後における子会社経営の高度化及び成長戦略の遂行において、プロ経営者の確保・育成は継続的な経営課題であると認識しております。
今後も、当社グループの競争優位性を一層高めるため、経営、財務、事業運営等の分野において高い専門性を有する人材の積極的な採用を進めるとともに、既存人材の育成強化を通じて、M&A案件の成功確率向上及びグループ全体の経営力強化を図ってまいります。
③ 当社グループの一体化及び意思統一
当社グループは、M&Aを通じてグループ会社を拡大し、成長を実現してきたビジネスモデルを基本としていることから、各社の歴史や企業文化の違いに起因する価値観の相違が生じる可能性があります。そのため、グループ全体が同一の目標に向かって一体的に事業運営を行うための体制構築は重要な課題であると認識しております。
これらの課題に対応するため、各社横断的な会議体やコミュニケーションの場を設け、相互理解と信頼関係の構築に努めるとともに、年1回の方針説明会の開催等を通じてグループ方針の共有と意思統一を図り、グループ経営の高度化を推進してまいります。
④ 販売チャネルの拡大
当社グループは、グループ会社間で経営層・マネジメント層を兼任させることで、子会社各社にとっては新規となりうる顧客に対して総合的な提案を実施することにより新たな販路、新製品の開発・製造を実施し、販売チャネルの拡大を実行してまいります。
⑤ グローバル展開への対応力強化
当社グループは、成長機会の一つとして、海外市場を含めた事業展開を推進しております。
この取り組みを継続・強化していくため、業務提携・技術提携、新たな販売先・仕入先の開拓に加え、グローバル事業を推進するための人材確保やネットワーク構築等が重要な課題であると考えております。
⑥ 新市場への挑戦、技術革新及び現場改革
当社グループの一部子会社が属する自動車関連産業においては、環境規制の強化を背景とした電動化の進展、自動運転技術の高度化、コネクティッド技術の普及などにより、事業環境が大きく変化しております。加えて、製品・サービスの提供方法や競争環境も継続的に変化しており、企業には柔軟かつ迅速な対応が求められています。
こうした環境変化を成長機会と捉え、新市場への挑戦、新技術の導入及び生産・業務プロセスにおける現場改革に積極的に取り組むことで、事業競争力の強化を図ってまいります。
⑦ 財務体質の改善
当社グループは、M&A実行に際し、各子会社の正常収益力を前提としたLBOファイナンス等により資金調達を行っているため、有利子負債比率が相対的に高い水準にあります。
今後は、各子会社におけるEBITDAの向上による財務基盤の強化に加え、事業環境や成長ステージに応じた多様な資金調達手法を検討・活用することで、財務体質の更なる強化と財務の健全性向上に努めてまいります。
⑧ 内部統制の充実
当社グループは、国内外のグループ会社を含めた企業経営の透明性確保及び開示情報の正確性向上、ならびに各国・地域における法令等の遵守を徹底するため、グローバルベースでの内部統制システムの整備・運用を継続的に推進しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「すべてのステークホルダーに価値と成長をもたらす100年企業グループ」創出というグループビジョンを掲げ、中小企業経営の近代化(使命)と、よき伝統の尊重と戦略合理的経営を追求していくこと(価値観)を目指しております。中小企業経営において変化が求められる今の時代に、古き良き伝統のみに縛られるのではなく、経営の変革により企業価値を継続・発展させていくことを基本的な経営方針としております。
(2)経営上目標とする客観的な指標
当社グループは、経営上の中核指標(KPI)としてEBITDAを採用しております。
これは、当社が主としてM&Aを通じて事業ポートフォリオの拡充を図るビジネスモデルを採用しており、各子会社の本業から創出される正常収益力およびキャッシュ創出力を適切に把握・比較することが重要であるためです。
EBITDAは、減価償却費および金融費用の影響を受けない指標であり、資本構成や会計処理の差異に左右されず、事業そのものの収益力を評価するうえで有効な指標です。また、当社が活用するLBOファイナンス(※)においては、EBITDAが負債調達余力や返済能力の基礎指標となることから、M&A実行時の投資判断ならびにPMI後の業績管理においても重要な役割を担っております。
一方で、当社グループにおける事業価値の創出は、各子会社の事業パフォーマンスそのものにとどまらず、M&Aスキーム全体を通じたファイナンスアレンジの巧拙によっても大きく左右されると認識しております。すなわち、調達手法や資本構成、返済スケジュールを含む一連のファイナンス戦略は、キャッシュ・フローの安定性や資本効率に影響を及ぼす重要な経営要素であり、事業パフォーマンスを総合的に評価するうえでの重要な評価軸と位置付けております。
このため、当社は財務健全性およびレバレッジ水準の管理指標として、EBITDAに加えNet Debt/EBITDA倍率を併用しております。本指標により、過度な財務リスクを抑制しつつ、成長投資と財務規律のバランスを意識した資本効率の向上を図っております。
以上を踏まえ、当社グループでは、各子会社の本業における収益力の継続的な向上を通じたEBITDAの安定的な創出・拡大に加え、規律あるレバレッジ管理(Net Debt/EBITDA倍率)および最適なファイナンスアレンジを一体として実行することで、キャッシュ創出力の最大化と財務基盤の強化を両立し、グループ全体の持続的な成長と企業価値向上を実現してまいります。
(※)LBOファイナンスとは、企業やファンドが他社を買収する際、自己資金だけではなく、買収先の資産や将来のキャッシュ・フローを見合いとした借入等で調達した資金を元手に買収を行う方法です。
(3)経営環境
①事業承継・M&A市場
東京商工リサーチが2026年2月に公表した「2025年『全国社長の年齢』調査」によれば、国内企業における経営者の平均年齢は63.81歳となり、調査開始以来の最高水準を更新しております。加えて、70代以上の経営者比率は34.7%に達しており、事業承継の遅れが引き続き日本の構造課題となっております。
一方、帝国データバンクが2025年11月に発表した「全国『後継者不在率』動向調査」では、後継者不在率は50.1%と改善傾向にあるものの、依然として企業の約半数で後継者が不在であり、とりわけ中小企業においては経営の持続性確保が重要な課題となっております。
政策面では、中小企業庁が第三者承継支援を重要施策に位置付けており、後継者不在企業の円滑な承継を後押ししております。こうした環境のもと、国内M&A市場は事業承継ニーズを背景に拡大が続いております。
このような政策的後押しや事業承継ニーズの高まりを背景に、日本企業が関与するM&A件数は着実に増加しております。レコフデータによれば、国内M&A件数は2017年の3,050件から2025年には5,115件へと増加し、過去最多を更新しております。特に事業承継を目的とした中小企業のM&Aは拡大傾向にあり、今後も事業承継ニーズを背景とした市場の拡大が見込まれております。
②自動車内外装部品・自動車精密部品製造市場
日本自動車部品工業会が公表した2024年度(2024年4月~2025年3月)の「自動車部品出荷動向調査結果」によれば、国内自動車部品メーカーの出荷額は全体としては前年度比で微減となったものの、電動化関連部品を中心に分野別では成長が見られるなど、出荷構成に変化が生じております。
品目別では、車体部品が引き続き出荷額構成の中で大きな割合を占める一方、内燃機関関連部品は減少傾向にあり、電動車両向け部品の比率が着実に上昇しております。
このような環境のもと、自動車の電動化(EV化)の進展に伴い、静粛性や快適性、軽量化といった付加価値に対する要求は引き続き高まっており、特に内外装部品や精密部品分野においては、技術対応力や品質確保能力の重要性が一層増しております。一方で、次世代技術への対応や設備投資負担の増加により、部品サプライヤー間の競争環境は厳しさを増しております。
こうした事業環境の変化を背景に、完成車メーカーのみならず、部品サプライヤーにおいても、競争力強化を目的とした事業規模の拡大や再編の動きが進展しております。特に大手・中堅企業を中心に再編が進む一方で、中小サプライヤーにおいては、技術投資、人材確保、及び事業承継への対応が事業継続上の重要な課題となっております。
③機能性表面処理市場
近年、製造業においては、母材そのものの置換に加え、表面に耐食性、耐摩耗性、導電性、摺動性、密着性、装飾性等の機能を付与する「機能性表面処理」の重要性が高まっております。これは、部品の高性能化、長寿命化、軽量化を実現するうえで、表面改質が性能とコストの両面で有効な手段となっているためであります。とりわけ、自動車分野では、電動化の進展に伴い部品構成が変化する一方で、HEVおよびPHEVでは今後も一定期間にわたり内燃機関を搭載した構成が継続すると見込まれ、従来型部品と新たな電動系部品の双方において、表面処理技術の重要性は引き続き高いと考えられます。
HEV・PHEVにおいては、エンジン、排気、熱管理、駆動補機等に関わる部材で、防錆性、耐熱性、耐摩耗性、摺動性を支える表面処理需要が残存する一方、モーター周辺部品、制御系部品等では、導電性、耐食性、接触信頼性を高める機能性表面処理の重要性が高まっております。すなわち、電動化の移行期においては、内燃機関由来の需要が直ちに消失するのではなく、既存需要と新規需要が重なり合うことで、表面処理の適用領域は多層化していると捉えられます。
他方、BEVおよびFCEVでは、高電圧化、軽量化、熱管理、安全性への要求が一段と高まることから、電池周辺部材、電力制御部材、接続部品等において、より高い耐食性、導電性、絶縁性、耐久性が求められております。また、燃料電池分野では、NEDOのロードマップにおいて、金属セパレータ等に対し、長時間使用下での腐食耐性向上と低接触抵抗維持のための表面処理高度化が課題として示されております。さらに、全固体電池を含む次世代電池分野においても、界面制御や表面コーティングは、性能発現および耐久性向上に関わる重要な技術課題として位置付けられております。
加えて、欧州ではELV関連制度のもとで六価クロム等の有害物質使用規制の見直しが継続しており、自動車部品における代替表面処理技術の開発・量産対応力は、環境対応のみならず新規採用機会の獲得にもつながる要素となっております。
このような環境のもと、機能性表面処理市場は、汎用品では価格競争が継続する一方で、HEV・PHEVにおける内燃機関関連部品の高耐久化需要、電動化進展に伴う導電・耐食・接触信頼性需要、BEV・FCEV・電池関連分野における高機能化需要、有害物質規制に対応した代替処理需要の各領域で成長機会が存在しております。したがって、量産安定性、品質保証、環境対応、ならびに顧客要求に応じた処方・工程設計力を有する事業者にとって、高付加価値化と採用領域拡大の余地が大きい市場であると認識しております。
④製造業向け生産自動化ソリューション市場
製造業を取り巻く環境は、労働力不足やサプライチェーン上の制約など複合的な課題が顕在化しており、これらの課題解決の手段として、デジタルソリューションや自動化技術の活用による変革の重要性が高まっております。
経済産業省とNEDOが公表する「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」においても、製造部門単体の部分最適ではなく、開発設計・調達・製造・販売等を含むプロセス全体を俯瞰した全体最適を目指すことが重要である旨が示されております。
こうした背景のもと、製造現場では、単に機械・ロボットを導入するだけでなく、工程課題の整理から、最適な機器選定、システム設計、導入・立上げ、導入後の定着支援までを一体として提供する「生産自動化ソリューション」へのニーズが拡大しております。
特に、多品種少量生産を行う中堅・中小製造業では、「何から手を付ければよいか分からない」といった段階から、課題の可視化と実行可能な解決策の提示、導入後のフォローまでを含めた“伴走型”の支援が求められる傾向にあります。
また、生産自動化の実現には、ロボットや専用機単体の性能だけでなく、供給・加工・組立・検査・梱包・搬送(マテハン)といった複数工程をつなぎ、現場条件に合わせて稼働させるインテグレーション(統合・組み込み)が成否を左右します。
この点、専用・特注自動機の設計・製造に加え、ヒアリングから設計・納品、保守までを一貫して担うライフサイクル型サービスや、導入初期費用にとどまらないTCO(導入~運用・保守までの総コスト)を意識した提案の重要性が高まっております。
さらに、協働ロボット等の活用は、人手不足への対応のみならず、工程の柔軟性向上や段取り負荷の軽減にも寄与し得る一方、現場で“使い切る”ためには、導入設計・運用設計・教育を含む定着支援が不可欠です。
このため、製造業向け生産自動化ソリューション市場は、ハードウェア提供(専用機・周辺設備)と、導入コンサルティング/ロボット・システムインテグレーション/導入後サポートが組み合わさる形で付加価値が形成され、今後も継続的な需要が見込まれる市場であると考えられます。
⑤試作品製作市場
経済産業省の「自動車部品産業の変遷に関する調査」によれば、自動運転技術の進展や車両の電子化(SDV化)に伴い、車両に搭載される機能は高度化・多様化しており、自動車に求められる顧客価値は、従来の走行性能や耐久性に加え、安全性、快適性、さらにはユーザーインターフェースを含む操作性・使い勝手といった分野へ広がっております。
特に、車載HMI(Human Machine Interface)の領域においては、これまで進展してきたタッチパネル中心のインターフェースにおいて、安全性や操作性の観点から課題が顕在化しており、物理スイッチの再評価を含めた、直感的な操作性の向上が求められる傾向が見られます。これに伴い、物理的要素とデジタル技術を融合した「フィジタル(Phygital)」型のインターフェースの重要性が高まりつつあり、ユーザー体験を起点とした製品開発が進展しております。
こうした顧客価値の高度化を背景として、自動車メーカーおよび部品メーカーでは研究開発活動が一層活発化しており、開発初期段階において設計内容や機能のみならず、操作性やユーザー体験を含めた検証を行うため、試作品の役割は従来以上に重要性を増しております。特に、短期間での試作や実機に近い形での評価に加え、実際の使用環境を想定した検証が求められる傾向にあります。
また、開発から量産に至るまでのリードタイム短縮の要請が高まる中で、従来の概念実証(PoC)にとどまらず、量産工程への移行を前提とした試作および技術評価の重要性が高まっております。すなわち、早期段階において量産を見据えた仕様・デバイスを用いた試作を行い、迅速に設計判断につなげる開発プロセスへの転換が進んでおります。
さらに、車載コンテンツを含むHMI領域では、SDV化や高度情報端末化を背景として、UI/UX設計の重要性が一層高まっております。これに伴い、試作から量産準備に至る過程において、単発的なデザイン検証にとどまらず、量産を前提としたUI/UX設計やデザインシステムの構築に対する需要が拡大しております。
このような環境のもと、試作品製作市場においては、従来の形状確認や単機能検証にとどまらず、機能・操作性・意匠性を統合した高付加価値な試作および、量産移行を見据えた技術検証を担う役割へと進化しております。また、製品開発の効率化および開発リスクの低減を目的として、これら高度な試作機能を外部の専門事業者に委ねる動きも継続しており、試作品製作市場は自動車関連の研究開発を支える重要な分野として、その重要性は一層高まっております。
⑥ビューティーテック市場
矢野経済研究所が2026年1月に公表した「2026年版 エステティックサロンマーケティング総鑑」によれば、国内エステティックサロン市場規模は、2024年度において前年度比96.9%の3,043億円(事業者売上高ベース)と、引き続き緩やかな縮小傾向にあります。一方で、市場全体の減少にもかかわらず、その内訳や提供価値には変化が生じております。
特に、コロナ禍以降の生活様式の変化やオンラインコミュニケーションの定着を背景に、性別を問わず自身の外見やコンディションに対する意識が高まりつつあり、メンズエステ市場は前年度比100.6%と堅調に推移しております。美容に対する価値観は、リラクゼーション中心のサービスから、効果実感や再現性を重視する方向へとシフトしており、ジェンダーレスな考え方を持つ若年層を中心に新たな顧客層の拡大が進む可能性が示されております。
このような環境下において、エステティック業界では、施術者の経験や技量に依存するビジネスモデルから、業務用美容機器を活用してサービス品質の安定化や効率化を図る取り組みが重要性を増しております。ビューティーテック分野においては、美容機器を単なる設備としてではなく、サロン運営を支援し、顧客満足度の向上や差別化を実現するための中核的なツールとして位置付ける動きが広がっており、今後も同分野の役割は一層高まるものと考えられます。
(4)経営戦略
①基本方針
上記経営環境のもと、M&Aを通じモノづくり企業をグループ化し、当社独自の「モノづくり事業承継プラットフォーム」に組み込むことで、グループ会社を変革・進化させ、グループ全体の成長を図るのが当社グループのビジネスモデルです。
「モノづくり事業承継プラットフォーム」とは、a.M&A実行基盤(投資)、b.経営管理基盤(整備)、c.モノづくり基盤(育成)の3つの基盤で構成され、事業承継に必要なすべてのソリューションをワンストップで提供する当社独自の仕組みを指します。
a.M&A実行基盤(投資)
M&Aプロセス全体(M&Aの戦略立案、デューデリジェンス、資金調達、PMI等)を、モノづくり事業とインベストメント事業に精通したプロフェッショナル人材が一気通貫で遂行していきます。
b.経営管理基盤(整備)
プロ経営者のタレント・マネジメント・システムの構築、業務のシェアード化、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の構築及びグループ全体のGRC(ガバナンス・リスクマネジメント・コンプライアンス)体制の構築を、経営管理に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。
c.モノづくり基盤(育成)
標準化された、品質管理強化・製造効率化・IoTを活用した省人化・そして新製品開発を、モノづくり事業と経営に精通したプロフェッショナル人材がチームで推進していきます。
さらに、当社グループは、モノづくり事業承継プラットフォームで蓄積したノウハウを、グループ内に留まらず、フィナンシャル・アドバイザリー、経営コンサルティングを始めとした事業化を進め、当社グループ全体の企業価値最大化を図ります。
②成長戦略
当社グループは、更なる成長に向けた戦略として、以下の方針を立てています。
(ⅰ)事業ポートフォリオの強化
当社は、M&Aによる非連続的成長と既存事業のオーガニック成長(※)を両輪で推進し、事業ポートフォリオを強化していきます。
M&Aによる非連続的成長においては、M&Aを戦略的に実行し、スピード感を持ってグループの成長を推進します。投資企業の選定には「国際競争力が高く、サプライチェーンが強固な分野」を重点投資領域に設定し、製造業において安定的な成長が期待できる分野や、高成長・高付加価値の創造が期待できる分野を主なターゲットとした独自の投資ポートフォリオを構築していきます。
一方、既存事業のオーガニック成長においては、M&A後のPMIフェーズで、当社から派遣されたプロ経営者チームが、経営環境及び製造現場の可視化を前提とした「標準PMI」で再現性の高い統合プロセスを実現します。PMIフェーズで得た知見を当社グループの独自ノウハウとして蓄積し、「標準PMI」のアップデートを重ねることで、PMIの効果・スピードを高めていきます。
また、当社グループは自動車部品製造事業、製造業向け生産自動化ソリューション、試作品製作、業務用美容機器開発製造等において、成長に必要なR&D(新技術の研究開発活動)を積極的に行っていきます。具体的な取り組みとしては、「リサイクル率向上」「低騒音化」といった環境に配慮した取り組み、「工場の自動化」「DX化」といった効率性と品質向上への取り組み及び産学共同研究を通じた「伝送効率の改善」を実現する新素材の開発・製品化に向けた取り組み等を行っていきます。
(※)当社がいう「オーガニック成長」とは、当社グループが買収した企業を含む既存事業の持続的な成長を指しています。当社グループは、既存事業の強みを活かしながら、標準化、省力化及びDX化を推進し、生産性を向上させています。また、既存事業から派生した新たな事業の創造や研究開発への取り組みもオーガニック成長の一環として位置づけています。
(ⅱ)グループ財務機能の強化
当社グループは、グループ経営の課題として収益基盤の安定化と子会社財務の健全化を目指しています。具体的には、超過利潤であるROICスプレッド(ROIC(投下資本利益率)とWACC(加重平均資本コスト)の差)の拡大、当社グループ内の資金を有効活用し最適配分を行うための事業ポートフォリオ戦略によるグループ財務の安定、更には予算精度向上による継続的な収益力の改善を図っていきます。
事業ポートフォリオ戦略による投資余力の確保、金融、会計、法律等の多分野にわたる複雑で高度な専門知識やノウハウを組み合わせて「全体最適」な資金調達手段を導き出し、機動的・多様な資金調達を目指します。
(ⅲ)人的資本への投資
人的資本投資については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、M&Aによる事業承継を通じて傘下に収めた子会社の中長期的な成長を実現し、グループ全体の企業価値向上を図るビジネスモデルを基本としております。このビジネスモデルを持続的に発展させていくため、子会社における既存事業の成長及びソリューション拡充に向け、以下の課題に注力してまいります。
① M&A対象企業の発掘及び事業成長の実現
当社グループにとって、成長の源泉となる良質なM&A案件の継続的な発掘及び、M&A後における事業成長の実現は最重要課題の一つであります。
M&A案件の検討に際しては、金融機関、M&A仲介会社等の多様なリソースを活用しつつ、対象企業の事業内容・収益力に関する精緻な分析に加え、M&A後の成長戦略、PMI戦略、グループシナジーの創出可能性等を十分に勘案した上で投資判断を行っております。
また、ターゲット案件については、当社取締役を中心とした経営層及び関係部門で構成する投資委員会において十分な審議を行い、当社グループの中長期的な成長に資するM&Aの実行に引き続き注力してまいります。
② プロ経営者の積極的採用及び育成の強化
当社グループの最も重要な経営資源は人材であり、M&A後における子会社経営の高度化及び成長戦略の遂行において、プロ経営者の確保・育成は継続的な経営課題であると認識しております。
今後も、当社グループの競争優位性を一層高めるため、経営、財務、事業運営等の分野において高い専門性を有する人材の積極的な採用を進めるとともに、既存人材の育成強化を通じて、M&A案件の成功確率向上及びグループ全体の経営力強化を図ってまいります。
③ 当社グループの一体化及び意思統一
当社グループは、M&Aを通じてグループ会社を拡大し、成長を実現してきたビジネスモデルを基本としていることから、各社の歴史や企業文化の違いに起因する価値観の相違が生じる可能性があります。そのため、グループ全体が同一の目標に向かって一体的に事業運営を行うための体制構築は重要な課題であると認識しております。
これらの課題に対応するため、各社横断的な会議体やコミュニケーションの場を設け、相互理解と信頼関係の構築に努めるとともに、年1回の方針説明会の開催等を通じてグループ方針の共有と意思統一を図り、グループ経営の高度化を推進してまいります。
④ 販売チャネルの拡大
当社グループは、グループ会社間で経営層・マネジメント層を兼任させることで、子会社各社にとっては新規となりうる顧客に対して総合的な提案を実施することにより新たな販路、新製品の開発・製造を実施し、販売チャネルの拡大を実行してまいります。
⑤ グローバル展開への対応力強化
当社グループは、成長機会の一つとして、海外市場を含めた事業展開を推進しております。
この取り組みを継続・強化していくため、業務提携・技術提携、新たな販売先・仕入先の開拓に加え、グローバル事業を推進するための人材確保やネットワーク構築等が重要な課題であると考えております。
⑥ 新市場への挑戦、技術革新及び現場改革
当社グループの一部子会社が属する自動車関連産業においては、環境規制の強化を背景とした電動化の進展、自動運転技術の高度化、コネクティッド技術の普及などにより、事業環境が大きく変化しております。加えて、製品・サービスの提供方法や競争環境も継続的に変化しており、企業には柔軟かつ迅速な対応が求められています。
こうした環境変化を成長機会と捉え、新市場への挑戦、新技術の導入及び生産・業務プロセスにおける現場改革に積極的に取り組むことで、事業競争力の強化を図ってまいります。
⑦ 財務体質の改善
当社グループは、M&A実行に際し、各子会社の正常収益力を前提としたLBOファイナンス等により資金調達を行っているため、有利子負債比率が相対的に高い水準にあります。
今後は、各子会社におけるEBITDAの向上による財務基盤の強化に加え、事業環境や成長ステージに応じた多様な資金調達手法を検討・活用することで、財務体質の更なる強化と財務の健全性向上に努めてまいります。
⑧ 内部統制の充実
当社グループは、国内外のグループ会社を含めた企業経営の透明性確保及び開示情報の正確性向上、ならびに各国・地域における法令等の遵守を徹底するため、グローバルベースでの内部統制システムの整備・運用を継続的に推進しております。